◆2015年12月8日 いわき市議会「一般質問」◆
吉田実貴人議員の「地域医療について」をライブ視聴して、市民はじめ共立病院を利用する皆様にもお聴きいただきたく、このホームページに掲載いたしました。
共立病院・・・・・
この四文字は、いわきに暮らす人々の、安心のキーワードですよね。
核心である医師確保と、建て替えなどについて、
吉田議員の、公認会計士たる、丁々発止のやりとりがありました。
平成27年12月8日 いわき市議会 ライブ中継より
吉田実貴人 議員
「共立病院」についての一般質問 【内容&動画】
(黒字:みきと議員の質問、 青字:市役所の答弁)
ライブ中継の映像 (mp4動画) : mikito_1
1.共立病院への 「研修医マッチング」 結果について
研修医マッチングとは、医学部を卒業した研修医が初期研修先を決めるシステムであります。初期研修期間の2年間のみならず、そこでの体験が、その後の後期研修先や将来の勤務先選択に重要な影響を及ぼすといわれており、医師招聘を目指すいわき市にとって極めて重要なイベントであります。
(1) 共立病院のマッチング実績について
過去5年間の医師臨床研修マッチング状況について伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
過去5年間における当院のマッチング状況について申し上げますと、平成23年度が2名、24年度4名、25年度7名、26年度6名、27年度は2名となっております。
平成27年度は受入れ枠14のうち2名のみの充足と、きわめて低い達成状況にあります。初期研修を受けた医師が勤務先の病院を検討する際に、先輩の研修医からのアドバイスが大きく影響するといわれております。また事前の病院見学の際に、初期研修医の話しを聞くのが定番となっています。共立病院にはその先輩にあたる者が当年度分が2名にしかおらず、情報ソースが極めて限定されるということが、来年以降のマッチングに大きく不利に働くことを懸念するものであります。
(2) 他地域病院 のマッチング実績について
平成27年度の他病院のマッチング状況について伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
平成27年度のマッチング状況につきまして、募集定員に対するマッチング数の割合で申し上げますと、全国では11,052名に対し8,687名で78.6%、県内では159名に対し96名で60.4%、当院では14名に対し2名で14.3%となっております。
全国では約8割の充足率、福島県は約6割の充足率に対し共立病院は2割に満たない充足率と、他と比較しても著しく低いことがわかりました。共立病院の常勤医師のボリュームゾーンは51-55才であり、10年以内に定年による大量退職時期を迎えます。新たな供給先として、若い医師を招聘できなければ、共立病院は新病院を建替えても衰退するのみであり、他病院に比べて低いマッチングの結果は、極めて危機的な状況と考えます。
(3) 原因分析について (相馬公立病院・原町市立病院は、フルマッチング)
募集定員に満たなかった原因をどのように分析しているのか伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
マッチング数が募集定員に満たなかった原因につきましては、様々な要因が複合的に影響しているものと考えられ、明確にはお答えすることは困難でありますが、当院へ見学に来たものの研修先として選ばなかった医学生に対して昨年度実施したアンケート調査の結果を見ますと、「交通の便・地理的条件等が悪い」、「指導医が少ない」、「施設の老朽化」といった意見が出されており、これらが主な原因として考えられます。
また、当院における研修では、多くの症例に触れることができ、様々な手技について豊富な経験を積むことができるという評価がある一方で、座学で研究する時間が限られてしまうことなども原因の一つとなっているのではないかと考えております。
今後におきましては、院内の指導医体制の充実を図るほか、当院での働きがいや新病院の魅力などについて、ホームページやフェイスブックでアピールするとともに、学生向けの病院ガイダンスなどを通じ、積極的に発信して参りたいと考えております。
原発事故の影響が強い、相馬地方の公立相馬総合病院、南相馬市立総合病院いずれもフルマッチ、すなわち初期研修医の募集枠に対し100%の充足率を達成しています。首都圏からの交通アクセス的にも、医療圏人口の大きさ的にも、共立病院のほうが圧倒的に有利な外部要因にもかかわらずです。マッチングの結果が悪かったのは、共立病院経営の内部要因によるものではないかと推測できます。
2.採用体制について
(1) 医師・看護師の採用の重要性について
医療は地域のインフラであり、何をおいても改善しなければならない、いわきの最大の課題のひとつです。先日、磐城高校の同級生がひとりいわきを離れました。彼は、好間工業団地にある大きな電子会社に勤務する中堅のエンジニアで、海外サプライヤーとの交渉等で、しばしばドイツやアメリカに出張し、将来を期待されていました。しかし家族からのいわきの医療に対する不安から、結果として関東へ移住してしまいました。友人が離れてしまったことは個人的に残念ですが、それ以上に、いわきの将来を担う人材がひとり減ってしまったことに危惧を感じます。医療問題は、市民の健康に直結することはもちろんですが、いわきの企業の競争力の低下、いわき全体の将来の産業力の低下につながりかねません。
したがって医師・看護師の招聘は喫緊の課題であり、なりふりかまわず、やれることはすべてやるという姿勢を持って取り組まなければなりません。「医は仁術なり」です。病院の運営においては、十分な人数の医療スタッフを確保することが第一ですが、医師・看護師の採用の重要性について、どのように認識しているか伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
浜通り地区の中核病院として、高度急性期医療を担う当院の診療体制を維持し、安全・安心の医療を提供していく上で、医師、看護師をはじめ、医療スタッフの確保は、最も重要な課題であると考えております。
今後におきましても、当院を取り巻く医療環境の変化を十分見極めながら、必要な人員の確保に全力で取り組んで参りたいと考えております。
先月、11/23に開催された浜通り看護研究会における発表によれば、市内主要7病院の看護師の平均年齢は40才を超えており、50才以上の割合が27%であることから、手をこまねいていては、この世代が退職を迎える10年以内に看護師不足による医療崩壊が訪れるおそれがあります。
(2) 大学への訪問回数について
医療人材のリクルートのために、平成27年度における医科大学等への訪問状況について伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
今年度の大学等への訪問状況を申し上げますと、東北大学へ8回、福島県立医科大学へ5回、その他関東圏の大学などへ3回、合計16回となっており、主に病院事業管理者又は病院長が訪問しております。
提供資料によれば、全国で80ある医科大学のうち、訪問しているのが平成26年度でたった8校のみであり、これには東京大学や慶応大学、順天堂や東京女子医大等をはじめとする関東の有名校が入っておりません。これでは新規開拓に最大限の努力をしているとはいえないと思います。また東北大学、福島県立医科大学を除くと、訪問が1回のみで、これでは大学との深い関係性・信頼性を構築することはできないと思います。本気で医療人材を招聘したいならば、最大限の営業努力が必要です。それらが今回のマッチング結果の不首尾の遠因となっていると思います。
(3) 医師・看護師リクルート専属の採用担当者の設置について
先の南相馬市立総合病院では、リクルート専属の担当者を2名配置し、リクルートのために全国の医大を訪問し、人的ネットワークを拡大しております。共立病院には、医療人材の招聘のためにはなりふりかまわず、やれることはすべてやらねばなりません。医師・看護師採用に関し、専属のリクルートスタッフを設置すべきと考えますが、市の考えを伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
当院における医師及び看護師の確保に向けた取組みといたしまして、まず医師につきましては、病院事業管理者及び病院長が、関連医局等に直接足を運ぶなどして、働きかけを行っているところであり、看護師につきましては、看護部長が、就職セミナーや看護師養成機関等へ自ら赴き、当院の優位性や働きがいについてアピールするなど、いずれも各部門の最高責任者が熱意を持って対応しているところであります。
一方、関連医局との訪問日程の調整や見学希望者の受付、さらには雇用条件の説明など、採用に関する事務的な業務は、医局秘書室が中心となり、各担当者が分担して対応しているところであります。
今後におきましても、トップセールスを行う経営層とそれをサポートする事務担当者が、緊密に連携をとりながら、きめ細かく対応して参りたいと考えております。
3.事業全体の経営に関する認識について
(1) 共立病院の勤務医師数の推移について
過去10年間の共立病院の常勤医師数の推移を伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
当院における各年度4月1日現在の常勤医師数の推移について申し上げますと、平成18年度が141名、19年度130名、20年度121名、21年度119名、22年度112名、23年度111名、24年度110名、25年度114名、26年度114名、27年度は115名となっております。
常勤医師数の推移ですが、減少の一途を辿っていることがわかりました。
(2) 共立病院の看護師数の推移について
過去5年間の共立病院の看護師数の推移を伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
当院における各年度4月1日現在の助産師を含む正規の看護師数の推移について申し上げますと、平成23年度が716名、24年度675名、25年度654名、26年度652名、27年度は644名となっております。
看護師数の推移ですが、減少の一途を辿っていることがわかりました。
ライブ中継の映像 (mp4動画) : mikito_2
(3) 医業純損失について
過去10年間における共立病院の医業収益から医業費用を差し引いた医業純損失の推移について伺います。
(共立病院事務局長 答弁)
過去10年間における共立病院の医業損失の推移について決算ベースで申し上げますと、平成17年度が約13億9,500万円、18年度 約18億4,500万円、19年度 約26億8,800万円、20年度 約28億6,300万円、21年度 約27億7,400万円、22年度 約19億円、23年度 約19億4,300万円、24年度 約5億8,300万円、25年度 約6億8,100万円、26年度は約6億5,500万円となっております。
過去10年間の医業純損失の総額、累計をお答え下さい。
(共立病院事務局長 答弁)
過去10年間の医業純損失の総額は、約170億円であります。
共立病院が過去10年間で積み上げた医業純損失の合計が170億円であることがわかりました。いわき市役所本庁舎の新築コストが100億円といわれておりますので、その1.7個分の金額が投入されてきたことになります。
(4) 事業管理者の経営責任について
これらの推移等を踏まえ、病院事業管理者は、病院経営についてどのように認識されているか伺います。
(病院事業管理者 答弁)
これまでの病院経営の推移につきましては、平成14年度から平成20年度までの診療報酬のたび重なるマイナス改定、平成16年度の新たな医師臨床研修制度の施行に伴う大学医局の医師派遣機能の低下等による医師不足の発生などの外的要因が大きく作用し、特に平成19年度から平成21年度までは極めて厳しい経営状況にあったと認識しております。
このような厳しい状況を打開するため、本院におきましては、平成19年度に地方公営企業法の全部適用、平成20年度に市立病院改革プランの策定、平成22年度に旧常磐病院を統合し1市1病院1施設の実現を果たすなど、限られた医療資源を効率的かつ効果的に集約しながら、将来にわたる安全・安心の医療の提供と安定した経営基盤の確立に向けて、職員が一丸となって取り組んで参りました。
これらの取組みに加え、平成22年度から平成26年度までは診療報酬が連続してプラス改定となるとともに、7対1看護体制や、DPC、いわゆる包括診療報酬制度の導入、地域連携大学院や寄附講座の設置による医師の確保などを進めてきたことにより、病院経営は徐々に改善し、平成24年度から3年連続で経常黒字を達成いたしました。
また、今後におきましては、診療報酬のマイナス改定や福島県が策定する地域医療構想に基づく医療需要を踏まえた病床数の調整などが想定されますが、病院経営にとって優秀な人材を確保育成することは最も基本的な要素でありますことから、これら国や県の動向を見極めながら、良質な医療の提供を支えるために必要な医療従事者の確保育成に努めるとともに、将来にわたり安定した経営基盤の確立を目指して病院経営をおこなって参る考えであります。
いま、外部要因について事業管理者から理由をご説明頂きました。事業管理者に、生の声を伺いたいと思います。事業管理者は、病院経営のトップとして経営を統括し、人事を掌握する立場にあります。医師・看護師の減少、研修医マッチングの不首尾等についての経営責任をどのように捉えているのか伺います。
(病院事業管理者 答弁)
生の声でしゃべってんですけども、拡声器も何も使っておりませんけど、いかがいたしましょうか。それでよろしゅうございますか。
まず、議員さんが数字をよく挙げられてですね、マッチングの数がこうなったから、だんだん少なくなっていくから将来心配だと。それから、その後での数字は何かっていうと医師数ですね。最初140名もいて、そして今は115名になりましたね。そして今度は、経常収支のほうを見ますと、140人いたころは赤字で、少なくなったら黒字になったと。そういう、数字の上から見ますとね、私の務めは医師招聘じゃなくて、お医者さんを減らした方が経営的に黒字になるんじゃないかというふうなことさえ、考えざるを得ないということであります。ですから、数字だけから、いろんな要因がありますけれども、数字だけから、急いで結論なさらないでいただきたい。それからなりふり構わずという、あれなんですけれど、いったい、具体的になりふり構わずということは、どういうことなのか。この世の中がですね、これ次第っていうことなんですから、医師の招聘でも何でもですね、これさえあればいくらでも、私、できるんですね。それから、大学の訪問ですけれども、これはですね、病院長なり私が、出張という形で行ったっていうことでありまして、私の場合、東北大学のほうにはコンリョウ医学振興会という、研究費を集める方の理事長をしてますから、そのために、毎週決裁しなければなりませんので、そういうことで、アポイントメントを取らなくても行ってますんで、それは、何十回行って、廊下で会ったとき、「おい、何とかできないか」ということも言っていますし、教授をつかまえてですね。それから、福島県立医科大学でも、いろんなイベントがございますんで、必ず、そのイベントには出席して、教授をつかまえてはお願いしてますし、それから関東地方の大学もいろいろと知り合いがあるもんですから、電話でですね、あれして、いろいろ連絡は取っております。ただ、その、正式に、手土産を持ってですね、お偉い方に会いますと、「何とかいたしましょう」っている返事なんですね。それで、その次に、1週間たっても返事がないから行ってみますと、いや、否決されましたと、いわきにはどなたも出せませんていうことなんで、ですから、その、なりふり構わずっていうのが、私が、ISだかみたいに、これでももってですね、脅かすことができればいいんですけれど、どういう格好で、いったい、行ったらいいのか。なりふり構わずを教えて頂ければ、私もできる限り、そういたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは事業管理者に伺います。事業管理者は、平成25年10月定例会と平成26年2月定例会の2回にわたって、東北一の自治体病院を目指すと明確に断言されましたが、その達成度を伺います。
(病院事業管理者 答弁)
私が採点いたしますとですね、まあまだ70点くらいじゃないかと思うんですけれどもね。やはり新しい病院が建つっていうことが、やっぱり医者が集まってくるっていう、非常に大きい要因ですので、一日も早く建てていただけないかと思ってます。
病院事業管理者への最後の質問でございます。
病院の雰囲気や働きやすさ、勤務先としての魅力度の向上等は、第一には事業管理者の責務であると認識しております。事業管理者の任期は4年、任期を残すところあと1年あまりです。事業管理者の経営責任はもちろん現在の病院経営のみならず、次の経営者を適切に探して、後継者にスムーズに事業を引き継ぐことも含まれまれております。将来の公設民営化も見据えて、ぜひご自身の再任用の可能性も含めて、適切な経営チーム、経営組織を構築していただきたい。このことについてのお考えを伺います。
(病院事業管理者 答弁)
これはですね、私の後任のことまでどうのこうのということは、あまりにも先のことを束縛することになりますので、今、責任、責任という言葉を今何回かおっしゃられましたけれども、私、責任を取れというならば今日にでもさようならと申し上げたいと思いますので、後のことはですね次をどうするかということに関しては、市長をはじめ皆様方に十分考えていただきたい。私にできることはできることしかやりませんので、それはお許し頂きたいと思います。
(以上で、医療についての質問・答弁、終了)
※映像は、市議会HPの「ライブ中継」を手撮影したので不鮮明な映像です。
※文章は、市議会HPの「ライブ中継」から書きおこしたので、正確なニュアンスは映像もご覧ください。
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