きょうのコラム『時鐘』
北陸新幹線の開業では多くの「想定外」があった。金沢でたくさんの観光客が歩いて市内を巡るのも、その一つであった
茶屋街も市場も兼六園も美術館も、歩いて行ける距離にあるから歩く。それが地元の人々には意外に映った。金沢は「コンパクトシティ」だった。この単純な事実に気付いたのである。400年前の城下町の遺産が生きていたとも言える
富山市や福井市が市中心部に美術館や博物館、公園などを集中させる街づくりを進めている。「コンパクトシティ」の有効性に多くの都市が気付きはじめている。鉄道がもたらした交通新時代は地方都市の暮らしやすさを考えるきっかけにもなった
その一方、ことしは七尾駅前にある商業施設からのテナント撤退が明らかになり、高岡でも2年前に完成した駅ビル地下街から店が撤退するとの報道があった。新幹線効果に沸く都市とその勢いに乗れない街とに明暗が分かれた
高岡も七尾も文化・商業施設・観光地が分散しているきらいがある。都市改造は一朝一夕にできないが、わが街の長所短所を知ることは明日の活性化につながると思う。