1991年に元慰安婦女性がはじめて名乗り出て、自らの体験について証言を行ってからすでに20年以上が過ぎ、現在、慰安婦問題の焦点は、日本が国家次元での法的責任をどこまで認めるかに集約されている。しかし日本側は、1965年の韓日基本条約で個人の請求権は全て解決し、法的責任はないとの立場を今に至るまで維持している。その考えを日本政府が見直したという知らせやシグナルは今のところ一切聞こえてこない。しかも安倍内閣は、かつて日本政府が慰安婦の強制動員を認めてこれを謝罪した、いわゆる「河野談話」まで巧妙に否定しようとしており、歴史問題ではむしろ逆行しているのだ。
現在の韓日関係は、これまでの長い対立を経てついに対話の局面に入ろうとしつつある。今年11月はじめには3年半ぶりにソウルで首脳会談が開かれ、それまで関係改善の障害となってきた問題も少しずつ取り除かれてきた。今回の外相会談もこのような流れを引き継ぎ、さらに加速化するきっかけにならなければならない。
安倍首相は岸田外相に韓国での外相会談を指示した際「(交渉の結果には)私が責任を持つ」と語ったという。それほどの覚悟があるのであれば、最終的にこの問題に決着をつける方策を日本側が持ってこなければならない。今回の閣僚レベルの会談も、もし従来の主張が繰り返されるだけであれば、むしろ韓国国民の感情を刺激する結果しかもたらさない。日本側はまずこのことをしっかりと理解しておかねばならない。一方の韓国政府も、日本政府の法的責任を最後まで追求する従来の立場を守りつつも、被害者である元慰安婦女性たちと国民を説得できるだけの方策をとりまとめることに最善を尽くさねばならない。両国が真剣に意見を交換し対話を重ねれば、必ず道は開かれてくるはずだ。