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来年度初の改定へ 福島復興再生基本方針

 復興庁と県は、原子力災害からの県土再生の指針となる「福島復興再生基本方針」を平成28年度に改定する方針を固めた。現行では避難者支援や環境回復に力点が置かれ、帰還後に求められる施策が十分に盛り込まれていないためだ。東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域が設定された12市町村の将来像や福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に基づく施策などを追加することで、避難指示解除後の着実な復興を目指す。


 政府は29年3月までに帰還困難区域を除く地域の避難指示を解除する方針を示している。基本方針改定は将来にわたり地域再生を進める狙いがある。
 復興庁と県は、避難者支援や環境回復に重点を置いた現行の基本方針を、帰還後に必要な施策を追加した内容に見直すべきとの認識で一致。同庁は来春にも関係省庁や県、関係市町村と連携しながら改定作業に着手する。
 現段階で想定される改定内容は【表】の通り。将来像やイノベーション・コースト構想に加え、帰還した住民の生活再建策、企業立地補助金など事業者支援の長期的な対応、東日本大震災から10年で廃止される復興庁の後を継ぐ組織の創設などが主な追記事項となるもようだ。
 県は「復興にかかる長期的な財源確保や施策の実行を担保する基本方針に将来像や構想などを盛り込むことで、避難指示解除後のまちづくりが法的に位置付けられる」と強調。将来にわたり将来像や同構想に関する予算を政府に要望する際の根拠になるとみている。
 改定は平成24年7月に当時の民主党政権が閣議決定して以来初めてで、あらためて閣議決定が必要となる。基本方針は策定当時、同庁が中心となって県、関係市町村の意見、要望を踏まえてまとめた。改定に向けても同様の手続きを取るとみられる。
 基本方針に即して政府や県が作成した産業復興再生計画、重点推進計画、12市町村の避難解除等区域復興再生計画についても、改定内容に合わせて見直しが検討される見通しだ。



■福島復興再生基本方針改定で 追加が想定される項目
○避難区域が設定された12市町村の将来像(広域連携や2次医療体制の構築、農林水産業の再生、ふたば未来学園高を核とした人材育成など)
○福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想
○復興庁廃止後の本県に特化した組織創設
○企業立地補助金など事業者支援の長期的な対応
○帰還住民の生活再建に向けた具体的な対応


※福島復興再生基本方針 政府が「福島の再生なくして、日本の再生なし」を掲げた県土復興の指針。福島復興再生特措法により作成が義務付けられ、政府が平成24年7月に閣議決定した。(1)復興再生の意義や目標(2)避難区域が設定された12市町村への施策(3)産業振興など県全体の施策-の3部構成で、400以上の項目が盛り込まれた。原子力政策を推進してきた国の社会的責任と県土再生への責務、長期にわたる復興財源の確保、避難市町村の帰還に向けた支援、産業復興、除染の推進などを明記している。

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