さて、今回の企画では、私NicholasPが推薦した作品をVinegar56%さんのブログで、Vinegar56%さんが推薦された作品を私のブログで、それぞれチャットログを交換して公開するという方法を取っています。
※なお、下記に転記しているチャットログでは、Vinegar56%さんはもうひとつのハンドルネームである「sugoroku」さんと名乗っておられます。こちらはVinegar56%さんのブログ名「すごろく格納庫」に由来する通称です。
ディスカッションのおおまかな流れは、
①まず二人で元動画を見てから、
②推薦者がコメントを発表し、
③聞き手側がコメントを返す、
④その後二人でディスカッション、
という形を取っています。ネタバレは極力避けているつもりですが、是非とも記事をご覧になる前に、元動画を見ていただけたらより楽しめるかと思います。
コラーゲンPの他作品のタイトルもガンガン出てくるので、マイリス一覧をざっと眺めていただくだけも良いかもしれません。
【動画視聴パート】
sugoroku:ではでは、本日は、私から提出させていただいた、コラーゲンPの『NovelsM@ster 『Pのブログ』 嘘つきとマサカリ投法の一ヶ月』の語り合い、ということで。
NicholasP:Vinegarさんお願いします。
NicholasP:コラーゲンPの動画は準備済みです。
sugoroku:はい、ではこちらの動画を、再生開始したいと思います。
NicholasP:開きます
sugoroku:開きました
NicholasP:レギュラーメンバー「昔の友人」登場ですね。
sugoroku:そうですね、『Pのブログ』シリーズの常連ですねw
NicholasP:本人が登場するのは確か最終回でしたね
sugoroku:たしかそうですね
NicholasP:コラーゲンPの作品は伏線の張り方が興味深い
NicholasP:150キロを投げるアイドル
sugoroku:状況はよくわからないけれども、短い台詞だけで引き込まれる。
sugoroku:短編小説のお手本みたいな構成ですよね。
NicholasP:状況がポンと出て、その後になぜそこに至ったかの説明が物語として展開される、というのがコラーゲンPの主たる手法のように思います。
sugoroku:そうですね、そうだ、そういう風に説明すればいいのかw
NicholasP:後の「お子様ランチ(注・コラーゲンPの2011年2月投稿作品)」などでも使われている手法ですね。
NicholasP:前々から思っているのですが、このBGMは何の音楽なんだろう…? 懐かしい響き
sugoroku:タイトルもそうですし、動画自体の始まりもそうですが、その中にキーワードが仕込んであるんですね。
NicholasP:タイトルセンスが非常に良いですよね。コラーゲンP作品。
sugoroku:コラーゲンPのBGMって、アイマスBGM以外では、ニコニ・コモンズから探してきたBGMが多かったと記憶しています。
NicholasP:なるほど、今度探してみよう。
sugoroku:推空PがコラーゲンPを非常にリスペクトしていて、コラーゲンPが使ったのと同じBGMをご自分の作品で使われていたりしましたね。
sugoroku:この「出た」「出てない」の会話のところだけ、メッセージウィンドウを使う形式に切り替わるんですよね。
NicholasP:コラーゲンPの作品で、ウインドウ方式からサウンドノベル方式に切り替わったのが本作のように記憶しています。
NicholasP:本作はその折衷という感じですね
sugoroku:ここはこの、台詞と立ち絵を切り替えるリズムと反復が面白みなので、この形式でないといけないんですよね。
***
sugoroku:おわりましたー
NicholasP:前篇終わりました。後篇に移ります。
sugoroku:後編に移りましたー
sugoroku:このPのキャラクターが、なんとも面白い。
NicholasP:美希に対する完全なオペラント条件付けですね…
NicholasP:本シリーズのPのキャラクター性は非常に重要ですね
NicholasP:というより、Pのキャラクター性が、コラーゲンP作品の持ち味になっている気がします。
sugoroku:まあ、きっと後の議論でも話題に出るでしょうねw
NicholasP:この人の作品を語るうえで、このPの存在は外せないですね
sugoroku:そうですね、私もそこが、大きなポイントだと考えています>Pのキャラクター性が、コラーゲンP作品の持ち味になっている
sugoroku:さきほどBGMの話が出ましたが、アイマスの日常BGMと、非アイマスのBGMを使い分けることで、場面の緩急、落差を出すのが実に巧みです。
NicholasP:音楽が物語を邪魔しないことと、物語を盛り上げることを両立させる素晴らしい選曲です
NicholasP:始球式シーン。本当にハラハラさせる描写です。
sugoroku:ええ。
NicholasP:シリーズ屈指の名シーン
NicholasP:謎の感動
sugoroku:「予想外」というのもキーワードだな。
NicholasP:ですね。いろいろな人の「予想外」が結集していく物語かと。
sugoroku:はい。
sugoroku:アニデレはこの動画を見て、武内Pの口癖を編み出した。
NicholasP:納得の感動
NicholasP:武内Pのルーツ・・・?
NicholasP:笑顔です。
sugoroku:は、冗談として、このラストの一言で何かが静かに爆発する感じが、コラーゲンPの真骨頂だなあ、と思います。
NicholasP:コラーゲンP作品の中でも、ラストの盛り上がりとオチが非常に秀逸な作品だと思います。
sugoroku:はい、まったく。
sugoroku:おわりましたー
NicholasP:そ し て ブ ロ グ
sugoroku:www
NicholasP:こちらも終わりました
NicholasP:ああ、やっぱりいい作品です。私、この作品、リアルタイムでは見てなかったんですよ。
sugoroku:ラストのブログで、微妙に違う視点からその日のことを振り返っている感じが、映像で言えばすっとカメラが引いて終わるような、なんとも言えない後味を生み出していると思います。
sugoroku:そうですか。
NicholasP:シリーズ定型の終わり方なんですけれども、余韻を残しますよね。
sugoroku:「日記」じゃなくて、外向け、ファン向けに日常の一コマを編集して見せる「ブログ」だ、というのが利いてるんですよね。
NicholasP:はい。あくまでもスタッフの目から見た「報告」みたいな形になっている。
sugoroku:ええ。
【Vinegar56%さんのコメントパート】
NicholasP:そうしましたら、今日はVinegarさんからまずはコメントをいただく形でよろしいでしょうか?
sugoroku:はい、そのつもりです。
NicholasP:よろしくお願いします。
sugoroku:それでは、私の方からは、この作品をこの企画に提出しました理由として、
sugoroku:①動画表現において、またPのキャラクター表現において、この時期のノベマスの一つの集大成であり、同時に新しい時代を切り開いた作品である、ということ
sugoroku:②美希というアイドルの表現史上のオリジナリティ
sugoroku:という2点、述べさせていただきます。
NicholasP:面白そうなトピックス!
sugoroku:ありがとうございますw
***
sugoroku:まず、1点目から、視聴中、すでにご指摘がありました通り、本作ではテキスト表示の際、
sugoroku:メッセージウィンドウを使い、台詞と同時に立ち絵を切り替える方式と
sugoroku:背景の上から全体にテキスト表示する、いわゆるサウンドノベルの形式とが併用されています。
NicholasP:はい。
sugoroku:これは、コラーゲンP自身の中で表現が切り替わる境目の動画でもある、という重要なご指摘がありましたが、元々ノベマスの中でこの2種類の表現は並行して発達してきたわけです。
sugoroku:また、ノベマスの中でのPのキャラクター性の表現、というものも、この動画表現の形態と、ある程度連動していた部分があると、個人的には考えています。
sugoroku:今回の企画で取り上げたもう一作品の方でも話題に登っていますが、08年下半期は、ストレートP・ペデューサーP・タミフルPを旗手とするコメディ系ノベマスの全盛期であり、当時は、ノベマスと言えばこの3者の作るような動画、というイメージが強くありました。
NicholasP:はい。当時、大変な影響力のあった3人だと思います。
sugoroku:はい。このうち、タミフルPはやや独自性が強いのですが、スト・ペドとそのフォロワーの作品は、例外なくメッセージウィンドウと立ち絵を使い、Pとアイドルが対面しながら会話する(つまりゲームのコミュと同じ)スタイルを使うものでした。
NicholasP:今現在ももっとも主流な作りですね
sugoroku:当時は、ストーリーの方向性の違いによって、変態P(スト・ペド、事故米P、憂鬱P等)と良心P(ト・アルPや瑞P等)、みたいな分類の仕方もありましたが、私は、表現形態そのものの類似性によって、区別なく同じ世代、同じグループに分類することができると考えています。
sugoroku:さて、このグループの作品において、登場するP自身は、あくまで会話を通じてアイドルから面白かったり魅力的だったりする反応を引き出すための、極端に言えば一種の装置で、P自身が物語の主人公になるような存在ではなかったと考えます。
NicholasP:はい
sugoroku:これはやはり、ゲームのコミュにおけるPの扱われ方に沿ったものだと言ってもいいかと思います。
sugoroku:Pに印象的な言動があったとしても、P自身にどんな過去があってどんな悩みを抱えていてどんな風に成長していって、みたいなことは問題にならない存在であったわけです。
NicholasP:なるほど
sugoroku:会話を通して変化していくのはあくまでアイドル、Pはアイドルを映し出すための鏡。
sugoroku:他方で、同時代にそれとは別に、サウンドノベル形式のノベマスを作っていた作者たちもいました。
sugoroku:陽一P、愛識P、にわPと言った人々ですね。
sugoroku:こちらの場合、Pは物語の中で複雑な過去があったり苦悩したり成長したりする、物語上の重要な登場人物であり、場合によっては主人公でした。
NicholasP:私が前に調べた限り、現存する最古のサウンドノベル形式動画は
mmPの「天海春香のお宅侵入(2回目)」だったかと。そのあとすぐに
陽一Pのバレマスが始まっていたと思います。
NicholasP:確かに、サウンドノベルタイプでは、Pのキャラが重要でしたね。
sugoroku:ええ、
愛識Pの『ラノベっぽいアイマス』のPなんて、まさしく"ラノベの主人公であり語り手"だったわけです。
NicholasP:確かに陽一P、愛識P、にわPあたりがサウンドノベル形式の草分けといえそうです
sugoroku:にわPの『Starting over』も、ミュージシャン志望くずれでいつも事務所でギターばかり触っていて、みたいなキャラクターが持たされていて、彼自身がアイドルと接する中でどう変わっていくのか、というのが物語の一要素をなしていました。
sugoroku:もちろん、ノベマスの歴史全体を問題にする場合には、哀川翔Pを忘れてはいけませんがw
NicholasP:はい。ただ哀川Pの作品はなんというか、ノベマスの始祖でありながら、かなり独自の作風のようにも思います。
sugoroku:そうですよね。
NicholasP:疑似フルボイス、立ち絵の改変、実写背景、読者参加型の推理企画、と若干オーパーツ気味w
***
sugoroku:さて、09年2月ころ、スト・ペド・タミ3者は相次いで活動頻度を低下させていき、彼らとその直接のフォロワーでノベマスが席巻される時代は終わります。
sugoroku:その後に現れた一つの傾向として、ストペド式のPの扱いと、サウンドノベル式のPの扱いを折衷、融合させたようなPのキャラクター表現をする作品が現れてきた印象があります。
NicholasP:なるほど
sugoroku:たとえば、近ぐねPの『女性恐怖症Pの挑戦』(注・現在非公開)、
鶴ぺたPの『偶像百鬼拾遺』、
アッテムトP『0から始めるアイドルマスター』 sugoroku:近ぐねPの作品が象徴的ですが、コメディ基調だったり、メッセージウィンドウ形式だったり、という面ではスト・ペドの系譜ですが、
sugoroku:P自身に「女性恐怖症」という特質があって、そんな特質の持ち主が、アイドルと会話してどんな反応を見せるか、アイドルの前でどう活躍するか、アイドルと接していく中でどう成長していくか、みたいなことがお話の主眼になる。
NicholasP:確かに、P自身が透明ではなく、「固有の色」がついている作品といえると思います
sugoroku:鶴ぺたPの場合にも、妖怪退治という特殊な能力があり、かつ過去に何か事情があってちょっとひねくれた性格をしている、というPのキャラクター自体がお話の大きな要素になっている。
sugoroku:大きく見ると、
介党鱈P『ぷよm@s』のPも、この流れの中に位置づけることが可能かもしれません。
NicholasP:キョウスケPですね
sugoroku:はい。
***
sugoroku:さて、この境目の時期に存在しているのが、コラーゲンP『Pのブログ』という作品であり、そのPです。
sugoroku:メッセージウィンドウとサウンドノベル形式の併用、文章表現、BGMの扱い、といった特長がすでに話の中で話題に上っています。
NicholasP:2009年1月~5月の時期ですね
sugoroku:演出上、何も特別な技巧を使った作品ではありません。ただ、どんなノベマスPも使っている当たり前の技術各要素を極めて、総合させた集大成のような動画、かと思います。
sugoroku:はい、私が先に例示した3作品はだいたい09年5~6月ころ、コラーゲンPは09年1月のデビューになります。
sugoroku:前時代にノベマスが培ってきた表現の集大成であり、そしてそのストーリー内容、とりわけPの扱いにおいて、次の時代を先取りしている、あるいはむしろ、次の時代にも類例のないような独自の境地を見せている作品なのではないか。
sugoroku:これが、私が本作品を提出した1点目の理由です。
NicholasP:なるほど。すごい合点がいきます。
sugoroku:で、具体的に、このPの面白さや特徴ってなんだろう、みたいな話はきっと後でも話題になると思うのでw、今は2点目に行きます。
***
NicholasP:お願いします。
sugoroku:2点目、美希というアイドルの表現史上のオリジナリティ、です。
sugoroku:先ほど、オペラント条件付け、というキーワードにNPさんが言及されていましたが、おにぎりで釣れば美希は易々と動くわけです。でも、それでいいのか? という問いから、この物語は始まっていると言っていいでしょう。
NicholasP:この作品の投稿時期が、アイマスSP発売日とほぼ一致していることを考えると皮肉というかなんというかw
sugoroku:これは実際に、やる気のない美希を働かせるためにおにぎりで釣る、というネタを使うノベマスが、ストレートPを初め当時もその後もたくさんあったし、おっしゃる通りSPの中でもおにぎりが、ある意味非常に安易な使われ方をしたわけですよねw
sugoroku:まあ、しかし、美希コミュの研究史上はむしろ、おにぎりって美希にとってそんなに重要な存在か? という指摘も多数あるのですがw
sugoroku:若干脱線しますが、ここでちょっと確認しておきます。
NicholasP:はい。
sugoroku:まず、こちらの記事は、美希派のノベマスPである利休Pが、ご自身の美希の描き方を述べられた文章です。
ブログ茶聖の社交場 http://rikyu966.blog106.fc2.com/blog-entry-40.html sugoroku:「美希と聞くと何を想像するでしょうか。
「あふぅ、おにぎり食って寝てますなの。」
はい、実はそれは歴代のPが作ってきたステレオタイプだったりします。」
sugoroku:「それは実際に無印のコミュを見れば分かります。
寝ます、なのって言います、でもいつもそうではありません。
おにぎりは後付け設定なので食べません。」
sugoroku:食べない、とまで言い切ると若干極端ですが、語尾の「なの」と一緒で、コミュの中でそこまで重きを置かれてる要素ではないよ。だから、安易にそれに頼るとかえって原作の美希からかけ離れるよ、という重要な指摘です。
NicholasP:記事を拝見しました。作り手側の目線からの非常に鋭い考察だと思います。
sugoroku:はい、私も非常に感銘を受け、また参考にしています。
sugoroku:また、美希派のニコマスブロガーである よた氏も、同様のことを指摘されています。
ブログ 与太郎の妄想独り言 http://yota323.blog63.fc2.com/blog-entry-60.htmlsugoroku:「・『あふぅ』とあくびをさせない。
・語尾に『なの』は使わない。
・極端な『おにぎり好き』ではない。
・当たり前の如く『ハニー』とは言わない。」
sugoroku:時期も書き手の背景もまったく違いますが、まったく同じ要素について同じことが言われてますねw
sugoroku:さて、言及するだけでも怖いですが、美希コミュの話ということで、やはり最後にこの方の記事も貼っておかなければならないと思います。
who教授です。
ブログ美希logy -memoir & memorandum- http://mikiologymm.blog120.fc2.com/blog-entry-283.html sugoroku:「実は、アイドルマスター360においては、
美希がオニギリについて語る、あるいは食すシーンはごくわずか。
というかほぼこのコミュだけで、あとはメールで取り上げられるくらい。」
sugoroku:ゲーム外での美希のおにぎり好き展開とそこへの声優さんの影響といった事柄、ゲーム内でのおにぎりをめぐるエピソードの全体像、おにぎり以外の食べ物の嗜好のありようまで含めて、隅々まで語られております。
NicholasP:よたさんのブログ、whoPのブログ両方とも拝見しました。みんな美希のことを本気で考え抜いているんだなと、すごく感銘を受ける良記事です。
sugoroku:whoPの記事からも感じ取れるのは、きわめて複雑で偏った食嗜好の一貫として、おにぎりがあるのであって、おにぎりへのこだわりを中心に食の全てが回っている、というようなわかりやすい単純な問題ではない、ということでしょうか。
sugoroku:はい、このようにコミュ研究、とりわけ美希コミュ研究はたいへんディープな分野なので、なかなか安易にものを言うと大変なことになるのですw
sugoroku:という話ではありませんでしたねw
sugoroku:と もあれ、コラーゲンPの美希は、おにぎりで動く、ところから始まります。決して原作への読み込みが浅いからそう表現しているのではない、というのはこの動 画自体を見ていれば感じられることですが、この点、原作のみならず、2次創作の中での美希の描かれ方、扱われ方までふくめて美希というキャラクターを考えている、と言うべきなのかな、と。
NicholasP:ふむ、となるとこれらの二次創作における美希とは何ぞや? というテーマに対して09年2月時点でかなり先駆的な見解を提示したのが本作であるということでしょうか。
sugoroku:そうですね。"おにぎりに飛びつく美希"から話を始めてもいいけれど、そこで話が終わってしまうのではだめで、そんな美希がいる世界はどうなってしまうのだ ろう? 美希をそのままにしておいたら美希はどうなってしまうのだろう? そこまで想像力を働かせてその先を描いていく。
***
sugoroku:もう一つ。この動画の美希って、あんまり"天才っぽく"ないというか、少なくともなんでもかんでも要領よくできてしまう可能性の塊、スーパーマンではないですよね。
NicholasP:はい。
sugoroku:美希の描き方として、たとえば
瑞Pの『貴音を月まで連れて行く』の美希のように、あるいは『ぷよm@s』の
sugoroku:『ぷよm@s』の美希のように、あるいはアニマスの美希のように、
sugoroku:無限大で全方向的なとてつもない才能の持ち主、ほんのちょっとしたきっかけだけでものすごいところに到達できたしまう人間、という描き方、イメージのされ方も、根強くあると思うんです。
NicholasP:一種のチートキャラ枠みたいな扱いをされることは多い子だと思います。
sugoroku:でも、コラーゲンPの美希は、そうではない。あるいは将来そうなる可能性はあるのかもしれないけれど、少なくとも現時点ではそうではない。
sugoroku:ボールを投げようとして、速い球を投げるおじいさんの真似をすればいいんじゃないか、と素朴な発想をして、たぶんそこまで特別でもない、本人たちもなかなか気づけないような一歩一歩の成長をしていく。
sugoroku:実は、先に貼った利休Pの記事の後段で描かれている美希の才能のあり方と、今私がここで述べたような美希は、とても似ていると思うのですがw
sugoroku:「天才とは何でもできる超人とは違います。」
sugoroku:「そして覚醒=天才化というわけでもありません。
一日で突然才能開花なんてしません。」
sugoroku:「ただし、イチローの動画がそうであるように、
何度投げても入らないのですが、入らなくても何度も投げる。
覚醒前後の違いはここだと思っています。」
sugoroku:もちろん、とてつもない無限大の可能性の持ち主、というのも、美希の重要な一要素だと思うのです。『貴音を月まで連れて行く』もまた、美希ノベマス史上の傑作です。
NicholasP:はい、私も同意です>貴音を月まで連れて行く
sugoroku:ただ、美希に期待されるものが、美希に託されるものがそれだけ大きいからこそ、こんな、素朴で、等身大で、当たり前なところから出発する美希を描いてくれた人がいる、ということが、私はとても嬉しいし、大切なことだと思うのです。
sugoroku:以上が、私が本作をこの企画にあたって取り上げていただいた理由になります。
NicholasP:Vinegarさんの一連のコメントに感動してます
sugoroku:自分の中で、ずっと書かなければならないと思っていた動画なので、こうして形にできる機会をいただけてありがたい限りですw
***
NicholasP:Vinegarさんのおっしゃられたことを私なりにまとめると、本作はノベマス史上、表現技法の基礎が確立した時代を象徴する構造の作品であるとともに、美希というアイドルの等身大の成長譚を描くという、極めて先駆的な試みがなされた作品、ということになりますでしょうか。
sugoroku:大変的確に要約していただいて、有り難い限りです。そうですね、特に、「美希というアイドルの等身大の成長譚」というのは、何より私が言いたかった部分かもしれません。
NicholasP:確かに、今の時代から見ると一見オーソドックスな作品ではあるのですが、2009年2月という時期を考えると、本作はむしろ先駆的な作品といえるかもしれないです。
sugoroku:一見してオーソドックス、なにか特別な技術が使われているから凄いわけではない、というのは、本作の重要なポイントかと思います。
NicholasP:オーソドックにして完成されている…まさにその通りかと思います。コラーゲンPの「Pのブログ」とほぼ同時期に、ストレートPの「歌姫奇譚」が連載されていたことを考えると、ノベマスの基礎が2009年前半に確立されたという仮説は成り立ちそうですね。
***
【NPコメントパート】
sugoroku:それでは、今度はNPさんから動画についてコメントをいただく、ということで。
NicholasP:了解です。それでは後半いきましょう。
sugoroku:了解です。
NicholasP:それでは私のほうからいくつかコメントを。
sugoroku:はい。
NicholasP:まず本作のノベマス史上における意義という観点についてはVinegarさんから詳細なコメントを頂けたので、
NicholasP:私はもう少し本作の内側というか、「Pのブログ」シリーズ内における、本作の立ち位置みたいな観点からお話してみたく思います。
sugoroku:はい、ぜひお願いします。
NicholasP:この作品に関する話し合いの中で、しばしば「Pのキャラクター性」が話題に上っていたかと思いますが、
sugoroku:そうですね。
NicholasP:「Pのブログ」シリーズは、アイドルの物語を描く作品であると同時に、Pの成長を描いたノベマスでもあると私は考えています。
NicholasP:『Pのブログ』シリーズは、タイトル化されているものだけを数えると全8話で構成されていますが
NicholasP:嘘つきとマサカリ投法は、その中の第5話に相当します
sugoroku:はい。
NicholasP:このシリーズ、Pと伊織の関係性に着目すると顕著なのですが、明らかにPのアイドルへの接し方が上手くなっていってるんですよね。
sugoroku:なるほど。
NicholasP:第1話の「ポン酢ベイベ」では、明らかにPと伊織のコミュニケーションにずれがあるんですが、この一話はそういったずれ自体が面白いという面があります。
NicholasP:ETのくだりなんかがそうですね
sugoroku:そうですね、「ポン酢ベイベ」はずれ、混乱が面白いんですよねw
NicholasP:そうなんですw
NicholasP:これはPとアイドルの関係性がずれている、というよりも、「大人社会」と「子ども社会」のコミュニケーションのずれ、の面白さという印象を受けます。
sugoroku:ああなるほど、Pが「大人社会」の視点でものを見ていて、アイドルが「子ども社会」の視点でものを見ている、というのは非常に重要な要素ですね、全編を通して
NicholasP:たとえば3話でPが小鳥さんや社長と飲みに行くときのエピソードでは、話が通じ合っているのですが
NicholasP:これは「大人社会」組だけのエピソードであり、少なくともその中では話は通じ合っているんですね。
sugoroku:大人側だけで語り合う動画、というのも興味深いテーマですね、そういえばw
NicholasP:ところが、1,2,4話だと、やよい・伊織・亜美真美との会話はものすごくずれている。
NicholasP:すごくずれているんだけれども、Pの持ち前の達観さと、ウィットに富んだ、ユーモアある言動がその(物語としての)面白みを引き出しているんですね。
sugoroku:ええ、しかもそのずれに対して投げやりというか、Pの側からあんまり歩み寄ろうとしないんですよねw
NicholasP:そうなんです。私も最初、「Pのブログ」というシリーズは、そういったずれの面白さを楽しむ作品だと考えていました。ところが、
NicholasP:この図式が大きく変わったのが、この「嘘つきとマサカリ投法」なのではないかと、私は考えます。
NicholasP:このエピソードでは、Pと美希は野球、というかキャッチボールを通じて、実はちゃんとコミュニケーションを取れているんですよね。
sugoroku:そうですね、しかもおっしゃる通り、単に当たり前にコミュニケーションできているのではなくて、「実は」取れている、というところが味噌ですよね。
NicholasP:ゲームでいえば、「パーフェクトコミュニケーション」といっていいのがこの回ではないかと
sugoroku:はい。
NicholasP:続く6話の千早回も、若干危なげではあるのですがコミュニケーションは成功しています。
NicholasP:これが7話になると、天然畜生発言(笑)があるものの、ゆきまこへの対応はほぼ完ぺきでしたし、
sugoroku:動画自体の構成にも関わるところですが、途中の説明をすっ飛ばして結論だけ伝える癖があるんですよね、このPは。だからコミュニケーションが危なっかしくなるw
sugoroku:ええ。
NicholasP:そうそう。なんか説明不足なんですよねw
NicholasP:注目すべきは、最終話において伊織とものすごく仲良くなって「家族」になっている、ということですね。あの第一話を見てから最終話を見ると、明らかにコミュニケーションが上手くなっていると感じます。
NicholasP:Pのブログ、という作品は、最後のブログシーンを見ればわかるとおり、作品内でちゃんと時間が進んでいるんですね。つまり、後のほうの話になるほど、時間が経過している。
NicholasP:その中で、一見目立たないけれど、P自身の成長の跡が
sugoroku:「ポン酢ベイベ」から比べるとすごいですよねw
NicholasP:見受けられるということがいえると思います。
sugoroku:ブログは、作品内で時間が経過している、ということを確かにする道具立てでもあるんですね、なるほど。
NicholasP:つまりシリーズ全体を通して考えると、この嘘つきとマサカリ投法は、Pとアイドル、あるいは「大人社会」と「子ども社会」のキャッチボールが成立したという点で、極めて重要なポジションにあたる作品なのではないかと思うのです。
NicholasP:テーマも野球ですしw
sugoroku:こうして整理してただくと、『嘘つきとマサカリ投法』の立ち位置がとてもクリアになる感じですね。
NicholasP:はい、おそらくコラーゲンPもかなり力を入れた回だったのではないかと思うんです。
NicholasP:コラーゲンPがどこまでPの成長譚を描くことを重視していたかは不明ですが、アイドル達の姿を描く裏で、Pの成長を描く、というのがこのシリーズの裏テーマなのではないかと思います。
sugoroku:こうしてみると、各回がどんな働きをして、それが積み上がることで何が変化していくのか、ということが意識的に図られていたような印象を受けますね。
NicholasP:「765プロのブログ」ではなく、「Pのブログ」となっているタイトルを見ても、Pの存在というのが本シリーズの重要な位置にあることがうかがえるのではないかと。
sugoroku:まあ、作者自身にとってどこまで最初の計画通りだったか、というのは私たちにはよくわからないわけですが。
NicholasP:コラーゲンPに限らないのですが、非常に実力のあるPのシリーズ作品というのは、
sugoroku:「Pのブログ」というタイトルそのものについて、私はあまり意識していなかったのですが、おっしゃる通りだと思います。
NicholasP:一話毎の完成度が高いというだけでなく、シリーズ全体を見た場合に、シリーズ構成そのものに物語のリズムがある、と私は考えています。
sugoroku:ほうほう。
NicholasP:コラーゲンPが本シリーズをどういった構成にしようと考えていたのか、あるいはたまたまシリーズ化させたのか、などはよくわからない部分もありますが、
NicholasP:少なくともコラーゲンPが「熊本さんちのトマトちゃん」でいったんシリーズを終えたのは、ある程度本シリーズの物語の着地点として妥当なタイミングであると判断したからなのではないかと、私は推測しています。
NicholasP:(ちなみに、
むろPの「ボーイミーツガール」とか、
シンドーコバヤシPの「高校生亜美真美」なども、一話一話の完成度に加えて、シリーズ構成そのものが優れている作例かと)
NicholasP:そういったシリーズ全体、という目線で見ると、やはり本作マサカリ投法は重要な位置を占めている、と考えられるわけです。
NicholasP:一気呵成にしゃべってしまいましたが、とりあえず私が本作を見て感じた「シリーズ内の立ち位置」はこんな印象でした。
***
sugoroku:個人的には、『陽気な双子が地球を回す』までシリーズに含めてもいいとも思っているですが、たしかに、この動画になるともう、「陽気な双子」というタイトルからしても、「Pのブログ」がない、ということからしても、P自体の変化には焦点があたっていない、というのが大きな変化なのかもしれませんね。
NicholasP:私も「陽気な双子」は「Pのブログ」の延長線上にあるとは思うのですが、主題が亜美真美に移っていることを考えると、別シリーズに近いと考えられるかと思います。
sugoroku:そうですね、P視点1人称の語り、という形はこの動画では維持されているんですけれども。
sugoroku:つい話を広げてしまいましたが、「シリーズ内での立ち位置」のお話、大変納得がいきました。
NicholasP:いえいえ。ただやはり、単品としての完成度を見ても、マサカリ投法がシリーズ内でも非常に素晴らしいものだと思います。
NicholasP:前の話題にかぶりますが、美希の魅力を引出し、等身大の成長物語にする、という手法は現在からみても特筆に値するのではないかと。
sugoroku:それまでの面白さとは違う達成を見せる作品であるが故に、独立した短編としても完成されていて、こうして単独で取り上げることもできるような作品になっているのかもしれませんね。
NicholasP:はい。転換期にあたる作品といってよいのではないでしょうか。
***
NicholasP:あと、このお話、美希とのコミュニケーション手段を「野球」にしたっていうのも、結構面白い気がします。
sugoroku:はい。
NicholasP:昔から野球とアイマスって、なぜか相性が良いですよねw
sugoroku:それこそ井川KP以来w
sugoroku:コラーゲンP作品中でも、これ以後何かと活躍する野球w
NicholasP:古くは井川KP、昨今だと
フュージョンPのサンキューユッキなどなど
NicholasP:「れい&ゆいの文化放送ホームランラジオ!」なんかは、実質アイマスラジオの野球出張版みたいな扱いになっていますしw とにかく(公式・非公式に関わらず)野球とアイマスはやたら相性が良い
sugoroku:ノベマスで個人的に印象的なのは、本作と、『陽気な双子が地球を回す』と、レストPの『陽気なアイドルが地球を回す』14話
NicholasP:ふむふむ
sugoroku:つまり、「陽気」がついて野球が出るノベマスは傑作になる法則がある。
NicholasP:な、なんだってー!(MMR
sugoroku:というか、レストPの野球回も、亜美真美が主人公なんですよねw 偶然というのはあるもので。
NicholasP:陽気なアイドルというイメージに合うという点で行けば、亜美真美が適しているのでしょうね
NicholasP:まあ、野球というテーマまで一致するとなると本当に不思議ですがw
sugoroku:まあ、若干真面目に言うと、本作でもそうであるように、努力にかかる部分、才能がなければならない部分、運・偶然に左右される部分、というのを複合させながら描きやすい題材で
sugoroku:投手対バッターの1対1、という、わかりやすく、記述しやすく、劇的な場面にクライマックスが集約され、
sugoroku:そして、それが本意な結果であれ不本意な結果であれ、空高くボールが飛んでいく、あるいはぎりぎりでベースに滑り込む/タッチされる、というドラマティックな幕切れになる。
sugoroku:そういう題材を、その題材の強みをわかって使いこなす人が現れた時、名作が生まれるんだろうなあ、と。
NicholasP:なるほど
sugoroku:まあ、これは野球小説、野球ノンフィクション、あるいはそもそも野球実況という行為が成立する理由でもありますがw
NicholasP:シンデレラの姫川友紀のセリフに「野球はイイよ!チームワークと個人技!」というのがあるのですが、そういう意味ではアイマスも「事務所やユニットの物語」と「個人の物語」が高度に両立するという点で、すごく似た世界観なのかもしれません。
sugoroku:そうですね、まさに本作が好例であるように、野球という題材が持っているものと、アイドル活動という事柄を高度にリンクさせることが可能なんですね。
NicholasP:ええ、本当に野球は創作の題材として、あらゆるテーマとの親和性が高そうです。
***
NicholasP:いや~なんだかまた今日もしゃべりまくってしまいましたw
sugoroku:ええw
sugoroku:そうですね、最後に、NPさんのコメントを受けて考えたことを、また少し書いてみようかと思うのですが、
NicholasP:今回、VinegarさんにコラーゲンPを提示していただいたおかげで、シリーズ中の抜けていた作品なども改めて見る機会をいただくことが出来て、大変幸運でした。ありがとうございます。
NicholasP:はい、お願いします。
sugoroku:Pの成長、というのが、なるほどシリーズを通して非常に重要な要素で、
sugoroku:だからこそ、さらに、Pの側の成長、というだけではない要素が『嘘つきとマサカリ投法』の中にある、ということが、この動画がシリーズの中にある意味をなお重くしているのではないか。
sugoroku:前から自分が考えていたことと合わせて、そんなことを思いました。
sugoroku:それはですね、先ほど視聴中に言及しました、「予想外」というキーワードに関わる事柄です。
NicholasP:おお、先ほどのキーワードですね!
sugoroku:おっしゃる通り、Pには「大人社会」の考え方、論理が見えている、というのが、非常に重要な要素なんですよね。そして同時に、Pは非常に達観している、つまり、ものごとの奥底にある本質みたいなものをズバリと見つける、みたいなことが得意で。
sugoroku:だから、Pの大人としての視点から見ると、本作の美希にしろ、この後の千早やゆきまこや伊織にしろ、彼女たちがいまどんな状況で、何が足りなくて、これからアイドルとして一人前にやっていく上で各々に何を身につけさせる必要があるか、みたいなことが見えている。
sugoroku:で、しかも、Pのその見解が、だいたい正しいわけですw。Pの考えをアイドルが理解する、Pが思った通りの方向にアイドルが向かうと、だいたい問題は解決する。
NicholasP:はい
sugoroku:ただ、これもお話にあった通りで、妙に説明不足なのと、妙に達観してて、え、そこはフォローする場面じゃないの、というところであっさりずれ、誤解を放置したりするので、最初はなかなかコミュニケーションがうまくいかない。
sugoroku:で、Pがコミュニケーション能力を身につけてアイドルと対話できるようになる、ということは、ある意味、Pが自分の計算通りにアイドルを動かせるようになってアイドルはPの手のひらの中で動く状態になる、という可能性を孕んだことでもあると思うのです。
sugoroku:で、実際、本作においても、美希には努力して報われる経験が必要だ、という"正しい結論"が最初から見えている。だから、野球を通して、その体験をさせてやろうか、という計画も出来ている。
sugoroku:小鳥さんとの会話で露呈するように、この計画はなんだかアバウトで、P自身もそんなにいい計画だと思っていない。ここらへんは、前回までのPと連続している印象ですがw
NicholasP:ですねw
sugoroku:一方で、うまくいかなかったら、自分自身の今後のことも考えなければならない、みたいなことをさらっと言ったりもする。大人同士の会話回でも顕われているように、アイドルのためを思う気持ちは非常に強いんですよね。
sugoroku:ここらへんの、飄々とした中にいろんなものが入り混じっている感じがなんとも不思議で面白いキャラクターですがw
NicholasP:はい、なので、実は第一話時点からアイドルに信頼はされているんですよね。
sugoroku:ええ、互いにいまいち伝わってないんだけど、互いに互いを信頼しているんですよねw
NicholasP:コミュニケーションのずれはあるのに信頼はされているというのが、ありそうでなかったP像です。
sugoroku:で、そのズレを放置するような達観ぶり、の中には、子どもの子ども故の限界を見切っている、という要素があると私は考えます。
NicholasP:おお、なるほど
sugoroku:だから、美希に対しても、正面から、おにぎりに頼ってちゃ駄目だよ、野球でもいいからちょっと頑張ってみないか、みたいに正面から説得するのではなくて、
sugoroku:自分であんまりいい計画じゃないしうまくいかない可能性もあるなあ、とかと思いつつも、「嘘」をついてうまく美希を騙して表面上それっぽい経験をさせればいいや、と考えるわけです。
sugoroku:極端に言えば、「子ども」というものを、アイドルというものを、「大人」の計算の中で操ることのできる存在だ、という考え方をしている部分が、このPにはある。
NicholasP:なんというか、ある意味ずるいとも言えるし、非常に賢いやり方とも言えるというか
sugoroku:ええ、ずるいし、賢い人なんですよね。そして、自分が賢いこともずるいことも自分でわかっているw
sugoroku:で、まあ、あんまり細かい部分をここで言ってしまうと、これから読む方の興を削ぐので申しませんが、
sugoroku:その計算を、予想を、アイドルがちょっとだけ超えていく。
NicholasP:ですねw あ、だからこそ美希の成し遂げたことが「予想外」になると?
sugoroku:ええ、あの場面は何より、P自身にとっての「予想外」なんですよね。
sugoroku:先に私のコメントで述べた通り、そんな特別で奇跡的な現象が起きたわけじゃない。ほんのささやかな、でも、Pの予想をアイドルが飛び越えていってしまう現象。
sugoroku:視聴中に、NPさんが「謎の感動」と言われた部分は、これが起こっている部分だと思うのです。
sugoroku:で、その上で。
sugoroku:最後にわかるのは、これもNPさんが仰ってくださった、それでいて、「実は」コミュニケーションが取れていた、ということ。一見、PはP、美希は美希でバラバラにものを考えていたようで、だけどそうじゃなかった。いちばん大事なことは美希にちゃんと伝わっていて、「実は」二人で共有できていたんだ、ということがわかる。
NicholasP:投球シーンで漠然と感じた感動の根源がわかった気がします>謎の感動
sugoroku:ここが、「納得の感動」になる部分なのかな、と。
sugoroku:まさしく、2段階の感動なんですね。
NicholasP:はい
NicholasP:ああ確かにあのクライマックスは2段階の構造で見るべきですね
sugoroku:はい。自分で考えていたことと、NPさんに仰っていただいたことを合わせて、そんなことを合わせて、そんなことを考えました。
sugoroku:文章がおかしいw
sugoroku:「そんなことを合わせて」がいらないw
sugoroku:大体私の文章は、何も考えないで書くとやたらと指示代名詞ばかりになるんですよね。「そう」「そんな」「その」のオンパレードw
NicholasP:なんとなく実況していた時は漠然と感じていたことが、今の会話で明確になった気がします
NicholasP:いやいや、私も指示代名詞だらけになることはよくありますんでw
***
NicholasP:非常に興味深いお話でした。
sugoroku:こちらこそ、大変刺激的なやりとりでした。
NicholasP:はい。今日もなんだかんだで4時間近くやりましたねw
NicholasP:本企画を持ち込んで本当に良かったと思います。
sugoroku:本当に、長い時間ありがとうございました。企画を立ち上げて、こうしてお招きいただいたこと、本当に感謝しております。
NicholasP:これまでNP氏の本棚では、私一人の目線からしか作品を見ることが出来ませんでしたが、
NicholasP:こうして対談形式で作品を見ることで、極めて立体的に、ノベマスを見ることが出来ました。
NicholasP:過去のノベマスから新たな知見を見つけることが出来ましたし、
sugoroku:「ひとりでは出来ないこと 仲間となら出来ること 乗り越えられるのは Unity is strength」
NicholasP:本企画の主旨である、「過去のノベマスを再発見する」「温故知新」は達成できたかと思います。
NicholasP:上手い!
sugoroku:アイマス曲は偉大である(便利だとも言う)
***
【編集後記】
本記事のチャットログは以上となります。このチャットは実は企画対談2日目にあたるのですが、当初の予測以上に話が盛り上がったこともあり、2日連続で4時間近くチャットをするという、エキサイティングな収録となりました。
ところどころ、返信のラグで文章が前後しているところもありますが、当時の空気感をそのまま伝えるため、編集を最小限とし、あえて残しました。
チャットログを見返してみると、お互いのブログの語り口というか、ものの見方の個性が、そのままチャットの語り口にも表れているようで、非常に興味深く感じます。
ここまで長文におつきあいいただいた皆様に感謝を申し上げますとともに、この企画が皆様にとっても過去のノベマスの魅力の「再発見」の機会になれることを願っています。ご覧いただき、誠にありがとうございました。
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