韓国の格安航空会社(LCC)、済州航空の金浦発済州行きの旅客機で23日、飛行中に機内の圧力を調整する機器にトラブルが発生し、機長が高度を3000メートル以上急降下させていたことが分かった。この際、機内の圧力が急激に上昇し、152人の乗客が呼吸困難や耳の鼓膜などに痛みを訴えるなど、着陸までの20分にわたり苦痛と恐怖におびえた。国土交通部(省に相当)はパイロットの操縦ミスが原因との見方を示しているが、これが事実であれば、機体トラブル以上に深刻な問題だ。済州航空はエギョングループ系列で韓国LCCでは最大手だ。
今回は乗客乗員にけがなどの深刻な被害はなかったようだが、済州航空など韓国の五つのLCCでは今回のようにパイロットのミスや機体のトラブルがたびたび発生しており、国民は不安を感じている。韓国のLCCが2006-14年の間に起こしたトラブルの件数は運航1万回当たり0.63件で、大韓航空やアシアナ航空といった一般の大手航空会社(レガシーキャリア)の0.17件に比べると4倍だ。昨年はLCCのエア・プサンが着陸中に後輪の四つのタイヤが破裂する事故を起こし、12年にはイースター航空の航空機の離陸直後、二つのエンジンのうちの一つが作動せず、乗客が脱出する騒ぎが起こった。
LCCの度重なるトラブルは、運賃を無理に抑制しようとすることから起こるいわば構造的な問題だ。保有するわずかな航空機の運航回数を可能な限り増やし、フル稼働を続けていることから、整備の時間は当然短くなっている。また人件費を抑えるため熟練パイロットではなく未熟なパイロットに操縦を任せていることもトラブルの原因の一つだ。
LCCは大手に比べて運賃が20-30%ほど安いことから、ここ数年で急成長し、今や国内線全体の54%以上のシェアを占めるに至っている。乗客数は昨年だけで延べ1900万人を記録し、大衆交通手段としても完全に定着した。しかし今回のように度重なるトラブルで乗客が極度の不安を感じるようになれば、近いうちに間違いなく国民から背を向けられるだろう。国土交通部は今回のトラブルが発生した原因をまずは徹底して調べ、LCCの安全性を画期的に高める対策に取り組んでいかねばならない。