慰安婦:同床異夢の韓日、岸田外相来韓に韓国政府周辺では慎重論も

 日本が過去に創設した女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)をめぐっては、韓国国内で「賠償や補償の性格ではなく、単純な慰労金ではないのか」とする論議を呼んだ。外交筋は「適切な名称を掲げ、日本政府の予算で慰安婦被害者に支援を行えば、『法的責任』を明示しなくても、事実上そう解釈できる余地が生じ、調整が可能になる」と指摘した。

 両国の政府周辺からは「段階的合意」案に関する言及もあったもようだ。人道的支援など合意可能な部分のみを年内に発表する案だ。双方は今年6月、慰安婦問題の解決策で合意直前まで至った。朴槿恵大統領が米ワシントン・ポストのインタビューで、「慰安婦問題でかなりの進展があり、現在交渉の最終段階だ」と発言したのもそのころだ。しかし、韓日間ではその後、再び対立が生じ、慰安婦問題をめぐる協議も原点に戻った。外交筋は「日本は最近まで慰安婦関連の協議を6月の水準まで戻すことをためらっていた」と話した。

 韓日関係の専門家は、慰安婦問題が年内に解決されなくても、来年1-2月より先送りされるべきではないと指摘する。その時期を逃せば、日本の島根県が制定した「竹島の日」(2月22日)、3・1節、4月の靖国神社例大祭などデリケートな日程が続くためだ。韓国総選挙(4月13日)と日本の参院選(7月)など大きな国内政治日程も重なり、双方とも慰安婦問題の交渉に集中しにくくなる。

 岸田外相の電撃訪問には期待感が大きい半面、韓国政府周辺では慎重論も漏れる。外交筋は「岸田外相が必ずしも韓国が望む妥協案を示すとは言えない。別の目的もあり得る」と述べた。国策シンクタンク関係者は「韓国は『こちらが誠意を見せたのだから、日本が応える順番だ』と考えているが、日本は『韓国にあれだけ関係改善の意思があれば、慰安婦問題でも柔軟な態度を見せるだろう』という期待を抱いている」と分析した。韓日は依然「同床異夢」の状態にあるとの指摘だ。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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