【ソウル聯合ニュース】今年は韓国第5位の財閥、ロッテグループが経営権をめぐる争いと、その余波で打撃を受けた。
韓国と日本のロッテの役職を解かれたグループ創業者の長男、辛東主(シン・ドンジュ、日本名:重光宏之)ロッテホールディングス(HD、本社・東京)前副会長の「クーデター」は失敗に終わったが、争いの場が法廷に移り、収束するかに見えた経営権争いの影響は約半年続いている。
経営権争いの中、韓国内でロッテ離れの気運が高まったことに加え、ホテルロッテはソウル・ワールドタワー免税店の事業権を失った。
一方で韓日ロッテの「ワントップ」の座についた創業者次男の辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)韓国ロッテグループ会長は企業文化の改革やM&A(合併・買収)だけでなく両国ロッテの相乗効果の向上など、局面打開を積極的に試みている。
◇兄弟、父子による泥沼の戦い
ロッテHDは昨年12月26日に緊急の臨時取締役会を開き東主氏のロッテ商事副会長兼社長など系列3社の役職を解いた。東主氏は今年1月8日にはロッテHDの役職を解かれ、日本ロッテの経営から完全に排除された。また、韓国ロッテの主要系列社の役職も解かれた。
これまでの「日本ロッテは長男、韓国ロッテは次男」という暗黙の了解が失われ、次男である東彬氏が両国ロッテの経営権をすべて手に入れたとの見方が広まった。
だが7月27日に東主氏が父で創業者の辛格浩(シン・ギョクホ、日本名:重光武雄)氏を伴って訪日。格浩氏はその日のうちにロッテHDのオフィスに現れ、7人いるロッテHDの取締役のうち自身を除く6人を「解任」した。
東彬氏らロッテHDの取締役6人は、格浩氏による27日の「解任」決定は取締役会に諮っていない違法な決定だと規定。理事会で格浩氏をロッテHDの代表取締役会長から解任した。
しかし東主氏は格浩氏を後ろ盾にし、メディア戦や訴訟戦を展開しており、ロッテグループは経営権争いから抜け出せずにいる。
東主氏と東彬氏の系列会社における持ち分が拮抗(きっこう)しているため、注目は創業者の格浩氏に集まっている。しかし、格浩氏が93歳の高齢で健康状態も良くないため、争いを解決する糸口を提供する可能性はあまりないとの見方が強い。
経営権争いのため、東彬氏は主要10企業グループの総帥として初めて9月の通常国会の国政監査に証人として出席し釈明する立場に立たされたものの、率直で堂々とグループ経営のビジョンを提示したとの評価を受けた。そのため国政監査への出席により、韓国世論が東彬氏側に傾いたとの見方が出ている。
◇免税店の再認可で失敗、打撃が現実に
東彬氏によるグループ正常化の努力にもかかわらず、経営権争いはロッテに傷を残した。
先月、結果が発表された市中免税店の事業権入札でロッテがワールドタワー店の事業権の更新に失敗した。ロッテ免税店は売上高が韓国内1位、世界3位で、ワールドタワー店の運営に特別な問題はなかったため、経営権争いが不許可につながったとの見方が出ている。経営権争いが表面化するまで、ロッテが免税店事業権の更新に失敗すると予想する人はいなかった。
免税店事業はホテルロッテの重要事業として相当な割合を占めているため、東彬氏がグループ改革のために推進しているホテルロッテの株式公開にも免税店事業権更新失敗の影響は避けられない見通しだ。
免税店事業では苦杯をなめたものの、東彬氏によるワントップのロッテグループは改革時代を迎えている。非上場系列会社の上場を積極的に推進して経営の透明性を高める一方、中小企業との共生や民主的な企業内文化の定着などを率先して行っている。
10月末にはサムスンの化学系列3社を買収すると発表するなど、グループの主力を流通と化学で再編成することにまい進している。
◇経営権争い、法廷での攻防長期化か
東主氏と東彬氏は7月以降、経営権を守るために奔走してきた。後継者としての正当性を主張する争いは互いのあら探しと訴訟に拡大した。
東主氏は先月、東京都内で記者会見を行い、東彬氏やロッテHDの佃孝之社長などを相手取り韓国と日本で訴訟を起したと発表した。訴訟合戦は今後も当分続くと見られ、東主氏は「ロッテグループ経営正常化のための立場」という広報サイトを開設し、長期戦に備えている。