【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は最高指導者に就任してからの4年間、韓国や国際社会との関係において不安定性と不確実性を高めたと指摘される。
2011年12月17日に金正日(キム・ジョンイル)総書記が急死した後、新たな指導者となった金第1書記の率いる北朝鮮が、対韓国、対外関係で目立った変化を見せるかどうかが注目されていたが、金第1書記は核開発と経済発展を並行して進めるという父・金総書記の「核・経済並進路線」を変えず、幹部を相次ぎ粛清するなどの恐怖政治を断行し、国際社会を失望させた。
金第1書記は体制維持と政権安定にきゅうきゅうとする余り「マイ・ウェイ」を貫き、対外的に孤立を深めた。
その一つが、金総書記の死亡直後の12年2月29日に米朝が同時に発表した合意の破棄だ。
北朝鮮がウラン濃縮活動やミサイル発射を停止する見返りに、米国が栄養補助食品を支援することなどを盛り込んだこの合意を受け、08年末以来中断している北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の再開に期待が高まったものの、北朝鮮は2カ月後の12年4月13日に人工衛星の打ち上げと称して事実上の長距離弾道ミサイルを発射し、合意を破棄した。
さらに、北朝鮮は12年、憲法に「核保有国」であることを明記し、翌13年には核と経済の並進路線を採択。これを前後して長距離弾道ミサイルの発射(12年12月)や3回目核実験(13年2月)に踏み切った。
今年は2回にわたり潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を行い、核能力の多種化を目論む。非核化対話には応じないと言明する一方、「核保有国」として核軍縮交渉に臨むことはできるとの姿勢をあからさまに示している。
韓国との関係においても、北朝鮮は予測不可能な行動で緊張を高めてきた。
13年4月には、開城工業団地に入る韓国企業の工場で働く北朝鮮労働者を一方的に撤収させ、操業中断を招いた。
今年8月には南北軍事境界線がある非武装地帯(DMZ)の韓国側で北朝鮮軍が埋めた地雷が爆発し、韓国兵2人が大けがを負う事件が起きたほか、北朝鮮が韓国に向け砲撃も行った。
韓国軍が拡声器による対北朝鮮宣伝放送で対抗し、これに反発した北朝鮮が前線地帯に「準戦時状態」を宣布するなど、朝鮮半島に一触即発の危機が訪れた。
中朝関係は、核問題でのあつれきに加え、中国とのパイプが太かった張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長の処刑(13年12月)も重なり、中国との高官級交流が事実上途絶えるなど最悪の状況に陥った。
北朝鮮核問題と並び国際社会が頭を抱えていたイランの核問題をめぐる交渉が妥結したこと、北朝鮮と友好関係にあるキューバと米国が約半世紀ぶりに国交を回復(今年7月)したことも、北朝鮮にとっては国際社会でのさらなる孤立を招く「一大事」だった。
北朝鮮の危機感は、最近になって対外関係の改善の動きとして表れている。
今年10月、朝鮮労働党創建70周年に合わせて中国共産党序列5位の劉雲山政治局常務委員が訪朝したことを機に、中国との関係改善に動き始めた。韓国とは8月下旬の合意に基づき、朝鮮戦争などで生き別れになった離散家族の再会行事を10月に実施した。
また、中国などの説得の末、北朝鮮は党創建70周年に合わせた実施が懸念されていた長距離弾道ミサイル発射や4回目核実験をひとまず自制した。
北朝鮮のこうした動きは、来年5月の党大会に向け経済面で成果を出し、国際的な孤立を脱するための戦術的な変化と受け止められる。ただ、核と経済の並進路線を変えない限り、北朝鮮の対外関係改善には根本的な限界があると指摘される。
ソウル大統一平和研究院の張容碩(チャン・ヨンソク)上級研究員は「北の孤立は非常に深まっている。党大会を控え、当面は対外関係の管理に力を入れるだろう」と話している。