猛烈なインフレで自国通貨が機能を失ったジンバブエは、来年から中国の人民元を法定通貨に含めることを決めた。
22日付英ガーディアンによると、ジンバブエのチナマサ財務相は、中国との交流拡大に向け、来年から人民元を法定通貨として公式に認めるとする声明を出した。今回の決定は、中国がジンバブエに対する債権4000万ドルを免除したことを受けたものだ。
ジンバブエではインフレ率が5000%に達し、自国通貨のジンバブエドルが紙切れ同然となり、2009年からは米ドル、南アフリカランドが流通している。今年6月にはジンバブエドルの使用が中止され、主に米ドルが使われている。
チナマサ財務相は「米ドルと共に人民元を法定通貨とすることで、中国人の観光客や投資家を誘致できると期待している」と述べた。ガーディアンは、30年を超える長期政権のムガベ大統領が人権弾圧問題で国際的に孤立し、アジアでパートナーを探そうとしていると分析した。
今回の動きはアフリカに対する中国の強大な影響力を象徴している。習近平国家主席は今月初め、南アフリカで開かれた「中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)総会」に出席し、アフリカの発展に600億ドルを支援することを確約した。また、ジンバブエを公式訪問し、12の経済協定を結び、インフラ投資を約束した。
ジンバブエのネハンダ・ラジオは、今回の決定について、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨に含まれた人民元の地位を反映していると指摘した。アフリカ各国の中国との昨年の貿易規模は2000億ドルに達し、中国は重要な貿易パートナーに浮上している。