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 日本で最大40店の閉鎖を検討する総合スーパー大手のイトーヨーカ堂が、中国内陸にある成都市で2016年以降、大型店を相次いでつくる。成都には、日本と中国にある約200店すべてのなかで売り上げトップの双楠店があり、知名度と好調な販売戦略を生かしたい考えだ。

 成都では現在6店を展開するが、16年に商業施設内に、17年には創業者の名前を冠した大型店「伊藤広場」を出す計画だ。中国総代表の三枝富博さん(66)は「四川省だけでも、人口は約8600万人。まずはひとつの地域の圧倒的なシェアを握る戦略を進めたい」と意気込む。グループのセブン―イレブンも進出しており、自社ブランド商品の展開などを強化する。

 イトーヨーカ堂は1996年に、中国の外資系小売りで初の全国展開の認可を受けた。首都・北京市では苦戦が続き、反日デモで店を壊されたこともある。だが、成都6店の今年の売上高は、前年より3%ほど伸びる見込み。有機農法の野菜や果物がよく売れるといい、肉の売れ筋も豚中心から牛も増えているという。

 成都市民の食の安心・安全への意識は高く、スマートフォンをかざすと農産物の生産地情報が表示されるしくみも入れた。三枝さんは「豊かになった消費者のニーズの変化に対応するのが小売りの使命」と話す。(西尾邦明)