記事詳細
日本、確実な裏付けでロシア・米国チームに勝利
一方、露ドブナ合同原子核研究所と米ローレンス・リバモア研究所の共同チームは20番のカルシウムを95番のアメリシウムに衝突させ、まず新元素の115番を合成。これが壊れて113番ができたと主張した。だが、崩壊過程で現れるのは性質不明の原子核ばかりで、確実な裏付けがない。
この弱点を克服しようと露米は別の組み合わせの衝突も試し、理研の計3個をはるかに上回る計数十個の113番を合成。「質より量」で対抗した。
どちらが早く合成したかも評価の対象になる。理研が平成16年7月だったのに対し、露米は11カ月早かったが、1年以内のためほぼ同時期とみなされた。
審査は国際純正・応用化学連合(IUPAC)などが推薦した米欧日など計5、6人の専門家が担当。当初は理研の信頼度も不十分で評価に優劣がつかず、議論は長期化した。
流れが変わったのは3年前。理研が3個目の合成に成功した際、既知の原子核への崩壊が6回連続する明確な証拠をとらえ、信頼性が飛躍的に向上。確実なデータを積み重ねることで、先行した露米を退けた。