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日本、確実な裏付けでロシア・米国チームに勝利
理化学研究所が25日、原子番号113番の新元素の発見競争でロシア・米国の共同チームに勝利する見通しとなったのは、実験データの確実さが決め手だった。発見時期や合成回数では露米が有利だったが、質の高さで理研が上回った。(伊藤壽一郎)
元素の種類は原子核を構成する陽子の数(原子番号)で決まる。理研は仁科加速器研究センター(埼玉県和光市)の加速器を使って、30番の亜鉛の原子核を83番のビスマスに衝突させ、核融合反応で合体させて113番を合成した。
陽子が多く重い原子核は、陽子同士の電気的な反発力のため不安定で、すぐに壊れてしまう。113番はアルファ線を出して壊れる「アルファ崩壊」という現象が、わずか数秒間で4回繰り返し起きる。
合成した原子核が新元素と認定されるためには、その崩壊過程で、既に性質が知られている原子核の崩壊を明確に確認することが重要な条件とされる。既知の現象を目印に追跡すれば、元の正体が分かるからだ。
理研が作った113番は崩壊過程で既知のボーリウムの原子核が現れる。その崩壊によって出るアルファ線を検出することで、上流にあったのは113番だったと確実に証明した。