【動画】台風で打ち上げられた貨物船の船首部分が記念碑になった=岩下毅撮影
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 2013年にフィリピン中部で7千人以上の死者・行方不明者を出した台風で、高潮によりレイテ島の住宅地に打ち上げられた貨物船が、記念碑に生まれ変わった。台風から2年となった先月に完成。犠牲者を追悼し、教訓を伝える。

 台風では高さ5メートルを超える津波のような高潮が発生。複数の貨物船が住宅を押し倒しながら、沿岸に乗り上げた。処分か保存かで議論が割れたが、地元タクロバン市は被災から2年に合わせ、1隻の船首部分だけを記念碑として残し、残りは解体処分にした。

 碑の前は観光客らが写真を撮るなどにぎわうが、周りにはまだがれきが残る。沿岸部は今後も危険なため、市はもとの居住者に高台の住居を提供する方針だが、事業は十分に進んでいない。貨物船に持ち家をつぶされた主婦カリナさん(47)もまだ借家暮らし。「船は恐怖を呼び起こす。それより早く移転先の提供を」と話した。(タクロバン=佐々木学)

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