文部科学省は25日、法科大学院43校に対し2016年度に配分する補助金の増減比率を公表した。各校が提案した教育プログラムの内容を評価した結果、10校が増額、33校が減額され、4校は初めて補助金がゼロとなった。同省は大学経営に直結する補助金の配分にメリハリをつけることで司法試験の合格率や教育内容の改善を求め、一段の統廃合を促している。
法科大学院への補助金額は14年度まで規模に応じて機械的に決まっていたが、一部で司法試験合格率の低迷が続くことを受け15年度から実績に基づく傾斜配分を始めた。
評価は2回に分けて行われ、まず今年9月、司法試験合格率や定員充足率などを点数化し、法科大学院ごとに補助金の基礎額を5段階(90~0%)で設定した。最高評価なら、15年度に教員数に応じて配られた補助金の90%を受けとれる。
その上で各校が申請した独自の教育プログラムの評価に応じて一定額を加算し、最終的な配分比率を決めた。1校複数の応募を含む計189件が申請され、北海道大や東京大、同志社大など7校の各1件が最高評価の「卓越した優れた取り組み」に選ばれた。公立の首都大学東京と大阪市立大、来年度の募集をしない法科大学院は対象外。
配分率が最も高かったのは早稲田大の145%。基礎額は90%で、海外大教授を招いた英語による講義や交換留学制度などの「国際化対応プログラム」が高く評価され、55%加算された。
修了者を海外の法律事務所に派遣する東京大(基礎額90%)が45%加算の135%、法学未履修者に独自の進級試験を課して復習の機会を確保するなどの取り組みが評価された一橋大(同90%)は40%加算の130%だった。
合格率の低迷や定員割れで基礎額がゼロとなった北海学園大、駒沢大、近畿大、西南学院大の4校を含む11校は加算率が0%。明治大(同60%)は15年度に5%が加算されていたが、元教授による司法試験問題の漏洩事件を受け、16年度の教育プログラムの申請を取り下げていた。
文科省は17年度の評価から新たに大学院入試の競争倍率を指標に加え、さらに統廃合を加速させる方針だ。
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