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自転車ヘルメット着用率、愛媛68% 県立高生義務化、「おしゃれ」と好評
国際サイクリング大会の開催地、瀬戸内しまなみ海道(西瀬戸自動車道)がある愛媛県で、自転車用ヘルメットが普及している。乗車マナーの先進地を目指す条例はあったが、県職員が率先して着用、県立高校生にも義務化されると、着用率は6倍に。おしゃれな商品も登場し、拒んでいた利用者から「これならかぶりたい」との声が上がっている。
12月中旬、平日の午前8時。松山市中心部の交差点では、流線形のスポーツタイプなどさまざまなヘルメットを着け、自転車で職場や学校へ急ぐ人の姿が多く見られた。
しまなみ海道は「サイクリストの聖地」と呼ばれ、県は自転車による地域振興を進めている。平成25年7月に安全対策を促す条例を施行し、ヘルメットを着用する努力義務も盛り込まれた。だが今年2月の県警調査では、子どもから高齢者までの着用率は約11%。県の「着用宣言」に加えて7月から県立高でも義務付けられ、通勤通学風景は一変した。12月の調査では約68%に上る。
高校生からは当初、髪形が乱れるなどと否定的な意見が多かったが、流線形のスポーツタイプが採用され「思っていたよりもかっこいいし軽い」「通気性が良く、髪が蒸れない」と高評価に。
松山市内のホームセンターは多様なデザインの30種余りを販売する。小さなつばが付いた帽子の形をしたヘルメットを購入した赤松邦恵さん(64)は「流線形のものを着けてママチャリに乗るのは恥ずかしい。これならかぶってみたい」とうれしそうに語った。
ヘルメットの着用で一命を取り留めたケースもあり、県警交通企画課の沖野博章次長(59)は「自転車事故で死因の6割以上が頭部の損傷。ヘルメットで命が救われたケースも増えてきた。着用率100%まで目指したい」と話している。