佐伯市は市制10周年を記念して作った冊子に「大安」や「仏滅」などの「六曜」を掲載していたとして、25日に予定していた市内全世帯への配布を見送った。科学的に証明されない迷信を信じることが差別的行為を助長することにつながるとの指摘があるため。約2500万円かけて作製したが、配布中止などを含め今後の方針を検討している。 市が作った冊子は「10年ダイヤリー」(A5判・400ページ)。2016年から25年までの日記を書くスペースや市内の懐かしい風景の写真、市の10年間の歩み、方言、文化財、防災情報なども掲載している。市民の便宜を図る目的で六曜も入れたという。5万冊作製。 市内全世帯(約3万3600世帯)に配り、残りはふるさと納税の謝礼品、関係者への記念品などに使う予定だった。21日に外部の人から六曜の問題を指摘されて配布を差し止めた。 六曜とは、一般のカレンダーなどに記載されている暦注の一つ。先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6種あり、結婚式や葬式などに結び付けて使うことが多い。 しかし、人権問題を担当する市社会福祉課は「科学的に証明されない迷信を信じることは、自分の考えに従わずに周りの人の意見に流される」と問題視。「市民に啓発する立場として、市の発行物への記載はよくない」としている。 六曜をめぐっては、2005年、大津市の職員互助会が発行した職員手帳に記載。人権団体からの指摘を受け、発行済みの約3800冊を回収した例があるなど、公的機関の発行物に記載しないことが多いという。 県人権・同和対策課は「六曜に従って行動することは科学的な根拠に基づかない迷信・因習の一つとして考えている」と説明。県が毎年発行している県民手帳は1995年から六曜を記載していない。 西嶋泰義市長は「配布を見合わせることになり、市民の皆さんに大変迷惑を掛けることとなり申し訳ない」と話している。