昔あるところに嘉六という若者がおりました。
嘉六はたいそう働き者でした。
ある日嘉六が山に薪を拾いに行った帰りのことです。
クーックーッ。
(嘉六)ん?あの鳴き声は何だ?そこには罠にかかった1羽の大きな鶴がいました。
さぁこれで大丈夫だ。
もう二度とつかまるんじゃないぞ。
その夜。
(戸を叩く音)ん?こんな吹雪の晩にいったい誰だ?あっ。
夜分遅くに申し訳ありません。
実はこの雪で道に迷ってしまいこちらで明かりが見えたものですから。
どうか今晩だけでも置いていただけないでしょうか?ああいやそれはかまわぬがなにぶんこんな汚い小屋。
あんたのような人を泊めるなんて。
どうかお願いします。
そうかこの雪ではしかたなかろう。
さぁ中に入りなされ。
ご親切にありがとうございます。
それであなた様のお名前は?俺か?俺は嘉六というんじゃ。
嘉六さん。
であんたの名は?はいつうと申します。
おつうさんか。
嘉六さん頼みがございます。
ん何だ?実は私には身寄りがなくどこにも行く当てがないのです。
しばらくこちらに置いていただくわけにはいきませんか?ゴホッえっ?こんな汚い男所帯に?いいえ一生懸命働きます。
どうかこちらに置いてください。
嘉六はしばらく娘を置くことにしました。
つうが来てからはますます仕事に精を出しました。
お米がない…。
気をつけていってらっしゃい。
嘉六さんあの奥の部屋に機織りが置いてありますね。
あああれか。
はいあの機織りを今晩使わせてくれませんか?ああかまわんがお前機が織れるのか?それに今夜はもう遅い。
はいでも今まで置いていただいたお礼に今すぐにでも織ってさしあげたいのです。
嘉六さんそこで1つお願いがございます。
何だ?はい…。
私があの部屋で機を織っている間決して中を覗かないでほしいのです。
なんだそんなことか。
わかった決して覗いたりはせん。
嘉六は言われたとおりその晩は決して中を覗きませんでした。
つう大丈夫か?はい嘉六さんゆうべはゆっくり眠れましたか?おぉこれは美しい!どうかこれを庄屋様のところで売ってきてくれませんか?これならきっと高く買ってくれるに違いない。
そのカネでお前にもたんと飯を食わせてやれる。
俺の女房になるんだからな。
女房?嘉六さんの?嬉しい。
じゃあいってくるよ。
いってらっしゃい。
あ〜これはなんと美しい。
これまで見たことのない立派な反物じゃ!100両でも200両でも買うてやるがもう一反できんかのう?あっはい。
実はこの反物は私の女房が織っておりますので聞いてみないと。
聞かなくてもお前が承知するならよいだろう。
今カネを出してやるアハハハ。
嘉六はそのカネを持って急いで帰りました。
おつう今帰ったぞ。
お前の織った反物を庄屋様がたいそう気に入ってくだすってなほれ。
まぁこんなにたくさん。
ところで庄屋様がなあれと同じ反物をもう一反お望みじゃ。
また織ってはくれまいか?わかりました。
もう一反織りましょう。
今度はしばらくかかります。
どうかまたその間決して中を覗かないと約束してください。
そう言うとつうは早速奥の部屋に消えていきました。
もう今日で7日経つおつうの様子が心配じゃ。
そうじゃ透き間から様子を見るくらいならかまわんだろ。
あっ。
するとそこには1羽の大きな鶴が自分の細い羽を抜いて反物を織っていました。
あ…。
反物が織りあがりました。
でもあなたは私との約束を守ってくださらなかった。
私はひと月ほど前あなたに罠から救っていただいた鶴です。
あのときのご恩をどうしてもお返ししたくて娘の姿になりやってまいりました。
あっ。
こんな姿を見られてしまってはもうここには。
おつう俺が中を覗かなければ。
お前の様子が心配で心配でいてもたってもいられなかった。
許してくれうぅ…。
嘉六はつうのやせ細った姿を哀れに思いました。
おつうは元の鶴の姿へ戻っていきました。
おつう!さようなら。
鶴の姿は白い雪と混ざり合って次第に見えなくなってしまいました。
それからというもの嘉六は鶴を見るたびおつうのことを思い出したということです。
昔お金持ちの庄屋の家に1人の娘がおりました。
お嬢様たいへんお似合いですよ。
あ〜あお腹が減ったわ。
はいただ今。
ようかんが食べたいわ。
はいただいま。
何から何まですべて使用人がやってくれたので自分ではまったく何もしないものぐさな娘になってしまいました。
やがて縁あって武士の家に嫁ぐことになりました。
あなたお気をつけて。
嫁ぎ先の両親もとても優しく妻として幸せに暮らしておりましたが主人は戦で留守にすることが多かったのです。
ハァ。
畳むのあとにしましょう。
この家には使用人が1人もなく嫁はすべて自分でやらなくてはなりませんでした。
ハァ。
ご主人様もお出かけだし急ぐ必要はないわ。
(2人)ハァ…。
主人が家にいるときはなんとか取り繕っておりましたが留守になるととたんにものぐさになるのでした。
うちの嫁はものぐさだこと。
ほんにそれでもよくぞ来てくれたかわいい嫁さんじゃ。
そうですねそのうちしっかりやってくれるでしょう。
両親は嫁いできた嫁がかわいくてなりません。
慣れてくればちゃんとやるようになるだろうと特にうるさいことは言いませんでした。
ある夜のことでした。
「ちんちん小袴ちんちん小袴」「ちんちん小袴ちんちん小袴」何!?えっ!?え〜!ひと晩中寝れずに震えておりましたが日が昇るにつれてその声は静まりました。
またその夜です。
「ちんちん小袴夜も更けそうろう」「ちんちん小袴夜も更けそうろう」「静まれ姫君やぁとんとん」わぁ〜!毎夜小さな者たちがやってくるので嫁はすっかり具合が悪くなり寝込んでしまいました。
ただいま帰りました。
おうよくぞ戻った。
無事で何よりです。
はいご両親様も何事もなく…。
ん?妻はどうしました?それが…。
あっおかえりなさいませ。
お迎えもせず申し訳ございません。
よいよい気にするな。
顔色もよくない。
はていったいどうしたというのだ?それが…。
私はお前のことが心配なのだ。
何かあるなら話してくれないか。
あなた実は…。
妻は毎夜小さな者たちがやってくることを話しました。
ふむそれはいつ頃現れるのだ?丑の刻でございます。
よし今夜は私がそばで見張ることにしよう。
安心いたせ。
その夜主人は隣の部屋で様子をうかがうことにしました。
「ちんちん小袴夜も更けそうろう」「ちんちん小袴夜も更けそうろう」「静まれ姫君やぁとんとん」「やぁとんとん」「ちんちん小袴夜も更けそうろう」「ちんちん小袴夜も更けそうろう」「静まれ姫君やぁとんとん」ひぃ〜!ご主人様!むっ…や〜っ!ん?ん?これは…。
ものぐさな妻は主人のいない日寝床で好物のようかんを食べていました。
そして使った爪楊枝を畳の透き間に刺してそのまま寝てしまったのです。
これに怒った爪楊枝が妖怪の姿になって嫁をこらしめていたのです。
申し訳ありません!これからはしっかりと片づけるように。
はい。
それ以来妻はしっかりと家事をするようになりものぐさではなくなったということです。
うぉ〜!おっかあ…。
心配ねえっておっかさんがついとる。
なんとかなるさ。
うぉ〜うぉ〜。
ガハハハハうぉ〜!昔ある山に化けものと山んばの夫婦がすんでいました。
あんた今帰ったよ。
おぉ待っておったぞ。
ほれどうじゃ。
あっウヒャヒャヒャヒャ。
大食らいの化けもののために山んばは山の動物を捕まえては化けものに食べさせていました。
いないなどこにもいないな。
うぅ〜腹が減ったなぁ。
あんたのせいで山の獣もずいぶんと少なくなってしまったわい。
肉が食いてえ。
しようがねえ里にでも行って人間を探してくるか。
里だと!?里には恐ろしい火があるぞ。
わしは嫌じゃ!火があったって腹減らしているよりかはマシじゃろう。
さてと…。
山んばは里で目立たないように人間の娘に化けました。
この顔のどこがええんじゃ。
ほんに人間の好みというのはわからんのう。
そうか道に迷ったのか。
じゃあ中で休んでくれ。
オラちょっと汚れを落としてくるから。
あの…。
え?お背中を流しましょうか?いや。
今からきれいに体を洗うとはよい心がけじゃ。
うわ〜!あんた今日はごちそうだよ。
あぁ〜!たた助けてくれ〜。
あぁ〜うわ〜。
助かった。
うぅ…。
いいかい化けものたちはきっとお前を取り返しにやってくる。
すぐに薪を集めるだけ集めて囲炉裏に火をくべるんじゃ。
そんなに燃やしてどうするんじゃ。
山んばと化けものは火が大嫌いだということを母親は知っていました。
あんたごちそうだよ。
おうどれどれ?ん?おい何もないぞ。
えっ!?おかしいのう。
あいつ山のどこかに落としたのかな?どんなやつじゃった?うまそうなやつじゃった。
ムフフフフ。
よ〜し今度はわしがそいつをとっ捕まえてやる。
どれあいつの家はここだな。
うわ〜火じゃ!火がボウボウと燃えておる!ハァハァハァ…まずいぞまずい。
そうじゃ!う〜ん。
化けものは毒グモに化けて家に忍び込み若者に食らいつくつもりです。
本当にこれで大丈夫じゃろうか。
ありゃ何じゃ?おぉそこじゃ!あぁ〜うわ〜!
(2人)あぁ〜。
ん?かかあわしじゃ。
こりゃどうしたことじゃ。
化けものは力尽き元には戻れませんでした。
あんた…。
あんた〜!その後この村で山んばと化けものの姿を見た者はいなかったということです。
2015/12/20(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字]
「鶴の恩返し」
「ちんちん小袴」
「化けものと山んば」
の3本です。みんな見てね!!
詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
柄本明
松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
歌:中川翔子
コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】鈴木卓夫
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ
http://ani.tv/mukashibanashi
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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