(正吉)うちの事よろしく頼みまっせ。
かつて大阪に加野屋ありといわれた時代を支えてきた正吉がこの世を去りました
(天神屋)これでいよいよ加野屋はんもまずい事なりまっせ。
(神田屋)若いのとあのやんちゃな奥さんだけですさかいなぁ。
そしてあさに思いも寄らない話が舞い込んできました
(友厚)私はあささんを東京にお連れしたいんです。
(新次郎)東京に?
(あさ)へ?うちが東京に?・「朝の空を見上げて」・「今日という一日が」・「笑顔でいられるように」・「そっとお願いした」・「時には雨も降って」・「涙も溢れるけど」・「思い通りにならない日は」・「明日頑張ろう」・「ずっと見てる夢は」・「私がもう一人いて」・「やりたいこと好きなように」・「自由にできる夢」・「人生は紙飛行機」・「願い乗せて飛んで行くよ」・「風の中を力の限り」・「さあ心のままに」・「365日」・「飛んで行け!」・「飛んでみよう!」・「飛んで行け!」・「飛んでみよう!」東京て…。
やぁ。
あさ。
九州からお戻りでしたか。
いつからいてましたんや?ん?こっち来なはれ。
どうぞこちらへ。
は?ああ…。
あの…何でうちを東京に?東京は今大きく変わろうとしています。
日本で一番シビライゼーションの花が開こうとしてる場所です。
ん?しびれげいしゃの花ってどないな花だすか?アホ。
どないな耳で聞いたらしびれる芸者の話になりますねん。
せぶらいぜーしょんや。
ベリーグッド!なかなかええ発音ですなぁ。
へぇ。
シビライゼーションとはつまり福沢諭吉さんのおっしゃるところの文明です。
文明。
文明の花が!?政府が推し進めようとしている文明開化のためには産業を発展させ貿易を更に盛んにする事が急務です。
しかし日本には商工業者を代表して発言する者がいてへんため諸外国は話を聞こうともしなかった。
そこで!間もなく東京に我が国初の商工業者の集う所東京商法会議所が出来ます。
東京商法会議ひょ?アハハ!会議ひょて。
そう。
私は早速東京に行きその出来たばかりの東京商法会議所を視察してくるつもりです。
そこで是非あささんにもご同行願いたい。
わぁびっくりぽんや。
うちがその…東こう商法会議ひょにて…。
(笑い声)今は東京も言えてまへんだしたで。
東こうて。
言わんといとくなはれ!分かってます。
アハハ!そやけどあんたこない真剣な顔して…ハハハハ!もう笑わんといとくなはれ。
早口言葉みたいで難しいんだす!
(三坂)何で五代さんがこんなアホ夫婦と話せなあかんねん。
(せきばらい)失礼致しました。
うちにはちょっと言葉が難しございましたけど2つだけよう分かる事がありました。
そうですか。
分かりましたか。
へぇ。
まずは福沢諭吉さんいうお名前だす。
ほらうちあの方のご本を読んでますやろ?ああそうだした。
気に入ってはりましたなぁ。
へぇ。
福沢先生の書きはる事は新しいて前から思てました。
せやさかいその文明いうのもきっと大事な事なんだす。
うん。
福沢先生の名前は誰だって知ってます。
大丈夫なんですか?こないな女を…!お前ほんまに人見る目ないなぁ。
は…はい?それからもう一つ分かったのは…その商法会議所いうものを一刻も早大阪にも作らなあかんいう事だす。
うん。
ん?その何とかいう会議所をか?へぇ。
東京だけに作らしといたらこの先いよいよ政治も経済も東京ばっかりに集まってしまいますやろ?九州の炭坑買うてるのかて近頃は東京の商売人ばっかりだす。
日本が力をつけるためには東京だけやのうていろんな町が大きゅう育っていく事が肝心なはずだす。
ん〜そないなもんやろかなぁ?へぇ。
そやさかいその東京商…商法会議所を一刻も早大阪に作って文明の花咲かして大阪の商いをもっともっと盛り上げなあきまへん!イグザクトリー!ご明察や!さすがあささん!おっおお!あっわての奥さんに何してますのや!失敬失敬。
イッツコールドシェークハンド。
友情の証しです。
どうかお許しを。
あささんのおっしゃるとおり一刻も早それを大阪に作らなあきません。
そのための東京視察です。
いずれは加野屋さんや大阪中の商人さん方のお力をお借りしたい。
なるほど。
そのためにまずうちのあさに勉強さしてくれはるいう事だすか?はい。
おっしゃるとおりです。
そうだすか。
その時あさの脳裏に真っ先に浮かんでいたのはまだ幼い千代の事でした
ありがたいお話だすけどうちは行かれしまへん。
(友厚)ええ?もちろんその会議所を作るお手伝いはさして頂きます。
そやけど東京行きは身に過ぎた話だす。
まだ炭坑の立て直しで手いっぱいだすし…。
(ため息)東京は北九州よりは近いんですよ。
東京に行ったらあささんが九州で得たものとおんなじぐらい…いやそれ以上に大きな何かを得られるかも分かりません。
五代様もムチャ言わはります。
九州から帰ってきたばっかりやいうのに東京て。
東京に見物やなんて行ってる暇あらしまへん。
それに九州にかてまた近いうちにもういっぺん行って話まとめなあかんのだす。
それに東京まで行かんかて大阪にかて新しいもんも見るもんもようけあります。
大阪ステンショやら川口居留地やらせや。
造幣局の桜も…。
あさ!あさがお家のために行きたい言うのやったらわて今は行くな言うつもりだす。
千代の事もあるさかいな。
そやけどあさが自分のために行きたい言うのやったら…わて止めしまへん。
お母ちゃんも榮三郎もわてが説得してみますよって。
何でだす?うち行きたいやなんて…。
もともと勉強好きのあさが今の都でお商売学べるんだっせ?うれしない訳あらしまへんがな。
しかも一緒に行くのはあの鉱山王の五代様だす。
そら本読むばっかりでは分かれへんもんも見えてくるに違いあれへんてな。
旦那様…。
(うめ)何でだすか?何で行ってもええなんかて言わはったんだすか?ほんまやなぁ。
せやけど分かってしまいましたんや。
あら行きたいのや。
千代や家の事があるから迷てるけどほんまは行きとうて行きとうてたまらへんて顔やった。
(亀助)若奥さんは新しがり屋さんだすさかいなぁ。
いやそやけど九州は仕事やからしょうないにしてもおなごが東京に物見遊山て…。
いやわてのお母ちゃんも若い頃京都や有馬によう物見遊山に行ったはりましたで。
それとこれとは別だす。
そうだす。
しかも一緒に行くのが腹の出た中年男やったらまだしもあれだけの男盛りだすさかいなぁ。
ちょっと…番頭さん!え?イテッ。
なんて事を…。
しもた!ほんまの事言うてしもた…。
(榮三郎)せやけど五代様もわて誘ってくれはったらよろしいのになぁ。
加野屋の八代目はわてだすのに。
あのなぁあさはな自分で足運んで苦労もしてわてらが思てるよりもず〜っとお商売の事ようけ分かってます。
五代様の目ぇはごまかされへん。
はぁそないだすか?それにしてもさっきのあさかっこよかったなぁ。
「大阪の商いをもっともっと盛り上げなあきまへん!」てな。
へぇ確かにお仕事してはる時の若奥さんは時々えらい男前に見えますわなぁ。
せやろ!たまに縫い物とか料理とかしてる時はこな〜いして口とんがらかして不細工だすのになぁ。
してはりますしてはります!こ…こ〜んな。
こんなんなって…。
不細工てもう!堪忍。
(うめ)やめなはれ。
なるほどな。
そないだすか…。
もう一緒になってせえへんでも…。
そやけど新次郎様がお許しになっても奥様が知ったらええ顔しはらへんの違いますやろか?確かにな…。
(よの)誰がええ顔せえへんて?何の話だす?新選組副長土方歳三じゃ!エイッエイッ!あ…千代。
こないな人形好きやあれへんのやろか?うち小さい頃大好きやったんやけどなぁ。
(かの)お千代様は近頃は奥様の作った猫ちゃんがお気に入りでございますなぁ。
あ!あ〜こらよろしなぁ。
千代はうちと違て女の子らしいなぁ。
(ふゆ)そちらはおあさ様がお作りになりはったんだすか?へぇ。
炭坑に行ってる時山に落ちてるもんで作ったんだすけど長旅でボロボロになってしもて…こらもう捨てといてくれるか?そらもったいない事だすなぁ。
そういえばこの間お千代様が「ババババ〜」言わはって奥様が「千代がわての事呼んだ」言うて大喜びで言うて回ってはりましたわ。
そうだすか。
う〜ん。
ちょっと目ぇ離してる間にもどんどん大きなりますのやなぁ。
あ!ん〜?ババババ〜。
おあさ様。
奥様がお呼びだす。
東京行きの件で。
え?はぁ〜分からしまへんなぁ。
なんぼお偉いお方でも夫も子もいてる嫁さんを旅に誘いはるやなんて。
そやからただの旅や物見遊山やのうてやなぁ…。
失礼致します。
あああささん聞きましたで。
あんた無理難題言われてますのやてなぁ。
東京やなんて…。
へぇ。
いいや。
お母様。
うちは東京行きたいて思てます!へ!おあさ様!言い訳は何も致しまへん。
ただただ行きたいんだす。
うちは文明が花開いて世界に通用する町になろうとしてる東京をこの目で見てみたいんだす。
まああきれた。
そやけど千代とも離れたのうて…もうちょっと大きなるまででええさかいもっともっとそばにいててお母ちゃんしてたいいう気持ちもあるんだす。
もっとええお母ちゃんになりたいて…。
そやさかいうち…。
なぁあささん。
はい。
あんたになこの際一つだけきちんと言うとかなあかん事があります。
おなごの先輩としてな。
ええか?あんたは欲張りや!へ?生字幕放送でお伝えします2015/12/21(月) 08:00〜08:15
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 あさが来た(73)「東京物語」[解][字][デ]
あさ(波瑠)は、五代(ディーン・フジオカ)に文明開化が進む東京への視察を誘われる。行くかどうか悩むあさに、新次郎(玉木宏)とよの(風吹ジュン)は…。
詳細情報
番組内容
あさ(波瑠)は、五代(ディーン・フジオカ)に近代化していく東京を視察することをすすめられる。東京は、文明開化がすすみ産業や商業が発展し、東京商法会議所が間もなくつくられる予定であった。大阪の発展のためにも見てみたいと思うあさ。しかし、娘の千代がまだ幼く、九州の炭坑の問題も解決していない中、東京に行けないと話すあさに、新次郎(玉木宏)は…。そして、よの(風吹ジュン)は、あさに対して…。
出演者
【出演】波瑠,玉木宏,ディーン・フジオカ,三宅弘城,友近,桐山照史,清原果耶,楠見薫,風吹ジュン,【語り】杉浦圭子
原作・脚本
【作】大森美香
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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