NEXTスペシャル 密着シリア難民 4000キロの逃避行 2015.12.21


です。
年末を迎えて人気が高まっています。
その訳は。
一緒に写真が撮れるサービスです。
年賀状用に撮影する人が増えているということです。
夜の地中海。
シリアから逃れてきた難民が助けを求めていた。
命懸けで海を渡り目指しているのはシリアから4,000キロ離れたドイツ。
海を渡ったあともその道のりは長く険しい。
度重なる野宿。
昼夜を問わない移動。
体力は奪われていく。
今年だけで100万人を超える難民や移民がドイツにたどりついた。
内戦が続くシリア。
過激派組織ISが台頭。
戦闘は泥沼化している。
この5年で430万人以上が祖国を追われた。
先月起きたパリの同時テロ。
ドイツではシリア難民への嫌悪感が急速に高まっている。
ドイツに渡る事もふるさとに戻る事もできない行き場を失った難民たち。
安住の地はどこにあるのか。
シリア難民4,000キロの逃避行に密着した。
地中海を望むトルコの港町イズミール。
この夏町の様子が一変した。
シリア難民が殺到していた。
きっかけはEUヨーロッパ連合がシリア難民の受け入れを表明した事だった。
難民たちはここから海を渡り受け入れに積極的なドイツを目指していた。
町のあちこちで難民相手の商売が目についた。
店先に並んでいたのは救命胴衣。
シリア難民が次々と買っていた。
彼らがまず目指すのは20キロほど先にあるギリシャの島々だ。
そこから更にドイツを目指す。
移動手段は簡素なゴムボート。
そして誰もがスマートフォンを持っていた。
命を守るためには欠かせないという。
難民は海が穏やかな時を狙って昼夜を問わず密航を試みる。
それはまさに死の航海。
地中海での犠牲者は今年だけで3,500人を超えた。
9月2人のシリア人に出会った。
ロクマン・アフマドさんとイブラヒム・ハリルさん。
政府軍の爆撃やISの脅威に身の危険を感じ首都ダマスカスから逃げてきたという。
イズミールに来る前2人はシリア国境付近の難民キャンプにいた。
EUが難民を積極的に受け入れると聞き密航を決意した。
イブラヒムさんは13歳の息子と12歳の娘を連れて逃げてきた。
妻は1歳の息子が長旅に耐えられないと考えシリアにとどまっている。
イブラヒムさんは家族全員が一緒に暮らすためにも一日も早くドイツに渡りたいと考えている。
ロクマンさんには妻と6人の子どもがいる。
シリアではカメラマンとして働いていたがアサド政権に加担しているとして反政府勢力から命を狙われた。
家財を売り払って作った蓄えは底をつきかけているという。
この日向かったのは支援団体の事務所。
ここでは洋服や日用品をタダでもらう事ができる。
トルコでは難民が働くのは違法だ。
ロクマンさんは一度はカメラマンの仕事を見つけたのだが弱みにつけ込まれた。
安い労働力としてヤミで重宝されているのが難民の子どもたちだ。
13歳の次男アラスくんは小物入れを作る仕事を深夜まで続けている。
18歳の長男アンマールさんはパン屋で働いている。
一日20時間以上働く事もある。
休みはほとんどない。
夜11時半次男のアラスくんが仕事から帰ってきた。
仕事が見つからないロクマンさんは息子たちの稼ぎに頼らざるをえない。
1週間の給料はおよそ5,000円。
4〜5日分の生活費で無くなってしまう。
長男が仕事場からもらってくるパンがなければ暮らしていけない。
私たちが再びイズミールを訪ねた時イブラヒムさんの姿はなかった。
イブラヒムさんから届いたメッセージをロクマンさんに見せてもらった。
イズミールに取り残されたロクマンさん。
この日ある人物と連絡を取っていた。
向かったのは海岸沿いの駐車場だった。
車で待っていたのはハムドと名乗る密航を仲介する業者だった。
ロクマンさんが値段の交渉を持ち掛けた。
これまで複数の密航業者と交渉を続けてきたがいつも値段で折り合いがつかない。
シリア難民が目指すドイツ。
スマートフォンを使い海を渡る難民を助けている人がいると聞いて訪ねてみた。
今年5月シリア中部の町から逃れてきたラファ・アッバーラさんだ。
フェイスブックに海難救助グループというページを開設している。
毎日海の上から難民が救助を要請してくるという。
午前3時。
救助の要請を受けて遭難したボートと連絡を取った。
この映像はそのボートの様子。
女性や子どもを含む50人以上がひしめいていた。
ラファさんのもとにGPSの位置情報が届いた。
ボートは目的地の島とは逆の方向に流されていた。
すぐさま潮の流れと波の高さを調べる。
ラファさんがこの活動を始めたのは自分も遭難した事がきっかけだった。
これはラファさんが撮影した漂流する船内の映像。
漁船の燃料が底をつき海の上を5日間さまよった。
午前9時半遭難したボートからメッセージが届いた。
ラファさんがこれまでに救ったボートは400以上に上る。
ラファさんが誘導したボートが陸地に着いた直後の様子を撮影する事ができた。
島の南側でそのボートは乗り捨てられていた。
ボートから50メートル離れた崖の向こう側に難民たちはいた。
ギリシャではパスポートやビザなしでの入国が人道上黙認されている。
まだ恐怖に震えている女性がいた。
ラティーファさんは内戦の激戦地アレッポで暮らしていた。
政府軍に車や金を没収され今年7月3人の子どもと逃げてきた。
夫のサルベストさんは先にドイツに渡っていた。
難民として正式に認められれば家族を安全に呼び寄せる事ができるからだ。
しかしラティーファさんは夫に無断で死の航海を決意した。
ラティーファさんがシリアを離れて2週間後。
政府軍の空爆によって自宅が破壊された。
もう帰る場所はない。
私たちはドイツへ向かうラティーファさんに同行する事にした。
これからは陸路で移動を続ける事になる。
次に目指すのはマケドニア。
200キロ離れた国境へ行くにはこのバスしかない。
死の航海から3日後。
マケドニアとセルビアの国境地帯でラティーファさんは足止めされていた。
セルビア国内を通過するのに必要な許可証を手に入れるため5,000人が列を作っていた。
小さな子どもも大人と一緒に並ばされている。
ラティーファさんは前の日の晩野宿を余儀なくされていた。
10度を下回る夜の冷え込みで子どもたちは体調を崩し熱を出していた。
毛布も薬もなくラティーファさんは子どもを見守る事しかできなかった。
国境の検問所で2日目の夜を迎えた。
難民が急増した事でヨーロッパは混乱に陥っていた。
9月ハンガリーはセルビアとの国境沿いにおよそ180キロにわたるフェンスを設置。
国境を封鎖した。
午前3時半クロアチアハンガリー国境。
難民たちはハンガリーに入国するためクロアチアに迂回していた。
死の航海から5日。
1キロに及ぶ行列の中にラティーファさんの姿があった。
国境を越えると軍や警察が監視する中列車に乗るよう促された。
難民たちを国内にとどめたくないハンガリー政府。
300キロ離れたオーストリアとの国境まで連れていかれる。
2日後。
ドイツとの国境に近いオーストリア・ザルツブルク郊外。
ラティーファさんは先にドイツに渡った夫と待ち合わせをしていた。
長旅を共にした親戚も再会を待ちわびている。
夫のサルベストさんの姿が見えた。
難民たちが命懸けで地中海を渡る出発地トルコ・イズミール。
10月下旬密航業者と交渉を続けていたロクマン・アフマドさんから連絡があった。
親戚から金を借りてボートでギリシャを目指したという。
密航業者の車に乗せられた時の事を話し始めた。
イズミールを出発して2時間。
ロクマンさんが連れていかれたのは北に100キロ離れた海岸だった。
この場所で段ボール箱に入っていたゴムボートを密航業者と一緒に組み立てた。
余分な服や荷物は捨てていくように言われた。
海に出て1時間後。
ギリシャの領海に入りボートの中は歓喜に沸いた。
しかし…。
その後ロクマンさんはトルコの沿岸警備隊によってイズミールに連れ戻された。
11月地中海はしけの日が続いていた。
ロクマンさんの近くに知人が引っ越してきた。
1か月前家族や親戚26人で海を渡ろうとしたがボートが転覆したという。
妻や子どもたち家族13人が亡くなった。

(泣き声)家族を危険にさらさなければこの厳しい生活から抜け出す事はできない。
ロクマンさんは昔を思い出していた。
家族の笑顔が絶えなかったシリアでの日々。
(笑い声)思い出の詰まったダマスカスの家は今どうなっているのか。
知るすべはない。
(鐘の音)夫と再会したラティーファさん。
あれから1か月ドイツ東部の町で暮らしていた。
ハロー。
難民専用の共同住宅に住み月7万円の支援金を受けている。
ラティーファさんは週5日ドイツ語を学び社会に溶け込もうとしていた。
ところが…。
先月フランスのパリで起きた同時テロ。
実行犯の少なくとも一人はシリア難民に紛れ込みフランスに入国していた。
事件を受けドイツでは一部の住民が難民の受け入れに抗議するデモを起こしていた。
シリア難民への憎悪が急激に高まっていた。
ラティーファさんは外出を怖がるようになっていた。
帰り道ラティーファさんが通りで突然立ち止まった。
難民を支援する地元議員の事務所が襲撃されていた。
関係者が声をかけてきた。
やりきれない思いが込み上げてくる。
スマートフォンを使い海を渡る難民を救ってきたラファ・アッバーラさん。
同時テロのあとドイツで暮らす難民から相談が寄せられるようになっていた。
シリア難民を排除しようとするデモは各地に拡大。
難民への暴行事件にまでエスカレートしていた。
ラファさんはデモが通り過ぎるのを黙って見つめていた。
この日ラファさんは海を渡る手助けをしたラティーファさんと初めて対面した。
ラティーファさんはドイツで抱え込んでいる不安を語り始めた。
厳しい現実と向き合いながらシリア難民はドイツで生きていく。
地中海が荒れる12月。
それでも海を渡ろうとする難民は一日1,000人を超える。
泥沼化するシリアの内戦。
命懸けの逃避行も終わりは見えない。
2015/12/21(月) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
NEXTスペシャル 密着シリア難民 4000キロの逃避行[字]

絶望の避難生活から抜け出したいと、ヨーロッパへの渡航を目指すシリア難民。戦禍の祖国を追われ、安住の地を求める人々。命がけで海を渡る難民たちの苦悩の日々に密着。

詳細情報
番組内容
トルコの港町イズミル。絶望の避難生活から抜け出したいと、ヨーロッパへの渡航を目指すシリア難民が集まる町だ。内戦から5年。アサド政権と反政府軍の争いに加え、北部ではイスラミックステート(IS)が勢力を広げ、戦禍が拡大している。難民も400万人超えた。そのうち200万以上がトルコに押し寄せている。祖国を追われ安住の地を求めて命がけで海を渡りヨーロッパを目指す難民たちの苦悩の日々に密着した。

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ニュース/報道 – 海外・国際
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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