くらし☆解説「寄付文化を根付かせるには」 2015.12.24


岩渕⇒東京の日比谷公園に置かれたベンチ。
「お母さん、ありがとう」しんちゅう製のプレートにはメッセージとともに、寄付をした人の名前が刻まれています。
東京都が12年前から行っている思い出のベンチ事業。
これまでに900を超える寄付が寄せられ、都内の公園などに寄付者の名前が記されたベンチが設置されています。
生字幕放送でお伝えしますこんにちは、10時5分です。
「くらしきらり解説」きょうのテーマは、こちらです。
担当は、出石直解説委員です。
出石さん、私も公園をよく利用しますけれども、ああいうプレートがついたベンチがあるというのには気付きませんでした。
出石⇒ちょっとだけ見ると分かりませんがプレートの大きさは15cm×5.5cm寄付をした個人や団体の名前それから40字までの簡単なメッセージを添えることができます。
結婚記念日に合わせて寄付をしたりあるいは愛犬と散歩をしたんでしょう、かその思い出を刻んだプレートもありました。
ベンチの形によって4種類あります。
15万円のものと20万円のものがあります。
思い出の残った公園に思い出を記すということはいいですね。
年の瀬が近づいてきて街頭での募金活動をよく見にするようになりました。
目にするようになりました。
NHKの歳末たすけあい25日まで受け付けています。
個人が去年1年間に行った寄付の総額はいくらぐらいになると思いますか。
検討がつきません。
7400億円。
こちらをご覧ください。
東日本大震災の前は5000億円足らずでしたので1.5倍に増えたことになります。
私も被災地に寄付はしましたがこんなに集まったんですね。
阪神・淡路大震災のあった年はボランティア元年と呼ばれました。
東日本大震災があった2011年は寄付元年と呼ばれました。
その年は1兆円を超えて例外だと思いますが、その後も着実に寄付の額というのは増えてきているんです。
いい傾向ですね。
ただ諸外国と比べるとまだまだ少ないのが現状です。
最近、フェイスブックの創設者であるザッカーバーグさんが総額5兆円を超える株式を寄付するということを申し出て話題になりました。
マイクロソフトのビル・ゲイツさんも慈善団体を作って途上国の感染症ですとか貧困対策に役立てる活動を行っていることで知られています。
桁違いの寄付額ですね。
個人の寄付額を比べてみますとアメリカが27兆円。
イギリスは2兆円近いです。
日本はアメリカと比べて3%イギリスと比べても半分以下にとどまっています。
イギリスの団体が寄付をする人の割合などをもとに毎年ランキングを出しています。
ご覧のように日本は145か国中102位にとどまっています。
1位がミャンマーなんですね。
意外ですけれどもミャンマーは信仰心のあつい国ですので国民の9割以上が寄付をしているんです。
それにしても145か国中102位というのはちょっとショックですね。
確かに寄付をするときにどこに寄付をしたらいいのかどんな団体なのかどんなふうに寄付が使われるのか不安になる面もありますね。
そういう方は少なくないと思います。
最近、総務省が行った調査です。
寄付の妨げとなる要因は何ですかという質問に対してこれらの回答がありました。
こういう思いは分かります。
東日本大震災のときに、せっかく集まった義援金がなかなか被災者のもとに届かなくて問題になりましたよね。
実際に役に立っているとは思えないとか、寄付先への不信感というのはそれだけ寄付をする側の意識が高くなってきているということだと思います。
ただお金を出してあとは人任せにするのではなくそれがどのように使われているのかというところまで意識が回るようになった。
寄付文化がだんだん成熟してきているということではないでしょうか。
意識の高まりを反映して最近では寄付をする側と寄付を受ける側の橋渡しをする調整役をする組織ができています。
どんなふうに使いたいか意向を聞いてそれにあった団体しかも信用をおける団体を紹介してそのお金を届けるといった調整役をする組織です。
どこに寄付をすれば自分の希望どおりに役立てるかということを教えてもらえるんですね。
橋渡しをするということです。
また最近では基金方式の寄付というのも増えてきています。
基金ですけれども普通の寄付と何が違いますか。
普通の寄付というのはまとまったお金を短期間で使い切ります。
これに比べて基金方式の寄付は特定団体を継続的に支援することができるというのが大きな特徴です。
例えば、みみちゃんが、まとまったお金をどんと寄付をして、くらしきらり基金を作ります。
みみちゃんの意向に沿った団体を支援するんですが一度にお金を全部渡してしまうのではなく最初の年はこれくらい、だんだん軌道に乗ってきたらもう少し増やしましょう。
そういった形で基金をもとにして寄付をしていくということです。
最初はたくさんお金があるんですが少しずつ使うんですね。
継続できます。
この団体が、どういう活動をしてどんな成果をあげているのかというのも定期的に寄付をした人に報告できるということです。
最近では遺産の一部を寄付してということも増えてきています。
寄付をした人が亡くなったあともその方の遺志に沿った形で継続して支援することができます。
基金を作るには100万円とかまとまったお金が必要ですね。
そういうお金があればいいんですが。
そういう方も多いと思います。
総務省が行った調査でも日本で1世帯当たりの年間の寄付額というのは3660円ぐらいです。
しかも寄付のしかたというのも現金を手渡しするのがいちばん多いんです。
ただ最近ではパソコンの画面でワンクリックで寄付ができるというサイトもできています。
また現金だけではなくクレジットカードを使って決済することができるとかあるいは寄付付き商品というのがあって商品の一部の額に寄付がついているということでペットボトルにもありますね。
企業が給料から一定額を天引きしてその個人に代わって企業が寄付をするということも行われてきています。
つまり寄付の形寄付のしかたというのがだんだん多様化してきているというふうにいえます。
いろいろな方法があると寄付しやすくなりますね。
だんだんしやすくなってきたということです。
もう1つ大事な情報ですが2011年に税制が改正されました。
寄付金控除が受けられるようになりました。
税金のことですか。
特定の寄付先、認定NPO法人というんですがそこに対する寄付をした場合には税額控除、つまり所得税の減額が受けられるようになったんです。
確定申告をしなくてはいけないということで手続きが面倒ということで、まだまだ十分行き渡っているとまでは言えませんが専門家に聞きますと日本の寄付税制というのは欧米並み、いやそれ以上になってきたという評価を受けています。
寄付のやり方も多様化しているし寄付の環境もだんだん整ってきたということが言えます。
実はことしから今月12月を寄付月間とするそういった取り組みが始まりました。
日本各地で寄付にちなんだいろいろな催しなどが行われています。
寄付というのは自分の気持ちを社会に役立てる貴重な手段だと思います。
寄付月間を機に自分がどんな寄付ができるのかいろいろと考えてみるのもいいと思います。
出石解説委員でした。
次回は中谷日出解説委員とともにお伝えします。
2015/12/24(木) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「寄付文化を根付かせるには」[字]

NHK解説委員…出石直,【司会】岩渕梢

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【出演】NHK解説委員…出石直,【司会】岩渕梢

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ニュース/報道 – 解説
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情報/ワイドショー – 健康・医療

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