安倍晋三首相は24日、岸田文雄外相に対し、先月の日韓首脳会談で合意した慰安婦問題の早期妥結に向けて年内に訪韓するよう指示した。政府関係者によると、岸田氏は28日にソウルを訪れ、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相との会談を予定。日本政府は韓国側が慰安婦問題を蒸し返さないよう求めており、外相の訪韓でこの点を確約させるとともに文書化を提案し、問題の最終決着を図りたい考えだ。

 安倍首相は24日夕、官邸で岸田氏と会談し「(韓国側が慰安婦問題を)最終的かつ不可逆的で蒸し返さないという方向なら、その方向でやってほしい」と訪韓を指示した。

 岸田氏は会談で朝鮮半島での慰安婦募集の強制性はなかったことを指摘する方針。その上で、両国間の財産・請求権の問題を「完全かつ最終的に解決済み」と規定した日韓請求権協定に従い慰安婦問題の最終決着を目指す。

 安倍首相は11月2日の朴槿恵(パク・クネ)大統領との初の首脳会談で、今年が日韓国交正常化50周年にあたることを踏まえ、慰安婦問題の「早期妥結」を目指す方針を確認していた。

 これを受け、外務省局長級協議を11月11日にソウルで、12月15日には東京で開催。石兼公博アジア大洋州局長と韓国の李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長が協議を進めていた。

 日本政府内では、妥結策として、平成19年に解散した元慰安婦に償い金を支給した「アジア女性基金」のフォローアップ事業(医薬品などの提供)を拡充、平成26年度で約1300万円だった予算を1億円規模に増額し、一括して渡すことも検討している。

 両国関係は、朴氏への名誉毀損(きそん)で在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長に無罪判決が出たことなどで「関係改善に前向きな動きが出た」(官邸筋)との見方もある。こうした状況を好機ととらえ、安倍首相が電撃的な外相派遣を決断したとみられる。