総合診療医 ドクターGスペシャル「航空機内の患者を救え!」 2015.12.24


(アナウンス)皆様当機はこのまま水平飛行を続け目的地ハワイアロハ空港への到着時刻は…。
ハワイまで6時間30分。
多くの乗客が旅先で過ごす日々に思いをはせている。
ありがとう。
二人だけの結婚式を挙げるカップルもいる。
神父さんの宣誓があって…。
で指輪を交換をして…。
異変が起きたのは成田をたって1時間。
太平洋上空高度1万メートルでの事だった。
あっ…!失礼いたしました。
すみません…。
息が…苦しい…。
緊急事態客室乗務員が対応する。
オールコールお願いします。
飛行機という密室の中…ごめんなさい…。
Y2区画にて急病人発生。
溝口が対応。
続いてドクターコールを行います。
(一同)了解。
おケガありませんか?
(アナウンス)お客様にご連絡いたします。
ただ今機内にて急病人が発生いたしました。
お客様の中で医師看護師の方がいらっしゃいましたら…。
徹?どうしたの?徹!ハァハァ…。
どなたかお医者様は…。
お客様の中で医師看護師の方いらっしゃいませんか?私は医師です。
お医者様ですか?お手伝いいたします。
こちらです。
ここです!患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちはその人を「ドクターG」と呼ぶ。
「総合診療医ドクターG」今回はスペシャルです。
飛行機の中で起きた症例という事でね。
大変だね。
映画みたいだね。
ドラマとかでは見た事ありますけど。
CAの人がね「お医者さんの中でお客さんいませんか?」って…。
逆逆。
逆か。
逆ですよね。
ああいった事態ってジュディさんありますかね?私あります。
ありますか。
飛行機乗ってらっしゃいますもんね。
すっごい落ち着いたアナウンスなので「ただ今からお食事お運びします」と同じテンポでした。
あんまり緊急な感じがしないんですね。
だからみんなそんなドキドキしないようにああいうふうに言うんでしょうね。
辰巳さんあります?何度かありますよ。
かなり乗ってますからね飛行機は。
どうしても僕好奇心旺盛だから見に行きたいんだけどねなかなか「行きたい」「やめよう」というののいつも葛藤ですね。
さああの飛行機で「私は医師です」と名乗り出たドクターGの登場です。
今回のドクターGは福井大学医学部附属病院林寛之先生です。
(拍手)日本には数少ない…内科や外科といった全ての診療科目にわたる救急患者を受け入れる。
今息楽にしますのでね。
めまいはするけど一応座ってられますかね。
林先生は僅かな医療器具しかない災害現場でも多くの人々を救ってきた。
おなじみの先生ですけれども林先生はねERの総合診療の専門医ですからもってこいですよね待ってました。
(玉ちゃん)あそっか丸腰ですか。
何もないわけですもんね。
これまで何回ぐらいありました?
(玉ちゃん)新幹線もあるんですか。
1回飛行機乗ってた時には患者さん2人発生しまして…。
(玉ちゃん)1回で2人ですか。
1回で2人!義務的な事でもないですよね。
ボランティアなので。
医療機器も限られるっていうのは…。
改めてみると「えっ?これで何をしたらいいの?」って。
大変ですよこれ。
病気の正体を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
はいご紹介しましょう。
(拍手)よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
(玉ちゃん)研修医の皆さん自分がもし乗り合わせたら…。
礼知安先生どうですか?私は卒業旅行の時に実際に「お医者様いらっしゃいませんか」という事があったんですけども。
誰かが挙げたの?誰かが挙げはったと思うんですが。
挙げはった。
すみません。
でも今はもう言い訳できないのでちゃんと人を助けたいと思います。
(玉ちゃん)お願いしますよ。
横川先生どうですか?やっぱりそういった現場の物資とかそういうのがないところでもしっかりと患者さんを診れるような医師になりたいなと思います。
もし病院に息が苦しいと患者さん来たらどんな検査します?丸山先生。
まずは酸素飽和度。
何それ?「酸素飽和度」って何ですか?指につけて…爪の所につけるんですけれども…。
この装置で血管の酸素がしっかり取り込まれてるかどうか…。
赤血球がちゃんと運んでるか。
酸素がちゃんと入ってるかどうかを調べる機器ですよね。
飛行機の中にちょっと入ってるかどうか…。
多分入ってるんじゃないかなと思うんですがどうでしょうか?さあ研修医の皆さんは飛行機内で苦しむ患者さんを助ける事ができるのか。
それでは病名を探るための再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えて下さい。
ドクタージェネラル!
(佐々木)ハァハァ…。
先生こちらです。
先生お願いいたします。
先生…。
ハァハァ…。
聴診器を下さい。
聞こえませんね。
脚を診ます。
このリストにあるのが全てです。
パルスオキシメーターはありませんね。
(溝口)トイレから出てこられて…。
あっ!失礼いたしました。
すみません…。
息が…。
おケガありませんか?立てますか?うっ…いや…めまいがするとおっしゃいました。
トイレに行く前はどんな様子でした?こうなる前って…。
えっと…。
(京子)
急に焦りだして…
指輪がない!ない!ない!どうしたの?指輪がないんだよ。
結婚式に使う大切な指輪がないといって…
絶対にあるはずなんだけど…。
お…俺…ちょっとトイレ。
えっ?また?あ…行きますね。
(京子)
出発前も…
(佐々木)お待たせ。
もうトイレばっかりなんだから。
え?あまたそんなに飲み物買ってきて…。
家にいる時だけで7〜8回でしょうか
トイレに起きる事はないのですが…
はい。
時々寝汗をかいて着替えている事があります。
仕事がきついといつもこぼしていたので…
大丈夫?
ストレスのせいかなと…
うわちょっとごめん。
今日の出発間際にも職場の上司から電話が…
あっ!
(京子)
そういえば…
(佐々木)まめちゃ〜ん。
まめちゃんどこ行ったの?あ〜あ〜いたいたいたいた!こんなとこいたよ。
2週間前から徹と一緒に暮らし始めたんですが私が飼っていたうさぎも連れてきました
結婚式のスケジュール?うん。
(せき)
何だかうさぎを連れてきてから毎日のようにせきこんでいて…
(せき)
いいえ。
ベランダで深呼吸すると治まっていたので…
ハァハァ…。
先生成田に引き返した方がよろしいでしょうか?キャプテンに報告しますがどうしますか?
(玉ちゃん)さあさあ患者のですね佐々木徹さんの基礎データですね。
32歳でございます。
これ先生どうでしょう?呼吸数は正常が12〜20回までなので…。
1分間?ええ1分間ですね。
呼吸数は結構速い事になりますね。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
さあゲストのお二人…。
かなり神経質というか自律神経がかなり…。
(玉ちゃん)いっぱいいっぱいで。
大変だと思う。
指輪忘れるぐらいですからね。
そうね。
それでカーッとなっちゃったでしょ。
せき気になりましたね。
(ジュディ)せきねアレルギーの。
うさぎちゃんに対して駄目だったんでしょうかね。
はいずり回ってましたね下をね。
印象的ですよねうさぎがね。
僕飛行機乗るとね歯が痛くなっちゃったりするんですよ。
気圧関係するんですか?気圧の影響はかなり大きいですね。
特に空気のある臓器が大きくなるんです。
ベルトがきつくなるような気がします乗っててね。
そうでしたね。
本当に役に立たなくて。
いくら聞いても聞こえなくて…。
一瞬エンジン消してとか…。
…いうわけにいかないです。
ガード下と同じぐらいかそれよりもうるさいんですよ。
さあ研修医の皆さんが病名を書き終わったようです。
さあそれではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)さあじゃあ丸山先生からお願いします。
糖尿病をベースにした肺血栓塞栓症です。
(玉ちゃん)諸戸先生。
私は糖尿病性のケトアシドーシスを考えました。
(玉ちゃん)横川先生は…?大動脈解離をまずは否定したいと思って書きました。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!先生方ありがとうございます。
やっぱりこういう時って飛行機の上で何もできないんですけどやっぱり普通の診療と同じようによくある疾患と怖い疾患を考えながらきちんと鑑別していくという事で考えたんだと思いますね。
じゃあ丸山先生「肺血栓塞栓症」を説明して下さい。
やはり飛行機の中で同じ姿勢をとっていてかつトイレに行った時って歩いた時で急性発症の呼吸困難という事でいわゆる「エコノミー症候群」と言われている疾患です。
(辰巳)最近名前が変わったんですよね。
「ロングフライト」って言わなくちゃいけない。
「肺血栓塞栓症」は血のかたまり血栓が肺の血管に詰まり呼吸困難が起きる病気。
長時間同じ姿勢でいると脚などに血栓ができ急に立ち上がった時血流にのって肺にとぶ事があります。
糖尿病などの生活習慣病があると発症のリスクが高まります。
ただ8時間以上のフライトの時にはリスクはかなり上がりますよ。
今飛行機飛んでどれくらいでしたっけ?1時間ですよね。
血栓できますかね?確かに1時間というのが短いとは思うんですが…。
もしだから本当に糖尿病がかぶって脱水があれば1時間でも血栓はできていいんじゃないかなと思いました。
尿が多いっていうのとよく水を飲むっていう事が糖尿病でよくある症状で肺血栓塞栓症を併発しやすいかなと考えて糖尿病を書きました。
これ飛行機の中だったらどう診断するんですかね?何もないんだから。
下腿を…下腿の筋肉を握った時に痛みが出てきたりとかそういった症状があるかどうかで血栓があるかというのをみる。
血液が戻ってくる静脈が詰まってしまうので鬱血っていってたまるんですね。
パンパンになってくので…「イタタタタ!」ってなるんですね。
血がたまってて痛いよという事ですよね。
じゃあこの人脚腫れてないんですけど…。
そうですね。
しかし患者は男性。
入院の経験もなく脚も腫れていない。
全然腫れてないんですけど…。
じゃあ大丈夫ですか?その疾患違う?いえそれだけで否定はできないと思いますね。
いいですね。
ああいうふうにしつこいのは大事なんですよ。
めちゃくちゃ大事なんですよ。
実際に…脚に血栓がある患者でも腫れがみられない場合もある。
じゃあ諸戸先生。
糖の代謝がうまくいかなくて糖を使えないのでその代わりに筋肉とかをエネルギーに使うんですけれどもその時にできてしまうケトン体というものが体の中にあふれてしまって…。
体内にケトン体という酸性の物質がたまると息苦しさなどの症状が現れます。
飲んでいらっしゃったのがスポーツドリンクのようなものだったのかなとお見受けしたので糖が多く含まれているなと思いました。
別名…糖分いっぱいを一気にとるとそれが対応できなくて糖尿病になってしまいますよ。
診断をしたいんであればどういう所見をとって診断しますか?いい事言いますね。
息の香り?酒臭いとか?説明して下さい。
(玉ちゃん)どんな香りなんだろう?フルーツのような。
私もちゃんと嗅いだ事はないんですけれど。
(玉ちゃん)フルーツ?
(諸戸)香りがすると…。
ケトン臭っていうにおいが独特なのがしますし。
(玉ちゃん)知らなかったなぁ。
ケトン臭。
これで話合うんだろうか?
(一同)う〜ん…。
におい。
においどうでしたか?変なにおいしません。
ケトン臭しません。
低くなってきますよね。
じゃあ横川先生。
大動脈解離は心臓から出ていく大きな大動脈に亀裂が入ってそこのところに血液がたまっていって血流を阻害するという病気になってくるんですけれども…。
「大動脈解離」は全身に血液を送る大動脈の内側の膜が裂け血流が妨げられる病気。
ほとんどの場合背中や胸の激痛を訴えます。
痛みによって呼吸が乱れ息苦しさを感じる事もあります。
やはり命に直結する疾患なのでこれは考えて否定しておきたいかなと…。
怖い疾患をまずやっぱりちゃんと考えとこうって事ですね。
でも呼吸困難という事ですが…かなり低いですよね。
息のにおいがしない事激しい痛みがない事で2つの病気の可能性は低くなった。
患者の病気は肺血栓塞栓症なのか?しかしドクターGは考えなければいけない病気がまだあるという。
呼吸困難ですよね主訴はね。
呼吸困難を来す疾患を言ってって下さい。
どうぞ。
「気胸」って何ですか?一般的には肺に穴が開いてしまって肺が膨らまなくなってしまった。
苦しいんですか相当。
息ができなくなっちゃうって事ですか。
(丸山)そうです。
もう肺が…。
簡単にいえば肺がパンクしてるって事ですよ。
諸戸先生。
(玉ちゃん)あああるなぜんそく。
ぜんそくはチリやホコリ微生物が体に入る事でアレルギーを起こし気管支が腫れて狭くなり呼吸困難の発作を繰り返す病気です。
飛行機の中にはいなかったんですけれどもうさぎとか飼われていたのでそういう動物の毛のアレルギー症状かもしれないし…。
呼吸困難ってこんな少なくないよね。
どうぞ。
炎症性のものになるんですけど…「急性喉頭蓋炎」は喉の奥にある喉頭蓋という弁が細菌の感染によって腫れ上がる病気。
空気の通り道が塞がれ窒息する事もあります。
あとは他にないですか?この若い人の心筋梗塞ってどういうの疑いますかね?こうやって…。
そうです正解。
コカインそうですね。
血管炎を起こすので若い人の心筋梗塞はコカインを疑う。
本当ですか?本当です。
めちゃくちゃ正解です。
他には?じゃあ横川先生。
過換気発作…。
過換気「過換気症候群」ですね。
強い息苦しさを感じ手足のしびれやめまいを伴う事もあります。
脳気管肺など研修医たちがあげた病気は20以上に及んだ。
いろいろ鑑別あげてくれましたが可能性が高いのか低いのか…。
どうですかね?まず脳の病気。
可能性どうですかね?麻痺が本当にないかどうか。
いいね!脳のどこかに障害があればそこがつかさどる体の部位に麻痺が出ます。
麻痺ないです。
脳でないなら心臓は?心臓の病気どうですか?横になっても息が苦しくないっていう。
心臓の病気でポンプ機能が低下していると戻ってきた血液を送り出す事ができず血流が滞ります。
ドクターGが次に検討したのは肺の病気気胸。
え〜気胸は?肺に穴が開いて空気が漏れ息苦しさを感じる気胸は多くの場合痛みを伴います。
ここまで検討してきたが患者の症状に合う病気はまだ見つからない。
気管どうですかね気管。
ぜんそくってどんな息になるのかな。
ヒューヒューと言ってんだよね。
そうです。
玉ちゃん大正解。
ヒューヒュー。
(せき)吐く時がつらい吐くのが狭くなる病気ですよね。
急性喉頭蓋炎ってどんな息になるんでしたっけ?吸うのがつらくなるので…。
吸うのがつらい。
どんな音が出るのかな。
フー…。
下手。
下手って…。
(せき)ハァ〜…。
こんな感じですよね。
吐くのがつらいぜんそく。
吸うのがつらい急性喉頭蓋炎。
それでは患者の呼吸は?ハァハァハァ…。
どちらでもない。
ハァ〜っていう感じではちょっとない感じですよね。
気管の病気も考えにくい。
残る病気は2つ。
過換気症候群ならば時間をおけば症状は自然に改善する。
しかし肺血栓塞栓症は命に関わる危険な病気だ。
過換気症候群どうですかね?VTRの時に一番最後の方の手の形が小指薬指が折れて残りの3本が硬直しているような…。
横川先生は患者の右手の硬直を見逃していなかった。
なった事あります。
そうですか。
手が硬直しちゃうの。
こういうふうにどんどん。
全然力が抜けないですもんね。
もうカチカチになってしまって…。
大変ですよね。
ええ。
あとめまいがするというのどう考えてます?あっ!失礼いたしました。
立てますか?うっ…いや…過換気症候群の発作は息苦しさと共にめまいを伴う事がある。
肺血栓塞栓症の場合は?結局脳への血流が一過性に減ったんじゃないかというのでめまいはきてもいいんじゃないかと思ってます。
肺血栓塞栓症もやはりあるんじゃないかと…。
肺血栓塞栓症残るね。
(玉ちゃん)どっちなんだろう?ここは地上から隔絶された飛行機の中。
もしも患者が肺血栓塞栓症なら一刻を争う。
息してよ!徹!先生…。
キャプテンに報告しますがどうしますか?じゃあ先生方どうですか?「どうしますか?これから今日本まで1.5時間で戻りますか?」と言われたんですよね。
どうします?
(玉ちゃん)どうしよう。
大変だよ。
VTR見て考えていきましょうか。
ハァハァハァハァ…。
成田に引き返した方がよろしいでしょうか?苦しくても…結婚式はいつですか?ああした…14時14時に…。
だいぶ落ち着いてきましたね。
息苦しくなる前体のどこかに痛みなどありませんでしたか?どこも痛くありませんでした。
もう大丈夫です。
結婚式を挙げられますよ。
少しこう呼吸を変える事によって落ち着いてきたと。
じゃあ最終診断言いましょうか。
せ〜の!はい正解です。
(拍手)いや〜早かったですねこれ。
過換気症候群ってよくある疾患ではあるんですけどもすぐ命に関わるわけではないんですけども何か病気があってつらいために息が荒くなる事がありますので過換気症候群だから大丈夫という意識は持たない方がいいです。
何で過換気症候群になったんですかね?今回は指輪がないっていうのが強いストレスになってそれがきっかけになって起こったのではないかと。
指輪なくしたら僕なんか死んだふりしますけどね。
という事で今回のスペシャルは終了という事でよろしいんでしょうか?実はそう簡単に終わるわけがなくてもう一人患者さんが発生するわけです。
ちょっと待って下さい。
先生が最初言ってた2人診た事あるっていうの…。
1人終わってまた1人という事で。
頑張って下さい先生方。
それではドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えて下さい。
ドクタージェネラル!先生ちょっとこちらに来て頂きたいんですが…。
どうしました?先ほどのCAさん…。
申し訳ありません…。
ハァ…ハァ…。
初めてです。
ぜんそくやアレルギー今まで大きな病気はありません。
胸が…。
左側ですね。
ズキーンというような…感じです。
変わりません。
ハァ…ハァ…。
いえ…生理不順なのでピルを…ピルをのんでいます。
搭乗前に変わった様子はなかったですか?搭乗前…ですか?
そういえば少し気になる事がありました
あれ?溝口さんどうしたの?ああ…ちょっと筋肉痛で。
え〜っ私もう治りましたよ。
手とか脚とか腹筋とかは良くなったんだけどちょっとまだこの辺りが残ってて…。
筋肉痛ってあなたたち何やったの?
今はやっていると聞いて運動不足解消にとボルダリングをやってみたんです。
翌日体中がすごい筋肉痛で…。
私は1日でほとんど回復しましたが溝口さんは肩の辺りがまだ痛いと言っていました
ハッハッハッハッハッ…。
溝口さん?脈が弱くなった…。
ドクターズキットを。
ハワイまであとどれくらいですか?1時間です。
到着しだい…はい分かりました。
血圧を測ります。
ハッハッハッハッハッ…。
う〜ん…。
大変。
(玉ちゃん)2人目の患者ですね溝口綾さんのバイタルデータ。
30歳だそうですけども…。
…だったんですが診察開始から20分後血圧がなんと…。
75の55と。
かなりやばいです。
先生この血圧というのはかなり危険なサインですか?そうですね。
成人であれば90を切ったらショックがありますよと言えますのでもうショック状態でいいと思います。
見るからにね息が苦しいの。
また息のパターン呼吸のパターンもねちょっと変わってきてるし。
息が浅い。
ハッハッてもうすぐやらなきゃいけないというのがすごい怖いです。
すごくつらそうでしたよね。
肩の痛みとか腰の痛みって内臓になんか関係しそうで…。
さあ研修医の皆さん考えられる病名をフリップにお書き下さい。
見てると主訴が「息が苦しい」というの同じですから書いたものの中にありそうな気はしますよね。
ほとんど出しましたからね。
(玉ちゃん)さあ残りあと1時間でハワイには着くと。
で先生はもう着いたらすぐに医療スタッフ呼んでくれという事ですから…。
緊急性がある感じがしました。
(ジュディ)いやもう呼吸が途中で変わっちゃったのがこれは肺が大変かななんて思ったんですけど…。
(玉ちゃん)生理不順だそうですね彼女は。
(辰巳)さっき出ましたよね。
ああそっか。
さあ綾さん危機一髪でございます。
さあ研修医の皆さんが病名を書き終わったようです。
それではフリップを一斉にお出し下さい。
フリップオープン!
(玉ちゃん)はい。
さあ丸山先生からどうぞ。
(玉ちゃん)諸戸先生。
(玉ちゃん)横川先生。
皆さんそろいましたね。
今回。
(辰巳)そろいましたね。
カンファレンススタートです。
「気胸」ですか。
何でそれ疑うの?今のVTR見て。
特に左のまず胸痛があった事と最後なんですけれども緊張性気胸になって血圧が低くなってきた。
これが一番気胸を考えた一番の理由になります。
「緊張性気胸」は気胸の中でも命に関わる危険な病気です。
先生それを疑ったらどんな治療するんですか?緊張性気胸の場合はえ〜と穿刺をして脱気をしてあげる。
緊張性気胸なんですか?この人。
今の段階だと高いと思うのでまず刺す事は前提なんですけど。
緊張性気胸の場合胸に注射針を刺し肺の外側にたまった空気を体の外に出す脱気を行う事で症状が改善されます。
しかし緊張性気胸でなかった場合には息が苦しいという患者の肺に穴を開け更に悪化させてしまいます。
じゃあ刺すんですか?この人を。
生命の問題に関わるので…。
じゃあそれが診断外れたらどうなりますか?診断が外れていても…。
先生は…肺をパンクつくる事になるんですよね。
刺したら命に関わるような…?いや刺してこの病気だったら助かります。
この病気じゃなかったらもともと肺膨らんでいたのに縮んじゃう。
呼吸状態が余計悪くなりますよ。
どんな所見があったら自信を持って気胸って言えるんですか?息を吸われる時に左右差がないかどうかも…。
胸の動きが変わりますね。
片一方だけ空気漏れて動かなくなりますよね。
頸静脈の怒張がみられるかどうか。
それから?緊張性気胸では4つの特徴的な症状が現れます。
漏れた空気に押されて起きる…頸の静脈が浮き出る…更に頸元の皮膚の下に空気がたまる「皮下気腫」が現れます。
しかし患者には…呼吸音の左右差は分かりません。
皮下気腫も分かりません。
血圧が低いだけです。
緊張性気胸疑います。
何で?合わないよね。
じゃあどうやって診断つけるわけ?打診…音は聞こえないですけど。
打診と…。
聞こえません。
聴診と…。
聴診聞こえません。
病院であればレントゲンも確認できたら…。
ないですよ。
エコーがあれば…。
エコーもないです。
何もないんだ。
だからないところなんです。
先生たち言うの簡単なんですよ。
多分シミュレーションとかさ勉強会とか外傷のコースやるとこればっかり出てくるからあれだけど実際の臨床で先生たち…肺の方の病気どうですか?血栓ができやすい素因はありますかね?肺血栓塞栓症はピルものんでますしロングフライトの後半なので可能性としては考えられるかなと。
考えられる。
あれは残さないといけないですよね。
ピルには血を固めやすくするホルモンが含まれている事があります。
血栓ができ肺血栓塞栓症になるリスクが高くなります。
肺の動脈が詰まって酸素が取り入れられなくなり命の危険があります。
意識状態も下がってるので挿管の適用になるとは思うんですけど…。
気管挿管をしたい?はい。
患者を助けるために…ちょっともの出してもらいましょうか。
ドクターGは飛行機内に搭載されている医療器具を運び込ませた。
気管挿管ってどうやってするんですかね?どれ使うんですか?必ず電気がつくか確認しましょう。
電気つきました。
意識レベルが下がっている患者の口から管を挿入。
固定する。
この管から強制的に肺に空気を送り込むのだ。
肺血栓塞栓症ってやっぱり挿管して酸素を送る事によって良くなりますよね。
肺血栓塞栓症の患者に気管挿管しておけばたとえ容体が悪化して自発呼吸ができなくなっても肺に酸素を送り続ける事ができる。
しかし患者の病気が緊張性気胸であったらどうなるのか?既に患者の肺の外側には空気がパンパンに詰まっている。
その圧力で心臓は血液を送り出す事が難しくなっている。
そこへ空気を強制的に送り込むと僅か4〜5分で死に至る。
緊張性気胸は気管挿管すると悪くなるんですよね。
でも今横川先生言ったのは悪くなるかもしれないけどやるんだよね。
その緊急処置として脱気を…。
刺す?緊張性気胸としては脱気が先かなと…。
研修医たちは混乱している。
患者の病気は何なのかまだ判断はつかない。
じゃあちょっとVTR見てみましょうか。
(玉ちゃん)さあ見てみましょう。
ドクターGが取り出したものは脱気用の注射針。
すぐに手に取れる位置に置いた。
そのうえで行ったのは…空気を送り込む。
患者に変化が現れた。
左胸が持ち上がる。
頸元の皮下気腫を確認。
気管が右にずれた。
そしてドクターGは用意していた注射針を手にした。
(玉ちゃん)わ〜っ。
はい。
最終診断いきましょうか。
(玉ちゃん)よし聞きましょう。
大きい声で。
さあ最終診断いきましょう。
せ〜の。
はい。
正解。
正解だったんですね。
(玉ちゃん)ねえ!研修医たちは結果的には正解だった。
しかしドクターGは肺血栓塞栓症のリスクも想定しどちらでも助けられる処置を行ったのだ。
要するに見切りじゃなくて「こうなるはずだ」って。
教科書と違うんですよ。
教科書は緊張性気胸疑ったら挿管駄目なんですよ。
でも実際の症例では半数が挿管してから診断ついてるという事を知っていればきちんと挿管したあと診断がついて対応できる準備をしておく。
実はこの時ドクターGが行った処置はこれだけではない。
注射針だけでは十分に空気が抜けないというのだ。
ここですね。
(玉ちゃん)うわ!うわ刺した!これで助かります?これではもう間に合いません?どうしますか?
(玉ちゃん)やべぇ。
使えるもんあるかね?太めの管を使いましょう。
針はね全然駄目ですよ。
ドクターGは患者の左脇にメスを入れ…。
切ります。
そこから太めの管を挿入した。
管の先端を肺の外側の空気がたまっている所へ挿入。
しかし管を入れるだけでは不十分だ。
一旦管から空気が抜けてもまた入ってきてしまうからだ。
病院では空気が逆流しないよう特殊な装置が使われる。
しかし飛行機内にそんな装置はない。
どう対処したのか?ありがとうございます。
ここに水があります。
ドクターGはペットボトルの水を手にした。
その水の中に管の先端を入れた。
体内の空気は外に出せる。
しかし今度はペットボトルの水があるために空気が逆流してこない。
飛行機内にあるもので医療器具の代わりになるものを作り出す。
ER専門のドクターGはそうした対処法まで考えていたのだ。
ものないけどあるじゃん。
何とかあるよね。
…という事はこれから先生方が飛行機に乗ったら緊張性気胸は助け…。
…られる。
すばらしい!
(玉ちゃん)手挙げて下さいよ。
ドクターGの的確な処置で一命を取り留めた…再発を防ぐための手術を行いおよそ半年後職場復帰を果たした。
さあ林先生今回の症例に込めたドクターGのメッセージをお願いします。
そうですね僕は先生方に是非こういうふうな飛行機の中とかそういうところで手を挙げられる医者になってほしいんですよ。
「お医者さんいませんか」といった時に「はい」と手挙げられる。
愛と勇気が必要ですよね。
もちろん知識や技術も当然必要で…。
標準的な治療は今の初期研修の時に必ず身につけないといけない。
もう一つはファンタジスタが必要です。
普通に往診行って点滴棒ないですか?ない。
だったらハンガー曲げてそこで点滴ぶら下げて作ればいいわけです。
これ実は災害医療とか飛行機の中何もないとこだけじゃないんです。
これは俺の専門じゃないからといって断るのは駄目なんですよ。
誰かがやらないといけない時に…これはうちじゃないって言ったら医者としては負けだと思ってます。
飛行機の中で緊急事態で手を挙げられる勇気を持てるように今後の研修で手を挙げられる自信がつくような研修をしていきたいと思いました。
これからはちゃんと手を挙げられる医師になれるようにもっともっと勉強していきたいと思います。
実際の現場で生きる知識ともともとの教科書的な知識はやっぱり違うなというのを強く実感しましたし自分もそういった力が身につけられるように頑張りたいと思います。
さあゲストのお二人いかがですか?今日は林先生がおっしゃってた「木を見るんではなくて森を見ろ」。
「この木がなぜこうなる?隣の木にこうじゃないか。
じゃあ上からもう一回見てみよう」っていう。
そういうふうなお医者さんに皆さんなって頂きたいと本当に今日思いました。
うちの息子も今勉強中なもんで。
それをいろいろ思ってるんですね。
ええいろいろと…。
本当に子供を見てるような感じでちゃんとこんなふうになってくれたらいいなと思って見てます。
(玉ちゃん)はい。
林先生どうもありがとうございました。
研修医の皆さんどうもありがとうございました。
さあそれでは皆さんまたお会いしましょう。
さようなら!どうもありがとうございました。
(拍手)2015/12/24(木) 14:07〜14:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターGスペシャル「航空機内の患者を救え!」[字][デ][再]

病名推理エンターテインメント番組「総合診療医ドクターG」。航空機内で「息が苦しい」という患者が。限られた医療器具で命を救えるか!大好評のスペシャル番組を再放送。

詳細情報
番組内容
舞台は太平洋上、高度1万メートルの航空機内。突然「息が苦しい」と訴える患者が。「お医者様はいらっしゃいますか!」客室乗務員の呼びかけに応え、見事に対応したのが、今回のドクターG・林寛之医師だ。医療器具も限られ、病院のような検査などできない。問診を頼りに病名を突き止めようとするが、容体はますます深刻に…。さらに機内で、思いもよらない事態が発生!果たして研修医たちは患者の命を救えるのか?
出演者
【出演】福井大学医学部附属病院医師…林寛之,【ゲスト】ジュディ・オング,辰巳〓郎,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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