(カメラのシャッター音)
(伊丹憲一)うわぁ…なんだこれ?
(芹沢慶二)何があったんですかねこの部屋で…。
(米沢守)あの…これが凶器のようです。
血痕を拭き取ったあとです。
指紋と一緒に拭き取ったんでしょうね。
指紋も拭き取られちゃったんですか?ええこの部屋じゅう。
なのにこれは拭き取らなかった。
ちなみにそこから被害者の指紋が出ました。
ガイ者ルポライターだったな?ええ。
堂島丈一。
あっ今はこれの契約ライターです。
(三浦信輔)有名人なのか?こんな賞までとって…。
まあでもその賞で殴られちゃあな…。
ちょっとすいません…。
それで殴られてバランスを崩してこの窓から落ちる寸前にとっさにこの机に触った。
しかしその甲斐もむなしくあーっ!
(カメラのシャッター音)
(亀山薫)グラビアアイドルがヤクザとデート。
D・J…。
(杉下右京)ええ。
堂島丈一氏。
こういう下世話な記事を書くような人だったんですか?いえ以前はもっと気骨のあるルポライターだったんですが残念ですね。
ふ〜ん。
(角田六郎)おはよう。
そして暇か?
(杉下・亀山)おはようございます。
いやぁ暇そうだねぇ。
朝っぱらから2人して雑誌なんか見てさ。
いや殺されたんですよこの雑誌のライターが。
しかも雑誌が発売されたその日に。
あっそれで朝から捜査一課動いてんのか。
いやぁなんかヤバい記事ばっか書いてますねこの人は。
(角田)はっほんとだ。
こっちも。
捜査一課はそっちの線で動くんだろうな。
この雑誌の編集社で話を聞いて暴力団事務所に踏み込む。
って流れですかね?あーあ事件が銃やヤクがらみだったら俺も捜査に割り込めたんだけどな…。
亀山君。
うあ!失礼。
何?何?なんなんだ急に!?いやたぶん右京レーダーが反応したんだと思います。
追跡開始します。
ととととととっ!
(三浦)そば食うか?
(芹沢)いやいや。
だっておめえ他に何…。
あっ!
(伊丹)特命係の亀山!呼んだ?今呼んだ?アハハハッ!あーうっとうしいな!呼んだ呼んだ呼びました!あ?なんでここにいんだよ?えーっと愛読者だから?ふざけんな!警部殿。
はい?その雑誌について訊くべきことはすべて訊きましたよ。
そうですか。
ほんとにすべて訊いたのかな?
(栗又幸治)今別の刑事さんにすべて話したばかりですが。
その刑事が訊きそびれたことをうかがわせて下さい。
恐縮です。
すいません。
この記事がなんです?非常に刺激の少ない大臣を持ち上げただけの内容に仕上がってますね。
部数を欲する雑誌に載せるほどの記事でしょうか?それは堂島が殺されたことと何か関係があるんですか?いえ個人的な興味です。
ではもういいですか。
あっもう1つだけ。
なんです?どの記事を雑誌に載せるのか。
その判断はどなたがされるのでしょう?そういう判断は編集会議でします。
それでも決まらなかった場合最終的には?それは編集長の私が。
そうですか。
あっあ〜。
教育問題公害問題企業や警察の不祥事彼の記事はどれも重いっすね。
ええ以前の彼はその手の社会問題を記事に書いてなかなか的確な批判をしています。
特にこの本は何度読んでも素晴らしい。
どういう本なんですか?それ。
全国の自治体が作るホールや競技場公共施設などつまり「箱モノ」の無駄や矛盾を批判しています。
それ美和子さんが褒めてた本ですよね?美和子が?ええ。
マスコミの人間なら見習いたいって。
へえ。
それほどのルポを書く彼がこんな記事を書くでしょうか?いやでも最近はねほらっアイドルの記事とか風俗ルポとかそういうユルい仕事もしてたわけでしょ?例えその手の記事でも彼独特の鋭い視点が残っていました。
第一この程度の記事なら大臣のホームページを見ればわかりますよ。
まあそう言われればそうですねぇ…。
そう考えるならば堂島さんは本当に古賀大臣のインタビューをしたのか?それすら怪しくなってきますね。
(古賀由紀男)驚いたねぇしかし…。
儚いね人ってやつは…。
(女性秘書)失礼致します。
大臣斉藤政務官がこちらの件で本日お会いしたいと…。
おう俺今日いつ空いてる?
(赤枝文和)土地鑑定委員会の前なら10分。
うーんじゃあそこだ。
はい。
あはっ歳なんだね。
こうしとかないとすぐ忘れちゃうんだよ。
ハハハッでなんだっけ?ああですから彼の取材お受けになったんですよね?ああ受けたよなぁ!はい。
しかしよくまあ書いてくれたよねぇ。
これを読ませて頂くと随分苦労して出世なさったみたいですね。
そう…。
俺の半生苦難の歴史ってね…。
こちらの内容はすべて大臣がお答えになられたのでしょうか?当然でしょ俺のことなんだから。
ではかなり長いインタビューになったんじゃありませんか?ん?だったかな?ええそうでした。
お忙しい大臣がよくそれだけの時間を…。
うんまあ気に入ったんだね。
気に入ったとおっしゃいますと?この記事書いた記者。
なんてったっけ?堂島丈一さんです。
ああそうそう堂島君だ。
堂島君!気に入ったね。
例えばどのようなところが?どのようなとこ?覚えてらっしゃいますよね?堂島さん。
当たり前だろう!俺は記憶力だけは自信あんだ!大臣そろそろ大臣官房の方へ。
ああ今日はここにいる。
地元が陳情に来るんだ。
あれ?おいっ後援会長の新しいアドレスどうした?昨日お伝えしましたが…。
ない…ないよ!昨日確かに言ったか?ええ一昨日の夜会長さんから連絡をうけて翌日すぐに。
こちらですどうぞ。
やっぱりこうしとかなきゃダメだなぁ。
(古賀の笑い声)いっぱいになっちゃいました。
きっと覚えてませんよ大臣。
この記事書いたライターのこと。
どうしてそう思われるのでしょう?いやこのインタビュー答えたのほとんど私なんです。
赤枝さんが。
ええ。
大臣はこのライターとは挨拶を交わした程度です。
そうでしたか。
ところでインタビューの内容に間違いはありませんか?え?いやわざわざインタビューしなくてもって内容なんでねこれ…。
あっ大臣が喜びそうなこと並べたらこうなったんですよ。
おかげで私大臣に褒められましてね。
ハハハッ!お好きなんですね大臣のことが。
う〜ん…まあだからついていってるんでしょうねぇ20年以上も。
そうですか20年以上も。
ええ。
「政治の理想は井戸端会議」。
はい?昔大臣が言ったんですよ。
まだ市会議員だった頃。
どのような意味でしょう?なんの利害関係もない井戸端会議が政治の基本ってことでしょうね。
ほうなるほど。
おもしろいですね。
ええ先生らしい理想だなと思いましてね。
大臣はどちらで市会議員を?あっえー南浜市です。
四国ですか。
あーあのドームがあるとこですか。
でしたね。
じゃすいません私はこれで。
ああ。
もう1つだけ。
はい。
インタビューは事務所で?いえあれは居酒屋でしたね。
居酒屋…。
ええ彼にそうしようって言われまして。
堂島さんに?はい。
じゃあ失礼します。
大臣についての取材を居酒屋でしますかね?ええわざわざ議員会館まで来ているんですからね。
なんかありそうっすね。
そうっすねぇ。
(居酒屋店長)ええ1週間か10日ほど前ですね。
なるほど…。
どんな取材してたかわかります?さあ…。
ちょっとぐらいなんか聞いたでしょ?ああ店長さんに迷惑はかかりませんよ。
古賀大臣って何度か言ってましたね。
あの…。
はい?殺されたんですよね?堂島さん。
残念ながら。
なんか気になることでも?殺されたの一昨日の夜ですよね?ええそれが?その夜飲んでたんですここで堂島さん。
マジですか?お一人でしたか?もちろん店長さんに迷惑はかかりませんよ〜。
編集長が…。
編集長が?突然ケンカを始めたんです。
(堂島丈一)約束が違うだろ!
(堂島の怒鳴る声)ケンカ?どうして?
(店長)いやもうとにかく止めるのに必死で…。
でも約束が違うとかなんとか…。
約束が違う。
ええ。
何度か堂島さんが編集長に。
殺された夜に編集長と揉めていた。
つまり大臣の記事が発売された日の夜ですね。
ええ。
あっ堂島さんの記事を編集長が差し替えてそれを発売日に知った堂島さんが…。
「約束が違う」そう言って怒って揉めたんじゃないですか?そうなんですね?違いますよ。
違う。
じゃあ揉めた原因はなんなんでしょう?忘れました。
忘れた!人に止められるほど揉めたにもかかわらず忘れましたか?よくあるんですよ。
ライターと揉めることなんて。
これ!
(社員)あっはい。
そうっすか〜じゃあ揉めたあとはどうしました?揉めたあと?ええ。
堂島さんの部屋に行ったんじゃないですかねぇ?行ってませんよ。
あの夜はそのあとすぐ会社に戻りました。
証明できますか?できますよ。
あいつに訊いて下さい。
(栗又)この原も一緒に残業してましたから。
この記事を原さんはどう思われますか?
(原松美)どうって?僕にはこれを堂島さんが書いたとはどうしても思えないんですよ。
この記事と差し替えられた記事があるんじゃないですかね?堂島さんが書いた本当の記事が。
堂島さんの死を無駄にしたくない。
我々はそう考えています。
どんなに闇に葬ろうと真実はいつか白日の下に晒されます。
俺ら警察はいつもその信念で動いてます。
あなた方マスコミもそうではないでしょうか?かつてあれほど気骨のある記事を書いていた堂島さんならばなおさらそうだったと思いますよ。
彼は…すごく悩んでいました。
社会性の強いネタは売れないって…嘆いてました。
だからその苛立ちを毎日部屋中にぶつけて…。
彼の部屋見ました?いやまだですけど…。
傷だらけです。
傷だらけ…。
才能があって…強い人でした。
でも本当は…とても弱い人なんです。
弱い人?どういう意味ですか?もう戻らないと。
失礼します。
おっ…。
すごいっすねぇこりゃあ…。
なるほど。
追い詰められていたんですねぇ。
(机を引っ掻く音)堂島さんは原稿を手書きで書いていたのでしょうか?え?パソコンの類がありませんね。
あー押収されたんじゃないっすか?いえ鑑識にもありませんでした。
じゃあ手書きだったんすかね。
今どき珍しいっすね。
堂島さんが書いた本当の記事ってなんなんすかね?議員会館ではインタビューできないような内容であり編集長に差し替えられてしまうような内容。
そして殺されなければならないような…。
ちょっと危ない橋を渡ってみましょうか。
(ノック)失礼します。
(中園警視正)さっさと入ってドアを閉めろ!はい。
どういったご用件でしょう?
(大河内春樹)昨夜捜査二課でお調べになったことを話して下さい。
どうしてそんなことを?
(内村警視長)さっさと話せ。
お読みになったことは?知らん。
全国の自治体が作った無駄な箱モノを批判しています。
このドームのある南浜市は古賀由紀男現・国土交通大臣の地元です。
その地元に当時古賀議員はプロ野球を誘致するためにドームの建設を推進したと書かれています。
しかし願いは叶わずドームだけが残りました。
その結果ドームを管理運営する第三セクターは今年約500億もの負債を抱えて倒産しました。
(内村)要点を言え。
つい先日政府は100億の税金投入を発表しました。
同時に南浜市の住民税の値上げを発表しました。
自治体が箱モノ建設の失敗に住民税を投入。
よくある話です。
そのような時期に古賀大臣が逮捕。
そんなことになったら大変ですね。
貴様たち…。
もうご存知のようですね。
ドーム建設の際古賀大臣が地元の業者に便宜を図りその見返りを受けたこと。
その額わかっているだけでおよそ2億円。
闇献金としてはなかなか大きな額ですね。
南浜市の住民税が上がるまでだ。
上からの圧力ですか。
いや国を守るための警察の自主規制だ。
はあ…いいっすか。
これは単なる収賄事件じゃない。
ひょっとしたら殺人事件にまで発展してるかも知れないんですよ。
どういうことですか?どうぞ。
この本を書いたルポライターが殺されたんです。
彼は古賀大臣の収賄疑惑にたどり着きそれを記事にしようとした。
だから口封じのために殺されたかもしれない…。
(内村)ちょっと待て!
(内村)じゃあそのライターが収賄の記事を書いたというのか?そうです。
(中園)そんな記事どこにあるんだ?どこって…そりゃあ差し替えられてて…。
(中園)どうした?ないのか?大きな口を叩く前に自分たちの足元の心配でもしろ。
こんなことでやめませんよね?もちろんですよ。
どうします?これから。
やはり差し替えられた堂島さんの原稿を見つけない限りこれ以上前へは進めないようですね。
もしあの編集長が持ってたとしてもそう簡単に出すとは思えませんよ。
では編集長以外の人を攻めてみましょう。
この写真お撮りになったのは…。
(五味)うん俺の写真。
堂島ちゃんとはよく組んだからね。
堂島さんの原稿はパソコンでしたか?それとも手書きでしたか?
(五味)え?ああ手書きだったね。
やっぱし。
勝手に原稿直されてもわかるようにって。
え!?パソコンで書いてメールで送るとその上から勝手に原稿直す編集者がいるんだってさ。
なるほど。
手書きならば上から直しても元の原稿がわかりますからね。
まあそのあといちいちパソコンで打ち出さなきゃならないから編集の仕事は増えるけどね。
つまり手書きの場合パソコンで打ち出すわけですね。
この雑誌はね。
校閲にまわす前に。
ではこちらの記事を打ち出した編集者おわかりでしょうか?あのページは矢部ちゃんの担当だったんだよね?
(矢部)そうなんだけどあの原稿はデータで来たからさ。
データで?つまりパソコンで打ち出してあったってこと?そうそうそう。
堂島さんはいつも手書きだったとお聞きしていますが。
そうそうだから助かっちゃった。
パソコンもお持ちでない堂島さんがこの記事に限ってデータで送ってきた。
不思議ですね。
誰か別の人間が書いたんですね?だとするならば編集長が気がつかないはずはありませんね。
確かに記事は差し替えました。
なぜそれを隠しました?隠したわけじゃ…。
言う必要がないと思ったから。
ではなぜ記事を差し替えたのでしょう。
彼の書いた原稿が面白くなかったから。
面白くなかったから?そうです。
その面白くなかった原稿は今どちらに?もちろん破り捨てましたよ。
何を載せるかはライターではなく編集長の私が判断することです。
部外者にとやかく言われる話じゃないでしょうが!あークソッ…。
(原)待って下さい!堂島さんの原稿です。
あったんだぁ…。
どうしてあなたが?この原稿をこの記事に差し替えたんですね?編集長が自主規制だと言って…。
どうして編集長は自主規制をしたのでしょう?もしかしたら来るかもしれないクレームです。
古賀大臣からのクレームですか?他にも国交省この件で住民税を値上げする予定の自治体当時かかわった建設会社…まだあるかもしれません。
だからまだ何も起きていないうちに自主規制を。
そんなのマスコミでもジャーナリズムでもないのに…。
追求する側が揺るぎない信念さえ持っていればクレームには対処できると思いますがねぇ。
いやできない世の中になっては困ります。
敵が大きくなればなるほどマスコミが真実や主張を規制する方向に働いてはいけない。
おっしゃるとおりですね。
堂島さんの言葉です。
命がけでした。
彼はこの記事に。
(原)絶対に失敗できない。
そう言ってました。
これでジャーナリストとして再起してやるって…。
でもそれも差し替えられた。
どんなに…どんなに無念だったか…。
読んで下さい。
彼の渾身の原稿です。
あなたはこの記事を世に出したいと思いますか?もちろんです。
今でも?拝見します。
「全てはこの賄賂から始まっている」「これによって株式会社四国ドームという第三セクターいや政府企業が誕生したのだ」「一方賄賂を受け取った古賀由紀男はその後建設族として力を蓄えとうとう国土交通大臣に出世をした」「他方四国ドームはその余りにいい加減な経営のツケがまわり五百億円以上の負債を抱え破綻」「そして今それに…」
(堂島)「百億円以上の血税が投入されドームを抱える自治体は住民税の大幅な値上げを決行せんとしている」「こんなことが日本中で起きているのだ」「だが残念なことに消費税が上がると聞いただけで騒ぐ国民も住民税や公共料金の値上げには無頓着である」「もうわからないからでは済まされない」「読者には怒りを感じて欲しい」「そして行動して欲しい。
D・J」古賀大臣はいらっしゃいますか?
(赤枝)はいその件についてはすでに大臣に伝えてあります。
数日中にはお返事を。
はいわかりました。
じゃあどうも失礼します。
これを読んで私にどう言えと?堂島さんがあなたにしたインタビューですよね?はい?ところが実際『キリン芸能』に載ったのはまったく違う記事だった。
だからあなたは本が発売された日の夜彼の家つまりここに来た。
今日初めて来ました。
そうでしょうか?先ほど古賀大臣からお借りしました。
このメモがなんだっていうんですか?赤枝さんちょっと見てもらえますかね?このメモここの机で書いたんですよね?つまりあなたは以前ここに来たことがある。
さてそれはいつでしょう?一昨日の夜会長さんから連絡をうけて翌日すぐに。
つまりあなたはその夜後援会長からの連絡を受けこのメモを…。
あの机のあそこで書いたんです。
堂島さんが殺された夜です。
後援会長に訊いてみたんですよあなたに何時に電話したか。
もうおわかりですよね?堂島さんの死亡推定時刻と一致しました。
つまりその時刻あなたは彼と一緒にこの部屋にいた。
さて何をしていたのでしょう?耐えられなかったんです…。
耐えられなかった?大臣がかつて賄賂を受け取ったことがですか?大臣が無様な形で捕まるのが耐えられなかったんです。
あなたが20年以上も仕えた人ですから…。
かつては政治の理想に燃えてた人です!じゃあどうして告発しようとしたんですか?もう時間の問題だったんですよ。
気がつきましたか?警察が動き始めたことに。
ええ…。
ですからせめて私の手で告発したかった…。
そんな時です。
堂島さんが私の前に現れたのは。
彼も理想に燃えていた。
ええ。
言ってました。
この記事に命をかけてるって。
だから私も彼に話そうと思いました。
彼を信じてました。
そういう話だから議員会館ではできなかったんですね。
ええ…。
この記事が雑誌に載ればきっと大臣は会見を開きます。
そこですべて謝罪するようにと大臣を説得するつもりでした。
でも収賄に手を貸したあなたも同罪なんですよ。
一緒に捕まる覚悟はできてました。
ところが発売日に『キリン芸能』を見てあなたは驚いた。
命がけで告発した内容とはあまりに違っていたから。
お前に任せてよかった。
よく書けてる。
感動したああアハハハッ感動した!
(古賀の笑い声)当然あなたは堂島さんに抗議するためここを訪ねた。
あの夜堂島さんはかなり酔って帰ってきて…。
居酒屋で編集長とケンカしたあとですね。
最初は謝ってたんですが…そのうちに…。
俺だって悔しいんだ。
私は進退をかけてあなたに真実を話した…。
俺だってよあの記事に命をかけてた!だったらどうして?俺のせいじゃない…。
あんたね!俺のせいじゃ…。
もう…帰れ!ジャーナリスト大賞…。
こんな記事なんか書いて!返せよ!あんたなんかジャーナリストでもなんでもない!そんなことは…わかってるよ!毎日毎日くだらない記事ばかり書かされてずっと冷や飯ばかり食わされ続けてきて…。
だからこそ…だからこそこれが最後の賭けだったんだ!ジャーナリズムに対する俺の最後の賭けだった!なのに裏切られた!俺だって裏切られたんだ!
(殴る音)
(赤枝の咽び)
(赤枝)おいっ!
(赤枝の携帯電話)
(驚いた声)
(赤枝の携帯電話)はいお世話になっております赤枝でございます。
はい。
ええ!?どちらへ?新しいメールアドレスって…。
いえ存じません。
あっ…少々お待ち下さい。
あああっ…はいっ少々お待ち下さい。
はいどうぞ。
はい…はい…。
どうしてすぐに自首しなかったんっすか?怖くなって…。
だって人を殺したんですよ!もちろん殺したあとだって大臣を告発することはできた。
でもそれで殺人が露呈するのが怖かった…。
今からでも遅くないと思いますがねぇ。
告発は裁判という場でもできるんですよ。
一度は命がけで大臣を告発しようとなさったんじゃありませんか。
もうあなたにその勇気はありませんか?堂島さんの原稿頂けますか?もちろんです。
あなたはこれから傷害の容疑で逮捕されます。
あの…殺人では?僕はそんなことひと言も言ってませんよ。
堂島さんの死は事故もしくは自殺です。
これ見て下さい。
堂島さんはあそこで亡くなってたんですよ。
そうなんですか…。
しかもあなたはこのメモをここで書いたんですよ。
ここには…。
それは血ですか?ええ堂島さんの血です。
もしあなたが彼の死後ここで書いたとしたらこのメモにも血がついてないと辻褄があわないんですよ。
つまり堂島さんはケガをした頭を触った手でここに触ったんです。
ということはあなたが部屋中の指紋を拭き取ってここから逃げたあと…。
彼は意識を取り戻したんです。
その後の彼の行動は想像するのみです。
うーん…。
(すすり泣き)
(電車の警笛)自殺…ですか?今のところ推測に過ぎませんが…。
彼はずーっとかつてのような記事が書けないことで悩み追い詰められていました。
だからこそやっとそれができると思った今回の記事に再起を賭けて取り組んだのでしょう。
しかしそれも出版社に差し替えられた…。
その揚げ句あなたの信頼までも裏切ってしまった。
それが彼が命がけで挑んだ結果だったとしたら絶望するなという方が無理かもしれません。
でも…それでも死ぬことはないじゃないですかね…。
つまり彼はそれだけの覚悟でこれを書いたんですよ。
ところがあんた差し替えた。
クレームが怖かったからだ。
でもねそれが堂島さんを自殺に追いやったんですよ。
あなたの自主規制が彼を殺したのかもしれませんね。
自主規制じゃない。
前にも言ったように彼の書いた記事が面白くなかったから差し替えた。
それだけのことですよ。
この原稿が面白くなかった。
そうです。
現役の大臣が賄賂を受け取ったその記事が面白くなかったちゅうんですか!ええそうです。
第一雑誌の編集権はいちライターではなく我々にあるんですよ。
よって仮にそれが原因でライターが取材相手から非難されたり例え殺されたとしてもこれ私には一切責任はないんですよこれ。
おっしゃるとおり。
あなたに法的な責任はありません。
右京さん!ただ…ジャーナリストではないというだけですよ。
失礼。
ああそうそう。
古賀大臣の秘書が逮捕されました。
明日明後日には大臣の収賄も明らかになるでしょう。
今書けばスクープですね。
まあもっともあなたにとっては面白くないことのようなので関係ないのでしょうが。
一応ご報告です。
おいっちょっと待て!その原稿返せ。
返せってあんたね。
元々それうちのもんだろ!あんた!何言ってんだこの野郎!亀山君返して差し上げて下さい。
面白くないから捨てたんじゃなかったのかよ!原…原!現役国交大臣の収賄だスクープだぞ!明後日の発売日には絶対間に合わせろ!
(栗又)もちろんトップはこれな!すごいぞこれ!その秘書のインタビューだよ!これ社長賞もんだなこれ!痛っ!すぐに…この原稿…打ち出します。
なんなんだよ…。
おいみんな集合!
(社員たち)はいっ。
(栗又)明後日の誌面大きく構成変えるぞ!
(社員たち)はいっ。
(指示を出す栗又の声)いらっしゃい。
これ。
390円。
はい10円お返しありがとう。
右京さん!よかったんですよね。
こうして堂島さんの記事が世に出たわけですから。
ええよかったと思いますよ。
さてと何食いましょうかね。
そうですね君に任せます。
じゃあそばで。
そばは昨日食べたじゃないですか。
2015/12/24(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒season4[再][字]
「告発の行方」
詳細情報
◇番組内容
“警視庁一の変人”だが天才的頭脳で鋭い推理をみせる杉下右京(水谷豊)と“おひとよしな熱血刑事”亀山薫(寺脇康文)の名コンビがあらゆる難事件に挑む!
◇出演者
水谷豊、寺脇康文、高樹沙耶(益戸育江)、神保悟志、羽場裕一、松重豊、川原和久、大谷亮介 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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