ハートネットTV 介護百人一首2015「冬編 その二」 2015.12.24


介護は明るく楽しくかっこよく。
全国の介護家族の皆さんご機嫌いかがですか?「ハートネットTV」昨日に引き続き「介護百人一首冬編」をお送りしてまいります。
全国から寄せられた1万3,497首の中から選ばれた100首この1年にわたって紹介してまいりました。
ゲストをご紹介します。
砂川啓介さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
砂川さん昨日も介護百人一首いろんな作品ご覧になってどう受け止められました?いや〜でも皆さんうまく作るもんですね。
あんまり短歌を作った事ないんで…。
でものぶ代さんに対する思いを思わず紙にしたためた事がありましたよね?ありますね。
それこそ焼酎片手にベッドの上で書いてるんですけどね。
だから自分の憂さを晴らす部分もある。
だって介護してて仕事一切やらないでそっちを集中してたら自分と向き合って書こうっていう事にはなるよ。
(砂川)なっちゃう。
そういう事ですか。
日記でも何でもな。
酔っ払ってるから翌日読んだら「あれ?何て書いてあるのかな?」なんて事もありますけどね。
やっぱり酒も随分…酒量も上がった?酒量っていうよりも飲まないと寝られないような状況に…。
のぶ代さんもねご覧になってますよね。
分かってほしいな。
さて早速進めてまいりましょう。
「介護百人一首2015冬編」ご覧頂きましょう。
「介護百人一首2015冬編」。
福岡県の井上順子さん78歳の作品です。
「100歳になって背中が丸くなった母はよく背中が痛いと言います。
なでてあげると喜んでくれますが『あんたの手が痛かろう』と私をいたわってもくれます」。
介護を学ぶ新潟県の柳澤秀樹さん20歳の作品です。
「福祉専門学校の学生です。
授業中に学んだ事を歌にしました」。
埼玉県の藤澤利喜雄さん96歳の作品です。
「ベテラン介護士の体操指導は山本五十六元帥の句のとおりです。
リズムに乗せて楽しく指導。
そのうまさに敬服です」。
長崎県の久田恒子さん89歳の短歌です。
「施設に会いに行くと私の子どもたちを気遣って『いいから早く帰りなさい』と言う母でしたがその目はすがりつくようだった事を忘れる事ができません」。
この町にも介護百人一首の詠み人がいます。
歌を詠んだ井上重利さん89歳と妻ヨシ子さん91歳です。
ヨシ子さんは4年前からパーキンソン病を患っています。
足がもつれる事があり転んで入院した事もあります。
孫娘2人も嫁いだので今は長男の哲男さん夫婦と4人で暮らしています。
(取材者)おばあちゃんの体の具合はどんな感じなんですか?それはですね平成21年ごろですね倒れまして骨折して。
それから転ぶ事が多なりまして増えまして。
そして3年前に転びまして入院したんですよ。
そしたら…それで頭の方が記憶力が…薬のせいか最近物忘れが多くなってきているといいます。
自分たちが今気を付けてるのはやっぱり骨折が一番…転倒骨折が一番怖いんで目を離さないようにして入院だけはさせたくないという。
矛盾してるんやけどそれだけど自分で生活できる。
夜もトイレ自分で行ってるんですけど最低限自分で動いて生活ができる状態にしておきたいと…。
パーキンソン病のためヨシ子さんは手がこわばってうまく動かせない事があります。
おばあちゃんそれもう下に置いて。
(哲男)食べれないじゃん。
食べれないよ。
おばあちゃんちょっと後で切るから。
(哲男)それ大きすぎて入らない…。
そんな時は重利さんが手伝ってくれます。
口ば開けいね。
あ〜。
ハハハハハハハハハハハハハ。
(取材者)おとうさんはいろいろやってくれますか?はい。
ヨシ子さんは大正13年生まれ。
看護婦となって鳥栖にある国鉄の診療所で働いていました。
長崎に原爆が落ちた時は救護班の一員として現場に向かいました。
重利さんは大正15年生まれです。
17歳で国鉄に入省しました。
昭和20年4月に召集されましたが宮崎で終戦を迎えました。
はあ〜…。
うちらはねその時ね「戦争が終わった」って連絡の入った時ねもう勝って勝ったんだと…。
(重利)思っとったん?うん。
それで終わったんだよって言って喜んだんですよ。
そしたら負けて終わってた。
がっかりでしたよ。
重利さんは除隊後国鉄に戻りましたが転属となり診療所の勤務となりました。
そこで知り合ったのがヨシ子さんです。
結婚したのは昭和28年です。
息子2人を育てながらヨシ子さんは看護婦の仕事を続け定年まで働きました。
今日はデイケアに行く日です。
足が言う事聞かんから…狭い所は重利さんが支えあとは歩行器を使っています。
骨も折れやすくなっているため転倒が何より心配です。
おはようございます。
(一同)おはようございます。
はい吸って〜。
吐いて〜。
鼻から吸って〜。
力ゆっくり吐きま〜す。
はい!
(一同)グーチョキキツネパー。
グーチョキキツネパー。
グーチョキキツネパー。
デイケアでは理学療法士によるリハビリが行われます。
日によって状態はやっぱり違いますけどもできるだけ体が硬くならないようにふだんから軟らかく保てるようにのお手伝いをしています。
軟らかくしてから腕の運動とかもやってそのあとに一緒にね歩きたいと思います。
重利さんの趣味は歌作り。
「NHK学園」の通信教育の短歌講座を30年以上も続けています。
「Eテレ」の「NHK短歌」も録画して楽しんでいます。
(取材者)面白いですか?あそこはああそうかそうすればいいなっていうと…通信教育の友の会で作品集を作った事もあります。
ヨシ子さんが転んで骨折し初めて杖を用意した時の歌です。
(取材者)普通の短歌と介護短歌はどう違う?そんな井上重利さんの介護百人一首です。
(取材者)そうだったんですか?それからこっちもまだ元気やったから…互いに支え合って夫婦仲よく暮らす佐賀の老々介護です。
いいね〜いい短歌だね。
杖を歌っただけにステッキですよ。
アハハハいいですね。
夫婦がお互いを介護したり支え合うっていうのは関係性を変えながら50年っていうふうに連れ添っていかれる訳ですね。
私が先に病気になっちゃって私の方が幸せよっていうのは「あんた苦労してるのがよく分かるわ。
悪いわね」っていう気持ちなんだよね。
これまできっとヨシ子さんがかいがいしくされたから今重利さんがお返しで優しく介護されてるのかもしれないですよね。
旦那はやっぱりこれは俺がやらなきゃと思ってるんですよ。
井上さんの短歌「身障の妻の散歩に付き添えば我がよろけて妻杖で止む」。
我がよろけて妻が杖で助けてくれたという。
砂川さんどうご覧になります?やっぱりねこの2人の今までずっと生きてきた連れ合いっていうようですけどそういうのがよく見えますね。
夫婦の絆みたいなものがね。
今だから夫婦っていうよりも娘っていう感覚で僕はいるんだけど…。
のぶ代さんの事を?それはやっぱり今まで51年連れ添ってきた要するにその中の栄養みたいなものが全部ここに出てきてるっていうか…。
この7〜8年だよな。
脳梗塞それから認知症と。
これが濃密なあれだろう。
時だろう今。
よくおしどり夫婦だとか何とかって言われていつも一緒にいるように見られてたけども実際にはやっぱり合ってない時の方が多かったんですよね。
だけど脳梗塞で倒れた時から「愛する」だとか「好きだ」とかそんな事よりも何かいとおしさみたいなものがものすごい強くなってきた…。
大正生まれのお二人井上重利さんヨシ子さん。
ご家族皆さんで仲よくお過ごし下さい。
すばらしいご家庭だよね。
ねえ。
いい短歌をありがとうございました。
それでは引き続き「介護百人一首2015冬編」ご覧頂きましょう。
埼玉県の高橋まさおさん68歳の作品です。
「新潟生まれの母は脳梗塞から半身不随になり特別養護老人ホームに入りました。
休みの日には話し相手になり手足を揉んでやりました」。
介護を学ぶ大阪府の中尾俊賢さん24歳の作品です。
「実習先の施設で『おはようございます』と声をかけると必ず『へへへへ』と笑う方がいました。
私も笑って返しました」。
群馬県の小林茂雄さん89歳の短歌です。
「結婚して60年近くになりました。
ともに病を抱え助け合っています。
私もやっと『愛している』のひと言が言えるようになりました」。
福岡県の中島和代さん63歳の作品です。
「自衛隊員だった父をホームから病院へ移しました。
点滴をして話す事もなくなった時父の手の指が長い事にふと気が付きました」。
高知県の竹香澄さん78歳の作品です。
「認知症の進んだ夫は自分の名前も思い出せない時があります。
でも突然正気に返ったような事を聞きます」。
この町に住む矢野博子さんの短歌も介護百人一首に選ばれています。
歌を詠んだ矢野博子さんと夫の香さん。
そして香さんの母サダコさん100歳です。
12…はい。
12…はいよいしょっと。
サダコさんは転んで骨折した事もあって最近は家の中でも車椅子を使っています。
4〜5年前から物忘れも多くなり時折幻覚も見る事もあるといいます。
(取材者)100歳なんですよね?100歳。
100歳過ぎてます。
来年の3月来たら101歳。
(取材者)3月で101歳?はい。
元気な顔してるでしょ?お母さん元気な顔しとるってよ。
うん。
家内がやっぱり看護師しよったんでねおふくろがこんだけ元気でぼけんとこれるのはやっぱり家内が結構介護してくれるけんね。
あんまり僕とはそう物言わんけんど家内が通訳みたいなそんな感じでね。
お母さんお母さん。
うん?これは?もう今日はいらんの?もういらん。
(香)やっぱり前ほどは食欲が減った…。
サダコさんは大正4年に生まれました。
結婚したのは昭和15年。
24歳の時です。
夫の守さんと2人で着物をほどいて洗い反物の形に縫い直して仕上げる洗い張りの仕事をしてきました。
その守さんはサダコさんが62歳の時に亡くなりました。
クリーニングですね。
今現代でいったら。
洗い張り湯のしいうて昔は着物がよう着よったんでね。
今は呉服屋さんも少ななったけど。
なので皆服をクリーニングしてもう一回仕立て直すんですかね。
縫い直したりとかほんでまた新たに子どもにしてやったりとかねあんなんです。
そういうのをずっと仕事をしよったんです。
一方博子さんは昭和25年にお隣の西条市で生まれました。
実は双子の姉妹です。
中学を卒業すると2人そろって看護学校に進み准看として働きながら定時制高校を卒業。
高等看護学校を経て姉妹で正看護師になりました。
博子さんと香さんが結婚したのは昭和53年。
博子さん28歳香さん30歳の時。
結婚して1年だけは2人で暮らし翌年からサダコさんと同居する事にしました。
子どもはいなかったので旅行に行く時もいつも3人一緒でした。
「今回はお母さん2人で行ってくるから」言って行った事あるんですよ。
その時すごい何かお母さんさみしそうにしてて「ああかわいそうな事したなあ」と思ってそれからまた3人で行く事にしました。
今日はサダコさんのデイサービスの日です。
おはようございま〜す。
ああおはようございます。
よろしくお願いします。
お世話になります。
デイには週4回通っています。
サダコさんはデイサービスでも明るく過ごしています。
あっ今日もきれいに塗ってきとるねこれね。
娘さんしてくれるの?いいや嫁さん。
お嫁さんが?きれいにしてはるね。
こんなん…きれいにしとったらええんよいつまでも若うにの。
それはサダコさんもええけんよ。
678…。
博子さんの双子の妹恵美子さんはすぐ近所に住んでいるのでよく遊びに来てくれます。
手またお母さん塗ってあげる。
今日はねどんなのする?双子の姉妹はいつもこうしてサダコさんにおしゃれをしてくれるのです。
は〜い。
ほんでちょっとね乾かすね。
(恵美子)どう?フフフフフ。
そんな矢野博子さんの介護百人一首です。
これからも仲ようしようね。
はいはい。
お願いします。
お願いします。
いや〜おしゃれはいいんだよ。
おしゃれは100になっても200になってもおしゃれはいいね。
「『これ似合う?』白寿の姑が手を差し出しピンクのネイルで今を楽しむ」。
「これ似合う?」って。
白寿からもう101歳になろうというサダコさんですよね。
これは情景が目に浮かぶよな。
あのね褒めてあげるって事とかそれから「きれいだね」とか言ってあげるのはねもう如実に反応があるね。
褒めるとのぶ代さん変わります?うん。
その瞬間だけですけどね。
すぐ忘れちゃうから。
だけどすごい喜んでます。
この本の写真ねこれうちで撮ったんだけど最近撮ったやつなんだけど化粧なんかふだん全然しないんだけどちょっと口紅入れたりねなんかしたら途端に女優に戻りましたね。
もう一回映してくれる?これ。
これ見てご覧なさい。
これは砂川啓介が介護されてるような…。
(笑い声)立ってるのがのぶ代さんですね。
何か月前だったら砂川啓介はこんな笑って出られないよ。
そういう状態じゃなかった。
なあ?もう自身も笑顔が多くなったりしてね…。
だからなかったよな。
砂川さんこちらのエッセーにものぶ代さんに宛てたメッセージをお書きになっていますので…。
「たとえ君が全てを忘れてしまったとしても俺が必ず覚えている。
そしてこれから先もずっと君の笑顔は俺が守っていくから」。
こうやって啓介と俺が2人でテレビに出るっていうのは初めてだったけどこれも大山のぶ代のおかげじゃないか?そういう事になるね。
そうだよ。
そうだよこの本を書けたのも大山のぶ代のおかげだよな。
だから認知症になったって事はつらい事だしこれからも長い人生だけれどもやっぱりそれとうまくつきあってプラスに考えていかないと。
そう思うね。
本当ですね。
ありがとな啓介。
いえいえ。
砂川さんがきっとみんなのね介護する人の光になると思いますよね。
なる。
という事で昨日と今日にわたってお送りしてまいりました「介護百人一首」ですけれどもこれで2015の100首は全て紹介し終えたという事になります。
全部紹介できた?全部紹介しました。
次回は2016という事で新たな100首ただいま選考中ですので発表は来年という事になります。
次回は来年2月にまた皆さんお会いしましょう。
砂川啓介さんありがとうございました!ペコによろしくな。
大山のぶ代さんもありがとうございました!皆さんもまた来年ご覧下さい!2015/12/24(木) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 介護百人一首2015「冬編 その二」[字][再]

介護にまつわる出来事や思いを詠んだ「介護百人一首2015」今回は冬編その二 身障の妻の散歩に付き添えば我がよろけて妻杖で止む ほかの短歌をご紹介します。

詳細情報
番組内容
介護する人される人、日々の介護生活の中でふと心に浮かんだこと、ある出来事の情景を詠んだ「介護百人一首」今回は冬編その二。佐賀県の井上重利さんの歌 身障の妻の散歩に付き添えば我がよろけて妻杖で止む 体の不自由な妻の散歩に付き合いました。私がよろけると妻が発止と杖で私を助けてくれました。私も気持ちほどの体力はありませんでした。ほかの歌を。介護のつらさ、喜び、そして優しさ。介護短歌の心に触れて下さい。
出演者
【出演】砂川啓介,【司会】毒蝮三太夫,小谷あゆみ

ジャンル :
福祉 – 障害者
福祉 – 高齢者
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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