(城戸充)随分変わっちゃったねこのあたりも。
えっ…ああそうですね。
13年ぶりなんだ。
そうですか。
刑務所にいたもんでね。
えっ…!今朝出てきたとこ。
人を殺してね。
あっ…そ…そうですか。
その罪を償ってきたとこ。
あっこの辺だ。
そこでいいよ。
(運転手)あっはい!はい釣りはいらないから。
あっありがとうございます。
あああー!
(犬の吠える声)
(宮部たまき)急な話ですけれど…。
(杉下右京)あなたはいつも急です。
僕と別れた時も急でした。
(たまき)思い立ったら吉日って思っちゃうんですよ。
お店をたたんでどうするつもりですか?まずはお遍路にでも行ってそれから日本全国を回って見聞を広めて…。
世界一周なんていうのもいいですね。
止めても無駄ですよ。
わかってます。
しかし今後僕はどうしたらいいんですかねえ?はい?例えば食事など…。
右京さんもう子供じゃないんですから。
…なるほど。
(大河内春樹)城戸充覚えてるか?
(神戸尊)城戸ね覚えてますよ。
昨日出所したそうだ。
あ〜みたいですね。
その足で自殺した。
新聞で読みました。
実は遺書が見つかってな。
遺書?背広の内ポケットに入ってたそうだ。
「俺は断じて殺してない」「俺は警視庁の神戸尊を絶対に許さない」扱いに困って所轄から回ってきた。
どうする?この場で握りつぶした方がいいか?無論当局がそれを根拠に動くつもりはない。
無視するというならそうしよう。
だがもしお前が検証したいと言うんならその遺書はお前に預ける。
無視してください。
そうか。
わかった。
急に飯でも食おうなんて言うから何かと思ったら…。
ごちそうさまでした。
やっぱり預かります。
おかえりなさい。
あっただいま戻りました。
ちょっと待っててくださいね。
えっ?これを飲み干すまで。
あの…。
今しがた大河内さんから連絡がありましてね君に協力してやってほしいと。
出かけるというのならばお供しますよ。
ちょっと失礼します。
検証してみる気になったのならば杉下警部の協力を仰がない手はあるまい。
何しろ…。
(大河内)「お前よりもこういう事には長けてる」もう…余計な真似しないでくださいよ。
以上!全くの逆恨みです。
恨まれる筋合いなんてこれっぽっちもない。
殺人事件とは直接接点のない部署にいた君がなぜ殺人犯に恨まれるのでしょう?だから恨まれる筋合いは…。
全くありませんか?名前は綱嶋瑛子。
銀座の画廊に勤めてる子でした。
通っていたスポーツクラブで知り合ったわけですね?はい。
知り合って3か月くらいした頃だったかな相談があるって言うんで…。
(綱嶋瑛子)実はしつこい男がいるの。
付きまとわれてて困ってる。
ねえ今夜仕事終わったら食事でもどう?何度も言ってるようにそういうのほんと困るんで。
それが城戸充でした。
いわゆるストーカーですよ。
しかし綱嶋瑛子さんはどうして君にその相談を?最初は交番にとび込んだらしいんです。
でも取り合ってもらえなかった。
ほら当時のストーカーに対する警察の認識って事が起こったらいらっしゃいって感じだったでしょ?で困り果てて僕に…。
あっ僕が警視庁勤務だって事は明かしてましたから。
警備部警備第一課警備情報第4係でしたね確か。
はい。
で注意したんですよ城戸に。
なんですか?瑛子の友達。
色々話聞いたよ。
とにかくさ迷惑だって言ってんだから。
はぁ…あいつから何聞いてきたか知らないけど俺真剣なんだよ。
このスポーツクラブだって彼女に近づくために入ったんだろ?これ以上付きまとうと厄介な事になるよ。
わかった。
引き下がったかに見えたんですけどね。
今度は彼女に嫌がらせをするようになって。
ドアの鍵穴に接着剤を流し込んだり郵便受けにゴミを入れたりそういった類の嫌がらせです。
彼が犯人だという証拠はあったんですか?度重なるいたずらに辟易した彼女が仕かけた隠しカメラに城戸の犯行がバッチリ…。
ならば警察へ届ければ今度は警察も動きますね。
警察沙汰も考えたんですけどねまあ相手も普通の会社員ですしいきなりそれも可哀想かなと思って…。
(城戸)なんだよ。
本物だよ。
これが最後通告。
もしまた瑛子になんかしたら今度こそ警察沙汰にするからな。
立派な会社勤めてるじゃない。
システムエンジニアなんでしょ?警察沙汰なんかになったらオジャンだぜ?すいませんでした。
その時城戸は本当にビビってたし反省したと思ったんです。
ところがそのあと城戸充は綱嶋瑛子を殺しました。
しかも何を思ったのか僕に助けを求めてきた。
(城戸)「こんな事頼めた義理じゃない事はわかってる」「でも他に頼るとこがないんだよ」わかった。
とにかく会おう。
おたくに2度目の注意受けたあと彼女に近づいてないよ本当だよ。
それが…突然殺人犯だなんてさ。
無実なら胸を張って出頭すればいい。
えっ?間違いならばすぐに解放されるさ。
なあどうして任意同行を求められた時素直に従わなかったんだよ。
逃げ出したから指名手配されてるんだぞ。
だから言ったろ!俺が犯人だって決めつけてるんだってば。
捕まったら最後俺は犯人にさせられちゃうよ。
一緒に行ってやるから出頭しよう。
もういい。
頼まないよ。
(酒井光男)城戸充だな?あんたに殺人容疑で逮捕状が出ている。
(刑事)17時20分確保!だましたな!本当に無実なら何も恐れる事はないだろう?さあ来い!城戸充はそれを恨みに思っていたのでしょうかねえ?俺のした事って間違ってますか?それで恨まれたとしたらまさしく逆恨みじゃないですか。
まあその議論はいったん置いておくとして僕が気になっているのは城戸充が冤罪を訴えている事の方ですよ。
殺人犯として服役してその罪の償いを終えてまでなお自分は殺していないと主張している。
しかし城戸充は適切な捜査によって被疑者として逮捕され公明正大なる裁判によって殺人犯と認定された。
本当にそう思っていますか?…思ってました。
はい?当時はね。
まだ新人に毛が生えた程度の警察官だった僕は心の底からそう思ってました。
しかし今は違う。
(ため息)だから検証する気になったんです。
(小森俊幸)模範囚だったらしいですよ。
宮城刑務所に問い合わせてみました。
懲役17年でしたが15年でシャバに出られた。
あっどうぞお茶…。
恐縮です。
いただきます。
単なる自殺なんですがね妙な遺書が出てきちゃったもんだから…。
神戸さんでしたっけ?え?あっはい…ええ。
じゃあおたくだ。
ホトケさんに恨まれてるっていうのは。
あの…遺体はご遺族が引き取られたんですか?ええゆうべね。
(小森)いや〜気の毒で見てられなかったなぁ。
年老いたおふくろさんがたった一人でね。
泣きわめくでもなくただじーっとね。
息子の顔をただじーっと。
城戸充はなぜここを死に場所に選んだのでしょう?さあ…。
あれ?この住所確か綱嶋瑛子のマンションです。
間違いない。
ここです。
縁もゆかりもない場所で死んだのではないようですね。
めまいのしそうな高さです。
飛び降りるには相当勇気がいったでしょう。
生半な気持ちではとても実行出来ません。
ええ。
「俺は断じて殺していない」はい?生きてそう訴えたらどうだったでしょう?まあ誰もはなも引っかけないでしょうね。
死ぬよりほかなかったのでしょうかねえ。
そうですか裁判を傍聴に…。
はい全てじゃありませんけど。
(大森誠志郎)先ほど検察官より起訴状の朗読がありましたが公訴事実について何か意見はありますか?全てデタラメです。
私は人を殺してなんかいません。
(どよめき)お友達が殺されたのですから犯人と目される人物の裁判を傍聴したくなって当然ですね。
いやあの…証人としても出廷しました。
(釜田千也)「覚えてろいつかひどい目に遭わせてやるからな」被告人は綱嶋瑛子さんに対してそう脅したわけですね?はいそのように聞きました。
綱嶋瑛子さんご本人からですね?そうです。
それはあなたが2度目の忠告をしたあとですか?あとです。
確か2〜3日あとです。
綱嶋瑛子さんはどんな様子でしたか?ひどく怯えていました。
なるほど。
検察側の証人ですか…。
いずれにしても当時の捜査資料が見たいところですね。
さすがに当時の捜査資料は無理ですけど公判中に提出された証拠資料なら東京地検に保管されてるはずですよ。
まあ簡単に閲覧出来ませんけど。
事件が終局して3年が経過したものについては原則裁判書以外は閲覧不可です。
(池上慎二)さあどうぞどうぞ。
警視庁の杉下です。
神戸です。
お久しぶりです。
覚えてますか?
(池上)覚えてますよ。
その節はどうも。
さあどうぞ。
すみません。
城戸充の件ですか?よくおわかりで。
新聞に城戸の記事が出てましたからね。
いささかセンセーショナルな死に方でしたからね。
正直言うとゆうべまで忘れてたんですよ。
(池上)城戸の事も…もちろん神戸さんの事もね。
記事を見て思い出したところに神戸さんが現れた。
城戸の件以外ないでしょう。
だけど今さら城戸の件と言われてもねえ…。
一体なんでしょう?当時警視庁で事件を担当したのは酒井さんと池上さんでしたよね?私はまだ新米刑事だったので酒井さんにくっついてただけですけどね。
で何が聞きたいんですか?あれほど犯行を否認していた城戸からどうやって自白を引き出したんですか?取り調べを主導してたのは酒井さんなんで酒井さんがうまく引き出したんだと思いますけど。
実はこちらへおじゃまする前に東京地検に寄りまして裁判書を閲覧してきたんですよ。
それによると城戸充は公判で一転して犯行を否認自白は強要されたものだと主張したようですね。
でも服役したわけだから城戸の主張は裁判所で認められなかったわけでしょ?つまり取り調べに問題はなかったという事ですね。
ところでどうして警察をお辞めに?えっ?事件の翌年あなたは警視庁をお辞めになってますね。
もともと私立探偵がしたかったんです。
大学を出てすぐ私立探偵よりも警察官をやってからの方が箔がつくでしょう?警察官は腰かけのつもりでした。
じゃあ私からも質問していいですか?お二人が過去の事件をほじくり返してる理由はなんぞや?城戸は冤罪だったかもしれない。
ほう…。
してその根拠とは?いやまだ明確な根拠があるわけじゃありません。
ですから今当時の関係者にあたっているところです。
残念だけど私はお役に立てそうもないな。
他をあたってみたらどうです?もちろんそうするつもりですよ。
じゃあこのぐらいでよろしいですかね?ああ…もう1つだけ。
先ほどここへ来る途中東京地検に寄ってきたと申し上げましたがそこで益子さんと釜田さんの事もお聞きしたんですよ。
覚えてらっしゃいますか?益子さんと釜田さん。
あぁ…益子さんというのは益子検事の事かな?ええ当時送検された城戸の取り調べを行った益子英彦検事です。
ならば…釜田さんというのは公判を担当した釜田検事の事ですね。
そう釜田千也検事。
お二人ともすでに退職されてました。
あなたと同様事件の翌年に。
へえ…。
でお二人はその後何を?お二人とも弁護士をなさっているそうですよ。
益子さん!
(益子英彦)釜田君じゃないか。
どうもご無沙汰してます。
1人?いえちょっと人と会う約束で。
益子さんは?いや僕も待ち合わせなんだけどね。
お待たせしました。
警視庁の杉下です。
神戸です。
どうも。
釜田君が一緒なんて聞いてなかったよ。
私の方もだ。
アポを取る時申し上げなかったんですか?言いそびれました。
でも特に不都合はありませんよね?では早速…電話で申し上げたとおり城戸充の事件の事についてなんですが…。
だから電話でも言ったとおりねあまり記憶にないんだよ。
15年も前の事件だからね。
いやこの一晩で何か思い出していただけたらなと期待してたんですけど…。
個々のケースについていちいち覚えとらんよ。
送検されてきた時城戸は犯行を認めていたんですか?確かそう思ったよ。
供述調書に特に不備はなかった?起訴したんだから不備はなかったはずだよ。
ところが公判になると一転城戸は供述を翻して犯行を否認したんですよね?よくある事だよ。
往生際が悪いんだな。
(釜田)だから裁判所も有罪判決を出したんだ。
君だって証言に立ってくれたんだからわかってるだろう?城戸充の事件の翌年あなた方は揃って検事職をお辞めになってますね。
ちょっと待ってくれ。
そういう質問の仕方は不適切だ。
私はことさら城戸事件の翌年に辞めたわけではない。
たまたまタイミングがそうだっただけだ。
同様に釜田君と示し合わせて辞めたわけでもない。
揃って辞めたという表現はおかしい。
なるほど。
ちなみにどういう理由でお辞めになったんでしょう?端的に言ったら金だね。
検事の給料は安いからねえ。
同じ法曹界にいるのに弁護士は儲けとる。
(釜田)そのとおり!
(益子)それより城戸事件が冤罪だったという根拠を教えてもらおうか。
そう!そのために忙しい時間を割いたんだ。
根拠など特にありませんが。
何!?アポを取る時そんな事を申し上げたんですか?…言ったかな?
(釜田)言ったよ!君。
あっ口が滑ってしまってそのような事を言ってしまったかもしれません。
誤解させたならば謝ります…。
もういいね。
ああ…。
あと1つだけ。
城戸事件の第一審で有罪判決を下した大森誠志郎判事が調べましたらやはり判事を辞めてらっしゃるんですよ。
しかも事件の翌年です。
刑事が1名検事が2名判事が1名…。
当時の関係者のうち都合4名が同時期に揃って職を辞してらっしゃるんです。
偶然だろ。
そうでしょうか?偶然だよ…!偶然でしょうかねえ…。
(大森)現在の憲法の根幹すなわち民主主義が形成されたわけだ。
今日はこのぐらいにしとこうか。
お忙しいところ恐縮です。
警視庁の杉下と申します。
神戸です。
話す事などないと申し上げたじゃありませんか。
どうしてもお目にかかりたかったものですからね押しかけてきてしまいました。
だから…城戸なにがしなんて記憶にないんだってば。
全くですか?判事時代何件のケースを扱ってきたと思ってるんだ。
先生はなぜ判事をお辞めになったんですか?ん?前々からお誘いを受けててねえ。
のんびり大学で教鞭を執るのも悪くないかなと思って。
お辞めになったのは確か城戸事件の翌年…。
なんだ!?お前は…。
は…?城戸なにがしなんて知らないって言ってるだろう!くだらん事言うなよ!帰ってくれ。
話す事はない。
失礼。
ちょっとよろしいですか?
(磯村菜々美)どうぞ。
15年も前の事件ですから詳細はご記憶にないかもしれませんけど…。
いいえよく覚えてますよ。
え?当時あなたは左陪審を務めてらっしゃったんですよね。
ええ判事補の頃です。
裁判長が大森判事。
大森さんには先ほどお目にかかってきました。
そうですか…。
お元気そうでした?ええのんびりやっておられるようですよ。
当時右陪審を務めてらっしゃった町田務判事にもお話を伺いたかったのですが…。
確か今海外研修中だったと思いますけど。
ええそういう事だったのであなたのところへ。
あの…さっき事件の事をよく覚えてるとおっしゃいましたけどそれはなぜですか?大森さんは「記憶にない」の一点張りでしまいには怒鳴られましたよ。
かんしゃく持ちなんです大森さん昔から。
一昨日の自殺で何かあったんですか?出所してすぐに自殺したでしょ?新聞で読みました。
どうやら城戸事件に特別な感慨をお持ちのようですねえ。
実は城戸事件は冤罪だったんじゃないかと。
どうぞ。
あっ…。
あっすみません…。
どうも。
どうして冤罪だと思うんですか?いやまだ…明確な根拠があるわけじゃないんですけどね。
そうですか。
じゃあ…当時の私と一緒ですね。
ん?それはつまり…どういう事ですか?私も明確な根拠はありませんでした。
けど当時…有罪判決を下しちゃいけないような気がしたんです。
しかし有罪判決が下されてますね。
単なる心証でしたからね。
被告人の犯行を示す証拠もありましたし。
一番下っ端の私には大森判事と町田判事を説得する事は出来ませんでした。
あぁ…!あっ思い出した。
え?当時証人に立ちませんでした?あっはい…立ちました。
ですよねえ。
なんか見覚えがあったんで…。
他にも当時の記憶を色々と呼び起こしてもらえると助かります。
どうぞなんでも聞いてください。
覚えている事はお答えします。
(菜々美)綱嶋瑛子さんの遺体は平成8年3月10日午後9時を回った頃被害者宅で発見されました。
撲殺でした。
ブロンズ像で頭部を殴打されていました。
(菜々美)凶器のブロンズ像から城戸充の指紋が検出されてそれが城戸の犯行を示す証拠として採用されたんです。
そのブロンズ像は元から部屋にあったものでしょうか?城戸充からの贈り物だったようです。
贈り物?迷惑をかけたお詫びの印として綱嶋瑛子さん宅へ宅配便で届けたものだったようです。
宅配便…なるほど。
遺体の第一発見者は誰だったんでしょう?
(菜々美)被害者の友人の女性とマンションの管理人です。
(若林晶文)綱嶋さん。
名前は覚えてますか?染谷由香恵さんと若林晶文さんです。
染谷さんが綱嶋瑛子さんの友人で若林さんがマンションの管理人です。
(若林由香恵)すみません…主人は今ちょっと手が離せなくて…。
大変でしょうねえデイトレーダーって。
(由香恵)ほとんど部屋にこもりきりです。
(由香恵)そういうのが苦じゃない人なので本人はどうって事ないんでしょうけど…。
ごめんなさい。
お茶淹れますね。
いえ結構。
それよりお話しを…。
わかりました。
どうぞ。
クッソ…!若林と知り合ったきっかけは瑛子の事件でした。
第一発見者のお二人がそのあと結婚なさったって知ってちょっと驚きましたよ。
事件直後から色々心配してくれたんです。
あの…警察の人が発見時の状況をもう少し詳しく聞きたいって言ってるんですけど…。
あっ…もう少しあとにしてもらいましょうかね。
いえ…大丈夫です。
ああ急がなくても大丈夫ですよ。
まだ現場検証かかりそうだし。
コーヒー淹れます。
飲んでからにしましょうよ。
じゃあお酒を…。
え?お酒ください。
そうだよねえ…!少しぐらい飲まなきゃいられませんよね。
安酒しかないけど待ってて。
(由香恵の声)気落ちしてるのを励ましてくれたりして…。
気がついたら恋が芽生えていた。
そうですね。
綱嶋瑛子さんとはいつ頃からご友人関係だったのですか?彼女とは短大で知り合って…同級生でした。
2千万やられたよ。
誰?警察の方よ。
警察?言ったじゃない…。
警視庁の杉下と申します。
神戸です。
どうも。
警察が何?すみません!仕事中は生返事するものですから…。
瑛子の事件の事でいらっしゃったの。
すみませんねえお仕事中。
ああいや…。
2千万円やられたとおっしゃってましたが2千万円損失を出したという意味ですか?まあそう…。
なあお茶くれよ。
でも今…。
あっ構いませんよ。
じゃせっかくですから僕たちもいただきます。
大した事ないよ2千万ぐらい。
すぐ取り戻す。
所詮博打だから勝ったり負けたり。
でも負けてたらこんな家住めませんよね。
綱嶋さんの事件がどうしたの?もう何年前だろう?15年前です。
平成8年3月10日。
その頃あなたは綱嶋瑛子さんの住んでらっしゃったマンションの管理人さんをなさってたんですよねえ?あんまり思い出したくないなああの時の事は。
なぜですか?
(若林)冴えない時代だったから。
何やってもうまくいかないしさあ。
しかし今はこうして…成功なさってる。
ねえ綱嶋さんの事件を今さらどうして?城戸充が自殺した事はご存じですよねえ?知らない。
あれ…新聞に載ってたのを見ませんでした?新聞は主にテレビ欄と株式欄だけ。
城戸充の事は…覚えてらっしゃいますか?綱嶋さんを殺した犯人でしょ。
自殺したの?
(由香恵)言ったじゃない…。
一昨昨日だったかしら…マンションから飛び下りたんですって。
どうぞ。
いただきます。
冤罪の疑いがあるんですって。
冤罪?つまり城戸充は綱嶋瑛子殺害の犯人じゃなかったかもしれないという事です。
じゃあ犯人は誰?その解明も含めて今当時の関係者をあたっているところなんですよ。
あの日…瑛子とは渋谷で待ち合わせてたんです。
でも約束の時間になっても現れなくて電話しても出ないし…。
それで瑛子さんのご自宅へ行ったわけですね。
外から見たら部屋の電気がついてたんで…。
(由香恵の声)なんだかちょっと心配になってしまって…。
当時管理人だった若林さんを呼んだわけですね。
(由香恵の声)そうです。
綱嶋さん?入りますよ。
綱嶋さん。
そして瑛子さんの遺体を発見した。
何か他に印象に残ってる事はありませんか?印象っていったって…綱嶋さんの遺体が強烈に印象に残ってるね。
殺された人間を間近で見るのは初めてだったから。
やめて…そういう事言うの。
聞かれたから答えただけだよ。
すいません…つらい事を思い出させてしまって。
いえ…。
あの…話は変わるんですけど…。
この絵…。
はい。
ひょっとして綱嶋瑛子さんの部屋に飾ってあったものじゃないですか?
(由香恵)その絵は瑛子からもらったんです。
今では形見になってしまいましたけど。
やっぱり…。
なんか見覚えがあったんで。
うーんどこがいいんだかわかんない。
そう?何が描いてあるのかさっぱりだもんな。
そこがいいのよ。
部屋に上がるほど親しかったわけですね?あっ勘ぐらないでくださいね。
ガールフレンドの1人です。
まっそれはさておき…。
綱嶋瑛子さん殺害後犯人はどこから逃走したのでしょうね?…え?若林夫妻の証言によると玄関の鍵は締まっていた。
つまり犯人はわざわざ戸締まりをして逃走をしたかあるいは玄関以外の場所から逃走したという事になりますねえ。
玄関以外なら窓しかないでしょう。
2階だから逃走も不可能じゃない。
捜査資料があればそのあたりもはっきりするのですがね。
(角田六郎)おっ戻ってきた。
お帰り。
お待ちかねだよ。
そのようですねえ。
こりゃあ皆さんお揃いで。
(芹沢慶二)どうだ!
(三浦信輔)ああ!我々にご用ですか?相変わらずの物言いですなあ。
どうぞご用件を承りましょう。
(伊丹憲一)冤罪事件を調べてるそうですね。
冤罪!?ほんとか?よくご存じで。
収穫ありましたか?
(角田)あったのか?課長いちいち合いの手は結構です。
そうか。
まだめぼしい収穫はこれといってありません。
本当に?何しろ捜査資料がないものですからねえ。
隔靴掻痒の感が否めませんよ。
ちなみにどこからその情報を?それより城戸充の遺書とやらを見せてもらえませんか?遺書ってなんだよー。
死んだ人が書き残したものですね一般的には!わかったよ…戻りゃいいんだろう?まあ…頑張れ。
(三浦・伊丹・芹沢)お疲れさまでした。
池上さんから問い合わせがありましたか。
彼は捜査一課OBですからね問い合わせぐらい苦もなく出来る。
そこで我々の動きを知ったあなた方はとりあえず城戸充の自殺を担当した平井警察署へ問い合わせをしてみた。
そして担当刑事から城戸充の残した遺書について聞いた。
彼は見るからに口が軽そうでしたからねえ。
遺書の事をすぐ教えてくれるはずです。
まあおおよそ…そんなところでしょうかねえ。
さすが杉下警部。
相変わらず見てきたような推理を披露しますねえ。
皆さんは城戸事件を覚えておられますか?言われて思い出す程度ですよ。
よその班の担当事件でしたから。
城戸事件を担当したのがその池上さんともう1人酒井光男さん。
もう鬼籍に入られてますが酒井さんについては覚えてらっしゃいますか?そりゃあもちろん!俺らがまだぺーぺーの頃の大ベテランですからね。
そっか…思い出した!城戸事件ってのは酒井さんの最後のヤマだぜ。
そうだったか?なるほど…最後のヤマですか。
確か定年を目前に控えてた時です。
早期解決に執念燃やしてたの覚えてますよ。
その執念が誤った結論を導き出したという事も考えられますねえ。
つまり冤罪を作ってしまった…。
酒井さんお客様ですよ。
(酒井幹子)うちでは一切仕事の事は話しませんでしたからね。
でしょうね。
事件が起こると解決するまで時々身の回りのものを取りに戻るぐらいで…。
ご主人が最後に担当なさった事件を覚えておいでですか?ああ…もう15年も前の事件ですけど。
ご心配なく。
年寄りは昔の事の方がよく覚えてるわ。
平成8年江戸川区のマンションで若い女性が殺された事件ですね。
被害者の女性は綱嶋瑛子さん。
そして犯人は城戸充。
ちょっとお部屋にいらっしゃいません?どうぞ。
えーっと…。
あちらに。
あっはい。
結構よ。
ああ…はい。
種明かしをするとこれなんですよ。
これを読んでたから覚えてるだけ。
失礼。
あっ…。
どうしてこれを?主人の最後の事件なので…記念に持ち帰ったのかしら?ううん…違うわね。
きっと何か心残りがあったのよ。
(幹子)しょっちゅうこの資料を見てた。
心残りですか…。
私が勝手にそう思うだけですよ。
主人はなんにも言いませんでしたから。
(米沢守)確かに当時の捜査資料ですなあ。
もちろん原本ではなくコピーですが。
ええ。
えっと…。
(米沢)「平成8年3月9日午後10時過ぎだったと思います」「私は綱嶋瑛子さんのお宅を訪ねました」「直接お詫びがしたくて伺ったと言うと綱嶋瑛子さんは部屋に上げてくれました」「部屋には前に私が送ったブロンズ像が飾ってありました」「お詫びがしたいというのは嘘でした」「私は綱嶋瑛子さんを殺すつもりでした」「私はとっさにブロンズ像を凶器に使いました」「首を絞めて殺すつもりでしたが素手で首を絞めるよりもいいと思ったからです」
(米沢)「綱嶋瑛子さんの頭を何度も殴り彼女を殺害した私は次に部屋の鍵を探しました」
(米沢)「机の引き出しに合鍵がありましたのでそれを持って私は部屋を出ました」
(米沢)「私は玄関をきちんと締めて逃走しました」「なぜわざわざ鍵を締めたのかというと少しでも遺体の発見を遅らせたかったからです」一応玄関の鍵が締まっていた理由は述べられているようですねえ。
でも極めて不自然ですよ。
ええ部屋の鍵を探すのならばまず綱嶋瑛子さんのバッグの中を探しそうなものですよねえ。
こんなに目につく場所にあったのですから実際バッグの中には綱嶋瑛子さんが日頃使っていた鍵があったようですし。
ところが城戸充はバッグを素通りしてわざわざ机の中から合鍵を発見してます。
綱嶋瑛子さんがいつも使っていた鍵は部屋の中にあったのに犯人逃走後玄関の鍵が締まっていた。
その理由を無理やり作ったとしか言えませんねえ。
その証拠に部屋から持ち去った合鍵を城戸が所持していなかった理由としてこのように述べてますね。
「合鍵をいつまでも持ってるのは危険だと思い私は鍵をゴミ収集車の中に投げ入れました」結局城戸が部屋から持ち出したとされる合鍵は発見されてませんね。
ゴミ収集車が相手ですからね。
最終的に行き着く先は夢の島。
鍵が発見出来なくても仕方ない理由をこしらえたんですよ。
指紋がついていた凶器を部屋に残したまま逃走した理由についてはこのように述べてますねえ。
「途中で凶器を部屋に残したままだった事に気づきました」「とっさに用いた凶器だったのでうっかりしていたのです」「指紋がついているのでやばいと思いましたがもうどうする事も出来ませんでした」残念ながら典型的な作文と言わざるを得ませんなあ。
警察が現場検証で得た事実とつじつまが合うように被疑者の供述を誘導した。
最も疑問に思うのは綱嶋瑛子さんが簡単に城戸充を部屋に引き入れている点です。
部屋に上がらせたりはしないと思いませんか?相手が相手ですからね。
ええ。
思いがけず捜査資料が手に入りましたが…。
さてどうやって城戸の冤罪を証明しましょうかね。
真犯人を見つけますよ。
それこそ冤罪を証明する最上の手段ですからねえ。
確かに…。
だからどうやって?この供述調書が警察の誘導によるデタラメだとします。
はい。
となれば城戸充が綱嶋瑛子さんを訪ねたのも嘘なら彼が撲殺した事も当然嘘。
部屋で合鍵を探した事もその合鍵をゴミ収集車に投げ入れた事も嘘です。
はい。
がたった1つだけ本当の事が書かれています。
指紋のついたブロンズ像。
ご名答。
この城戸充の指紋のついたブロンズ像これが凶器であり部屋にあった事は紛れもない事実です。
まあそこを起点に調書を作成したんでしょうから当然ですよね。
このブロンズ像は城戸充からの贈り物でしたねえ。
はい。
宅配便で綱嶋瑛子さんの元へ届けた。
そうです。
その点に着目すると僕にはちょっと違った景色が見えてくるんですよ。
違った景色?ええ。
(若林)俺が?城戸充から届いた荷物を預かって綱嶋瑛子さんに届けた。
そんな事はありませんか?ないね。
なんでそんな事を聞くの?もちろん城戸事件の冤罪を証明するための重要なポイントだからですよ。
そんな事で何がどう証明出来るのかわかんないな。
ところで損失の2千万は取り戻せましたか?余計なお世話だね。
ああ失敬。
しかしお父様は色々ご心配のご様子でしたよ。
親父に会ったのか?ここへ来る前にお目にかかってきました。
(若林文悟)あいつの事なんか知らないよ。
もう長い事会ってないんだ。
家にも寄りつかないしね。
ちなみに最後にお会いになったのはいつ頃ですか?さあいつだったかなぁ…。
借金の清算に来たのが最後だったから…。
えっ借金の清算?何かっていうと親から借金して生活してたんだよあいつは。
その借金を返しに来たんですか?利子も込みだって1千万円置いてった。
お父様のご記憶によればあなたが借金の清算に見えたのは平成9年の年末頃だったそうですね。
景気よくポンと1千万円置いて帰ったそうですね。
株で儲けたんだよ。
ええお父様もそのように聞いてるとおっしゃってました。
ちなみに平成9年といえば城戸事件の翌年ですねえ。
(舌打ち)だからなんだよ?株で儲けるには当然元手が必要です。
ましてや1千万単位で儲けを出そうとすれば相当額の元手が。
当時のあなたはその元手をどうやって工面なさったのでしょうかねえ?例えばどこからか大金の転がり込むような事でもあったのでしょうかね?ねえもう帰ってくれるかなぁ?こんな風に押しかけられると迷惑なんだよね。
由香恵お客さんお帰りだよ。
由香恵!
(由香恵)はい。
(足音)
(若林)もう家に上げるなよ。
おじゃましました。
すみません。
いえ。
「瑛子」っと。
まあこんなもんですかね。
どうもありがとう。
君お上手ですねえ。
いや…。
池上さん益子さん釜田さん大森さんこの4名が事件の翌年退職しています。
全員が平成9年3月末付けで辞めてますね。
なぜでしょう?なぜって…どうせ自分の中では答えが出てるんでしょう?皆さん一時的にお金が必要だったのではありませんかね。
しかもそれなりにまとまった金額が。
退職金ですか?ええ。
ではなぜ退職金が必要だったのでしょう?言い換えればなぜ職を辞してまでお金をこしらえなければならなかったのか?城戸充が無実だったと仮定すると答えが導きやすくなります。
脅迫ですか?この4人を?誰が脅迫するんですか?真犯人ですよもちろん。
そのとおり。
この4人はそれぞれ城戸充を逮捕送検し…起訴し有罪判決を下した人たちです。
真犯人の出現は自らが冤罪を作ってしまった事実を知らされる衝撃的な出来事だったに違いありません。
さてここでこの4人とは一見接点のなさそうな人物が気になってきます。
こちら。
そう若林晶文氏。
彼は平成9年に株で大金を儲けています。
しかもその金額からかなりの元手を持っていたと推測出来ます。
つまり若林晶文が真犯人で彼が4人を脅して金をせしめた。
4人を脅したかどうかはわかりません。
えっ?僕の考えはこうです。
若林はこの4人のうちの誰か1人を脅迫した。
しかもその際にかなりの金額を要求したのではありませんかねえ。
それはとても1人でまかなえる金額ではなかった。
退職金といってもまだそれほど莫大な金額の出る年齢ではありませんからね。
そこで脅迫された1名は自分以外の関係者つまりあと3名も引き入れた。
つまり責任を分散する形ですよ。
(内村完爾)なぜ今頃になって女房が来たんだ?
(中園照生)はあ…伊丹たちの話によると特命係がこの件をつついているらしく…。
(内村)特命?はあ。
どう致しましょうか?我々も動いた方がよろしいでしょうか?動かんでどうする。
はい?もし過去に過ちがあったら改めなければなるまい。
いやしかし…。
いつまでもミスを犯して謝らん警察じゃいかんだろう。
おっしゃるとおりです。
冤罪なら冤罪で結構じゃないか。
ただしそれを暴くのが特命係であっては困る。
我々の手できちっとした結果を出すんだ。
今はねそういう襟を正す態度が国民に受けるんだよ。
ああはあ…。
もし冤罪だったら君が会見で素直に謝ればいいじゃないか。
私がですか?私に謝れというのか?いいえ…いいえいいえ!はっ!今朝方若林由香恵さんが警視庁にお見えになりましてね。
新婚当初です。
主人が時々うなされている事があって。
「悪かった。
殺すつもりはなかった」って寝言で何度か言うのを聞いたんです。
当時はなんか変な夢でも見てるんだろうって思って特には気にしなかったんですけど…。
ちょっと怖くなってしまって。
主人は瑛子を殺してるんじゃないかって…。
調べてもらえませんか?
(芹沢)お二人で若林さん宅を訪問したでしょ?それで奥さん昔の事を思い出したらしくて。
そんなわけで現時点で掴んでる情報をいただきに上がったんですがねえ。
結構進んでるようじゃありませんか。
ご要望とあらばご説明しますよ。
ぶっちゃけ冤罪だったかもしれねえな。
何!?酒井さんの取り調べがいつになく強引だった事を覚えてる。
逃走する時あんた玄関に鍵かけたよな?か…鍵…?かけたはずだ。
かけたよな!?かけたような気が…。
その鍵はどこで見つけた?どこって…。
部屋の中探しただろう!?机があったの覚えてるだろう?パソコンの置いてあった。
(池上の声)答えを誘導しまくってた。
酒井さんらしくねえなと思ったよ。
定年が迫ってて焦ってたのか?たぶんな。
まあ凶器から指紋が出てたからはっきりシロとは言い切れねえけどちょっとやばいなって感じはあったな。
じゃあ仮にですよ若林晶文が真犯人だったとしてその場合犯行の手口についてはどういう風に考えてるんですか?凶器のブロンズ像は城戸充からの贈り物でした。
宅配便で綱嶋瑛子さんの部屋に届けられたものです。
(芹沢)それは聞きました。
しかし綱嶋瑛子さんは昼間不在なので管理人だった若林晶文が配達人から預かった…ですよね?そのとおり。
では若林晶文は預かった品物をどうしたでしょう?綱嶋さんのところへ届けるでしょうね。
帰宅した頃を見計らって。
当然そうしますねえ。
しかし綱嶋瑛子さんは品物を受け取ったでしょうか?えっ?僕は綱嶋瑛子さんが受け取りを拒否したと思うんですよ。
だってそうじゃありませんか?さんざん嫌な目に遭わされた相手から届いた品物ですよ。
受け取らない方が自然ですよ。
つまり若林は品物をいったん持ち帰ったと考えられるわけです。
持ち帰って…でどうしたんですか?普通ならば配達人に連絡して品物を返しますねえ。
しかし若林はそうはしませんでした。
利用出来るかもしれないと考えました。
もちろん綱嶋瑛子さん殺害にですよ。
動機はまだ不明ですがもしなんらかの理由で綱嶋瑛子さんを殺したいと考えていたとしたら差出人が男性名で届いた品物を受取拒否した綱嶋さんに興味を持つんじゃありませんかね。
そこで若林は…。
品物に自分の指紋がつかないように注意しながらこっそり中身を確かめたんです。
品物には差出人の指紋がついているかもしれませんからね。
(三浦)その指紋をあわよくば殺害に利用しようって事ですか?案の定ブロンズ像には送り主である城戸の指紋がついていてそれが決定的な証拠になったわけです。
そもそも僕は綱嶋瑛子さんが受け取るはずのないブロンズ像があの部屋にあった事に違和感を感じるんですよ。
しかし確かにブロンズ像はあの部屋で発見された。
つまり何者かがブロンズ像をあの部屋に持ち込みそれを凶器として綱嶋瑛子さんを殺害したわけです。
しかしその何者かが城戸充であるとは考えづらい。
彼が綱嶋瑛子さんの部屋に上がり込むのは至難の業ですからねえ。
仮に留守を狙ったとしても玄関の鍵を壊さなくてはなりません。
ですが鍵が壊れていた痕跡はありませんでした。
だから若林晶文か。
ええ彼は常に合鍵を常備しています。
恐らく綱嶋瑛子さんの留守を狙って部屋に侵入し綱嶋瑛子さんが帰宅したところを襲ったんじゃありませんかねえ。
(伊丹)どうも。
あなた…。
ああ。
警視庁の伊丹です。
三浦です。
芹沢です。
取っ替え引っ替えしつこいな警察も。
お忙しいと思いますがちょっとお話伺いたいんですがね。
込み入った話なので出来れば場所を変えて。
ご同行願えませんか?いいよ。
いい加減決着つけようじゃないか。
ちょっと待ってて。
「さてとお望みどおり決着をつけますか」よく素直に任意同行に応じましたね。
(ため息)あんたたちは俺が綱嶋さんを殺したと思ってるんだろ?
(三浦)まあ実際のところどうなんですかね?そのとおりだよ。
(三浦)えっ?俺がやった。
いいだろう?これで。
(伊丹)どうして素直に言う気になったのかな?追いかけ回されるのはたくさんだよ。
正直に言わなきゃしつこいだろあんたたち。
もう降参だよ。
(三浦)じゃあなんで殺した?動機はなんだよ?いやらしい目で見ないでください。
(若林の声)あの女人を痴漢みたいに言いやがって。
美人だったから目を引くのは確かだけどさ自意識過剰だよ。
(芹沢)それで殺したの?馬鹿言え。
人生のじゃまされたからだ。
(芹沢)人生のじゃま?
(若林)就職だよ。
筆記は完璧だった。
最終面接までいった。
手応えがあったんだ。
受かるはずだった。
それが…まさかの不採用だった。
(若林の声)名の通った会社だったんだぞ。
人生の再出発にふさわしい会社だったんだ。
不採用は綱嶋瑛子さんのせいじゃねえだろ!あの女が俺の悪口言ったからだ。
悪口?採用にあたって調査したりするだろ。
あの女が俺の就職じゃましたに決まってんだよ。
(三浦)その証拠は?なんかあるのか?善良な管理人を痴漢呼ばわりするような女だぞ。
とにかくそれで殺そうと思ったわけね?チャンスがあればね。
あったんだ?ああ。
あの女ストーカーに遭ってたろ?知ってたの?管理人だからね。
居住者には色々目配りしてたさ。
いい気味だと思ってたんだけどいつだったかな?あの女宛ての荷物が不在だっていうんで俺のとこに届いてさ。
(芹沢)城戸充の荷物だよな?そう。
夜になって部屋に届けてやったらあの女受け取りを拒否しやがって。
ふざけんなっていうんだよ。
でも俺その荷物にピンときちゃってね。
ああこいつが噂のストーカー野郎かって。
部屋に戻って荷物開けたらブロンズ像でね。
こいつはおあつらえ向きだなと思ってさ。
その2〜3日あとだったかな。
(若林の声)あの女の帰りを待ち構えてさ…。
(瑛子)ああっ…!
(殴る音)
(殴る音)
(殴る音)殺してやったんだよ。
(パトカーのサイレン)
(三浦)恐喝については全面否定でした。
そのようですねえ。
警部殿はどう思います?何がですか?この流れですよ。
一連の流れ。
あなたは?どう思いますか?何か裏がある。
同感です。
送検されましたか。
ええ。
馬鹿げてるよ。
それはみんな同じ思いですよ。
(裁判長)被告人前に出てください。
(裁判長)氏名を述べてください。
若林晶文です。
罪名及び罰条殺人刑法第199条。
では起訴状に記載された事実について被告人の意見を求めます。
被告人どうぞ。
全面的に否認します。
私の供述の全ては取調室という密室の中で強要されたものです。
(どよめき)
(裁判長)傍聴席は静粛に願います。
公判で否認に転じる…城戸充の時と同じ展開ですね。
ええ。
警察で自供をし起訴後否認に転じたという事でしょうねえ。
しかし城戸充の場合は凶器の指紋という物的証拠があったうえで起訴されましたが今回はほぼ本人の自白のみです。
自白の任意性合理性が今後争われる事になりますねえ。
そうなりますね。
いやでも本人率先して白状してましたよ。
それを証明出来ますか?何しろ録画も録音もあるわけじゃありませんからねえ。
自白は強要されたものだという主張を打ち破る手立てがありません。
そうなって主張が平行線をたどった場合判決はどうなりますかねえ?今は自白偏重を是正しようという機運が高まってますから…。
つまり昔に比べて無罪判決の出る可能性が高い?ええ。
恐らく彼の狙いはそれですよ。
狙いって?無罪を確定する事です。
そのために若林はわざわざ捕まって裁判を受けたんです。
一事不再理…。
ええ。
それが狙いだと?そう「何人も同じ罪で二度と裁かれる事はない」。
無罪が確定すれば仮にその後どんな証拠が出てこようとも彼を綱嶋瑛子殺害の罪で裁く事は出来ませんからねえ。
でも確実に無罪を確定出来る保証はないでしょ?リスキーな賭けですよね。
彼は賭け事が得意じゃありませんか。
そんな…。
まあそれは冗談ですが当然リスク回避のための二の矢は仕込んでいると思いますよ。
(公判検事)それでは証人にお尋ねします。
ご主人である被告人若林晶文が過去に殺人を犯しているのではないかと思ったきっかけはなんでしたか?証人どうしました?証人答えてください。
(由香恵)申し訳ありません!嘘なんです!全部嘘でした!主人と大喧嘩してその腹いせにデタラメ言いました!すみません!ごめんなさい…。
出ますよ無罪判決。
出てもらわなきゃ困りますよ。
しかし大した女房ですね。
あんな役割よく引き受けたもんだ。
他人事みたいによく言うね。
引き受けさせたのは我々ですよ。
愛情でしょう。
亭主を愛すればこそ。
女は偉大だ。
フン馬鹿げてる。
でもその馬鹿げた絵図を描いたのは先生ですよ。
一事不再理を狙おうとおっしゃった時はぶったまげましたよ。
あなた方の賛同を得られるとは思わなかった。
いえいえ名案でした。
とにかく若林の奴ビビってましたからね。
おいおい落ち着けよ。
何か策を講じてくれ。
ああ考えるよ。
急いでだぞ。
わかってる。
(釜田)奴が落ちたら我々も無事ではいられない。
少々乱暴な策でしたが仕方がない。
なんで今頃こんな目に遭わなきゃならないんだ。
女房にいいように踊らされたわけか。
あの女虚偽告訴でしょっぴいてやります。
虚偽告訴が成立させられるのか?告発というよりも相談だったような…。
(内村)いずれにしても無駄な事はやめておけ。
恥の上塗りをするだけだ。
いやしかし我々は決して自白を強要などしておりませんので!取り調べの可視化は必要かな?
(中園)はい?刑事はいつの世にも適正な取り調べだったと言うが何しろ密室の中の事だ。
全面的には信用出来ん。
(裁判長)判決を言い渡します。
主文「被告人は無罪」。
無罪だって…。
えっ無罪!?ひっくり返っちゃった…。
(菜々美)妥当な判決だと思います。
ええ。
検察は控訴するでしょうか?メンツがありますからねえ。
でも新たな証拠でも出ない限り逆転有罪は厳しいと思いますね。
あなたがもし担当検事だったらどうしますか?もちろん断念します。
あっさり負けを認めると?メンツのために時間と税金を無駄にするのは馬鹿げてます。
(携帯電話)もしもし。
控訴断念です。
はい結構です。
はい。
(携帯電話の着信音)怖かった…!すまなかったね変な真似させて。
おい無罪が確定しちまったな。
見ろよ。
なかなか洒落た見出しだぞ。
「冤罪の上塗り警察の勇み足」だとさ。
民事で真相を暴くっていうのはどうですか?確かに1つの方法ではありますがねえ。
じゃあ綱嶋瑛子の遺族に提訴を打診してみますよ。
君がそうしたいのなら任せますが恐らくそのあたりも織り込み済みの計画だったのではないでしょうかねえ。
織り込み済みって?一事不再理を利用しようなんて若林が単独で思いつくはずがありません。
恐らく例の4人が後ろで糸を引いているのでしょう。
事前の調査で民事訴訟の可能性はほぼないと判断して今回の計画に踏み切ったのではありませんかねえ。
加えて言うならば仮に民事訴訟を起こしたとしても何か強力な証拠でも示さない限りまた負けですよ。
だったら…諦めるか。
はい?もはや打つ手なし。
そういう事だろう?さすがのあんたも今回ばかりは諦めるしかない。
僕が諦めると思いますか?どうもおじゃましました。
ダメでした綱嶋瑛子の遺族。
ややこしい事にはかかわりたくないらしくて。
裁判を起こすとなればそれなりの覚悟がいりますからね。
しかも民事の場合負ければ訴訟費用など負担も大きい。
他に親類はいらっしゃらないんですか?東京近郊にはいませんね…。
ああ北海道には遠い親戚がいるようですけど。
すでにご両親が他界されご兄弟がいないというのもつらいですねえ。
杉下警部の言ってたとおりそのあたり織り込み済みだったようですね。
どうします?北海道へ行って交渉してみますか?う〜ん…。
それより警部の次の一手に期待してますけど。
あるんでしょ?もう言うのはこれでよしますけどちょっと強引すぎやしませんか?そもそも向こうが強引な真似をしてるんです。
こちらが多少手荒な真似をするのは致し方ありませんよ。
お前杉下警部にいいように踊らされてるぜ?フン。
こうなりゃいくらだって踊ってやるよ。
あの人も物好きだよな〜。
なんなんですか?ご主人とちょっとお話を。
話す事なんかありません。
主人は人殺しなんかじゃありませんよ!ここじゃなんなんで中入れてもらえませんか?お断りします。
チェーンカッターある?
(米沢)ありますけど持ってきましょうか?
(伊丹)どうします?そんな事が許されるんですか!?許されるわけないでしょう?だから手荒な真似させないでくださいよ。
ご主人とお話ししたいだけなんですから!話ってなんだよ!中入れてくださいよ。
面と向かって話しましょうよ。
入りたいんなら入ってこい。
あなた…。
大丈夫だよ。
こいつらもう俺に手出しは出来ない。
どうも。
(若林)なんのお構いもしないけどね。
どうぞ。
(伊丹)失礼しますよ。
(芹沢)失礼します。
どうも。
お前らヤクザかよ…。
謝りに来るのが筋ってもんじゃねえのか?それとも謝りに来たのか?もう一度ご足労願えないかと思いましてね。
は?どこへ?警視庁ですよもちろん。
ハッ…。
こいつらおかしいね。
容疑はなんだよ。
殺人か?俺を殺人で引っ張れるのかよ。
引っ張れませんね無罪が確定していますから。
だろ。
しかし僕は15年前の綱嶋瑛子さん殺害事件は殺人事件ではなかったと思ってるんですよ。
なんだって?神戸君。
はい。
確認します。
この絵は間違いなく綱嶋瑛子さんの部屋にあったものですね?はい間違いありません。
米沢さんお願いします。
承知しました。
おい…。
おい何してんだよ!ご覧のとおり写真を撮ってるんですが?言うなればまあ証拠写真といったところでしょうかねえ。
証拠写真だと?綱嶋瑛子さんが殺害され部屋にあった絵が今ここにある。
ひょっとしてこれは殺人事件ではなく強盗致死事件だったのではありませんかねえ。
つまりあなたはこの絵を奪おうとして綱嶋瑛子さんを殺してしまった。
(由香恵)違います!何言ってんだ?あんた!その絵は私が瑛子から…。
ええ。
もらったものだとおっしゃってましたが…。
その絵は瑛子からもらったんです。
それを証明出来ますか?え?綱嶋瑛子さんはもうこの世にいない。
もらったものだとあなたはどうやって証明しますか?証明って…。
しかも仮にですあなたがもらったものだと主張したところで果たして信じてもらえるでしょうかねえ。
嘘をついて警察や検察裁判所までも翻弄したあなたの言葉を。
(伊丹)というわけで強盗致死事件について改めてお話を伺いたいんですよ。
ちなみに言っときますけど殺人罪同様強盗致死罪の時効も廃止されてますからね。
言いがかりだそんなの!まあまあまあそう興奮しないで。
実はあなたに耳寄りなお話があります。
耳寄りな話?でもここじゃあ言えない。
取調室という密室の中でしか言えない内緒話。
ふざけるなよ…誰が行くもんか。
取引しませんか?取引!?シーッ!内緒話って言ってんだろ。
(携帯電話)もしもし。
え!?若林がまた引っ張られた?ええ。
強盗致死容疑だとか。
え?強盗致死!?そんな馬鹿な…。
ええ。
馬鹿げてます!僕はあなたが池上たちを恐喝したと睨んでいます。
そして彼らからせしめたお金を元手に株で儲けたと。
過去のそういういきさつからあなた方は呉越同舟。
ですから今回彼らはあなたをサポートし危機から救ったわけですね。
違いますか?もしあなたが過去の恐喝をお認めになれば強盗致死容疑は撤回しましょう。
つまりそれが取引です。
認めなかったら?あんたは強盗致死容疑で逮捕され起訴されてまた裁判になる。
恐喝の時効はとっくに過ぎてるからあんたがそれを認めても罪に問われるような事はないよ。
念のため。
あなたは綱嶋瑛子さん殺害の真犯人である事を盾に彼らを恐喝した。
彼らは冤罪を隠蔽するためにあなたの要求をのんだ。
そうですね?はっきりなさい!ああそうだよ。
いくら要求したんですか?1億。
とても1人で払える額ではありませんねえ。
(若林)池上もそう言ってた。
そんな事知らねえって言ってやったら奴が仲間を探してきたんだ。
益子大森釜田の3名だな。
ああ。
認めたんだよ…約束は守れよ。
ええもちろんですよ。
強盗致死容疑は撤回しましょう。
(釜田)わざわざくだらない話で呼び出すなよ。
くだらなかったですか?
(大森)おまけに馬鹿馬鹿しい。
そうでしょうかねえ。
(池上)素人の無知につけ込んで証言を引き出したつもりだろうがそんなもんで俺たちはビクともしないよ。
そもそも強盗致死で若林を起訴するなんて不可能だ。
そんな屁理屈に検察が付き合うはずがない。
あくまでも若林に金を渡した事を否定なさいますか。
(池上)そんな事実はないからね。
(釜田)そう。
(大森)ないね。
(益子)あるわけがない。
この期に及んで贖罪のお気持ちはかけらもないようですねえ。
いっそほんとに若林を強盗致死で起訴してみたらどうだね。
そうだねえ。
所詮はやったやらないの水かけ論だ。
そういうのは法廷で白黒つけるのがいい。
まあ起訴出来るならね。
(池上と釜田の笑い声)皆さんがそうおっしゃるのならば法廷で決着をつけましょうかね。
(机をたたく音)出来っこないだろう。
ええ。
おっしゃるように若林を強盗致死で起訴する事は困難です。
しかし刑事がダメでも民事がある。
何?民事訴訟ですよ。
皆さんが冤罪を看過した事で被った損害についての賠償請求訴訟なら起こせます。
今その準備を進めていますので少々お待ちください。
もちろんその民事法廷で若林に証言させます。
皆さんが冤罪を闇に葬るために彼にお金を渡した事を。
これ僕のお茶代です。
では存分に法廷で争ってください。
誰が原告になるっていうんだ!?決まってるじゃありませんか。
冤罪を訴えて身を投げた城戸充の母親ですよ。
そこにある神戸尊というのが僕です。
(城戸生江)充に手を差し伸べていれば結果は変わりましたか?わかりません。
変わっていたかもしれないし変わらなかったかも…。
ただ…1つ確かな事を言えるとしたらもし今僕に15年前と同じ事が起こったら全力で手を差し伸べるでしょう。
昔みたいに警察を全面的に信用してませんから。
正義なんて簡単に歪められるって知りましたから。
警察はいつだって過ちを認めませんものね。
訴訟を起こすのは大変です。
煩わしい手続きもたくさんあります。
でも私たちが出来る限りサポートしますから。
はい。
わかりました。
(若林)おい!話が違うじゃないかよ。
そうでしょうか?約束はあなたを強盗致死罪で起訴しない事でしたねえ。
その約束は守りますよ。
その代わり民事法廷で証言しろっていうのかよ。
被告としてではなく証人として出廷するんです。
だってよ奴らから金を巻き上げるって証言するって事は…。
ええ。
真犯人だという事を公に認める事ですねえ。
いいじゃありませんか認めても。
何しろあなたは二度と綱嶋瑛子さん殺害の罪で裁かれる事はないんですから。
いいですか?あなたはもうすでに終わってるんです。
「いくら要求したんですか?」
(若林)「1億」「とても1人で払える額ではありませんねえ」池上もそう言ってた。
そんな事知らねえって言ってやったら奴が仲間を探してきたんだ。
益子大森釜田の3名だな。
(若林)「ああ」だましたな!それはお互い様じゃありませんか。
あなたが証人としての出廷を拒否してもいずれ真相は世間の知るところになりますよ。
今はあなたに同情的なマスコミや世論も手のひらを返すように変わるでしょう。
そうなった時必ず思いますよ。
刑務所にいた方がずっと楽だったと。
自ら償いのチャンスをつぶしてしまった事にあなたはきっと後悔するはずです。
ところが今なくしたはずの償いのチャンスが贖罪の機会がこうしてまた訪れたんです。
選択の余地などありませんよ。
あの連中を地獄へ道連れにする事があなたに今唯一残された贖罪の道なのですからね。
その前にまず奥様に真実を告白なさったらいかがですか?いまだあなたの無実を信じている…。
いや信じたいと思っている奥様にあなたの口から真実を。
付き合ってもらって助かりました。
いいえ。
付き合わせてもらって感謝しています。
これで償いの第一歩が踏み出せました。
冤罪を作ってしまった関係者の1人として…。
受けて立とうじゃないか!近いうちあの4人に訴状が届くはずですよ。
もうこれで逃げも隠れも出来ません。
神戸君。
はい。
1ついいですか?なんでしょう?城戸充の裁判の時君は証人として出廷したと言いましたよねえ。
「覚えてろいつかひどい目に遭わせてやるからな」
(釜田)被告人は綱嶋瑛子さんに対してそう脅したわけですね?そのように聞きました。
それはあなたが2度目の忠告をしたあとですか?あとです。
確か2〜3日あとです。
君の証言内容は城戸充が冤罪だとわかった今とても奇異に感じるのですがねえ。
一方では脅しながら一方ではお詫びの品物を送っている。
何やら矛盾を感じます。
城戸充から脅されたと綱嶋瑛子さんに聞いた時君はどうしましたか?どうって?三度忠告はしなかったんですか?1度目の忠告は聞き入れられず2度目は警察手帳まで使って忠告したにもかかわらずそのわずか数日後城戸は綱嶋瑛子さんを脅したわけですよねえ。
それを聞いた君はなんらかのアクションを起こしたと思うのですがね。
3度目の忠告をするなり警察沙汰にするなりいずれにせよ君なら何かしたと思うのですが…。
何もしてませんよ。
何も?はい。
お察しのとおり証言は嘘ですから。
なるほど。
立派な偽証罪です。
もうとっくに時効ですがね。
細かい事が気になってしまう僕の悪い癖。
贖罪か…。
どこまでやれば贖罪になりますかね…。
お前が有罪にしたわけじゃない。
ですが…嘘をつきました。
判決に影響が出るような嘘じゃない。
奴の言い分を微塵も信用しようとしなかった。
誰も信用しなかった。
犯人と決めつけてた。
みんなそうだ。
信じてやるチャンスがあったのに…。
今だから思える事だ。
奴が憎かった。
友達が殺されたんだ。
死刑判決を望んでた…。
当然の感情だ。
警察官だったのに…。
俺は…警察官だったのに…!僕とした事が…。
長年の習慣とは恐ろしいものですねえ。
(ため息)
ドラマ俺たちの旅などで実力派俳優としての地位を築いてきた2015/12/23(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
相棒season10 #1SP[再][解][字]
杉下右京(水谷豊)と神戸尊(及川光博)の名コンビが難事件に挑む!豪華ゲストも見もの!
詳細情報
◇番組内容
15年前、神戸尊(及川光博)の友人を殺害したとされる男は、果たして真犯人だったのか?
刑を終えた男が自殺したことをきっかけに、解き明かされていく事件の真相。
窮地に追い込まれた杉下右京(水谷豊)が最後にとった手段とは!?
そして尊の意外な過去とは?
◇出演者
【キャスト】
水谷豊、及川光博、益戸育江
川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇、六角精児
神保悟志、小野了、片桐竜次
【ゲスト】
戸田菜穂、大沢樹生、吉田鋼太郎、天宮良、赤塚真人、升毅、松永玲子、池内万作
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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