新・牡丹と薔薇 #18【姉妹を結ぶ歌の名は…】 2015.12.23


(稲垣)思い出した。
富貴子というあなたの名前は私が付けたんだ。
(富貴子)えっ?先生が?
(稲垣)そうだ。
そうだった。
(眞澄)《せめて赤ちゃんの名前を…》《先生が付けてくださった赤ちゃんの名前を…》
(稲垣)《そうしよう。
私が名付け親になろう》
(眞澄)《先生が好きな牡丹の花の名前を》
(稲垣)《先方にもそう言うから。
約束する》先生が名付け親だったんですか?私の名付け親?
(稲垣)そうなんだよ。
私の好きな牡丹の花にちなんで。
それで私を産んだ母親は?
(稲垣)確か高校生だった。
高校生?
(稲垣)だからとても子供を育てることはできない。
それで養子縁組をね。
誰なんです?私を産んだ母親は今どこに住んでるんです?
(稲垣)待ってなさい。
カルテを捜してこよう。
あるんですか?そのときのカルテが。
処分したかもしれないがひょっとしたら残ってるかもしれない。
ここで待ってなさい。
父さん。
こんなところまで付き合わせてごめんね。
(峰靖)いや。
何。
どうせ遊んでんだから。
これで富貴子のアイデンティティーが確かなものになれば父さんもほっとするよ。
ねえ。
この住所この辺りじゃないかしら?
(峰靖)貸してごらん。
(峰靖)もう少し先かな。
こんな漁村で生まれたのね。
私のお母さんは。
(峰靖)あっ。
ここだな。
(峰靖)西山じゃないな。
西山眞澄なのよ。
稲垣先生のカルテにあった名前は。
(峰靖)しかし…。
(峰靖)あっ。
ちょいとすいません。
こちらのお宅は西山さんじゃないんですか?
(女性)以前は西山だったけどね。
(峰靖)ええ…。
(女性)もうおじいさんもおばあさんも死んじゃってね。
(峰靖)あっそうですか。
お亡くなりになったんですか?
(女性)うちは西山の遠縁だけど。
何か?眞澄さんって方がいらっしゃらなかったでしょうか?西山さんのお宅に。
(女性)ああ。
眞澄はおじいちゃんの孫だよ。
私眞澄さんの娘なんですけれど。
(女性)えっ?娘?そしたらおじいさんのひ孫か?ほう。
あのう。
眞澄さんは今どこにいらっしゃるんでしょう?
(女性)もうだいぶ前。
おばあさんの葬式んときに親子で帰ってきたけどね。
それはいつごろなんですか?
(女性)5年ぐらい前だね。
あっ。
ほら。
(女性)テレビに時々出てた女優でいたじゃん?浅黄萌子っての。
浅黄萌子?
(女性)その女優が眞澄の母親だから。
葬式んときは2人で帰ってきてまあ一応泣いたりしてたけどさ。
ハハハ。
父さん。
知ってる?浅黄萌子って。
(峰靖)聞いたことがあるような名前だけどな。
(女性)最近はテレビにも出なくなったからね。
もう売れなくなってんだよ。
(峰靖)浅黄萌子…。
調べりゃ分かる。
富貴子!富貴子!父さん?大変だ。
富貴子。
これ見なさい。
えっ?何?戸籍謄本?浅黄萌子。
本名は西山萌子で自由が丘に住んでる。
偽物の委任状作って戸籍謄本取ったんだ。
そしたらここ。
長女眞澄は26年前に…。
小日向って人と結婚してるのね?ただの小日向じゃない。
田園調布の小日向家だ。
田園調布の小日向家?小日向。
小日向…。
小日向家ってまさかあの?そうだよ。
多摩留がストーカーになって放火殺人で全焼させた家。
その家の長女殺して自分も焼け死んだ家だ。
その家にお前の母親は奥さまとしておさまってるんだ。
まさか…。
まさか。
そんな偶然があるはずないわよ。
父さんだってまさかと思ったよ。
だからさらに調べてみたんだ。
(美輪子)《あっ》
(美輪子)《このシャンデリアキュートでカワイイわ》《どうかしら?》
(峰靖)間違いないよ。
娘の方は美輪子って多摩留がここに連れてきた子だし。
父さん。
多摩留の遺体を警察に取りに行ったときにあの母親にも会ってる。
父さんだって信じたくはないけど。
どうしようもない事実なんだよ。
富貴子。
じゃあ私の母親は…。
妹は…。
母親は多摩留が放火殺人を犯した小日向家の夫人だ。
妹は多摩留がストーカーになって付きまとっていた相手だ。
認めるしかないんだ。
富貴子。
どう行き違えたか知らないけど多摩留は美輪子って子の腹違いの姉をナイフで刺して屋敷に火付けて自分も死んだんだよ。
殺された姉はぼたんって名前だそうだ。
ぼたん?こんなバカな恐ろしい話…。
運命のいたずらか何か知らないけど。
でもな事実なんだよ。
富貴子。
受け入れるしかないんだ。

(戸の開く音)
(伊佐子)ただいま。
あれ?あんたたち。
こんなところで何してんの?電気もつけないでさ。
(伊佐子)どうしたのよ?えっ?何かあったの?何なのよ?富貴子。
(伊佐子)どうしたのよ?
(伊佐子)奇妙きてれつな話だけどどうしようもないじゃない。
それが事実ならさ。
(峰靖)結局富貴子のアイデンティティーはこういうことだったんだな。
残酷な話だけど。
(伊佐子)そうだよ。
あんたがアイデンチイとかチチイとか言いだすからこんなことになっちゃったんじゃないか。
何にも調べないでそっとしておけばよかったのに。
(杉彦)ご飯。
ご飯。
(伊佐子)うるさいね。
待ちなよ。
あんたの両親は私と父さんなんだからね。
もう余計なことは考えない方がいいんだよ。
赤ん坊のときからずっと育ててきてあんたはこのうちの子なんだから。
ここがあんたの家なんだから。
富貴子。
小日向家には近寄らない方がいい。
分かってるよな?
(伊佐子)いくら実の親だからってこれじゃ親子の名乗りなんてできやしないよ。
会ったってろくなことにはならないんだから。
いいな?富貴子。
近寄らない方がいいぞ。

(峰靖)《いいな?富貴子。
近寄らない方がいいぞ》・
(走行音)
(電子音)あのう。
失礼ですけれど。
(眞澄)はい。
こちらさまの門の前にこれが落ちてましたの。
もしかしてお宅さまのどなたかの?
(眞澄)違うと思いますわ。
そうですか。
失礼いたしました。
いいえ。
どういたしまして。

(笑い声)・
(杉彦)おいしい。

(伊佐子)おいしい?よかった。

(峰靖)杉彦。
早く食べなさい。

(伊佐子)はーい。
豚肉入ったよ。
(杉彦)もっともっともっと…。
(伊佐子)あら。
おかえり。
(峰靖)おかえり。
(伊佐子)どうだったの?別に。
(伊佐子)ネイルの店の貸店舗探しに行ってたんじゃなかったの?ああ。
物件を当たってみたんだけどぴったりしたものがなくって。
(伊佐子)場所を選ぶからね。
そういう店は。
帯に短したすきに長しで。
(峰靖)まあゆっくり探せばいいよ。
あんたも食べなさい。
ちょっと杉彦。
姉ちゃんに場所空けてやりな。
(峰靖)ほれ。
これ見てごらん。
富貴子。
めんどくさい裁判はもう終わったよ。
えっ。
何?
(峰靖)あの3億円の賠償金の裁判だ。
小日向家が突然告訴を取り下げてきたんだよ。
告訴取り下げですって?
(峰靖)今日その通達が裁判所から来た。
そうだったの。
小日向家が告訴取り下げ…。
ああ。
これで頭痛の種が飛んでったよね。
めでたしめでたしよ。
(杉彦)めでたしめでたし。
これでどうにか地獄に落ちなくて済んだんだ。
あっ。
でもどういう風の吹き回しなのかね?あちらはどうして急に取り下げる気になったんだか。
いやぁ。
よく分からんけどな。
私たちに対する仏心かもしれないわ。
仏心?小日向家ってどうせお金は有り余ってる家なんでしょ?施し物でもするつもりで告訴を取り下げたんじゃないかしら。
でもそれだってありがたい話よ。
この店だって売らずに済むんだから。
キムチキムチ。
豚肉キムチ。
(杉彦)キムチ。
豚肉キムチ。
(伊佐子)はい。
どんどんお食べ。
(杉彦)ありがとう。
いただきます。
(伊佐子)あんたもほら。
豚肉。
肉入ってる?はいよ。
(崑一)この家のこの壁に富貴長春図をどうしても飾りたかった。
ハハハ。
(萌子)本当にこの絵だけが焼け残っていたなんて奇跡としかいえないわ。
(崑一)そのとおりです。
まさに奇跡だ。
(崑一)ぼたんも喜んでいてくれるだろう。
薔薇と一緒にこうして咲き誇って。
なあ?美輪子。
そりゃ私もうれしいけど。
(崑一)えっ?うれしいけど何だね?うれしいわ。
それだけです。
うん。
だったらいい。
みんなこちらに来ない?
(崑一)うん?あっ。
準備ができたようよ。
おばあちゃま。
(萌子)ホントに私までお招きにあずかって。
(萌子)ねえ。
このテーブルも新しくしたの?だって以前の家具は焼けてしまって何一つ残ってないんだもの。
(萌子)本当におめでとうございます。
(萌子)こんないいところに家を買って引っ越してこられて新しい家具に囲まれて暮らせるなんて。
あんた最高の幸せよ。
そうね。
(萌子)崑一さんに感謝なさいよ?もちろん感謝してますよ。
(崑一)心機一転家族で出直すにはぴったりの家だ。
おばあちゃま。
後で私の部屋も見にいらっしゃいよ。
(萌子)ああ。
見せてね。
こんないいところにいるともうマンションなんかに帰りたくなくなっちゃうわ。
(崑一)いいですよ。
お母さんが一緒に暮らせるぐらいのスペースまだ余裕がありますからね。
(萌子)まあ!駄目よあなた。
そんなことおっしゃっちゃ。
この老女優。
本気にして転がり込んじゃうじゃないの。
あら。
老女優で悪うござんした。
(崑一)ああ…。
まあ色々あってもこうして家族が一緒に暮らせるのだからよしとしなければね。
いやぁ。
ついでと言っちゃ何だが損害賠償の裁判ももう打ち切りの処置を済ませたよ。
じゃあやはり告訴を取り下げたんですの?
(崑一)これ以上ずるずる引っ張りたくなかった。
パパ。
私もその方が…。
パパのおおらかな気持ちがうれしいわ。
分かってる。
でもそのことで私二子玉川のママから散々嫌みを言われて。
いいじゃないの。
お母さん。
もうその話はよして。
そうね。
やめましょう。
私うちのローズカフェを何とかしたいな。
(崑一)うん?何とかって美輪子が手伝ってくれるっていうんならいつだって。
手伝うんじゃないのよ。
積極的に経営に参加したいの。
(崑一)ほう。
これはまた。
パパは従業員任せにして放りっ放しにしてほとんどマンネリ化してるわ。
もっと工夫をすればすてきな空間をつくりだすことができるのに今の状態はありきたりのカフェと変わりないでしょう?せっかく薔薇園の中にあるカフェなのにその特徴も生かせず死んでるようなものだわ。
薔薇にちなんだ様々なイベントを考案して季節ごとに情報を発信していけばもっと若い人たちを引き付けることができるのに。
(崑一)いや。
うん。
しかし経営に参加とか言ったって…。
美輪子。
女子大の方は?いいのよ。
大学は大学。
仕事は仕事です。
私にできる何か生きがいになるものが欲しいのよ。
なるほどね。
パパ。
私にローズカフェを任せてくださらないかしら?・・
(ピアノの演奏)
(明子)いいわね。
このカフェ。
とってもエレガントで。
毎週木曜日に私がピアノを弾くわ。
あなたたちお友達を引っ張ってきてね。
(遥香)ボーイフレンドと来ようかしら。
デートの場所にぴったりじゃない?ぜひお連れあそばせ。
せいぜいムードづくりをしますからね。
皆さん。
どうぞローズヒップティーを召し上がれ。
(冬美)わあ。
いい香り。
(遥香)ホントだ。

(演奏)奇麗なメロディーですのね。
何て歌なんです?『牡丹と薔薇』って歌です。
『牡丹と薔薇』?そんな歌があるんですの?ずいぶん前から歌われてるんですよ。
どこかの国の古い民謡に誰かが歌詞をつけたそうですわ。
歌ってあげましょうか?あら。
ぜひどうぞ。

(ピアノの演奏)・「牡丹と薔薇はどちらが綺麗」・「色鮮やかに咲き乱れるよ」・「牡丹と薔薇はどちらが幸せ」・「春を競って香りはなつよ」・「牡丹は牡丹さ薔薇は薔薇だよ」・「でもひとりでは生きてゆけない」・「生きてゆけない」あのう。
ごめんなさい。
あんまり切なく胸に迫る歌なので。
あのう。
あなたは?どうかしてるわね。
私って。
突然泣いたりして。
失礼するわ。
あのう…。

(ドアの閉まる音)2015/12/23(水) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #18[字][デ]【姉妹を結ぶ歌の名は…】

ぼたん(黛英里佳)の死から2年。精神を病むほどの美輪子(逢沢りな)は落ち着きを取り戻し、一方、事件を起こした多摩留(戸塚純貴)の家族のもとには思わぬ人物が現れ…

詳細情報
番組内容
 富貴子(黛英里佳)は自分を取り上げた稲垣(西村和彦)医師から、稲垣こそ名付け親で、当時高校生だった母親には生まれたばかりの娘を育てられるわけもなく、養子に出したことを知らされる。稲垣に教えられた母親の住所を訪ねた富貴子は、地元の人から祖母に当たる人物が女優であることを知るが…
 数日後、役所で富貴子の母親について調べてきた峰靖(安藤一夫)が血相を変えて帰ってくる。
番組内容2
多摩留(戸塚純貴)の一件の被害者家族が富貴子の実の母や妹だと分かったからだ。峰靖や伊佐子(魏涼子)は富喜子に、これ以上眞澄(伊藤かずえ)や美輪子(逢沢りな)に近づかないほうがお互いのためだと告げ、富貴子もその残酷な運命に打ちのめされてしまう。
 一方、美輪子たち家族は新しい家を購入し、やっと新生活を始める。美輪子は崑一(岡田浩暉)に、ローズカフェの運営に参加したいと言い出し…。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳 
小日向美輪子:逢沢りな 
牧原世奈子:田中美奈子 
小日向崑一:岡田浩暉 
浅黄萌子:山口いづみ 
瀬尾綱輝:片岡信和 
 ・ 
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ) 
【原作・脚本】
中島丈博 
【演出】
藤木靖之 
【音楽】
中川幸太郎 
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック) 
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ) 
大久保直実(ビデオフォーカス) 
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス) 
【制作著作】
ビデオフォーカス 
【制作】
東海テレビ
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ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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