きょうの健康「冬の皮膚の乾燥対策」 2015.12.23


「きょうの健康」です。
今日は「冬の皮膚の乾燥対策」をテーマにお伝えします。
冬になりますと肌が乾燥して本当にかゆくて困るという方もいるかと思います。
皮膚の乾燥を防ぐためにはどうすればいいのか詳しく伺います。
お話は…皮膚の病気の診療やスキンケアの研究をされています。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
私も本当に乾燥肌で思わず手を引っ込めてしまうような事もよくあるんですけれどもやっぱり今の季節乾燥してる方多いんでしょうね。
そうですね。
今の季節は乾燥で困って病院に来られる方がたくさんいらっしゃいます。
乾燥した皮膚…乾燥肌というんですけれども皮膚のトラブルだけじゃなくてアレルギーの原因になったりとか別の病気にかかる可能性も高まるので常に気を遣って頂きたいですね。
はい。
既に乾燥を実感している人でも今から適切なケアをすれば健康な皮膚を維持する事ができます。
そうですかはい。
詳しく伺っていきたいんですがまずですねそもそもその乾燥肌ですねそれはどういうものなのか教えて頂けますか?まずこの写真を見て頂けますか?はい。
この2枚の写真どちらが乾燥していると思いますか?向かって右の方が白く…カサカサしてる感じです。
右側でしょうか。
そうですね右の写真は乾燥して粉が吹いているようになっています。
左の健康な皮膚と比べると乾燥していると分かるのですが実は右の写真の方は自分が乾燥しているという事は気付いていません。
乾燥していてもこのように自分では気付いていない人もあるんですね。
でもどうしてどのように皮膚は乾燥していくんでしょうか?これは健康な皮膚の断面図なんですけれども皮膚を乾燥させないようにしているのがこの皮膚の外側にある角層というものなんですね。
この角層を拡大してみると角層を覆う皮脂膜それから角層の細胞と細胞の間の角層細胞間脂質。
これは角層の中にあります。
もう一個天然保湿因子というものがあります。
この3つが皮膚の水分を保つための役割を果たしているんです。
なるほど。
これそれぞれ役割というのは違ってるんですか?それぞれ潤いを保つための異なる役割を持っています。
皮脂膜は皮脂。
これは皮膚が作る脂と汗でクリームのようなもので覆われた層なんですね。
角層が剥がれるのを防いだり皮膚の水分が蒸発するのを防いだり細菌や刺激物質などの悪いものが体に入れない役割を持っています。
角層細胞間脂質というのは角層の細胞同士の隙間を埋めて水分をとどめます。
そして皮脂膜同様皮膚の水分の過剰な蒸発を防ぎます。
また皮膚の水分を少なすぎず多すぎず適正な水分量を調節する役割を持ちます。
天然保湿因子とは角層の細胞の中にあるものです。
これによって水分は細胞に保持されています。
簡単にまとめると皮脂膜は水分を逃さない。
角層細胞間脂質は水分量の調節。
天然保湿因子は皮膚の水分を保つといった役割を持ってます。
これらの3つの働きによって皮膚の水分を逃がさず更に水分を保つ仕組みができているんです。
ではどうなんでしょう乾燥した肌ですね。
それは実際どういう状態になってるんですか?じゃあ乾燥した皮膚というのは皮脂膜が崩れて角層細胞間脂質が保てなくなっています。
そうすると各細胞のバランスが崩れて体の中の水分も蒸発しやすくなるため潤いを保てなくなってしまいます。
でも本当肌は正直でまず乾燥してカサカサかな?もうやっぱり季節が変わったのかというくらい必ず冬になると乾燥してしまうんですけどもどうして冬になると乾燥してしまうんでしょうか?冬は特に気温が低くてまず汗をかかなくなってますよね。
確かに。
もう一個…この皮膚の角層に出てくる水というのは汗も外からあるんですけれどでも体の中から9割水分ですけれどもそこからジワジワ出てくる水分蒸発してくる水分が角層に潤いを与えるんですね。
人間の体の9割が水分。
中から出てくるんですね。
はい。
冬というのは空気が乾燥してますよね。
ですからその皮膚の水分も蒸発しやすくなっています。
皮膚が乾いた状態のままに放っておくと皮膚の表面がもろくなるので外からの刺激が入ってかゆみが出てきたりそれから赤いブツブツが出てきたりしてしまいます。
更に悪化すると皮膚をかき過ぎて炎症が強くなり痛みも出てきます。
更にこの隙間にその細菌ですとかアレルゲンというのが入り込みやすくなってしまいます。
更に悪化すると病気になる事もあるんですね。
かゆみと炎症が出る皮脂欠乏性湿疹になったりアレルギーを起こしやすい人はアトピー性皮膚炎が発症したりしてしまう事があるんですね。
更に本来魚鱗癬魚の鱗のようになってる病気があるんですけれども冬になるとこの症状がひどくなります。
これらの症状になったら医師の適切な診療を受ける必要があります。
その病気にならない場合でも例えばですね乾燥肌にならないように気を付けるできる事って私たちあるんでしょうか?はい。
乾燥を防ぐポイントはこちらです。
皮膚を乾燥させないためにはまず皮膚を傷つけない事。
そして保湿をする事という事が前提になります。
1番ですけど熱いお風呂に入らない。
お風呂に入ると皮脂は溶けるものなんですけれどもお湯の温度が熱いほど溶けるスピードが速まります。
目安として42度以上のお湯には入らないようにしましょう。
42度よく適温と思ってるんですけど時には寒いと熱〜いお風呂に入りたい。
でもあんまり熱いのはよくないという事なんですね。
乾燥してしまいます。
体をゴシゴシ洗わない事。
体を強く洗う事も角層を傷つけてしまうのでやめましょう。
これはよくナイロンタワシなどでは洗わないと気を付けてるんですけど薄いタオルのようなものでちょっとゴシゴシといいましょうかそれもやっぱりよくないんですね。
場所によりますけれどもやはり手で洗うだとかどうしても取らなきゃいけない所はタオルで洗うとか気を付けてもらうといいと思います。
優しく洗うと。
そうですね。
それから部屋の湿度を保つという事が次に大事で湿度は40%以下になると空気が乾燥してる状態になります。
湿度が低い場合は加湿器などを用いて50%前後に保って頂きたいと思います。
一番いい湿度と温度というと何かあるんですか。
23度で50%というのが一番適温適湿度といわれてます。
よく家の中とか車内とか…。
そうですね新幹線の中で測ると20%ぐらいでしたり自分のうちでもエアコンかけてそのままだと30%ぐらいです。
50%がいいという事ですね。
もう一個は適度な運動をするという事があります。
冬になると汗をかかなくなりますよね。
ですので特に四肢手足というのは寒くなるとキュッと締めてもとの真ん中の所を温めようとするので。
体の。
そうですね。
手足がすごく水分が少なくなります汗とか。
ですので適度な運動をして新陳代謝を高めて汗をかくようにしたいですね。
そしてこれ保湿剤を正しく使うという事ですね。
そうですね。
これが非常に大事で一番大切だと思います。
自分に合った保湿剤を使って皮膚のケアをしてあげましょう。
いろいろ本当にお店に行くとたくさんあって迷ってしまうんですけどどんなものがいいんでしょうか?こちらをご覧下さい。
ローションや乳液などさまざまな保湿剤がありますが自分の肌の乾燥の度合いによって塗るものが変える事ができます。
左から乾燥の軽い方用で右に行くにつれて保湿力も上がります。
特に乾燥が気にならないぐらいの方ですとローションなどサラサラした水分の多いもので大丈夫なんですけれども少し突っ張るっていう感じの乾燥を感じている方は乳液やクリームが適切だと思います。
また常に乾燥していてかゆみとか炎症があるというような方はワセリンとか軟こうがお薦めです。
何か塗るコツのようなものってあるんですか?塗るもののその成分がよくて保湿力が高いものを使ってても塗り方一つで効果が変わってきます。
桜井さんは手に保湿剤塗る時いつもどのように塗ってますか?今日はクリーム持ってきました。
全く考えてないんですけどまあ手の甲にまずつけてそしてそうですねこうして内側にしてあとこういう間ですか。
…という感じです。
なかなかお上手なんですけどちょっと下手なところもあるかと思うので松永流クリームの塗り方を実演します。
まずですね手のひらにちょっと大きめのパールぐらいつけて。
自分ですよ。
そしてこれをですね指先にまず忘れないようにこうやって満遍なく。
ここ塗り忘れないようにします。
はい。
こうやっといたあとにまず指先…。
これをグルグルグルって回してニュルニュル指先全体を保湿してあとこっち忘れないように。
最後によく忘れるのがここの手首ですね。
塗った事…した事ないです。
そうですね。
ここもこうやって…終わりです。
やっぱりしっとりしてらっしゃいますよね。
はい。
少々ベタベタして…。
これはやっぱり毎日のようにした方がいいという事ですか?そうですねはい。
手足だとかお風呂から上がったら必ずやってますけれども桜井さんどうですか?いや…私あんまり…。
そうすると冬だけじゃなくという事ですか?毎日という事は。
毎日やってます。
そうなんですね。
それでどうなんでしょう。
例えばこういう所も塗ったりした方がいいんですか?こういう所はまず縦に一回クリームを伸ばしといて多めに。
それをこうしわに沿ってこちらにしわがあるので塗ったあとにこうやってなじませてあげると。
足だとこういうふうに下から上にマッサージしていく…。
そういう事でしっとりきれいに塗れます。
塗り方があると。
塗る時間帯としてはどうですか?塗る時間帯はやっぱりお風呂から上がった時には角層がしっとりしているのでその10分ぐらい以内に保湿ケアをしてあげるのがいいんですね。
結構時間たってちゃ駄目なんですか?入浴後30分以上たつとその入浴する前より水がとぶんですね。
とんでるんですね。
ですのでその前にやっぱり塗ってあげる事が大事です。
なるほど。
仕事などで疲れてる場合もありますよね。
仕事で疲れて汚れていたりする場合は一度清潔にしてから塗って頂きたいんですけれど時間帯あんまり気にしなくても追加の保湿ケアは大丈夫ですね。
スキンケアを続ける事が大事ですので一日少なくても一日1回は塗って頂きたいです。
特に乾燥に注意してほしい人っていますか?まずは高齢者の方です。
年齢を重ねるにつれて皮脂膜などが少なくなりまた角層が薄くなるので水分を保つ力が弱まります。
それから女性ホルモンは角層の細胞を増やし角層細胞間脂質や天然保湿因子を作るもとになっていますので更年期あるいはそれ以後また分泌が低下する生理の時は皮膚が乾燥しやすいんですね。
女性は40代から男性は50代から皮膚が乾燥しやすくなります。
またアトピー性皮膚炎や魚鱗癬など角層の水分を保ちにくい人は最も乾燥しやすいのでしっかりケアをして頂きたいと思います。
病気でなくても乾燥して病院に行った方がいいという事もありますか?ありますよね。
基本的には少し乾燥しているくらいの時は病院に行く必要はないんですけれど毎日このように保湿しているのにかゆみが続くですとかかいた場所が赤くなってそのままなってるという2週間以上続いてるという場合は一度掛かりつけの医師に相談して頂ければと思います。
改めて最後にポイントお願い致します。
皮膚は体の一番外にあり体にとって悪いものをシャットアウトしてくれているからこそ健康を保てるとも言えますよね。
肌はケアを継続すればその分強くなります。
皮膚のケア遅すぎる事はないので是非気を付けて頂ければと思います。
どうもありがとうございました。
松永佳世子さんと共にお伝え致しました。
2015/12/23(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「冬の皮膚の乾燥対策」[解][字]

寒い季節には皮膚が乾燥し、かゆみ・あれに悩む人が増えてくるが、適切なケアをすれば健康な皮膚を維持することができる。皮膚の乾燥のメカニズムや具体的な対策をご紹介。

詳細情報
番組内容
寒い季節は皮膚が乾燥しやすい。実感をしていない人でも実は乾燥していることも多い。皮膚を乾燥させたまま放っておくとかゆみが出たり、炎症を起こしてしまう。皮膚の潤いを保つ役割を果たしているのは皮脂膜・角層細胞間脂質・天然保湿因子の3つ。なぜ皮膚は乾燥するのか、そのメカニズムも紹介。皮膚の乾燥を防ぐためには皮膚を傷つけないことと保湿をすることが大切だ。具体的な保湿剤の使い方などの対策法を交えて解説する。
出演者
【講師】藤田保健衛生大学教授…松永佳世子,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:32247(0x7DF7)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: