猫のしっぽ カエルの手「クリスマスを楽しむ」 2015.12.23


キ〜ンと冷たい空気に包まれた山里。
12月の…畑に霜が降りると野菜の色が少しずつ深まっていく。
この時期農家の人々は忙しい。
冬の風物詩すぐきかぶらの収穫を迎えているのだ。
この昔ながらの京野菜は寒さの中でおいしい漬物になる。
ベニシアさんの庭も静かな時を迎えた。
時折日がさし込むと僅かに庭に残る花を優しく照らし出す。
「この季節の庭も好き」ベニシアさんは言う。
寒くないように藍の綿入れを着て庭仕事。
今日はちょっと思いついた事がある。
この土鍋がちょうどねちょっと割れたのね。
だから水が出ていくからちょうどこれヒアシンスのためにいい場所かなと思って。
でヒアシンスは家の中に育つ事できるから何かここからちょっときれいな花が出るからそれを楽しみに一つの冬の楽しみに。
咲いた時何かテーブルの真ん中に置いとくのきれい。
土鍋はベニシアさんが長年愛用してきたもの。
ひびが入ってしまったので今度は植物に使ってもらう事にした。
ベニシアさん使わなくなったウイスキー樽に雨水をためている。
多分このぐらいで十分。
あとは日の当たる場所に置くだけ。
素朴な土鍋に鮮やかに咲くヒアシンスが楽しみだ。
ベニシアさんの家今はクリスマス一色。
12月に入ったら家族や親しい人と共に過ごす時間をなるべく多く持つ。
それがベニシアさんにとってのクリスマス。
クリスマスのために小さなものを手作りするのもこの季節の楽しみ。
いつも毎年ポマンダーを作るんですけど材料はこういうシトラスのもの何でもいいけど今年ライムとレモンにしようと思ってるのね。
で刺すものはクローブ。
柑橘系の果物にクローブを刺して作る香り玉ポマンダー。
中世のヨーロッパではポマンダーを身につけると厄よけになると信じられていた。
まずテープの周りにちょっとだけ空けて場所。
こういうふうに入れると今フルーツがジューシーな感じでしょ。
ジューシーな匂いがあってでも3か月置いておくと中の全部ドライになってるのね。
全然軽い。
こういうものは洋服ダンスに入れて虫が入らないようなために使ってた。
それは誰が考えたアイデア分からないけど一応ポマンダーとか今の時代ではこういうふうになってますね。
タンスやクローゼットに置けばスパイスの防虫効果が役に立つ。
その上香りがとてもよい。
形もかわいいからベニシアさんは毎年ポマンダーを作っている。
友達にプレゼントすると喜ばれる。
じゃあ出来ましたからテープを外しますから。
オーケー。
この中のシナモンとオリスルートパウダー。
オリスルートパウダーは匂いを締めるもの。
だからそれも入れてオールスパイス。
こう中に入れるのね。
これも虫よけになるからねこのスパイス。
大体私はまきストーブの上に。
これちょっと早めに作ったら誰かのプレゼントにあげてもいいしこれはスパイスつけてないからこのままクリスマスの木で飾ろうと思って。
リボンを結んでツリーに提げれば爽やかな香りが広がる。
スパイスをまぶしたものは紙袋に入れ風通しのよい場所に3か月。
虫よけポマンダーが出来上がる。
クリスマスの頃友達が集まる時にベニシアさんがいつも作るホットドリンクがある。
今日は古い友達が来て一緒に刺しゅうとか針の仕事できる友達が来て女の人のクリスマスパーティー。
このレシピは結構古いのね。
材料は赤ワインとブランデーとナツメグとシナモン。
あとこのオールスパイスとクローブは体温まる。
だから…冬だから寒いからこういう飲み物を昔から外国が…ヨーロッパで飲んでます。
まずここ入れます。
ワインを弱火にかける。
ほんでブランデー入れて。
ナツメグ少し。
これ全部そろえなくても大丈夫ですから。
2つでもあったら。
ちょっと甘い方がいいから砂糖入れます。
アルコールの香りを楽しみたい時はあまり沸騰させないのがコツ。
待ってる間にちょっとレモン。
レモンとオレンジで柑橘の爽やかな風味を加える。
フルーツ入れる。
ちょっと味見してみましょうか。
味見してみる。
う〜んおいしい。
味が調ったらこして出来上がり。
ほら出来ました。
冷えた体を優しく温めてくれるホットスパイスワイン。
友人との乾杯が待ち遠しい。
(村田)ごめんください。
ベニシアこんにちは。
こんにちは。
(宮原)こんにちは。
上がって。
(前田)こんにちは。
ベニシア久しぶり。
メリークリスマス。
今年最初のクリスマスパーティー。
友人たちがやって来た。
皆20年来のつきあい。
今日特別な女だけのクリスマス。
子どもいないけど。
すごい楽しみ。
荷物あの辺に置いていいから。
今日集まったのは手仕事が好きな仲間たち。
お茶のあと刺しゅう家の村田さんに教わりながらみんなで手芸を楽しむつもり。
1年に1回ぐらいこういうのがあったらいいわね。
クリスマスホットスパイスワインを作ったんですけど。
うわ〜。
皆さんあんまり酒飲めないけどちょっとだけ。
久しぶりにクリスマス乾杯。
(一同)乾杯。
ありがとう。
あと紅茶も出しますからね。
ありがとう頂きます。
おいしい。
おいしい。
村田さんベニシアさんに渡したいものがある。
ベニシアこれサプライズなんですけどとか言ってプレゼント。
え〜ありがとう。
何でしょう?開けていい?
(村田)いいよ。
これ全部刺しゅうしてる。
プレゼントは手作りのクリスマスカード。
刺しゅうを施したアップリケがポイント。
ベニシアさんが好きだからと藍染めの生地も使ってある。
私ねイギリスのレースと日本の古い布の組み合わせがすごく好きなんですよ。
これがイギリスのレース?
(村田)これが…鳥のしっぽがイギリスなんだけど。
(一同)あ〜!
(村岡)その組み合わせが何かず〜っと今好きでやってる。
(宮原)デザインもかつ子さんがするの?
(村田)もちろん。
好きだから。
寝たくないよ夜とか。
今すごく楽しい。
それよりも明日起きないといけないかしらとか思ったりして…作ってる。
これ夫の刺しゅう。
もう一つ別のプレゼントも。
猫のしっぽカエルの手。
すごいね。
じゃあものすごい仲良くしてるんだね。
うん仲いいよ。
あ〜すごい。
ものすごいってそんな…。
でもここまで作れるのはすごいと思うわ。
ご主人が刺しゅうをすると聞いてベニシアさんびっくり。
感動するわ。
だってベニシアに喜んでもらうってやっぱし手作りが一番喜んでくれるから…。
かつ子はどこで最初…学校で中学生で始まったの?私ね高校の時にすごい刺しゅうが好きで友達の眼鏡ケースとかスカートとか自分もお父さんのズボン昔太かったからそれでスカート作ってたよ。
刺しゅうして。
でもそれはね本当に時々写真見たらよくやったなと思って。
早速手芸パーティーの開始。
クリスマスツリーの飾りを作る。
みんなで一緒に針仕事。
ベニシアさんワクワクしてきた。
チェーンステッチでしょ?覚えてんの?すごいや。
チェーンステッチってこうするでしょ?
(村田)そうそうそう。
で中にこうして。
(村田)そうそう。
いざ始めてみると少しずつ思い出してきた。
これ。
これしようか。
ね。
4人はみんな子どもを育て上げた母。
かつて子どもたちのためにこうして針を持った。
昔取ったきねづか。
みんななかなかの腕前。
ちょっと…ちょっとゆがんだのとか。
(前田)グチャグチャ。
変則で。
ちょっとゆがんだくらいでちょうどいい。
絵を描くように自由に刺していく。
このカーブが難しいな。
針仕事って子どもの頃人形のお洋服とか作らなかったですか?人形も作ったしその人形に着せる服も。
作った作った。
小学生だったのにちゃんと針仕事できたんだなって今思えば。
そうそうそう。
だからやっぱり自分が習った事を子どもも教えてがまた続く。
そうしないとこういう事やるの人がどんどん少なくなるからね。
(村田)教えたら大好きと思う。
子どもが手伝いたい時に手伝わさなかったらチャンスがなくなるみたい。
子どもが手伝いたいっていう時にグチャグチャになってもやらせた方がいいみたい。
あ〜そうね。
誰かのために手作りをする。
その喜びを子どもたちに伝えたい。
そんな母としての思いが村田さんを刺しゅう家に導いた。
もう既にはまってしまった。
楽しい。
村田さんは刺しゅうの腕を生かして2年前ネットで販売する子ども服のブランドを立ち上げた。
きっかけは姪の容子さん。
小さい頃からおばの刺しゅうが大好きだった容子さんは自らも洋裁の道に進んだ。
大人になって改めて村田さんの作品を見た時に感動したという。
絶句って言って返事が来たんですね。
まあ絶句っていうのはすごいびっくりしてうれしいっていうような意味だったと思うので…。
それからすぐ彼女…若い人がホームページ立ち上げて…。
容子さんはホームページを作り村田さんの刺しゅうが施された子ども服の販売を始める。
村田さんのアトリエは専ら自宅のこたつ。
ここでせっせと手を動かしながら全国の注文に応えている。
刺しゅうって場所が要らないから本当これだけのスペースでできるしどこでもできるしそれはすごい刺しゅうのいいとこじゃないかしら。
子どもの頃から刺しゅうが好きで美術大学の裁縫科に入学。
卒業後は世界中を旅しながら生地や織物の勉強をした。
行くさきざきで技術の裏側にある作り手の一針一針に込められた思いを感じてきた。
帰国後28歳の時に結婚。
30代で3人の子どもを授かり子育てに追われた。
刺しゅうから離れてしまった日々。
やがて子どもが独立。
孫も出来た。
自分の時間が出来た時刺しゅうに戻ってきた。
お嫁さんがねやっぱしすっごい喜んでくれるんですよ。
私が何か作ると。
何か誰か喜ぶっていうのはなかなか激励なんですよ。
もの作るのに。
誰かが喜んでくれる事を思うっていうのは。
世界中の刺しゅうを見てきた村田さん。
2年前日本にもすばらしい伝統がある事を知った。
これは背守りで…。
2歳になった孫に着せようと思ってコウモリですけどね背守りの図案はシンプルっていうのがすばらしいですよね。
背守りとは江戸時代から続く子どもの着物に入った魔よけの刺しゅうだ。
産着に背守りを縫う事が母親として最初の仕事とされていた。
文様にはそれぞれ意味がある。
すくすくと伸びていく麻は子どもの健康を願って。
コウモリは幸せを呼ぶ動物として文様にされた。
村田さんは背守りを研究して仲間と一緒に本を作った。
少しでも多くの人に背守りを知ってもらいたいと。
子ども服には今風にアレンジする。
温かいんですね。
見た感じが。
自分もお母さんやってるからそのお母さんが子どもに対する思いっていうのがやっぱしすごく込められてるというのがその背守りの形に表れてそれが人間の変わらないものというか…。
守られた子どもってすごく…一生やっぱし心が平和なような気がする。
それがすごくもので表してはいるんだけどもお母さんの気持ちっていうものがそこに込められてるっていうか。
すごい自然な事ですけどね。
一針一針思いを込めて縫った背守り。
その思いは必ず子どもに伝わる。
今日は出来上がった服を孫の悠里君に着せてみた。
はい。
行ってらっしゃい。
(笑い声)悠里君のお母さん智子さんも喜んでくれた。
健やかに伸び伸びと育ってほしい。
村田さんの思いは背守りを通じてしっかりと悠里君に伝わっている。
うわ〜!
(笑い声)家に戻ったら村田家恒例の企画会議。
悠里君は新製品の試着係。
参加するのは女性陣ばかりではない。
僕も刺しゅうしてみたよ。
ちょっと見てくれへん?
(村田)持ってきてみる?持ってくる。
(容子)見せて。
(村田)じゃあおとうさんも刺しゅうしてるから。
(容子)お父さんのも見たい。
(村田)みんなで今刺しゅうブーム。
(村田)みんな今ね家族でいろいろ刺しゅうしてるの。
(修)悠里帽子かぶってみ。
(智子)かぶってみる。
平和でいいですよみんなが手仕事。
おっかっこいい〜!かっこいいね〜!一本の糸から生まれる家族の絆。
それは長く強く続いていく。
鳥なの?鳥です。
ボタンもついて…いいね〜ちょっといいね〜!時が過ぎても思いの籠もったものは必ず誰かの心に残る。
クリスマスの準備は整った。
ベニシアさんイギリスに住む家族や友人にカードをしたためる。
手で書くのが好きだから。
だからいつもクリスマスの時書きます。
まあ今年についた話とかあと子どもの事とか書きます。
いや〜何かすごいいい年だったよね。
イギリス帰った事もまあ夢みたいに感じるとかあと悠仁がすごい背が高いしジョーも大きくなってるし本当に一日毎日大切にしたいと思ってます。
ゆっくり…できるだけゆっくりしたい。
そしたら何か一日が無駄じゃないと思うね。
今年一年に感謝を込めてこれからの日々を大切に生きる。
ベニシアさんの思い出と共に大原の夜が更けていく。
2015/12/23(水) 12:25〜12:55
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「クリスマスを楽しむ」[字][再]

冬深まる京都・大原。ベニシアさん、ホットスパイスワインを作りポマンダーにリボンをつけクリスマスツリーに飾る。友人の刺しゅう家を家に招きオーナメント作りを楽しむ。

詳細情報
番組内容
山里を白く染める霜が冬の深まりを感じさせる京都の大原。ベニシアさんは、ヒヤシンスの球根を植え、クリスマスの準備に取りかかる。特製ホットスパイスワインを造り、ポマンダーにリボンをつけ、クリスマスツリーに飾る。友人で刺しゅう家の村田かつ子さんを家に招き、手づくりのオーナメント作りを楽しむ。冬の夕暮れ、家族の帰りを待つ間、クリスマスカードを書くベニシアさん。離れて住む友人やイギリスの兄弟へ思いをつづる。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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