「GAIA」…それは息づく大きな生命体。
混沌の時代にも希望を見いだし再生を果たして未来へ向かう。
そこにきっと夜明けがやってくる。
この町でアロマテラピーのサロンを開いている女性がいます。
他にもパートを掛け持ちしながら月に16万円ほどの収入で家計をやりくりしています。
こちらが谷和さんが暮らすアパート。
この日は一人息子の誕生日です。
いつもよりちょっと豪華な夕食。
実は谷和さんシングルマザー。
中学2年生の息子と2人暮らしです。
毎日朝から晩まで働いているため手料理を作る時間がないそうです。
息子が学校から帰ってきました。
いきなりトイレに閉じこもってしまいました。
しかたなく近所に住むおばあちゃんと主役不在の誕生日会です。
香苗さんは諒也君が1歳のときから1人で育ててきました。
思春期に入りしだいに反抗的な態度をとるようになったそうです。
一人息子と向き合う時間を増やしたい。
香苗さんはそう考えていました。
島根県の西部に位置する浜田市。
この60年減少の一途をたどっています。
高齢化も進み今や3人に1人が65歳以上の町。
その浜田市内を巡るバスツアーが。
参加しているのはすべてシングルマザーです。
そこに大阪の谷和さんの姿もありました。
これは浜田市が企画した2泊3日の見学ツアー。
諒也君も参加していました。
案内役の市の職員が町のいいところをアピールします。
そこには日本海を望む景色が広がっていました。
次に向かった先で待っていたのは…。
市長です。
浜田市のトップが自ら移住を呼びかけます。
よろしくお願いします。
シングルマザーをターゲットにした日本初の移住作戦。
人口減少に歯止めをかけたい。
さまざまな取り組みを追いました。
仕事と子育ての両立で悩む都会のシングルマザー。
移住した町を第二のふるさとにできるのか?人材の争奪戦。
狙うは第一線のビジネスマン。
託されたのは女性だけの特命チーム。
元大手コンビニのやり手社員が移住先で任された大仕事。
いきなり実力が試される。
なんだまた引っ越していくのか。
なかなか定住してくれないもんだな。
去年うちの町に移住してきた世帯今どれくらい残ってるんだ?えっと残ってるのは6割くらいですね。
1年も経たずに4割も出ていってしまったのか。
はい。
住む家だって提供した。
仕事もあっせんした。
独身の人には結婚支援だって行ってきた。
なのにどうして定住してくれないんだろうな。
まあ田舎暮らしに憧れて気軽に来てしまう人も多いですからね。
何か新しいアイデアはないか?あの…係長都会では離婚などによって1人で子供を育てている親が増えてるそうです。
シングルマザーか。
はいその多くが子育てと仕事の両立に悩んでいます。
彼女たちをこの町に呼び込んではどうでしょうか?都会での生活に苦しんでるシングルマザーか。
はい。
なるほど。
確かに彼女たちに手厚い支援をすれば定住してくれる可能性が高いかもしれない。
う〜ん。
高齢化と人口減少に悩む多くの地方自治体があの手この手で都会からの移住者を増やそうとしています。
そんななかシングルマザーやシングルファーザーといったひとり親の家庭をターゲットにして移住者を呼び込む町がありました。
7月初め。
都会のシングルマザーたちに移住してもらうための見学ツアーが行われていました。
大阪からやってきた谷和香苗さんと一人息子の諒也くんです。
向かったのは高齢者の介護施設。
よろしくお願いします。
はいお願いします。
お年寄りたちが玄関で出迎え大歓迎です。
こんにちは。
実は浜田市はシングルマザーたちに市内7か所の介護施設で働いてもらおうと考えていました。
介護の現場では人材不足が深刻な問題になっていたのです。
こんにちは。
こちらの介護スタッフは67歳。
こちらは74歳。
人手が足りず定年が過ぎても辞めることができないのです。
老老介護はこうした施設にも及んでいました。
浜田市は介護施設で働いてもらうことを条件にシングルマザーに対して手厚い支援を用意しました。
引っ越し代と家賃の補助。
車の提供。
毎月の給与と子供の養育費。
更に1年間勤めると奨励金が。
これらを合わせるとおよそ400万円になります。
第1弾として3家族ほど募集したところ150件以上の問い合わせが殺到しました。
ツアーでは施設との面接も行われ選ばれたら移住が実現します。
浜田市で移住支援を担当するのが山あいにある一軒家に移住してきた家族がいます。
あの谷和さん親子です。
手頃な空き家を浜田市が紹介してくれました。
きれいにリフォームされています。
愛犬も大阪から一緒に引っ越してきました。
反抗期の諒也君も見学ツアーに参加してここで暮らしてみたいと思ったそうです。
近所に早速挨拶。
(2人)よろしくお願いします。
諒也君の初登校の日がやってきました。
初日なので香苗さんもつきそいます。
諒也君が通うのは旭中学校。
生徒数52人。
(一同)おはようございます。
諒也君少し緊張しています。
新しい学校になじめるでしょうか?香苗さんはそれをいちばん心配していました。
この日は谷和さんにとっての仕事はじめ。
勤めることになったのは家から車で5分のところにある老人ホームです。
正社員としての辞令が手渡されます。
早速研修スタート。
こちらは100歳になるおばあちゃん。
会話がうまくかみ合いません。
初めてのことばかり。
お膳を持ったはいいもののどうしたらいいかわからず戻してしまいました。
この環境に慣れるのでしょうか。
移住して3週間。
田舎で暮らすことの大変さも感じ始めていました。
ジュースでいい?知らない町で母と子の暮らしが始まりました。
今回浜田市に移住してきたシングルマザーは4人います。
そのうちの1人9月中旬立松さんは未婚のまま22歳で娘を出産。
弁当屋などのパートを掛け持ちしながら育ててきました。
そんなとき浜田市への移住が決まったのです。
自宅から歩いて5分ほどのところに保育園があります。
おはようございます。
名古屋では待機児童が多くて娘を預けられずフルタイムの仕事には就けませんでした。
しかし浜田市では待機児童はゼロ。
保育園のすぐ隣が立松さんの職場。
よろしくお願いします。
ここで介護の仕事をするって頑張ります言うて…。
ここに入ってくる人は要介護度が高いお年寄りばかり。
このおじいちゃんはパーキンソン病。
寝たきりの状態で意思の疎通もままなりません。
ちょっと上にあがります。
思い出した?お茶飲んでみようや…。
おいしいお茶持ってきたんで。
立松さんの最初の仕事。
ひと口飲んでみようか。
水分補給のための大切なお茶。
しかしスプーンを口に入れることができません。
施設長に代わると…。
ちょっとお茶を飲んで…。
紅茶…今日は。
ごめんね。
オオタワさんはい。
覚悟はしていたつもりですが…。
仕事が終わると隣の保育園へ。
娘の笑顔を見ると仕事の大変さをしばし忘れられます。
偉かったね。
幼い娘を抱えた立松さん。
新たな生活を築いていけるでしょうか?シングルマザーで2歳の娘と一緒に移住してきた1か月経ってお年寄り10人が生活する部屋を担当するようになっていました。
そのなかにはあのパーキンソン病のおじいちゃんも。
以前はまったくできなかった水分の補給。
今では上手にできるようになっていました。
力のいる介助も率先して行います。
いきます12の3。
ちょっと後ろに下がりますよ。
早くも大きな戦力となった立松さんに施設長も…。
ありがとうございます。
一方老人ホームで働くちょっと置いときますよここにね。
あとで飲みましょうね。
持ち前の明るさでずっと前からここで働いているかのようです。
大阪でのアロマテラピーの経験も活かすようになっていました。
一方谷和さんの一人息子諒也君。
1か月が過ぎ思わぬ変化が現れていました。
都会から地方へ移住したいと考えてる人は年々増えているようです。
こちらは移住を支援しているNPO法人に相談に訪れた人の数です。
去年はなんと1万人を突破しました。
訪れた人の年齢を見てみると定年退職した人だけではなく30代40代の働き盛りの人も多いことがわかります。
そのため移住するとなると仕事ができるかという心配が大きいそうです。
そこで移住者を迎え入れたい地方の自治体はさまざまな取り組みをしてきました。
よくあるのが新たに農業や漁業を始めようという人への支援です。
技術やノウハウを教えるだけではなく1年から3年といった研修期間中は生活費を補助する自治体も多くあります。
そしてこちら。
徳島県神山町の取り組みも注目を集めています。
実は徳島では山間部でも光ファイバー通信が整備されています。
そこで空家となっている古民家を住居兼オフィスとして使えるようにリフォーム。
安く貸し出すことでIT関連の企業を誘致しました。
静かな環境で仕事にも集中できると評判だそうです。
そうしたなか移住希望者の能力や経験に目をつけ地元企業が必要とする人材をスカウトする。
そんな新たな取り組みが始まっていました。
この日ある移住相談会が開かれていました。
ズラリと並んだブースは高知県の各市町村。
更に地元企業も参加して都会から人を呼び込もうとしていました。
特に狙っていたのは第一線で活躍するビジネスマン。
人口減少だけでなく人材不足にも悩む地方。
より地元の活性化につなげたいと自治体と企業が一丸となって能力や経験のある人材を探していたのです。
高知県知事も自ら熱弁をふるいます。
四国高知県。
ここ30年で10万人以上減少しています。
こうした現状になんとか歯止めをかけようと3年前尾知事の肝いりで移住専門の特命チームが発足しました。
地元企業などが必要とする人材を調べ移住希望者との橋渡しをしています。
チーム発足後移住者数はおよそ3倍の652人にまで増えました。
高知県のほぼ中央沿岸部に位置する町唯一の駅は無人駅。
電車は1時間に1本ほどしかありません。
住民の多くが高齢者です。
町の主な産業は漁業。
かつて6億円以上あった売り上げも今では半分にまで落ち込んでいます。
後継者不足も深刻。
この町に新たに移住してきた一家がいました。
早速県の移住専門チームも駆けつけます。
奥さんと2人の子供の4人家族です。
高橋さんは東京出身。
よかった。
環境が変わってやっぱり違うでしょう。
上の子特に。
子育ての環境を考え自然が豊かな中土佐町に移住を決めたといいます。
スーツに身を包んだ高橋さんの姿がありました。
向かった先は町役場です。
役場が募集していた特別職に採用されたのです。
月収は41万7,000円。
県民所得のおよそ2倍という高待遇で迎え入れられました。
発揮していただきたいこのように思います。
高橋さん町長からいきなり大きな仕事を任されることに。
それは町が生き残りをかけた一大プロジェクトだったのです。
この町に名古屋から移住してきたのがセブンイレブン・ジャパンで店舗開発をしていた役場の特別職に採用されました。
就任早々任されたのが港のそばに建設する道の駅のプロジェクトリーダー。
オープン予定は2年後です。
この日高橋さんは役場の職員を集めました。
道の駅の戦略会議を開いたのです。
でもなぜか…。
中土佐町の道の駅の予定地は国道から離れた港のそばに決まっていました。
しかし高橋さん目玉さえあれば客は呼べると強気です。
ということは言い方悪いですけど…。
食べてくれってやってるんですよ。
このとき高橋さんは町全体を巻き込んだ壮大な構想を描いていたのです。
港にある新鮮な海の幸を道の駅のウリにしたいと早速高橋さんが訪ねます。
高知の名物カツオなど20種類以上の魚が水揚げされていました。
いちばん獲れていた魚が気になったようです。
タイの一種全部で1,000円しない?1匹わずか40円ほど。
一年を通して大量に獲れるためほとんど価値のない雑魚として扱われていました。
試しに味見させてもらうことに。
鮮度が落ちるのが早く刺身には向かない魚だといいます。
なんていうんですかね…。
地元の人たちが見向きもしていなかったレンコダイ。
高橋さん何かアイデアを思いついたようです。
着任してから1か月経ったこの日。
高橋さんが若手の職員とともに町をめぐっていました。
清流これは川が増水して沈んでも流されないように造られた橋。
こちらは高さ74m。
四国一高い橋です。
実は高橋さん道の駅を拠点に町を周遊してもらうことを考えていたのです。
地元の人には見慣れた光景も都会の人には新鮮です。
中土佐町ではいたるところで干物作りが行われています。
高橋さん昔懐かしい町の風景も観光ポイントになると考えていました。
次に訪ねたのは町いちばんの繁華街。
そこは地元の人たちが大切にしてきた100年以上続く市場。
観光客にここで地元の人たちとふれあってほしいと考えたのです。
目指すは町全体の活性化です。
更に高橋さん道の駅の目玉となる商品開発に乗り出しました。
名古屋から家族で移住してきた町から道の駅のプロジェクトを任されました。
この日訪ねたのはかまぼこ店。
こんにちは。
はいどうぞ。
道の駅の目玉商品を考えていました。
持ち込んだのはあの雑魚として扱われていた加工品を作れないか相談を持ちかけたのです。
店主にとってもレンコダイだけを加工するのは初めてだといいます。
物は試し。
まずはすり身にしていきます。
店主の提案でさつま揚げにしてみることに。
レンコダイ100%のさつま揚げです。
問題は味。
意外な食感に町の人たちも驚いた様子。
都会からの移住者が地元の人たちと手を組んで町を変えようとしています。
一方こちらは9月初めに大阪から移住してきたシングルマザーの一人息子の行くぞ。
いってらっしゃい。
移住から2ヵ月。
新しい友達もできました。
ここでの生活にもなじんできたようです。
夜。
はいこれ。
うわぁきれい!近所の人たちが何かにつけ採れたてのものを持ってきてくれます。
諒也君にも少しずつ変化が出てきました。
家事を手伝うようになったのです。
しかしタマネギが多すぎたようです。
作ったのは牛肉とタマネギたっぷりの丼。
(2人)いただきます。
食卓の食材のほとんどは近所からのおすそわけです。
それが20点マイナス?うん。
そして谷和さん職場でも新しいことを…。
シングルマザーの谷和さんが勤める老人ホームでこの日あるイベントが開かれました。
こんにちは。
人を癒やすセラピー犬がやってきたのです。
ハハハッ!娯楽の少ないお年寄りのために自分ができることはないか。
そう考えた谷和さんが大阪時代のツテを頼ってこのイベントを企画したのです。
ふだんとは違う体験にお年寄りも喜んでくれたようです。
息子の諒也君も見に来ていました。
谷和さんはこれからも諒也君と一緒にこの町で暮らしていくつもりです。
浜田市で移住のための見学ツアー第2弾が行われました。
言っていただければ相談にものりますので…。
今回の参加者は4組。
シングルマザーだけでなくシングルファーザーの姿もあります。
介護施設を見学し全員が浜田市への移住を希望してくれました。
ありがとうございました。
じゃあね。
またいらっしゃいね。
次の方に地方自治体による移住者の獲得合戦。
単に人口を増やすだけではなくその人の能力や経験を地元のために活かしてもらうという町が増えているようです。
移住者にとっても地元の人から必要とされることでより働きがいが生まれその町とのつながりも深まるはず。
人口ではなく人材を重視する。
それが移住者をその地に根づかせるために大事なことなのかもしれません。
2015/12/22(火) 22:00〜22:54
テレビ大阪1
ガイアの夜明け【働き方が変わる!第11弾〜“知らない町”で生きる!】[字]
全国初の試み!シングルマザーの移住支援。1年間で最大400万円!?その狙いは▽都会のスキルを持った移住者を獲得!人口7300人の漁師町にどう役立てるのか?
詳細情報
番組内容
地方自治体による人材争奪戦がますます激化。高齢化と人口減を食い止めようと、あの手この手の支援策によって都会からの移住者を奪い合っているのだ。単に人口を増やすのではなく、能力や経験をもつ人材に移住してもらおうという動きが活発になっている。人材不足で困っている地元の企業や施設と、移住者をマッチング。地方自治体による新たな人材獲得戦略と、都会から地方に移住することを決断した人々の新たな働き方を追う。
出演者
【案内人】江口洋介
【ナレーター】杉本哲太
音楽
【音楽】
新井誠志
【テーマ曲】
◆オープニング曲
「鼓動〜ガイアの夜明け」(作曲/岸利至)
◆エンディング曲
「夜空の花」(作曲/新井誠志)
「ガイア」とは
ギリシャ神話に登場する「大地の女神」を意味し、後にノーベル賞作家のウイリアム・ゴールディングが「地球」を指して“ガイア”と呼んだことから「ガイア=地球」という解釈が定着している。「ガイアの夜明け」という番組タイトルには、地球規模で経済事象を捉えることで21世紀の新たな日本像を模索すること、そして低迷する経済状況からの再生=「夜明け」を目指す現在の日本を描くという意味合いが込められている。
関連情報
◆ホームページ
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◆公式Twitter
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