趣味どきっ! 開け!世界遺産 第4回「金閣寺・銀閣寺」 2015.12.22


口の中に広がる極上の一品です。
人類が後世に語り継ぐべき貴重な宝世界遺産。
日本では現在19か所が世界遺産に登録されています。
豊かな自然や文化そして歴史を物語る貴重な証言者たち。
その建造物や風景を旅してみると日本の歴史を読み解く事ができます。
世界遺産は日本史のタイムカプセル。
世界遺産を巡る旅は日本の歴史の再発見の旅。
さあ出かけましょう!今回の舞台は古都京都。
有名な二つのお寺を旅します。
ご存じ金閣と銀閣。
ともに室町時代に建てられましたがその趣は全く対照的。
一方が黄金に輝きもう一方は枯淡の美。
いずれもつくったのは将軍。
二人の関係はおじいちゃんと孫。
時代は将軍の世から戦乱の世へ。
この金と銀にはダイナミックな歴史のドラマが。
和の心が生まれたその時代へタイムトリップ!世界遺産検定マイスターの本村健太郎です。
さあいよいよ4回目ですね。
トラベラーの皆さんいかがですか?今日は一体どの世界遺産が出てくるのかそしてその世界遺産の場所建物ストーリー背景…気になってしょうがないです。
あ〜ありがとうございます!今日もパワーアップして帰りたいんで是非お願いします。
僕に任せて下さい!任せていいんですね?任せなさい!今日はこちらです。
古都京都。
(大木高橋)おお〜!今日は特に金閣と銀閣行きますよ。
行かれてますよね?そうですね。
もう5〜6回は行ってると思います。
結構行ってますね。
大木さんはどうですか?行きました。
僕も旅行やら修学旅行やらで。
銀閣は1回かな。
じゃ金閣はもうだいぶお二人とも詳しいですよね。
見てます見てます。
実はですねお寺の正式な名前は鹿苑寺といいます。
その鹿苑寺の広い敷地の中にあるあの有名な金色の建物。
あれの事を「金閣」というんですね。
あっほんの一角なんですねあそこは。
そうなんです。
あの金閣がただあまりにも有名なのでこの鹿苑寺の事を一般的に「金閣寺」と呼ぶようになったわけなんですね。
じゃあ建物自体を指すのはほんとは「金閣」なんですね。
ではここで問題です!うわっきたよ急に。
その金閣からの問題。
ええ〜?「金閣は何階建て」?2階建て。
で屋根があるのであそこがメゾネットというか屋根裏になってるんであれば3階というかもしれないっていう感じですかね。
じゃどっちか決めて下さい。
ええ〜決めるの?じゃあ2階。
2階建て。
僕なんか4か5ぐらいあると思ってました。
おお〜。
よしじゃあ見てみましょうか。
金閣!日本史タイムカプセル!京都市の北西部にたたずむ金閣。
京都観光の中でも屈指の人気スポット。
正式名称は「鹿苑寺金閣」です。
池に鏡のように映る金閣の優美な姿。
池の名は鏡の湖…「鏡湖池」といいます。
まばゆいばかりの金箔の輝きに目を奪われずによ〜く建物を見て下さい。
実は金閣は三階建て。
つまり三層構造です。
ただし金箔が施されているのは三層と二層だけ。
ご存じでしたか?金閣は一層から三層までそれぞれに異なる特徴があるんです。
一層は貴族風の寝殿造。
蔀戸という平安貴族の建物に使われた戸が張り巡らされています。
二層は引き戸。
武士の家でよく使われている書院造です。
そして三層はまるみを帯びた花頭窓に桟唐戸。
中国の禅宗風のデザインです。
つまり金閣は公家文化武家文化仏教文化の三つの要素を合わせ持つユニークな建物なんです。
こうした金閣をつくったのは足利義満。
室町時代で最も力を持っていた三代目の将軍です。
もともと室町幕府は動乱とともに幕を開けました。
武家政治を進める初代将軍足利尊氏と公家政治に戻そうとする後醍醐天皇らが戦い数十年にわたって朝廷が二つに別れたいわゆる…その統一に成功したのが義満。
1392年60年余り続いた動乱は終わりました。
義満は40歳の時政治的機能を持った将軍の屋敷北山殿を造営します。
そのシンボルが金閣です。
有力大名の勢力を抑え朝廷にも絶大な権力を誇示し義満は室町幕府の最盛期を築きました。
足利義満が凝りに凝った建物なんですね。
特に義満が凝ったのがやはりこの金ですよ金。
使った金の量がもうすごいんですから。
1987年にこの金閣の金箔の張り替えをする修復工事をしたんですね。
その時に使った金箔が20万枚。
20万枚。
それも分厚いやつです。
この時の修復工事総工費が7億4千万円。
修復だけでそんだけかかったんですよ。
あらま〜。
だから室町時代にですよこの金閣をつくるのにどんだけのお金がかかったか。
当時のお金で100万貫と。
今のお金の価値でいうと1000億円近いと言われてるんです。
うわ〜!でも単なる贅沢趣味というわけではないんですよ。
実は義満が金閣をつくったそこにはある大きな野望が隠されていたんですよ。
足利義満の野望へ日本史タイムカプセル!義満が執念を燃やして取り組んだのは中国
(明)との関係強化でした。
新王朝の明は国交を結んだ相手にばく大な銅銭を与えていました。
一方支配を固めたい義満は明の使者を招き自らの力をアピールする場として金閣を造営したのです。
1402年皇帝の国書を携えた明の使者が義満のもとにやって来ます。
金閣を目の当たりにした使者はその華麗さにさぞや目をみはった事でしょう。
屋根の上に輝くのは金色の鳳凰。
古代中国で優れた為政者が現われた時に姿を見せるという伝説の鳥です。
豪華なのは外側だけではありません。
最上階の部屋の内部もまばゆいばかりの金箔で覆われていました。
そして窓の向こうに広がる庭園の眺め。
美しい池の中ほどに浮かぶ大きな島。
この池は海を表しています。
島の名は葦原島。
「葦原」とは日本の古い呼び名。
この島は日本に見立てた島なのです。
金閣から葦原島を見下ろす男。
「足利義満こそ紛れもない日本の支配者である」。
明の使者にはそう映ったに違いありません。
明の皇帝からは「義満を日本国王に認める」と書かれた国書が贈られました。
義満は日本の王であり国交の相手であると認められたのです。
そして義満は明からばく大な量の銅銭を確保。
経済を活性化させ幕府の力を盤石のものとしました。
だから金閣は迎賓館だったって事ですよね?という事ですね。
明の使者を迎えるための。
想像して下さい。
どんな歓迎だったと思いますか?でもあれだけの歓迎されたらこの人はこの国において権力がとてもありそして財力もありこの人にだったら貿易相手としていいんじゃないかって思いますよね。
あれだけの歓迎を受けたら。
さあそして葦原島。
あれが日本列島に見立ててあったというね。
この金閣から見る庭園…。
金閣が世界遺産になった時もこれが非常に高い評価をされたんですね。
ここで前回に引き続いて登場。
世界遺産アカデミーの宮澤光研究員の「ワンポイント解説」。
実は世界遺産として評価されてるのは金閣そのものではなくて「鹿苑寺庭園」って呼ばれる庭の方なんですよね。
これはなぜかっていうと金閣は…世界遺産になるためには国宝などの法律で守られてないといけないんですけどあそこ放火で一度燃えてしまってるんですよ。
放火で全焼して金閣…。
(宮澤)再建されたものなのであれは国宝などに指定されてないんです。
なのであれそのものが世界遺産の価値というよりも庭の一部としてあそこは評価されてるんです。
海外の庭と日本の庭ってすごく違っていて欧米の庭の場合は周りを囲まれている庭でしてそれが楽園を表していたりするんですけれどもその楽園の中と外ってのをしっかり分けてるのが欧米の庭なんですけれども日本の庭の場合そういう境目がなくてその庭の奥に広がる山まで庭の一部に取り込んでしまうというのが日本の庭のヨーロッパとかとは違う大きな特徴になっています。
その世界観はちゃんと世界の皆さんは理解してくれた上での登録ですか?
(宮澤)そうです。
外にそういうものがあるんだっていうのも含めて庭って説明してますのでそれは理解されてると思います。
金閣の庭園にはそういう意味があるんですね。
先生ありがとうございました。
ありがとうございました。
いやでもこの金閣の歴史とそれからもし自分が観光で行った時の見方はよく分かったんですけれどもそうなるとやっぱりもう一つ銀閣の方も知りたいなと。
そうですね!銀閣の方行っちゃいますか!銀閣…。
日本史タイムカプセル!僕のセリフなのそれ…。
京都・東山。
山懐に抱かれるように静かにたたずむ銀閣。
正式名称は「慈照寺銀閣」。
八代将軍足利義政によって建てられました。
銀閣は「錦鏡池」と呼ばれる池のほとりに建てられています。
金閣とは違って簡素な二層の楼閣です。
一層は「心空殿」と呼ばれる素朴な住宅様式。
座禅を組むための空間と言われます。
二層にはまるみを帯びた花頭窓のある…天井と壁面には漆が施され中央には観音像が鎮座しています。
江戸時代から銀閣の庭には不思議な砂盛りがつくられました。
水の波紋を表しているといいます。
大人の背丈ほどの円すい形の向月台。
月を観賞するためにつくられたとか。
銀閣は謎めいた趣をたたえ人々を魅了し続けています。
落ち着いた色合いで。
全然感じが違いますよね。
小学生の時に金閣寺を見たあとに「次銀閣行きます」って言われてもう「銀のギラギラなんだろうな」と思って行って「何!?これ」って思った…。
ちょっとガッカリしちゃったり?当時は。
でも今見てみるとあの渋さがたまらないですね。
子供にはちょっと分からないかもしれないね銀閣の良さはね。
足利義政は何でこういう銀閣をつくったんでしょうかね?確かに。
なぜ。
そこには実はいくつかの要因があります。
一つはこちらを見て下さい。
足利家の家系図です。
金閣を建てた義満と銀閣を建てた義政。
三代将軍と八代将軍。
実はおじいちゃんと孫という関係になるんですね。
義満は息子の義持に将軍の座を譲ります。
義持は自分の息子の義量に将軍の座を譲ります。
ところがこの義量19歳の若さで病死してしまうんですね。
でまだ子供はいなかった。
男兄弟もいないという事で次の後継者を誰にするか。
もめました。
もめたあげくどうやって決めたか。
くじ引き。
え〜!?そんな事があるんですね。
でくじ引きで義教が六代将軍に選ばれたんですね。
ところがこの義教が暗殺されてしまいます。
でこの義教の息子の義勝が七代将軍になります。
まだ9歳。
ところがこの義勝も将軍になって僅か8か月で病死してしまうという。
というわけでその弟の義政に将軍の座が転がり込んできたというわけだったんです。
じゃあ将軍の座が転がり込んできたのは義政もまだ幼い時っていう事ですよね?じゃあこういう言い方おかしいですけど本来ならあんまなるチャンスなかった方…。
そのとおりですよまさに。
最初は義政も頑張ります。
頑張るんだけどもだんだんと政治への興味を失っていきます。
義政の次の後継者誰にするか。
早くも後継者争いがまた勃発してしまうんですね。
早いな〜。
ここで問題です!おお〜はい。
足利義政の後継者争い。
これをきっかけにして全国の守護大名を二分する大きな戦乱が始まります。
その戦乱とは何でしょうか?守護大名?1467年に始まった…応仁の乱。
せいか〜い!すばらしい!出ました!応仁の乱ですよ。
「むなしい」。
文字どおりむなしい戦乱と言われてますね。
最後は一体…
(笑い声)「勝者は誰なんだ?」と。
不思議な争いがあるもんだな〜。
え〜そんな事あるんだ〜。
という事はそろそろいっちゃいますか!
(大木高橋)日本史タイムカプセルにいっちゃおう!僕に言わせてよちょっと。
1467年義政の後継者問題に端を発して応仁の乱が勃発。
全国の守護大名が東西に分かれ合わせて28万もの軍勢が激突。
11年にわたる戦乱で京の街は火の海と化し焼き尽くされてしまいます。
義政はリーダーシップを発揮できず戦いの途中で僅か9歳の息子に将軍職を譲り38歳で政治から引退してしまいます。
義政が目指したのは文化的な暮らし。
ここ銀閣を拠点に歌や書をたしなみました。
その心をよく表しているのが銀閣の隣の…義政はここに書斎をしつらえました。
それは…畳を敷き詰めゆったりとした時を過ごせるようにしました。
障子でやわらかく光を採り込むのもこのころから。
壁には床の間の原型となる付書院や違い棚を配置。
ここから生け花や茶の湯の原型となる和の文化が育まれていきました。
私たち日本人の美意識の源流の一つとなって今に伝わっています。
義政はまた自然の美しさを愛しました。
銀閣は山と月の風情を愛でるための舞台でもあったと言われます。
義政は銀閣の正面月が昇る東の山を「月待山」と名付けこんな歌を詠んでいます。
簡素にして枯淡の美を追い求め後の日本文化に大きな影響を与えた義政。
1490年銀閣の完成を前にこの世を去ります。
美の求道者とも言える足利義政の思いは今も銀閣に宿っています。
義政も小さい頃おじいちゃんがつくった金閣を…よく行ってたそうです。
そうなんだ〜。
眺めて「おじいちゃんすごいな」って思ったと思いますよ。
まあそれだけに…いかにおじいちゃんがすごかったっていう話をさんざん聞いて自分が将軍になったからその反動でちょっと穏やかな銀閣を…っていうのもあったかも分からないですね。
というわけで今日は金閣と銀閣を見てきましたけどいかがでしたか?今回はその二つをつくった義満と義政の思いになってお庭に行ったら全然今までと違う風景が見られるんだろうなと思いました。
それはありますよね。
権力の象徴の金閣もいいですけど40代を迎えてるんでちょっと穏やかな銀閣がすごく気になります。
応仁の乱で京の街が焼け野原になってそのあと銀閣が建ちました。
その……と言われてるんですね。
そして時代はいよいよ戦国時代へと突入していくわけです。
この続きはまた次回という事で!「開け!世界遺産日本史タイムカプセルの旅」。
(3人)ありがとうございました!2015/12/22(火) 21:30〜21:55
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趣味どきっ! 開け!世界遺産 第4回「金閣寺・銀閣寺」[解][字]

今回は、京都屈指の観光スポット、金閣寺と銀閣寺。黄金に輝く「金閣」と枯淡の美の「銀閣」は、いかにして生まれたのか。足利義満と義政、二人の将軍の生きざまに迫る。

詳細情報
番組内容
世界遺産から日本史の物語をひも解くシリーズ第4回。今回は金閣と銀閣、この対照的な二つの楼閣に秘められたドラマをひもとく。室町時代、権力を欲しいままにした3代将軍・足利義満が、自らの住まいに、まばゆいばかりの金閣を築いたその理由とは?一方、8代将軍・義満の孫の義政は、簡素の美を究め、銀閣に隣接する東求堂を拠点に、能や茶の湯などを究め和の文化を花開かせた。世界中の人々を魅了する金閣・銀閣の美は必見!
出演者
【出演】本村健太郎,高橋真麻,ビビる大木,世界遺産アカデミー研究員…宮澤光,【語り】河野多紀

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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日本語
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