アニメ 英国一家、日本を食べる「マイケルの妄想」 2015.12.22


(マイケル)
これは極東の国日本を訪れた我々家族の100日間の冒険の物語。
我々の目的は寺院巡りでも秋葉原でのショッピングでもない。
我々の最重要課題それは…
日本を食べ尽くす事だ。
う〜ん日本食ばかり食べていたおかげで以前より体重が明らかに減っている。
あれだけ食べてなおかつ体重が落ちたという事はいかに日本食がヘルシーなのかが分かる。
しかし僕はどこまでいっても日本人ではない。
イギリス人なのだ。
たまには血が滴るような肉が食べたい!あっ!…おいおいどういう事だ?ん?お〜!ふん!…何の冗談だ?ん?肉〜!肉〜!に〜く!ん?ん?肉〜!
(リスン)どうしたの?マイケル。
僕は天から啓示が降ってくるかのごとく突然肉が食べたくなる事がある。
それがまさに今日だったのだ
(リスン)わあ〜おいしそう!これはしゃぶしゃぶという肉料理だ。
(アスガー)変な名前。
ステーキの方がよかったのに。
日本に滞在中は日本料理を食べるって言ったろ。
(エミル)どうやって食べるの?この肉をだし汁に軽くくぐらせてしゃぶしゃぶしゃぶしゃぶ。
面白そう!諸説あるがこの擬音が名前の由来だと言われている。
これをポン酢しょうゆまたはごまだれで食べるんだ。
薄い。
向こうが透けて見えそうだよ。
しゃぶしゃぶの肉は薄いのが特徴なんだよ。
(2人)しゃぶしゃぶしゃぶしゃぶ。
あ〜ん…。
あっ!肉が舌の上で溶けた!ほんと!口の中で溶けるお肉って初めてだわ。
この肉のとろけるような食感は日本の高級和牛特有のものだ。
欧米人がふだん楽しんでいるかみ応えのある牛肉とは対照的だな。
古くから日本で飼われてきた牛を外国産の牛などと交配改良してつくられた肉専用の牛の事である。
和牛は一頭一頭名前が付けられ生産地誕生日など固有の情報を徹底管理しながら大事に育てられている。
その結果得られるものがこの見事な霜降りである
肉そのものはピンクがかった鮮やかな赤色で白い脂肪が細かい網目のように全体に広がっている。
食感はヘアクリームみたいにクリーミーだ。
舌に載せると熱いフライパンの上のバターのように数秒で溶けてなくなってしまう
脂肪たっぷりの肉を食べているのか肉質がたっぷりの脂肪を食べているのか分からないな。
和牛は欧米でも熱烈なファンが多いけど正直もっと歯応えのある肉の方が僕の好みだな。
でもこの肉の赤身と白い脂の模様まるで大理石みたいね。
ああ日本ではこうした肉の脂肪の霜降り状態をサシと呼んでいて肉のよしあしを決める重要な要素の一つになっているんだ。
どうやって育てたらこんなふうにお肉にサシが入るの?聞いた話だが日本の牛はあきれるほど甘やかされて育てられているらしい。
甘やかすって?牛はビールを飲みクラシックを聴いてなんとマッサージまでされてるって話だ。
アッハッハッ!じゃあジャグジーにも入ってるかもね。
アッハハ!ジャグジーか。
日本人ならやりかねんな。
えっ!本気で言ってる?日本のトイレを見た時の衝撃を忘れたのか?人が近寄れば蓋が開きご丁寧にお尻まで洗ってくれる。
マイケル食事中よ。
そんなトイレを開発する日本人なら牛をあきれるほど甘やかしたとしても不思議じゃない。
とあるジャーナリストが書いた本によれば丹念に牛をマッサージする事で脂肪が肉の間にくまなく広がってきれいなサシになるらしいんだ。
ふ〜ん何かうそっぽいな。
美しいサシをつくるマッサージ…。
なんだか無性にもみたくなってきた。
は?何言ってんの?男なら自分の手で一度はもんでみようと思わないか?牛の体を。
思わない。
そうか!もみたいか〜!だからもみたくないって!なら話が早い!何事も勉強だ!牛をもみに三重県へ行くぞ!
東京から西へおよそ300キロ。
日本最大の半島紀伊半島の東に位置し海山に囲まれた自然豊かな県である。
伊勢神宮や熊野古道など古くから人々の信仰を集めてきた場所を有する事でも知られているが県中央に位置する松阪市を中心とした地域で生産されている高級なブランド牛松阪牛の産地としても有名である
人は時に無性にくだらない事をしたくなる時がある。
くだらない事は無意味か?いやそうじゃない。
その時は無意味だったとしてもその後の人生で大きな意味を持つ可能性だってある。
違うか?単に引っ込みがつかなくなってるだけでしょ。
牛をもませてくれそうな牧場は見つかった?たった今10件目の断りのメールが届いたところだ。
無理もないわよね。
あらかわいいわねぇ。
ご家族でどちらへ?ええちょっと牛をもみに!松阪まで!エヘヘ〜。
あらそう?おほほほほほ…。
エヘヘ〜。
困った〜。
まさか全部断られるとはな。
どこの牧場も忙しいんだしえたいの知れない外国人の取材を受けてくれないのも無理ないと思うわ。
この辺にはまだまだ牧場はある。
体当たりでお願いすればまさか小さい子供連れの家族をそうむげには扱わないだろう。
よ〜しエミル好感度の高い笑顔の練習だ。
にぃ〜。
にー。
子供を利用するのやめてくれる?牛をもむためには手段なんて選んでられないんだ!あぁっ!…えっ?
(牛の鳴き声)牛だ!牛だ。
牛だわ。
牛だぁ〜。
マイケル・ブースといいます。
私は花子。
お嬢さんマッサージはいかがでしょうか?あらお願いするわ。
(牧場主)あんたうちの花子に何してんだい?あ…あ…あ…え〜と〜私マイケル・ブースは牛をもみ…あっいやフードライターとして日本の食文化について取材を行っておりまして…。
今度はもませろとは言わないのね。
さすがに学習したんじゃない?大理石を思わせる肉のサシの鮮やかさまるでアイスクリームのよう…。
ゴチャゴチャうるさいね。
こっちは忙しいんだ。
人手が足りないんだよ。
え?じゃあ…手伝います!
(リスンアスガー)えっ!ふぅ〜。
ご苦労さん。
あんたも物好きだねぇ。
いや〜ジャーナリストたるもの現場で実際に経験する事もまた勉強ですからね。
ふ〜ん勉強ねぇ。
うちの亭主もよく言うよそれ。
昨日だって「勉強だから」とか調子のいい事言って同業の仲間と泊まりで出かけちゃってさ。
牛と一緒に残されたこっちはたまったもんじゃないよ。
「勉強会」なんて言ってるけどどこで何してるか分かったもんじゃないわ。
ねえ?奥さん。
ん?ん?何だかすごくよく分かります。
うちは肥育場って言って月齢が10か月ぐらいまで育ったメスの子牛を買ってきて出荷できる状態に育てるための牧場なんだ。
肥育?子牛は別のところで育てられるんですか?ああ繁殖から肥育まで一貫してやっているところもあるけどうちは兵庫の子牛を買って育ててる。
うわっ!本当にビール飲んでる!和牛の特徴である見事なサシが甘やかされて育てられる事でできるというのは本当だったんですね。
何言ってんだい。
これは甘やかしているわけじゃないよ。
え?「食い止まり」って言って牛の食が細くなっちまう事があってねぇ。
そういう時ビールを飲ませると食欲が回復するんだよ。
ビールを飲ませると肉が柔らかくなるなんて事は…。
関係ないんじゃない?そもそもみんながみんなビールを飲ませているわけじゃないんだ。
牧場によって牛の育て方もいろいろさ。
そうだったのか…。
きれいなサシを入れるために大事なのは何と言っても…。
マッサージですか?餌だよ。
餌一つとってもそれぞれの農家が自分なりの配合や与え方をしてるからねぇ。
牛の成長に合わせて適切な餌を与えてやるんだ。
牛の体をつくる時期はビタミンを含んだ栄養のバランスのよい餌を食べさせる。
牛の体が出来上がったら月齢で言うと大体14か月以降はビタミンはストップして稲わらで繊維分だけを与えてエネルギー量の多い配合飼料で脂肪をつけてやるんだ。
ラードを与えて太らせるわけじゃないのね。
アッハッハッハッ。
確かに草やわらを食べてたっぷりの脂肪がつくなんて変な話よねぇ。
もう一つ大事な事がある。
マッサージ。
愛情さ。
こっちはあすかこっちはえみこ。
あすかとえみこ?ウフフフッ。
牛たちにはみんな名前があって性格も顔つきも違うんだよ。
この2頭は先週来たばかりでまだ月齢10か月。
うちじゃ月齢が30か月以上になるまで出荷しないからこれから2年間一頭一頭に合った育て方をしてやらなきゃいけない。
モォ〜。
まあ肥育っていうより子育てって感じかしら。
分かってるじゃない。
これが結構手がかかってね。
ええマッサージとかでしょ…。
さっきから何なんだいあんたは!マッサージマッサージって!あんたほんとは何しに来たんだい?あ…あの〜じ…実は〜。
(えみこの鳴き声)
(牧場主)ブッハッハッハッハ!牛をもみに?そんな事でこんな遠くまで来たのかい?あまりにもくだらないので断られるかと…。
いいよこっちおいで。
体でも乳でも存分にもんできな。
えっいいんですか!
(牧場主)ほらやってごらんよ。
え?これで?マッサージって言っても人間相手じゃないからね。
手でやさしくやったって効きゃあしないよ。
よし!ん!ん!ん!
(花子の鳴き声)ああダメダメ!力が入り過ぎ!相手は女の子なんだよ。
もっとやさしく!さっきはやさしくやったら効かないって…。
はぁ?あ…すいません。
やさし〜くやさし〜くやさし〜く…。
いかがですかお嬢さん。
ええとても気分がいいわ。
面白そう!僕もやる!僕もー。
こら!あ〜!イテテテテテ…。
大丈夫?ケガはない?大丈夫。
あっちの水道で洗ってやんな。
着替え持ってこようか?あ持ってきてます。
やさし〜くやさし〜く…。
あんた奥さん手伝ってやんなくていいのかい?アハハッアハッアハハハハハッアハアハ…。
これだから男ってのは…。
伝わってきますこうしてなでてやる度に脂肪が肉の間に広がってあの大理石ような霜降りを形づくっていく様子が…!はぁ?あんたもしかしてマッサージがサシに影響してるって思ってたのかい?言っとくけどマッサージしたからって脂肪に直接影響はないんだよ。
えっ!牛はマッサージされるのが大好きってだけさ。
マッサージするとリラックスして餌をよく食べてくれるんだよ。
どこで吹き込まれたか知らないけどさジャーナリストがうわさ話を真に受けるもんじゃないよ。
まあ確かに怪しいな〜と…。
どっかの牧場じゃそう信じてマッサージしているところがあるかもしれないけどね。
気持ちよかったかい?花子。
この子もまもなく出荷さ。
手間ひまをかけて大事に育てる。
牛に対する愛情ってのはそういう事。
牧場ごとに細かいやり方は違ってもそこだけは変わらないと思うよ。
イエーイ!
(リスン)待ちなさ〜い!ほら奥さんが困ってるよ。
助けてやんな。
結局ビールやマッサージはあの見事な牛肉をつくるための決定的な秘けつというわけではなかったようだ。
僕の無意味でくだらない思いつきで始まった今回の取材だったがその結果和牛のサシについて真実に近づく事ができた。
僕もまだまだ勉強が必要だな
マイケル〜!どうもマイケルの友人トシです。
マッサージもいいけど俺はやっぱり肉を食いたい。
和牛を堪能するなら何と言っても焼き肉だ。
炭を囲めば笑顔もあふれる。
今日はうまい肉の焼き方をこの方に伝授してもらおう。
やあトシさん。
NicetoMEATyou!自称「肉マイスター」の田辺晋太郎さん。
なんと肉を食べる事に収入の8割を注ぎ込んでいる強者だ。
本業は音楽プロデューサー。
それにしても何で焼き肉にタキシード?和牛の脂っていうのはものすごくきめの細かい霜降りが入るわけですよね。
言ってみればあの霜降りの肉っていうのは国家財産ですよ。
なので常に真剣モードで肉と向き合っていかないとおいしい肉は食べれないんです。
え?それでそんな格好しちゃうわけ?ちょっと心配だけど気を取り直していきますか。
まずは定番のカルビ。
あばら骨の周辺にあるバラ肉。
見てよこの大理石のような見事なサシ。
ほれぼれするほど美しいねぇ。
田辺さんこの肉をどんなふうに焼くのか。
よく耳を澄まして下さいね。
この肉が僕に語りかけてるの聞こえませんかね?肉が語りかける?何バカな事言ってんの?縁が沸々としだしてきたら「もう今焼けてるよ焼けてるよ」と。
はは〜ん脂の溶け出す音がひっくり返す合図って事か。
肉を焼く時の音が大事ってわけだな。
そうなんですよ。
これは肉との会話が集中高めればできるはずですから。
続いては弾力のある食感が人気のタン。
牛の舌だ。
薄切りにしたタンはどうやって焼くんだい?こういう薄切りのタンは両面しっかり焼いちゃうと火が入り過ぎておいしくないので表面だけをガッと強火で焼いていって。
じゃあ裏側は?余熱でしっかり火が入るわけですよ。
なのでわざわざしっかり両面焼く必要もない。
その方がより柔らかくおいしく食べられるので。
うまい!なるほど。
タンは焼き過ぎるとかたくなってしまう。
裏は余熱で火を通すのがコツって事か。
次はシマ腸。
牛の大腸だ。
プルプルとした食感が特徴だがちょっとかみ切りにくいのが難点。
でもじっくり焼くとかみ応えがガラリと変わるんだよね。
本来いつまでかんでたらいいんだか分からないみたいな事がよく言われるじゃないですか。
これでしっかり焼き切るとかみ切りやすくもなりますしだいぶ自分の脂でカリッと表面がなってきてるので…。
いいですねいいですねいきましょうか。
はいどうぞ!外はカリカリ中はプルプル2つの食感が同時に楽しめるのか…。
うまい!最後は肩甲骨の内側にあるミスジ。
一頭から僅か数キロしか取れない希少な部位だ。
美しいピンクの断面。
細長に薄くスライスしたコイツの焼き方がちょっと面白いらしい。
巻いていきますよ。
よいしょよいしょよいしょ。
あ〜いい感じにいったんじゃないのこれ。
しかしうまそうに食うねぇ〜。
筒状にしてるでしょ?そうすると中に全部肉汁がたまったままあるわけですよ。
肉汁がウワーッと口の中に出てくるわけですよ。
たまらんち。
肉の焼き方に愛を感じるね。
最後に教えてよ焼き肉の神髄とは?やっぱり肉とのね真剣勝負これだすよ!最後は決めてよ。
「これだすよ」って言っちゃった今。
とどまることなく前にゆっくりお進み下さい!2015/12/22(火) 16:05〜16:25
NHK総合1・神戸
アニメ 英国一家、日本を食べる「マイケルの妄想」[二][字][再]

イギリス人フード・ライターとその家族が、日本に滞在して各地の料理や食材を食べ尽くす!?「和食」をテーマに、一家の100日に渡る日本珍道中を描くコメディ・アニメ。

詳細情報
番組内容
無性に肉を食べたくなったマイケルは、家族としゃぶしゃぶを食べに。見事な霜降りの和牛の肉を眺めているうち日本の牛は、ビールを飲み、クラシック音楽を聞き、マッサージされて育てられている、という話を思い出す。すると自分の手で牛をもんでみたいという欲望が抑えられなくなった。一家は牛の産地として有名な、三重県・松阪へ。果たして“牛をモミモミ”というおかしな願いをまともにとりあってくれる牧場は見つかるのか?
出演者
【声】竹本英史,満仲由紀子,広橋涼,西川宏美,徳山靖彦,滝藤賢一
原作・脚本
【原作】マイケル・ブース,【翻訳】寺西のぶ子,【脚本】天沢彰
監督・演出
【監督】ラレコ

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz

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