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 安倍晋三首相は24日、首相官邸で岸田文雄外相と会談し、11月の日韓首脳会談で一致した慰安婦問題の早期妥結に向け、年内に韓国を訪問するよう指示した。岸田氏は28日を軸に訪韓する方向で検討しており、日韓関係の最大の懸案の一つだった慰安婦問題で両政府が最終妥結できるかどうかが焦点となる。

 安倍首相と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領は11月2日にソウルで会談し、慰安婦問題の早期妥結をめざすことで一致。日韓の外交当局は11月11日と12月15日の2回にわたり局長級協議を開いた。両協議で結論は出なかったが、今月17日に産経新聞前ソウル支局長が朴大統領の名誉を傷つけたとして罪に問われた裁判で無罪判決が出たほか、23日には韓国憲法裁判所が1965年の日韓請求権協定が違憲だとする訴えを却下。こうした状況を踏まえ、安倍首相は交渉を加速させる環境が整ったと判断し、岸田外相に訪韓を命じた。

 日本政府は、慰安婦問題は法的に解決済みとする従来の立場を堅持しているほか、慰安婦問題で最終妥結する場合、韓国側が再び政治問題化させないことが条件との姿勢を示す。また、安倍首相は11月の首脳会談で、ソウルの日本大使館(現在建て替え工事中)前に設置された慰安婦の被害を象徴する「少女像」の撤去も求めている。

 両政府関係者によると、外交当局は現在、2007年3月に解散した「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)のフォローアップ事業を拡充し、存命している元慰安婦らに支援金を送ることを検討。また、安倍首相から手紙を通じて元慰安婦たちにメッセージを送ることも選択肢としている。