人生デザイン U−29「銭湯店長」 2015.12.21


「いや〜極楽極楽」。
日本が誇る裸の社交場銭湯。
う〜んいいですね。
そんな銭湯をこよなく愛し盛り上げようとしているのが今回の「U−29」。
いらっしゃい。
はいありがとうございます。
これまで600軒以上の銭湯を渡り歩いた銭湯マニアの湊さん。
今年5月京都で自ら銭湯を始めました。
しかし…。
引き継いだのは年季の入った古〜い銭湯。
次々とトラブルが発生します。
大好きな銭湯を守るため逆境に立ち向かう湊さん。
その人生デザインとは…。
国内外から年間5,500万人もの旅行者が訪れる京都市。
ここ清水寺の周りも連日多くの人でにぎわいます。
その京都を代表する人気スポットから西に2キロのところ五条地区に湊さんの銭湯があります。
記録が残っていませんが創業は明治時代ともいわれ長年地域の人たちに親しまれてきました。
真ん中の噴水がトレードマーク。
ちなみにサウナもあります。
よいしょ!開店の4時間前。
湊さんは銭湯のバックヤードにやって来ました。
この銭湯はまきを使ってお湯を沸かす昔ながらのスタイル。
釜の中にたまった灰やススをかき出すのは毎日の仕事です。
まきはガスや廃油に比べて手間がかかりますがコストはなんと1/3。
一度火をつけると閉店の夜11時まで燃やし続けます。
すごい勢いで。
湊さんは大家さんに家賃を払いこの銭湯を借りています。
開店の準備に必要だった500万円のうち400万円は親からの借金です。
従業員を雇う余裕はまだありません。
掃除に洗濯まきの仕入れや運搬など仕事は全て一人でこなしています。
やっぱそういうイメージ強いし…湊さんが生まれ育ったのは静岡県浜松市。
銭湯はほとんどない町です。
大学進学のため京都にやって来ると銭湯通いの日々が始まりすっかりその魅力に心を奪われました。
学生時代は番台のアルバイトをしサークルも立ち上げました。
全国の銭湯を訪ね歩くうち次々と廃業に追い込まれている現実も知ります。
大学卒業後アパレル会社に就職。
しかし銭湯への情熱が捨てきれず退職します。
以前アルバイトをしていたこの銭湯が廃業すると聞き引き継ぐ事を決意しました。
最盛期には全国に2万軒以上あった銭湯も今やおよそ4,000軒。
しかもまだ減り続けています。
銭湯をこれ以上減らしたくないという湊さん。
自分の銭湯が経営的にうまくいけば銭湯存続の成功例として役に立てると信じています。
こんにちは。
午後3時半開店です。
近所に住む常連さんが次々とやって来ます。
入浴料は大人430円です。
はいありがとうございます。
こんにちは。
はいありがとうございます。
現在一日のお客さんの数は平均70人ぐらいだそうです。
安定したサービスを続けていくにはこの数字をキープしていく必要があります。
ひとつきの経費はまき代や家賃などおよそ50万円。
親に借りた借金の返済人件費も考えて一日のノルマは60人だそうです。
その人件費となる湊さんの月収は手取り5万円。
それでもほかの銭湯へ行くためのお金は確保しています。
さすがですね!休日は定休日の木曜だけ。
この貴重な休みもほかの銭湯へ行ったり設備のメンテナンスをしたりとまさに銭湯にどっぷりつかった毎日です。
ん?銭湯の前がいつもと違う雰囲気ですね。
実はこれ湊さん発案のフリーマーケット。
ふだんあまり銭湯に来ない世代を呼び込もうという作戦です。
新しい銭湯の形を求め思いついた事は何でもやってみたい湊さん。
銭湯の2階にあるこちらの空きスペースはお客さんを集めるのに絶好の場所だと考えています。
ゲストハウスにするんでもいいし間貸しにして工房にしてもらうとか。
小さいお店に入ってもらうとか。
う〜んこれはかなり期待できそうですね。
しかしそんな湊さんを今一番悩ませているのが施設の老朽化です。
オープンする時古くなった設備を修理し建物を改装しましたが営業を始めてからも次々と不具合が見つかったのです。
更に…。
これがねどういう…。
上に上がってくれればいいんですけど。
本来上っていくはずの煙が下に流れています。
いつもと違う煙の動きに不安を隠せません。
煙突に異常が起きているのではないか早速ほかの銭湯のご主人や仲間たちに助けを求めました。
はい。
「煙突の掃除はしていますか」。
僕になってからしてないし。
いずれしないといけないなというのは僕もね分かってたんですけどそれが原因なのかっていう…。
翌日。
釜と煙突をつなぐ煙道という部分を掃除する事にしました。
これはちょっとヤバイな。
定期的に煙道を掃除していれば灰はほとんどたまりません。
一人のため手が回らず異常なほどたまってしまった灰が煙の流れを邪魔していたようです。
いや〜これは…。
ここで思わぬ事態が…。
あ〜。
またもや見つかった設備の不具合。
痛い出費になりそうです。
トラブル続きの湊さん。
大学時代から通うなじみの銭湯を訪ねました。
こんにちは。
・はいおいでやす。
入ったらええ。
大丈夫ですか?大丈夫大丈夫。
この道30年のご主人が店の裏側を特別に見せてくれました。
分かりました。
早速教えてもらったとおりマフラー用のパテを使って修理します。
最初は専門の業者に頼む事も考えましたがなんとか自分で直す事ができました。
完了です。
800円で。
このパテ800円くらいだったんで800円ですね。
意外とそんな少額で不安が解消できて。
やっぱりいろんな人に聞くべきだなって思いますね。
トラブルを乗り越え今日も営業開始です。
春と秋はお客さんが減る季節と銭湯業界ではいわれています。
湊さんの店も10月に入り客足は伸び悩み気味。
ノルマを達成できない日が何度も出てきました。
とはいえ仕事が減る訳ではありません。
定位置の番台を離れて向かったのはバックヤードです。
営業中もお湯の温度が冷めないよう40〜50分置きにまきをくべています。
家族や従業員がいれば仕事の分担をできますがここではそうはいきません。
何でも一人でやるのはやっぱり大変。
湊さん大丈夫ですかね。
夜常連さんが何かを持ってやって来ました。
番台を離れられない湊さんのために夕ごはんの差し入れです。
ありがとうございます。
お裾分け。
お裾分けありがとうございます。
今夜のメニューは甘辛く煮た牛肉を載せたほっかほかの丼。
(シャッター音)頂きます。
熱っ!煮込み丼的な。
メチャクチャうまいっす。
閉店まであと30分。
うお〜!救世主だ。
もともとは銭湯のお客さんでしたが一人で奮闘する湊さんを助けたいと時間がある時は掃除を手伝うようになりました。
午後11時。
ようやく閉店です。
じゃあすいません。
掃除機お願いします。
助っ人は全部で10人もいてこの日はゲストハウスのスタッフに地元の整体師さんそして大学生の3人が集まりました。
モチベーションが違いますよ。
今日だったら普通だったら多分僕一人でやって1時過ぎてましたからね絶対に。
銭湯を守りたいという湊さんの気持ちが周りを動かし始めていました。
応援してくれる人たちのためにももっと活気ある銭湯にしたい。
新たなお客さんを呼び込む方法を湊さんは考えていました。
お〜。
銭湯のパンフレットです。
旅で京都を訪れた人たちにも宣伝し利用してもらう事がねらいです。
1万部を刷って大勝負に出ました。
ハハハハッたっつぁんが撮ったやつ。
いい感じだね。
説明は英語と日本語の両方を載せています。
パンフレットのターゲットは最近特に増え始めているという外国人旅行者です。
そこですよね。
ジャケットになります。
ハハハハッ。
ジャケットになるんだなこれが。
「極楽へ」。
ハハハッありそう。
J−POP感半端ないね。
湊さんが向かったのは外国人が多く利用する近所のゲストハウスです。
こんにちは!お世話になります。
お世話になります。
これだけいけますか?大丈夫ですか?あっはい。
じゃあお預かりしますね。
はい。
英語でつけてあるんで分かりやすいかなって。
場所分かってますんで案内さしてもらいますね。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
すいません梅湯です。
長期滞在する事が多い外国人の旅行者に滞在中何度か足を運んでもらえれば来客数の大幅アップが期待できます。
更にこんな事も。
メイアイヘルプユー?これパブリックバス。
銭湯。
パブリックバス。
オーケー。
ドウモアリガトウゴザイマシタ。
パンフレットを作った湊さんはまさに…道に迷っていた外国人を助けつつ積極的に売り込みをしていました。
湊さんに最後に質問です。
何でもかんでもここで試してみるっていう…。
試してみていいものはいいし駄目だったものは駄目だしそういう場所にしていきたいんで。
パンフレットを配って1週間。
番台には外国人のお客さんの姿が。
効果はあったのかな?湊さん。
湊さんはこれからも大好きな銭湯を元気にするノウハウを探し続けます。
2015/12/21(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「銭湯店長」[字]

今年5月に京都で80年以上続く銭湯の店長になった湊雄祐さん25歳。大学時代に銭湯にはまり、全国600以上の銭湯を訪れた湊さん。廃業寸前だった銭湯は復活するのか?

詳細情報
番組内容
今年5月、京都で80年以上続く銭湯の店長になった湊雄祐さん25歳。大学時代に銭湯にはまり、全国600以上の銭湯を訪れたという若者だ。ファッションが大好きで、一度はアパレル会社に就職するも、消えゆく銭湯を残したいとわずか1年で転身した。しかし、始めてみると銭湯の仕事はハードワーク。さらに、歴史ある銭湯を引き継いだため、設備の不具合は後を絶たない。湊さんは、廃業寸前の銭湯を復活させることはできるのか!
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32721(0x7FD1)
TransportStreamID:32721(0x7FD1)
ServiceID:2056(0x0808)
EventID:31412(0x7AB4)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: