さわやか自然百景「秋 大分 耶馬溪」 2015.12.21


(テーマ音楽)まるで刃物のような岩。
深い渓谷がどこまでも続いています。
大分県耶馬溪です。
高低差250メートルほど。
水辺まで岩が迫ります。
川岸の木々から落ちた葉は水生昆虫などの栄養となります。
それを目当てにたくさんの魚たちが集まり鳥たちへと命がつながっていきます。
秋鮮やかに輝く渓谷を舞台に巡る命の営みを見つめます。
大分県北西部。
全長56キロの山国川が流れています。
川の中流から上流の一帯には岩山が立ち並びます。
耶馬溪です。
日本最大級の溶岩台地で広さはおよそ180平方キロ。
たくさんの石の柱が垂直にそびえ立ちます。
「柱状節理」と呼ばれ割れ目が入りやすい性質を持っています。
それが川に浸食され垂直の崖を持つ渓谷が生まれました。
更に川は無数の丸い穴を持つ岩もつくりました。
耶馬溪一帯では火山と川が生み出した風変わりな地形が数多く見られます。
その独特の景観から日本三大奇勝の一つとも言われています。
木々の葉が鮮やかに染まっていく11月極め付きの絶景です。
高低差の大きい耶馬溪。
生息する植物は700種以上になります。
日当たりが良く乾燥した頂上付近にはアカマツが群生しています。
こちらは石の柱の麓。
川を覆うように木々がトンネルをつくり出しています。
水辺の岩肌をコケなどの緑のじゅうたんが覆います。
木の幹からモジャモジャと垂れ下がるのはまた別の植物。
珍しいシダ…川のそばは木々が光を遮り湿度が高いためシダやコケの絶好の生息地になっています。
切り立つ岩と深い谷の複雑な地形は場所によって気温や湿度そして日の当たる量が大きく異なります。
そのためそれぞれの環境に適した多様な植物が見られるのです。
木々のトンネルの間には水がゆっくりと流れています。
この流れの穏やかさは耶馬溪の地形と深く関わっています。
この辺りは火山活動による堆積物がほぼ平らに積もりました。
川はその平たい大地を流れているため傾斜がほとんどなく流れが緩やかな場所が多いのです。
川を覆う木々は水面に多くの葉を落とします。
緩やかな流れの中では落ちた葉はそのまま川底にとどまります。
大量の落ち葉を糧にたくさんの水生昆虫などが育っていきます。
魚が狙っています。
絶滅危惧種に指定されている貴重な魚。
動くものに素早く反応し丸のみにします。
全長は10センチほど。
頭の上の白い帯模様は出たり消えたりします。
オヤニラミは平たい体をしています。
この形では水の流れが強い所では流されてしまうため川がゆっくりと流れるこの場所を選んだのです。
群れをつくらずに一匹で行動し岩陰などに縄張りを持ちます。
そして最大の特徴はエラの辺りにあるまるで目のような模様。
魚は攻撃する時よく相手の目を狙います。
体の模様を目と勘違いさせ攻撃をそらすためにあるのではないかと考えられています。
耶馬溪を流れる川にはオヤニラミの他にも多くの種類の魚が集まります。
川が豊かな証しです。
そこへ魚を求めて鳥がやって来ました。
水に潜ってオヤニラミなどの魚を捕らえます。
こちらは…魚から鳥たちへと命の輪がつながります。
不思議な地形を利用する魚もいます。
山国川上流部の渓谷。
無数の丸い穴が数キロにわたって点在します。
これらの穴は甌穴といいます。
川の渦巻く流れがくぼみの中の石を回転させそれが川底の岩盤を削っていく事でつくられたと考えられています。
甌穴の中に魚がいます。
全長15センチほどのコイの仲間。
稚魚もいました。
甌穴には食べ物となる藻や虫が流れ込んできます。
流れの緩やかな場所を好むカワムツにとって甌穴は絶好の住みかです。
秋も深まった朝。
強い冷え込みの中渓谷がまた違った表情を見せます。
霧が晴れだすと堂々とたたずむ石の柱が再び姿を現します。
オヤニラミです。
岩陰に潜み縄張りを守っています。
頭の白い帯模様がほとんど出ていません。
オヤニラミの体の色はその時々の状況によって大きく変化します。
そこに別のオヤニラミ。
縄張りの主は侵入者を攻撃。
侵入者にも頭の帯が見えません。
縄張りの主は侵入者を激しく攻撃し続けます。
追い出してまた元の隠れがに戻りました。
負けた侵入者の頭には白い帯模様がくっきりと出ます。
帯模様が出る理由はさまざまですが戦いで負けた時にはっきり出る事が多いと確認されています。
降参のサインなのかもしれません。
これから冬に向かうと水温が下がるためオヤニラミはじっとしている事が多くなります。
もう秋も終わり。
冬を越すためにやって来た鳥たちの姿がありました。
鮮やかな羽を持つのがオス。
他の鳥たちもまた豊富な食べ物がある耶馬溪の水辺で冬を過ごします。
オヤニラミの子供を見つけました。
全長5センチほど。
初夏に生まれた子供のようです。
この時期成長した子供の多くが生まれた場所から離れていきます。
大人のように縄張りを持つようになってきた証拠です。
大自然がつくり出した不思議な谷耶馬溪。
秋渓谷が色鮮やかに染まる中生き物たちの命が輝いていました。
2015/12/21(月) 15:41〜15:55
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「秋 大分 耶馬溪」[字]

日本三大奇勝の1つ耶馬溪は、岩山が巨大な石版のように川沿いにそそり立つ不思議な風景。極めつきの絶景は秋。常緑樹の緑、落葉広葉樹の赤が、白い岩肌を美しく彩る。

詳細情報
番組内容
大分県中津市を流れる山国川の中流は、美しい渓谷を刻む。日本三大奇勝の1つ、耶馬溪だ。岩山が巨大な石版のように川沿いにそそり立つ。谷が深いため、標高と日当たりによって、温度と湿度に差が大きく、さまざまな環境に適応した700種類以上もの植物が育つ。極めつきの絶景は秋。常緑樹の緑、落葉広葉樹の赤が、白い岩肌を美しく彩る。川へ張り出した木々から水辺に落ちる大量の葉は、トビケラなど水生生物の栄養となる。
出演者
【語り】中村慶子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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