映像’15「白い炎〜放火殺人20年の真実」 2015.12.21


(青木惠子さん)私らの時代はね松田聖子のねあれでしょ。
こう…こうなる。
そうそうそうそう。
聖子ちゃんカットっていうやつですよね。
(ナレーション)
美容院で髪を切るのは20年ぶりです
青木惠子さん
刑務所から釈放されたばかりです
そうやねいつも刑務所の中でね受刑者が…プロじゃない人が切ってたから初めてこんなとこ来てね。
だから昔みたいにこれも当たり前のことができるっていうか。
違うなと思うよ全然。
あの日1人の女性の普通の生活が一変しました
・雰囲気長さとか大丈夫ですか?分からない。
大丈夫大丈夫。
・また何かあったら…。
自宅の火事で当時11歳だった娘を亡くしました
保険金目当てに自宅に放火し娘を殺したとして青木さんは無期懲役の判決を受け刑務所に送られました
無実の訴えに警察検察そして裁判所は耳を貸しませんでした
自分の子供を殺して…保険金が欲しいために殺すってね。
そんな罪名付けられることがほんとに悔しいし一番嫌だったし私を苦しめてたように思います。
放火なのかそれとも自然発火だったのか
捜査段階の自白の信用性を巡り実験を重ね検察に真っ向から反論を挑む弁護団
そして次々と明らかになった新たな事実
・あっ出てきました。
出てきた出てきた。
有罪とされた理由が一つ一つ崩れていきました
1人の母親に戻りたい
20年前大阪で起きた女児死亡火災の真実に迫ります

火災現場だったかつての家は今は駐車場になっています
この日青木さんは娘が大好きだったひまわりを供えました
(スタッフ)ずっと家が?そうそうここね。
火事になって私自身もパニックになってるから記憶が消えてる部分もあるんですけどね。
それでも…。
ある程度は覚えてるからもう一生忘れないですよね。
火事は起きました
軽ワゴン車を止めていたガレージから出火し家は全焼
当時家には青木さんや8歳の長男ら4人がいて3人は外に逃げて無事でした
しかし風呂に入っていた青木さんの長女で当時小学6年だっためぐみさんが逃げ遅れて死亡しました
当時8歳だった青木さんの長男もあの日のことを覚えています
ところが火事から50日後事態は一変します
青木さんが警察に逮捕されたのです
逮捕容疑は当時一緒に暮らしていた朴龍さんと共謀して放火しめぐみさんを殺害したというものでした
動機はめぐみさんにかけられた1500万円の生命保険金とされました
当時青木さんらは車のローンなどでおよそ400万円の借金がある一方で4050万円の新築マンションを購入しようとしていました
警察は青木さんらが火事の2日後に保険会社に電話をしていたことなどに目を付けマンション購入の資金繰りのため保険金目当てに放火してめぐみさんを殺害したと考えました
(齋藤弁護士)今日記者会見をお願いしました件は非常に…新聞それから夜のテレビとかで取り上げられてます件です。
青木惠子さんの弁護人に昨日付きました。
で本人としてはやっていないということを言い続けております。
逮捕の翌日に青木さんと接見した齋藤ともよ弁護士は当時の様子をはっきり覚えています
私が行って接見を待ってるときに私の目の前を2人の女性の警察官ともう1人に抱えられて前を歩いていきましたが自分では歩けない様子でした。
(スタッフ)そしたらそのときにどういう印象を受けましたか?かなり体力的に弱ってるなということはその歩き方とか運ばれ方で分かりました。
それが印象が深かったです。
弁護士に「やっていない」と話した青木さんですがすでに警察には犯行を認める供述をしていました
この事件では「自白」が唯一犯行を裏付ける直接証拠とされたのです
朝から取り調べが始まり午前中は否認したものの午後2時過ぎから犯行を自白し逮捕されました
翌日に齋藤弁護士の接見を受け否認に転じましたが3日後に再び自白
しかしそれ以降は一貫して犯行を否認し続けました
一時期とはいえなぜ警察に犯行を認めたのでしょうか?
「お前がやったんやろ」っつってねもう決めつけですよね。
だから初めからもうなんていうの犯人扱いでね認めさすことしか…もう自白さしてっていうことしかなかったんじゃないかな。
もしかしたらやってないんじゃないんかなっていうようなねそんな取り調べじゃないから。
取り調べの様子はこうです
警察署内の窓のない一室に2人の警察官と青木さん
部屋の壁や机には亡くなっためぐみさんの写真が貼られていました
警察官は「朴さんが犯行を認めた」と書いた紙を突きつけ大声で自白を迫ったといいます
頭ね後ろ押さえて…ちょうど私の前にも写真あったから頭ね押さえてで「見ろ」って言ってね。
それでも私は見なかったけど。
でまあね「めぐちゃんはねつらい思いして死んだんやからもう認めなあかん」とかそんなことも言われたしね。
あんまりにもね私が認めないし黙秘するから後はもう「お寺さんに行ってお骨持ってこようか」とかねそんなんも言われたし。
取り調べは当時8歳だった長男にも行われました
警察は青木さんに「否認を続ければ長男が法廷に出ることになる」とまで話したといいます
(青木さん)そしたらって言われてって言われたんですよ。
そしたら「あっそうなんかな」って。
今だったら違うとかね分かるけどやっぱり私のせいでめぐちゃん亡くしたんだって思ってそれでねほんとにつらくなって死にたくなって…。
体調が悪い人への長時間の取り調べや共犯とされた一方が犯行を認めたと言って自白を迫るなどの方法はうその自白が生まれる可能性があるとして違法とされる場合があります
青木さんに対する取り調べに問題はなかったのか
私たちは当時の捜査幹部を取材しました
しかし捜査幹部は…
と話しました
裁判所は取り調べ方法を問題にはせず「悲しみに暮れる母親を装い犯情はすこぶる悪い」と断罪し青木さんに無期懲役を言い渡しました
そして2006年最高裁で判決が確定しました
(朴さん)ずっと夜景を見てましてああ〜すごく時間がたったんだなという風に感じました。
青木さんと同じく無期懲役とされ20年ぶりに釈放された朴龍さん
2人の有罪判決の柱とされたのが朴さんの詳細な自白調書でした
恐怖や絶望が自分の限界を超えまして理性が崩壊したことで心が自殺してうその自白をしたんだという風に思っています。
朴さんが警察に自白した犯行の一部始終はこうです
細い路地に面した2階建ての一軒家
土間を兼ねたガレージには軽ワゴン車横に風呂場奥には居間がありました
火事があった日家には4人がいてめぐみさんが風呂に入りに行きました
朴さんは青木さんと申し合わせていたとおりにガレージに行きあらかじめポリタンクに用意した7.3リットルのガソリンを全部まいたといいます
そして車の反対側に回り込みかがんでライターで火をつけたということです
朴さんは一旦居間に戻りガレージを抜けて扉の鍵を開けそこから外に逃げました
青木さんは119番通報をした後長男を連れて裏口から避難しました
有罪の最大の根拠となった朴さんのこの詳細な自白調書
しかし弁護団はその信用性に大きな疑問を抱いていました
そもそも7.3リットルものガソリンをまきやけどをせずにライターで火をつけるとは不自然だ
弁護団は動きはじめます
朴さんが火をつけたと。
その火のつけ方自身が非常に危険な火のつけ方なんですね。
例えばガソリンをまいてそこにライターを持っていく。
そのライターも普通のライターじゃなくてターボライターでつけたということになってるとかお風呂に入ろうとしてパンツ1枚で火をつけたということなのでもし火をつければ自分が返り血じゃなくて返り炎を浴びるんじゃないかと。
青木さんの家のガレージにあった風呂釜に弁護団は注目します
あの日この風呂釜には種火がついていました
弁護団は当初から「種火によって火事が起きたのではないか」と訴えていました
控訴審で実験での検証を求めましたが裁判所はこれに応えないまま有罪が確定していました
弁護団は火災現場を再現し実験によって自白のうそを明らかにすることで裁判のやり直しを求めようとしました
これが今回の実験でポイントとなる風呂釜です。
ポイントは風呂釜
当時つけっぱなしだった種火も再現されました
はいスタート。
出た。
自白どおり車の後ろから7.3リットルのガソリンをまきます
13141516…。
すると…
突然激しい炎が立ち上りました
7.3リットルのガソリンをまききる前に気化したガソリンが風呂釜の種火に引火したのです
自白が事実なら火の手が上がる中で朴さんは更にガソリンをまき続けていたことになります
そのうえ火の海になったガレージを通って逃げたことになりますが実際にはやけど一つしていませんでした
この実験結果で事態は動きます
朴さんの自白には科学的見地からして不自然不合理なところがあるとその信用性に疑問を投げかけたのです
検察側はこの決定に不服を申し立て舞台は大阪高裁に移されました
弁護団の実験は事件現場を正確に再現したわけではないと主張し今度は検察自ら実験を行いました
カチッ
その結果は…
検察が実施した3回の実験すべてで風呂釜の種火に引火したのです
弁護団の実験と同じく朴さんの自白と矛盾する結果でした
この実験結果を青木さんは獄中で心待ちにしていました
逮捕から既に18年がたっていました
青木さんが刑務所で毎日付けていた日記
当時の心境がつづられていました
「決意して電報を開けると弁護士からで実験は成功しましたと書いてあった。
ホっとして胸が一杯になった」。
「真実は一つ!!負けない!!」。
しかし青木さんは釈放されませんでした
というのも無実を明らかにするにはもう一段高い壁が立ちはだかっていたのです
放火でないとするならばなぜ火事は起きたのか
それを弁護側が証明しなければなりませんでした
火事から20年がたった現場
現場いうてももうね…。
当時を知る人たちが減っていくなか消火活動をした人たちから火事の様子を聞くことができました
そやからほんまにざ〜っとこうそんなぐらいで済んでたからね一生懸命こうやってたんやけども。
これは消火活動をした人たちが記憶している火の高さ
当時の警察の調べにも同じように証言していました
実際の火災と車の屋根辺りまで炎が上がった再現実験とは随分様子が違っています
目撃者が見た小さな炎はどのようにして出来たのか
この疑問を解くヒントが思わぬところから弁護団に飛び込んできました
テレビのニュースで事件を知った1人の男性の電話です
男性は朴さんと同じ車種の車に乗っていました
ある日ガソリンタンク周辺の異変に気付いたといいます
燃料漏れが…。
こっから「ええ〜?」と思って。
漏れる…。
ええ。
給油口からガソリンが漏れたというのでした
朴さんと同じ車種でガソリンが給油口から漏れた経験を持つ人は1人だけではありませんでした
滋賀県内のガソリンスタンドの所長だった男性は経験からその車種の給油には気を遣っていたといいます
2台ほどおんなじような現象が出る車がありましたんで。
お客さん気付いておられる場合は向こうから例えば「20リットルで止めてください」とか「満タンまで入れないでください」っていう風にご指示いただく場合もありました。
そこで弁護団は全国の農協系ガソリンスタンドに協力を求めアンケート調査を行いました
すると…
朴さんと同じ車種の事例が最も多かったのです
大阪府内の駐車場には朴さんの車が今もあの日のまま保管されています
弁護団は朴さんの車でも給油口からガソリンが漏れたのではないかと考えました
さびてほとんど原型というか原色をとどめてないですけどもここはあまり日に当たってないということが分かると思います。
火事の途中ずっとここから液体が漏れてたと。
火事があった日朴さんはガソリンを満タンに入れ帰宅しました
火が出たのはそれから20分ほどのことでした
弁護団は出火のメカニズムを証明するため再び実験に挑みました
検察側や車のメーカーの関係者も立ち会いました
ガソリンは販売時の温度に設定
ガソリンを満タンに入れて…
キャップをしめました
そしてアクセルを踏み込むと…
ブォーー!
アクセルを踏みはじめておよそ3分後給油口からガソリンが漏れ出てきました
15分間で350ミリリットル
およそコップ2杯分が漏れました
実験が行われたほかの3台でも量に差はあるもののいずれもガソリンが漏れました
そしてキャップを外すと…
一体なぜ漏れ出すのか
私はそうするとこういう圧力になるわけですよ。
自動車工学を専門とする石濱教授によるとエンジンの熱によってガソリンタンクの温度が上昇します
そしてガソリンが膨張し給油キャップに僅かな隙間があればガソリンは漏れるといいます
更に新たな事実が分かりました
(乘井弁護士)外蓋と中蓋の火災直後の状況を撮った写真なんですけれどもこのキャップがいわゆる
車のメーカーが裁判所に提出した設計図面によると給油キャップが完全にしまった状況は取っ手が地面と水平になります
しかし火災後に消防が撮影した写真のキャップは斜めになっていました
やっぱり最後に満タン給油にしたときに完全にしまってなかった。
可能性の問題ですけどあると思います。
新たな事実はほかにもあります
警察は朴さんが給油したガソリンスタンドの店長らから話を聞いていました
店長らはガソリンが…
ということを話していました
朴さんの車に必要以上のガソリンが入っていた可能性を示す証言ですが検察は…
車の給油口と風呂釜の距離はおよそ90センチ
7.3リットルではなく漏れ出たほどのガソリンならば目撃証言と同じ大きな炎でなく地をはうような炎になるのではないか
この実験の結果…
・ああ〜!・わあ〜!・もっと前でもっと前で。
・もっと前前前。
大阪高裁は漏れたガソリンが風呂釜の種火に引火した可能性を認めました
無罪の可能性が高まったとして裁判はやり直されます
それぞれ服役していた刑務所から2人はようやく釈放されました
火災原因の究明という最大のハードルを弁護団は執念の実験によって飛び越え裁判所を動かしました
高裁は更に警察の取り調べについても触れ「自白の信用性に影響を与える」と初めて問題があったと指摘しました
釈放されてから初めて迎えた娘の月命日
青木さんはめぐみさんの墓を訪れました
めぐみさんは青木さんが19歳のときに産んだ初めての子供でした
出てきてからなんていうのかなだんだん落ち着くにつれてめぐちゃんが亡くなったっていうことをねなんか実感するっていうか。
だから今日が初めてのまあいったら表でね月命日に供養できたっていうので…ほんとうれしさもあるけどなんか悲しみもそれ以上にね感じるし…。
どうだろう。
やっぱりつらいかな。
よかったやん。
裁判のやり直しが決まるまでの過程で自白に頼りきった警察や検察の捜査の問題が浮き彫りになりました
更に有罪判決を出し続けた裁判所に対する批判もあります
東京高裁元判事の木谷明弁護士はその1人です
自白に全面的に頼るのは危ないよという認識はあるんですねこの裁判官には。
だけども根本的にはやはり引きずられてるんですよ自白に。
これは青木さんが逮捕直前まで付けていた家計簿
何に支出をしたか1円単位でびっしりと記されています
当時の収入は電気工をしていた朴さんと青木さん合わせて月に60万円ほどありました
車のローンなどは毎月きちんと返済されていたことが分かります
動機とされたマンションの購入のために当面必要だった金はあったとしても販売会社への手数料などおよそ200万円でした
青木さんを有罪とした判決では…
としながらも…
として有罪を結論づけました
放火というのはこれ動機犯罪といわれるくらいのものでね動機が非常に重要だと。
そういう類型の犯罪です。
特に保険金殺人ということになればね動機が決定的に重要であるということはもう誰でも分かるわけなんでそこでその判決自身がね必ずしも合理的ではないような見方をしなきゃならないそういう動機でこの判決…この事件を割り切ろうとしたというのが根本的に間違いでしょうね。
そしてめぐみさんにかけられた生命保険これは死亡保障に重きを置いたものではありませんでした
・主契約の基本金額がいうたら300万。
ですから
そもそも保険は家族全員が加入していました
めぐみさんにかけられていた保険は死亡時以外に3年ごとに30万円の給付金が受け取れるというものでした
もともと学資保険だったものを保険外交員の熱心な勧誘を受けて3年前に切り替えたものでした
子供の成長に応じて必要な資金を貯蓄していくというか。
そういう意味では単純に生命保険としてのね性格を持ってる保険ではないですよね。
青木さんらは火事の2日後に保険会社に電話をし1か月後に保険金を請求しました
警察と検察はその手続きが早すぎると疑惑の目を向けたのです
(スタッフ)保険を請求しに結果として行くことになるんですがあれはなんかきっかけみたいな…向こうから言ってきた?そうあれもね火事になってねもちろんもう全部焼けて着の身着のままだしまあとりあえず銀行ねお金全部…もういうたら全部お金残ってるところを全部解約に行ってほんでお金かき集めてそしてちょうど下旬だったんで生命保険もね引かれるじゃないですか銀行引き落としでね。
それで引かれたら困るからそれで電話しといてっていって朴さんに電話してもらって。
「青木さんが…自分がね」「私ももしね聞かれたら請求した方がいいよって勧めたってね言いますよ」って言うてくれたからね。
保険外交員もこのいきさつと同じ話を法廷で証言しました
しかし裁判所は重要視せず判決に影響を与えることはありませんでした
青木さんに会うため茨城県から1人の男性が大阪にやってきました
えっこっちなの?ここ?へえ〜。
被告人みたいじゃん。
被告人。
被告人…。
(桜井さん)何してんだあんた。
取調室じゃねぇかこれよぉ。
そうよ。
(桜井さん)何してんだよ。
ちょっと柔らかくなったね顔。
かわいいから。
かわいいから。
(桜井さん)いやかわいくねぇよ。
かつてやってもいない強盗殺人事件の犯人とされて無期懲役の判決を受けました
長期間刑務所に拘束された後無実が証明されたえん罪の被害者です
1967年夏
茨城県利根町布川で1人暮らしの男性が首を絞めて殺されたいわゆる…
桜井さんは知人の杉山卓男さんと共に逮捕されました
取り調べに耐えきれずうその自白をしたことが決定的な証拠とされて…
警察はいっぺん自分たちがこの人を犯人だと確信して逮捕状を取ったら後はしゃにむにやったと言わせるだけ。
朝から晩まで調べるし精神的に痛めつけるし。
そういう目の前の苦しみに人間負けた瞬間にやったと言ってしまうんです。
それがみんな体験しないから分かんないんです。
否認を続けた桜井さんでしたがうそ発見器により犯人と証明されたと警察官に言われもうそれ以上否認する気持ちを失ったといいます
当時の取り調べを録音したテープが残されています
(取調官)杉山はどっち側になって?もうこういうの作り話ですね。
(スタッフ)犯行の話をしてる感じ?ええそうです。
要するに杉山と2人きりになったなという…もうこれは作り話ですね。
そして取調官に聞かれるまま殺害の方法を答えます
(桜井さん)はい。
(取調官)ふ〜ん。
ほんで…。
自白は何度も…自白調書は何度も作らされていて初めて録音したのがこれなんです。
普通にセリフをしゃべったような感じで。
(スタッフ)結構でも首を絞めるとかっていう話…。
別にそんな架空の話だから何話しても意味…意味はなんにもないですよね。
「違うんじゃねぇか」って言われれば相手の意に沿うように変えればいいだけのことであって。
しかしこの事件は検察が長く隠してきた書面が明らかになったことで大きく動きました
被害男性の死体検案書です
窒息死の原因として「絞殺」と書かれていました
警察の取り調べに桜井さんは両手で上から喉を押さえつけたと話していました
手で首を絞めたような痕があれば法医学者は「扼殺」と表記しひもなどで首を絞める絞殺とは明確に区別します
検案書では「絞痕あり」と書かれていました
被害者の首にはひもの痕があったのでした
桜井さんの自白と矛盾する事実
検察はこれを36年間も隠していたのです
そして自白はうそだったと判断され2011年2人に無罪が言い渡されました
事件発生から43年がたっていました
やっと念願がかなって無実を勝ち取ることができました。
桜井さんが青木さんと初めて会ったのは大阪拘置所に収監されていた青木さんの接見に行ったときでした
えん罪の被害を経験した桜井さんは青木さんにとっては心を開くことができる相手です
ほんまに私何が腹立つって控訴審のね裁判官が腹立つわ。
私だから退廷したけどね言いたいこと言って。
スリッパ投げるの忘れたのよ。
これが悔しい私。
拘置所の先生も投げなくてよかったよって言うてたけど。
青木さんにとって無期懲役から無実を認められた桜井さんは心の支えだったといいます
桜井さんが面会に来てくれて言ったじゃない「自分は29年入ってたよ」って。
私あんときにねなんていうの桜井さんが面会に来てくれたけど私がね面会に行ってるみたいになって。
私ねあれでねほんと…。
忘れない。
(桜井さん)泣くんじゃない。
俺も泣きたくなるし。
はははっ。
ああそうだったんだ。
それでね私…「希望を持って」っていうて…。
(桜井さん)そんなこと言ったっけ。
言った。
「俺が出てるんだからねいつかはねあなたもねこっち側に来てね面会に行くんだよ」ってね。
(桜井さん)あっそうだったんだ。
それからね私もね「私も出れるかもしれない。
生きて出れるかもしれない」って。
(桜井さん)へえ〜。
違う仲間たちのためにやっぱり自分の経験をしゃべっていってほしい。
っていうかね社会に伝えてってほしいってそういう願いなんでね。
やっぱりえん罪者はバラバラじゃなくてほんとはみんなで力合わしていかないと強大な警察や検察にかなわないじゃないですか。
自分たちの敵はそこだと思わないとね。
(桜井さん)彼女の気持ちはほんとよく分かってる。
重々分かってる。
それはほんとにね痛いほど分かるんだけどそれであってもなんていうのかないつかはそれを乗り越えてほしいっていうのはあります。
ふふふっ。
(桜井さん)ほんとそうなんです。
(桜井さん)なっ。
大変だけどな。
裁判のやり直しが決まり20年ぶりに釈放された青木惠子さん
当時8歳だった長男は29歳になりました
青木さんには行きたい店があり長男がアドバイスについてきました
初めて契約した携帯電話
(青木さん)一番簡単なやつ。
(スタッフ)ああ〜。
分からない。
(スタッフ)息子さんは違うやつがよかったんですよね?「アイフォーン」がいいって言ったけどそんなん無理。
姉を殺したとして母親が逮捕され祖父母に育てられた幼い子供
釈放後真っ先に声が聞きたくていの一番に連絡したのが長男でした
もしもし?もしもし?今弁護士の車の中。
ありがとう。
待っててね。
うんバイバイ。
バイバイ。
待ちに待ったはずの我が子との触れ合い
しかし20年という年月の溝は小さくはありません
29歳だって分かってても私の中では8歳のままの息子だからなんていうの8歳の息子に接してるような感じになってしまうし…。
出てきたから「はい」っていってまた元どおりのね20年前の親子関係が築けるかっていったらそうではないし。
長男もまた手探りで母親との失った時間を取り戻そうとしています
検察は再審開始の決定について「直ちに承服し難い点がある」とコメントしました
娘を殺したと言われ続けた母親のやり直しの裁判は火災から21年となる来年にも開かれる見通しです

(芽衣子)一同整列!2015/12/21(月) 01:15〜02:15
MBS毎日放送
映像’15「白い炎〜放火殺人20年の真実」[字]

1995年大阪市東住吉区で起きた放火殺人事件。えん罪であることがほぼ確定したこの事件を追い、えん罪を生む司法の構造的な問題を問う。

詳細情報
番組内容
1995年、大阪市東住吉区で民家が全焼、12歳の女児が焼死した。1ヵ月後、母親と同居していた男性の2人が保険金目当ての放火殺人容疑で逮捕され、その後、無期懲役刑が確定した。しかし、2人は無実を訴え続け、弁護団は科学的に放火がありえないことを実験で証明して行った。再審への重い門を叩き続けた結果、裁判所は「無罪の可能性が大きい」と再審開始を決定、2人は20年ぶりに釈放された。
番組内容2
番組では、釈放後の母親・青木惠子さんを取材。自白を強要された過酷な取調べの実態と弁護団の緻密な活動をたどり、警察・検察のみならず、裁判所のあり方を検証。
いつ、誰にでも起こりうる「えん罪」が司法の構造的な問題であることを指摘する。
 
出演者
【ナレーター】
藤田千代美
 
公式HP
【番組HP】
http://www.mbs.jp/eizou/
【facebook】
https://www.facebook.com/MBS.eizou
 
 
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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