その光を65年間ともし続け来年私たちにさよならを告げます。
1300年ごろのイギリスで描かれた世界地図。
上はアジア。
下がヨーロッパとアフリカです。
「聖書」の記述や伝承などに基づいた中世キリスト教の世界観を示しています。
世界の果てには頭の無い怪物が住んでいると考えられていました。
中国について書かれた17世紀の本。
イエズス会士キルヒャーは現地に赴く事なく書きました。
宣教師の報告書などを頼りに想像で描かれた挿絵。
花の上に乗る人物は仏像でしょうか?想像の世界でしかなかった異境へと旅ができるようになった近代ヨーロッパ。
人々の視野がどう広がっていったのかを見ていきます。
18世紀以降環境が整うにつれ異国を訪れる旅行者が増えました。
ローマのコロッセオ。
写真機が発明されると世界各地の様子が伝えられます。
風景が実在のものとして立ち現れたのです。
ドラクロワはフランス政府使節団の記録画家としてモロッコを訪れます。
護衛の兵士が友人の墓の前で死を悼む場面。
異国の兵士を一人の仲間として見つめています。
旅というものは未知の世界に行って多様性に巡り合うという事ではないかと思っています。
例えば異国に行ってエキゾチックなものに触れてですねそれを一方的な視線で見るという事ではなくてその異国の人々や社会が旅人である自分たちをどういうふうに逆に見ているのかという事を考えてくそういう双方向の視線についてこの展覧会を通して考えて頂ければなというふうに思っています。
19世紀半ば各地に鉄道が敷設されると庶民も気軽に旅に出るようになります。
印象派の画家モネはノルマンディー地方を度々訪れその風景を描きました。
パリから鉄道でやって来た人でしょうか?目の前には工場地帯が広がっています。
地方にも押し寄せる工業化の波を冷静に捉えています。
近代化するヨーロッパに幻滅し野性の地を求めたのがゴーギャンでした。
たどりついたのは南太平洋に浮かぶタヒチ島。
現地の人々と交わりながら濃密な空気を描きました。
世界の多様性を知る事で空想の旅もより豊かな奥行きを持つようになります。
SF小説の先駆けとも言われる「海底2万マイル」。
こんな世界がどこかにあるかもしれない。
冒険の旅が現実味を持って迫ります。
ベルギーの画家デルヴォーは旅の記憶や好みのモチーフに空想を加え作品に仕上げました。
先史時代の植物が生い茂る不気味な森。
走り去る汽車がデルヴォーが演出する幻想の旅へといざないます。
マシンが投げるボールをひたすらよける2人の男。
一体何をしているのか?「説明しにくいこともある」のです。
イギリスを拠点に活動するアーティストジョン・ウッドとポール・ハリソンの大規模な個展です。
ウッドとハリソンは1993年以降2人のアイデアをビデオ作品にしてきました。
無意味とも思える映像がなぜか見る人を引き込みます。
「ノート」はテーブルを舞台にした作品。
ありふれた日常の品も…。
このとおり。
(機械音)同じ部屋を100のパターンで撮影し映像をつないでみれば100階建ての奇妙な高層ビルの誕生です。
(爆破音)車が爆破されました。
ミニチュアの車50台が次々と。
衝撃的なシーンが繰り返される事で日常になる。
まるでテレビのニュースのように。
今年ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智さん。
美術愛好家としても知られています。
大村さんが自費を投じて建設しふるさとに寄贈した韮崎大村美術館で開かれている展覧会。
鈴木信太郎は大村さんがこよなく愛する画家です。
駆け出しの研究者時代から少しずつ作品を集めてきました。
女性画家の作品が多いのもこの美術館の特徴です。
人々が集う大きなテーブル。
中央には芳じゅんな果物が置かれています。
古今東西の祈りの形や神秘の世界をテーマにした展覧会です。
「真実の裸身」と名付けられたクリムトの女神。
一糸まとわぬ姿でしっかりと正面を見据えています。
手には真実の象徴である鏡。
見る者に芸術とは何か問いかけます。
大分県宇佐市の寺に伝わる奈良・平安時代の菩像です。
洗練された衣紋の表現均整のとれた体。
九州北部が豊かな仏教文化を育んでいた事が分かります。
建築やアートの視点から未来の住まいについて考えます。
建築家藤野高志のテーマは自然と人間が平等な関係で共存する事。
地面をくり抜いた洞窟のような地下室。
人工の構造物と有機物がさまざまに絡み合いながら存在します。
新しい日本画に挑み続けた中島清之。
最大規模の回顧展が開かれています。
明治32年京都に生まれた中島。
16歳で画家を目指して横浜に上京しました。
24歳の時に描いた「胡瓜」。
葉や土の匂いが感じられる細密な表現。
古画の模写とスケッチによって確かな描写力を身につけました。
「一つのワクの中に閉じこもらず自分の力を試したい」。
中島は常に新しい様式や手法に挑戦しました。
終戦から1年後疎開先の長野で描いた少女たち。
平面的な形や模様に興味を持っていた事が分かります。
東大寺塔頭寺院の住職になるための資格試験の夜。
僧侶の姿はありません。
あえて不在にする事で緊張感を表しています。
既に高い評価を得ていた中島が74歳で描いたのは流行歌手のちあきなおみ。
テレビで歌う姿に崇高なものを感じなんとか表そうと試行錯誤しました。
俗を超えたものを抽出したいと思って描き始めたのにどうして私にはそれができないんだこれではただの俗ではないかというような悩みまで吐露しているんですけれども。
自分の迷いであるとか悩み苦悶というものも全てひっくるめてですねこれが今自分が最も関心があって自分が出したいものなんですというふうに外に向けて発信していくんですね。
そういうところが非常に面白いんではないかなと思うんです。
社会の価値観が大きく変化した大正昭和という時代に自分らしい絵を追い求めた中島清之。
2015/12/20(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“旅と芸術—発見・驚異・夢想”展 ほか[字]
「旅と芸術—発見・驚異・夢想」(埼玉県立近代美術館 11月14日〜2016年1月31日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「旅と芸術—発見・驚異・夢想」(埼玉県立近代美術館 11月14日〜2016年1月31日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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