・「朝の空を見上げて」・「今日という一日が」・「笑顔でいられるように」・「そっとお願いした」・「時には雨も降って」・「涙も溢れるけど」・「思い通りにならない日は」・「明日頑張ろう」
(正吉)ん…。
私まだ生きてましたんかいな?
(新次郎)勝手に死なれたら困ります。
(榮三郎)店の事は何も心配あらへんさかい今はきっちり休んどくなはれ。
どのくらいの間ふ…ふせってましたのやな?
(よの)3日だす。
3日も?お薬がよう効いたんかもう昨日辺りからようよう顔色もようなって。
お母ちゃん寝んとず〜っと看病してはりましたんやで。
あささんかてよう手伝うてくれましたわ。
あさちゃんまでなぁ。
そらまあほんまにみんなにえらい心配かけてしもた。
(あさ)今日はどないなお話してますのやろなぁ。
炭坑ではほんまにお世話になってしもて。
(友厚)あなたほんまは炭坑に爆薬を仕掛けた犯人が誰か見当ついてはるんちゃいますか?いいや。
誰かを疑うような事うちはようしません。
それはあなたのええとこや。
そやけど人の上に立つ者は非情にならねばならん事もある。
偽善者ではあかんという事です。
このころ五代の心の中は複雑でした。
明治10年鹿児島で西郷隆盛を中心とした不平士族の反乱西南戦争が起こり明治政府を率いる大久保利通が2人の郷里摩の人々と戦わねばならない事態となっていたのです
(正吉)あ〜久しぶりにお伊勢参りにでも行きたいなぁ。
暗峠越えて奈良へ出ますやろ。
…で奈良から榛原まで行ったらあとはお伊勢さんまでは一本道や。
あんさんと2人であの道をもう一回歩けたらもう私心残りはありませんわ。
へ?何やて?
(亀助)サトシが炭坑から逃げてしもたんだす。
え?雁助さんが炭坑に着きはった日ぃに…。
回想
(雁助)あんた松造やな。
(亀助)そのあと話し込んではってそれから何日かしたら姿が見えへんようになったんだす。
何でサトシさん…。
炭坑の後始末の方はだいぶ手間取ってます。
費用の方はどうや?思てた以上にかさみそうで…。
事故の後始末がついたらあの炭坑はもう売りまひょ。
両替商が畑違いの炭坑を営むやなんて所詮無理な話やったんだす!いいや…。
うちは嫌だす。
うちは田様にあの山を宝の山にする言うて約束して買うたんだす。
それに石炭売ってお金ためへん限り加野屋は銀行にかてなられしまへん。
銀行になられへんかったら時代に取り残され…。
お姉さん!もう銀行どころやおまへんのや。
一から出直しだす。
その翌日
ん?どないしましたんや?ふゆ。
(ふゆ)表に見た事のない男の人がいててじっとこっちを見てはるんだす。
何やにらみつけてるみたいに。
(うめ)ん?誰もいてまへんけどなぁ。
すんまへん。
うちの心配し過ぎやったんやろか。
(雁助)「大旦さんの言うてはったとおりサトシという男はあの松造だした。
坑道に爆薬を仕掛けたのも松造の組の手下だった事が分かりました。
松造を取り逃がした事非常に無念であり今すぐ山をかき分けてひっ捕まえてやりたいところではございますがひとまず警察に任せておこうと思います。
こちらでまとめた修復にかかる費用と工程の見積もりと予定表を同封致しますので若奥さんにお渡ししといとくなはれ」。
お前の言うてるとおりやったなぁ。
あの松造とこんなふうに出会うやなんてなぁ…。
今まで何も言わんと悪かったな。
松造いうのはわての幼なじみだす。
回想うちの店で働いてた大番頭の息子でな。
そのお父ちゃんがのれん分けでさんざん惨めな思いしたあげく町出てってしもた。
松造はわてに言うたんや。
「人殺し」てな。
え…?あの時の松造はもう松造やあれへんかった。
お金や世間に苦しめられて人が変わってしもたんだす。
回想
(松造)新次郎さんのお父ちゃんのせえでわてのお父ちゃん消えてしもた!お前のお父ちゃんは金の亡者の人でなしや!加野屋なんか潰れてしまえ!松造の言うとおりや思た。
あの事故はわてのせえだす。
そんな…。
あさにもっと早言うてたら防げたんかも分かれへん。
そやのにわて加野屋があいつの家殺したてどっかにそないな負い目もあったさかい…。
堪忍だす…!旦那様。
堪忍な…。
またけったいな男がウロウロしてたて?へぇ。
弥七さんも見かけたそうだす。
そないいうたら昨日ツタも見た言うてましたで。
えらい背の高い若い男はんやったゆうて。
へぇ!うちが見たのも背の高いお人だす。
そない何べんも見かけるて怪しいなぁ。
その男の人てひょっとしたらサトシさん…。
いや松造さんと違いますのやろか?わてもそない思うわ。
旦那様。
それやったらえらい事だすがな!この店にかて何するか分からへん。
ここはわてに任してもらわれへんやろか?やっぱりお前やったんやな。
(サトシ)久しぶりやなぁ新次郎坊ちゃん。
お母さんはお元気だすのか?とっくに死んだわ。
お父ちゃんもようやっと見つけ出した時にはもう死んでた。
それからず〜っと貧乏神に追いかけられて…。
(くしゃみ)は…。
あさか?すんまへん…。
早食べなはれ。
へぇ…。
炭坑に爆薬仕掛けたんはわいや。
何でそないな事しましたんや?決まってるやろが。
加野屋にあの山から手ぇ引かせよ思たからや。
石炭は日本の支えやらきれい事ぬかしやがって…へどが出たわ!そんな…。
うちはほんまにあの山を…!あさ。
これからどないしたい?何かしたい思たから大阪まで来ましたんやろ?うちの店に火ぃでもつけたろ思いましたんか?思たわ。
大番頭が警察に言うたらもうどこの山でも働かれへん。
ハッ。
破れかぶれや!せやけど…そらやめたわ。
お前の親父さんもう死ぬみたいやしなぁ。
加野屋は親父さん死んだら潰れるて町で聞いたさかい。
そうか…。
堪忍な。
お前がそないひねくれた考えになってしもたんはわてのせえや。
わてがあの時お前助けられへんかったさかいや。
それでも今やったら何かできるかも分かれへん。
お金…ありますのんか?お前…。
いいや旦那様それはあきまへん。
事故を起こす事それだけはしたらあかんかったんと違いますのか?死人がぎょうさん出たかておかしなかったんだっせ!そんだけあんさんが起こしはった事故いうのは大きい事やったんだす!加野屋に手ぇ引かせるためだけやったらいっそうちを包丁で刺してくれはった方がどれだけましやったか!何ちゅう事言いますねん。
こないな事してあげく山から逃げ出して!あの山の皆さんに申し訳あれへんて思いはれへんのだすか!?罪…償うとくなはれ。
あさ…もうやめてくれ。
すんまへん旦那様。
炭坑のみんなやお家守らなあかん立場なんだす。
偽善者ではあかん。
優しい事だけ言うてる訳にはいかしまへんのや。
あんたもやっぱり…人でなしやな。
それでええんや。
加野屋の旦那さんとおんなじや。
わいのお父ちゃん言うてた。
のれん分けする時に「何があっても金の貸し借りだけはでけへん。
それがしきたりや」言われたてなぁ。
せやけどわいはお父ちゃんとお母ちゃんが苦しむの見てられへんかって…そんでお前にムチャ言うた。
お前が優しいの知ってて。
今かて…事故起こしたわいを助けるやて?アホか?人よすぎて腹立つわ!この女大っ嫌いやけどなぁ…。
そんでも今はこっちゃが道理だって分かる。
すまんかった。
松造…。
顔上げてぇな。
いや上げられへん。
そやけど最後に一つだけ頼みがある。
よう来てくれはりましたなぁ。
合わす顔あれへんのは分かってます。
せやけど…。
松造はん。
お父ちゃん助けられんですまなんだ。
いくら約束やからというてもやなんぞほかに助ける手だてがあったかもしれへんのに…。
私の力不足や。
堪忍してや!あんたのお父さんなぁよう働くええ番頭さんやったんやで。
ほんまに頼りがいのある人やった。
あんたのお父さんが大好きやったふなはし屋の黒糖まんじゅうや。
ほんまに好きやったなぁ。
食べてみて!こんな形でまた会えてこういう事伝える事ができて私ほんまにありがたい。
お父ちゃんのお導きやったかもしれしまへんなぁ。
そしてサトシは警察へ出頭したのでした
ほっとしましたわ。
これで一段落だすな。
あの男から償い金が取れる訳やなし何も変わりはあらしまへん。
やっぱりあの炭坑はもう…。
うちは炭坑を手放す気はあらしまへん!何べんも言うてますとおり炭坑はうちの始めた商いだす。
事故が起きたさかいいうて途中で放り出す事は決してでけへんのだす。
こら何してますのや?にらめっこでもしてますのかいなぁ?イタタタタ!何しますねん!は?はぁ…。
ひとまず今はお姉さんの意見を聞く事に致しまひょ。
え?雁助が送ってきた見積もりもう一回見てみましたらどないかなるかてちょっと思えてきましたんや。
榮三郎さん!ひとまずだっせ。
ひとまずあの予定どおりに…。
うちもあの見積もり見ておんなじ事思たんだす!どないか2年半でまた儲けが出るようになるて!今すぐ当面のお金は借りなあきまへん。
そうだすな。
あ…すぐ蔵から帳簿を持ってきます。
今までお姉さんがためた蓄えかて全部無くなりますのやで。
お姉さんが願ってはった銀行やなんて夢ももうかなわへんけどよろしいのか?ひとまず今は銀行の事は置いておく事に致しましょ!わて一人では到底止められはしまへんわ。
榮三郎。
ん?おおきに!警察へ行きましたか。
そやけどあのころはお前にもつらい思いさせましたな。
私の事恨んでますやろ?へぇ。
わてなぁお父ちゃんの事ただのケチや思てましたわ。
アホな事言わんときもう…。
(笑い声)せやけどなぁ今やったら分かります。
お家を守るいうのはそないなつらい決断の積み重ねなんやて。
しんどい時こそ人に頼らず自分の足で乗り越えていかなあかん。
あさからその事学びましたんや。
そうか。
わてもちょっとはあさの仕事の手伝いでもしてみよか…てな。
うそでもお前の口からそんな言葉が出たて榮三郎が知ったら喜びます。
違う違う違う違う…。
ほんまにうれしいのは私や。
ハハハハ。
へぇ。
(笑い声)
(泣き声)
(2人)ワワワワワワ。
ワワワワワワ。
あさ。
(千代の泣き声)あさちゃん。
あんたが来てくれてからもう何やうちの中が明るうなりましたんや。
何もしゃべらんといとくなはれ。
うちの事よろしく頼みまっせ。
うん?よのと2人にしてくれへんか。
お伊勢さんに行かれへなんだ。
そないな事言わんといとくれやす。
またきっと行けます。
暗峠越えてなぁそこから榛原行ってお伊勢さんまでもう一本道や。
大きな鳥居やなぁ。
神さん!加野屋と私の一家をどうぞあんばいよういけますように。
よのさんがうまい事生きていけますように。
よろしゅう…頼んまっせ。
お前様?お前様!置いてかんといとくれやす!お前様…。
先ほどまで急ぎの用で東京に行っておりましてお焼香あげさしてもらうの遅なってしまいました。
いいや。
わざわざおおきにありがとうございます。
お父様とはまだまだお話ししたい事が山のようにありました。
最期のひとつきは家の者以外はどなたさんとも会おうとはしまへなんだ。
弱ってきてるとこを人さんに見せとうなかったんや思います。
奥様もさぞお気落ちの事でしょうなぁ。
へぇ。
それでも今度お伊勢参りに行く言うてますわ。
それで…ほかの皆さんは?ほかの皆さんいうても…五代様が気にしたはりますのはあさの事だすわな。
父に何言われたのか3日前からケロッとして今は張り切ってますわ。
はぁ!?千代を炭坑に連れていくやて?あきまへんやろか?ええ訳あれへんがな。
あんた母親のくせに何考えてはりますのや?そやけど…。
世間さんではあささんの事炭坑を爆発させた上にややこを連れて歩くとんでもない奥さんやなんて言うやからかて多いのだす。
とにかくあきまへん!へぇ…承知致しました。
先ほどはもう肝を冷やしました。
お母様や新次郎様がお怒りになるのも当然だす。
お千代様お育てなりながらお仕事の事も大事にしたいのは分かりますけどあなた様はおなご!何でだす?何でおなごは男のしてる事したらあかんのだす?はい?フフフ。
いいや。
うち昔お父様にそないな事言うた事がありましたなぁ。
ございましたとも。
炭坑で働くようになってようようその大変さに気ぃ付いたんだす。
外で働くいう事はおなごやいうてバカにされてもへこたれへんだけやのうてこっちも決して女やいう事に甘えたらあきまへんのや。
腕っぷしではどないしても男に勝たれへんのにやで?お父はんがおなごは引っ込んどれ言いはったんも無理あれへん事やったんだす。
あれはあれでうちの事思てくれてはったんやな。
今頃気付くやなんて。
…て事はつまり今おあさ様はもう働くのはつらいとそう思ってらっしゃるって事だすな?いいや。
うち気ぃ付いてしもた。
働く事が好きなんだす。
商いが好きなんだす。
うちもいつかおなごの商いを広げていきたい。
男のまねするんやのうておなごのやり方でな。
けったいなもん好きになりはって。
このいばらの道をおなごの足で突き進むしかあれへんのや!
年が明けてあさは大阪と炭坑を慌ただしく行き来する毎日を送っておりました
千代〜!ただいま〜。
お姉さんお帰りやす。
ちょうど今お兄ちゃん出ていったとこだすわ。
旦那様が?五代様が大事な用がある言うて。
単刀直入に申し上げます。
あささんを東京にお連れしたいんです。
東京に?うちが東京に?2015/12/20(日) 16:35〜16:55
NHK総合1・神戸
あさが来た 一週間 第12週「大阪一のおとうさま」[字]
正吉(近藤正臣)が倒れる。あさ(波瑠)は、必死に看病をする。炭坑では事故が起こり、サトシ(長塚圭史)が姿を消す。あさは、正吉からある言葉を受け、そして決心する。
詳細情報
番組内容
あさ(波瑠)の義父、正吉(近藤正臣)が倒れる。子育てをしながら、正吉の看病をするあさ。そんな時、爆発事故を起こした炭坑からサトシ(長塚圭史)の姿が消える。サトシは幼いころから加野屋に恨みをもつ新次郎(玉木宏)の幼なじみの松造だった。あさと新次郎がサトシを見つけ出し…。そして容体が悪化した正吉は、あさに「この家を頼む」という言葉を残す。お金の力と怖さを学んだあさは、商いの道を進む決心をする。
出演者
【出演】波瑠,玉木宏,ディーン・フジオカ,三宅弘城,山内圭哉,友近,桐山照史,柏原収史,清原果耶,富田靖子,長塚圭史,山崎銀之丞,梶原善,辰巳〓郎,風吹ジュン,近藤正臣,【語り】田代杏子,杉浦圭子
原作・脚本
【作】大森美香
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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