アルゴリズムが監視するウォール街の疑わしい債券取引-米SEC開発
2015/12/24 14:17 JST
(ブルームバーグ):米ジェフリーズで勤務していたジェシー・リトバク元トレーダーの同僚が、不当に高い請求を示す詳細なスプレッドシート(集計表)をうっかり顧客に送ってしまったことが、債券取引の不透明な慣行をめぐる広範な調査が始まるきっかけだった。米証券取引委員会(SEC)は、将来の調査がこうした偶然に頼ることがないよう確実を期す構えだ。
SECはモーゲージや自動車ローンに関係する証券の取引監視強化のため、約2年にわたり独自のアルゴリズムを開発した結果、債券販売の過剰な利幅やブローカーへのキックバック(賄賂)の可能性が疑われる数十億ドルを特定したことを明らかにした。
SECの複合金融商品部門の責任者マイク・オズナトー氏はインタビューで、「われわれは問題のありそうな数十億ドルの取引を割り出した」と述べ、債券の店頭取引市場の調査にこれが役立つと説明。「一連の取り組みに基づいて成果の期待できる調査にすでに着手し、さらなる調査も間もなく始まる見通しだ」と発言した。
リスク定量分析センターを2013年7月に発足させたSECは、その後テクノロジー戦略を強化し、コンピュータープログラマーや数学の専門家を配置することで、市場関係者の訴えや相場の急落をきっかけに行動を起こすのではなく、疑わしい取引を事前に特定する対応に軸足を移しつつある。
SECは独自に開発したソフトウエアを用いて米金融取引業規制機構(FINRA)が提供するモーゲージや自動車ローン関連証券の取引データを集計し、これらの市場で相互取引の頻度が最も多い銀行がどこか解明できるようになった。この種の情報は、必ずしも違反を示すものでないが、SECにとっては市場参加者の全体像の把握が容易になる。
原題:Wall Street Cop Uses Algos to See Errant Bond Trades (Correct)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Matt Robinson mrobinson55@bloomberg.net
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更新日時: 2015/12/24 14:17 JST