必ず来る!マーケティングオートメーションが必要とされる理由とその選び方
「マーケティングオートメーション」と聞いて、どんなものしっかり答えることはできますか?
「ちゃんと答えられる!」と言う方もいるかと思いますが、この記事を読む方の6割以上が正確に答えられないのではないでしょうか。
参考:2015年4月マーケティングオートメーション市場レポート | 電通イーデジタルマーケティングワン
マーケティングオートメーションは、獲得した見込み客の情報を一元管理し、主にデジタルチャネル(メール、SNS、ウェブサイトなど)におけるマーケティングを自動化、可視化するソフトウェアのことです。
マーケティング・オートメーションのツールと一言で言っても、何種類かに分類することができ、サーバーにインストールするソフトウェア型だったり、オンラインネットワーク上で動作するクラウド型などがあります。
様々な種類が存在しているマーケティング・オートメーションですが、値段も数万円から導入できるものもあれば、数十万円掛かるものもあります。
「導入してみたいけど、一体自社にとって適切なものはどれなんだ……」と諦め気味になってしまっているかもしれません。
これから展開していきますが、マーケティング・オートメーションは救世主にも成り得ます。
当記事で、しっかりと理解して自社にとって適切なマーケティング・オートメーションを選びをしてみましょう。
マーケティング・オートメーションとは
マーケティング・オートメーションは営業マンの救世主に成り得ます
マーケティング・オートメーションとは、その名の通りマーケティングを自動化するものです。なぜその必要が出てきたのでしょうか?
マーケティングについて、wikipediaにはこう書かれています。
マーケティング(英: marketing)とは、企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。
要するに、顧客(ターゲットユーザー)が求めるものを作り、それを顧客に届けるための一連の活動です。
これは今も昔も変わらないのですが、ユーザーの消費行動が変化していること、マーケティングの手法が多様化&複雑化していることでマーケティングのやり方を大幅に変えなければ時代に追いついていくのが難しくなってきています。
一つ例を挙げてみましょう。
マス・マーケティングが主流だった頃は、買い手に情報はなく、商品の良し悪しを決めるには販売側からの情報が頼りでした。
しかし今は、ユーザーが商品を購入する前にウェブサイトでの情報収集、クチコミ検索など自ら情報を取りに行く動きができるようになっています。
例えば、家電を買うときに、ネットで情報を下調べしてから分からないことを聞いてから購入を決めようと家電量販店に行き、店頭に立つ営業担当者がこちら側の質問に全く答えられなかったりすると、購入を躊躇してしまうといった経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
もし、家電量販店側がウェブサイトを検索していることを事前にわかっていれば、対応を変えることができたかもしれません。
ましてや、ウェブサイトの動きはアクセス解析などで知ることができます。
その情報が営業担当者に届いていれば、効率よく営業ができていたでしょう。
実際に、電通イーマーケティングワンが2015年2月に法人営業担当者に対して、「営業のリスト(メールアドレスや電話番号など)に対してどの程度アプローチできているか?」というアンケートを行い、驚きの結果が出ました。
全てのリストにアプローチできているのは全体の25%程度しかおらず、ほとんどの企業はリストに対して営業漏れを起こしていることが分かりました。
画像引用:「法人営業の営業リストに関するアンケート調査」のレポートを発表 | 電通イーマーケティングワン
また、その理由も聞いてみると、
- リストが多すぎる
- リストの質が悪い
この2つに分類されることが分かりました。
要するに、質の低いものがリストの中に混在しているため効率が悪い(時間が余計にかかる)ということが営業担当者の声として上がっています。
しかし、ウェブサイトを訪れてくれたユーザー一人ひとりの動きに合わせて、興味がありそうな商品の最新情報メールを送ったり、しばらくアクセスしていない人に対してメールを送ったり、など煩雑すぎてやりたいけどできない。
そんな問題が出てきます。
そこで登場するのが、「マーケティング・オートメーション」です。
各社のマーケティング・オートメーションの定義
マーケティング・オートメーションが必要とされる理由について分かったところで、次はその定義について学んでいきましょう。
一般的にマーケティング・オートメーションとは、獲得した見込み客の情報を一元管理し、主にデジタルチャネル(メール、SNS、ウェブサイトなど)におけるマーケティングを自動化、可視化するソフトウェアのことを指します。
簡単にいえば、獲得した見込み客を育て、精査し、営業マンに質の高いリストを送る一連の流れを自動化したものといえます。
もっと具体的に理解するために、日本で展開するマーケティング・オートメーションベンダーの定義を見てみましょう。
Salesforce
マーケティングオートメーションとは、マスマーケティングと違って、興味・関心や行動が異なる個別な顧客との個別なコミュニケーションを行うデジタルマーケティングにおいて、その煩雑な業務を自動化するために開発されたツールや仕組みを指しています。
http://www.salesforce.com/jp/socialenterprise/innovation/vol3-marketing-automation.jsp
シャノン
顧客をセールスパイプラインに載せる前に実施する、オンライン/オフラインのマーケティング活動全般を自動化する取り組み。
http://www.shanon.co.jp/marketingautomation/
B-Dash
マーケティングオートメーションは、「獲得した見込み客の情報を一元的に管理し、見込み客の選別や育成を一貫して行うことで、成約の見込み度を高め、最終的に営業部隊へ見込み客を渡す一連の作業を自動化する役割」を担っている。
https://mieruka-b-dash.com/about-ma/what-ma/
どのベンダーも、共通して「見込み客の情報を一元管理し、マーケティングを自動化する」と言っていることが分かりますね。
マーケティングオートメーション成功の鍵はマーケティングファネルの理解
マーケティングオートメーションを成功させるには、リードの質を改善させるという考え方が欠かせません。そのために、マーケティングファネルの考え方を理解しましょう。
上図は、マーケティングからセールスまでの流れを漏斗(ファネル)を図解したものです。左から右に流れていきます。
大きく分けて左からリードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーション・営業成約となっています。
横文字ばかりで何だか難しそうですが、マーケティングファネルを理解するためにはしっかり知っておく必要があります。
それぞれをもう少し詳しく掘り下げて説明します。
見込み客を獲得する「リードジェネレーション」
マーケティング・オートメーションが成功するかどうかは、ここに掛かっていると言っても過言ではないのが、「リードジェネレーション」です。
リードジェネレーションの大きな目的は、見込み客の獲得ですが、ここで問題になってくるのが「質」と「量」の関係性です。
SEO/SEMやセミナーなどで最初に見込み客のリストを手に入れても、全員が商品を購入してくれるわけではありません。
必ず図のように、「いますぐ客」、「そのうち客」、「おなやみ客」「まだまだ客」のように分かれ玉石混交の状態で、質にバラつきがあります。
この状態のまま、セールス領域の営業担当者にリストを渡しても、リストの質が悪ければ効率は改善されません。
そして、営業担当者からは、営業をしないでも成約に至りやすい 「質が高いリード(いますぐ客)」を、求められやすい傾向にあります。
例えば、資料請求フォームに多くの情報を取得しようと質問項目が大量になっていたりしませんか?
大量の質問項目に答えるだけの意欲があれば、当然質は高いはずです。
しかし、うんざりして途中で抜けてしまった見込み客も多くいるでしょう。
このように質を求め過ぎると、当然量は減ってしまいますし、潜在層を獲得できないため先細りになってしまいます。
よって、質を追い求め過ぎて自らの首を絞めないよう、量に置きつつ、得たリードを育成・選定していくと、比較的上手く行く土壌ができやすくなります。
それでは、次はその育成にあたる「リードナーチャリング」について説明します。
見込み客を育成する「リードナーチャリング」
リードの量を絞り過ぎないようにしつつ、質を上げていくために必要なのが、「リードナーチャリング」です。
獲得したリードですぐに成約するのは稀で、ほとんどの場合が熱が上がりきっていない状態です。
そこから商品の情報をメルマガなどで定期的に提供するなどして、見込み客の熱を上げていくこと。これがリードナーチャリングなのです。
具体的には赤枠で囲った部分を「いますぐ客」へ育てていくということになります。
見込み客を選定する「リードクオリフィケーション」
リードナーチャリングを行っていて、ある一定のレベルまで見込み客の熱量が上がったら、購入の可能性が高い見込み客を選定する「リードクオリフィケーション」を行います。
選定方法は主に以下の2パターンに分かれるといわれています。
- 行動データによる選定
- オンラインであればアクセス解析などで興味関心を調査
- オフラインであれば展示会やセミナーなどへの参加での興味関心の調査
- 性別や年齢など属性データによる選定
このように、リードナーチャリングで情報を提供するだけでなく、アクセス解析などを見ながら「実際にメルマガは読まれているのか」、「どれくらい商品に興味関心はあるのか」、「興味を持っている商品の特性はどこなのか」などのデータを取得していく必要があります。
そしてそのデータを使ってスコアリングを行うことで、見込み客の熱量を把握し選定していくという流れになります。
マーケティングファネルにおける各フェーズを経ていくことで効率的に成約を獲得していくことができます。
次に、マーケティング・オートメーションを用いると何が効率化されていくのかをご紹介します。
マーケティング・オートメーションでリードナーチャリングを効率化
マーケティング・オートメーションを導入してもマーケティングファネルの考え方は変わりません。
では、何が効率化されるのでしょうか?
それを理解するためには、マーケティングファネルにおける問題点を理解しておく必要があります。
リードナーチャリングを行おうとメルマガを配信する場合、人力でも配信数や到達率、開封率などのデータは取得できますし、配信内容をユーザーの傾向に合わせて変更していくことでリードナーチャリングを行うことは可能です。
ウェブサイトの閲覧状況やセミナーなどへの参加状況、それらまで加味してリードナーチャリングを行うことになれば、現実的には時間も手間もかかるため難しくなっています。
また、アクセス解析ソフトやメルマガ配信ツールなどそれぞれが独立したツールの場合、出てくる指標が異なったり、データ形式が違うなど部分的な最適化になりがちです。
結果、担当者の手に負えない無用の長物となってしまっているのが現状です。
実際にマーケティングをやられている方は身に覚えがあるのではないでしょうか?
そこで登場するのがmマーケティング・オートメーションです。
シナリオを組んでマーケティング・オートメーションに覚えさせておけば、そのシナリオ通りに動いてくれるのが大きな特徴です。
具体的にどんな機能があるのかを説明します。
マーケティング・オートメーションの機能一覧
マーケティング・オートメーションに搭載されている機能で代表的なものを紹介します。
1.ページ制作
簡易なページを制作することができます。
登録フォームやランディングページを作る機能として搭載されていることが多いです。
2.リード管理
リードの行動履歴を保存し、属性情報なども一緒に保存することができます。
後述するスコアリングと組み合わせることで、リードクオリフィケーションにも使わます。
3.スコアリング
ウェブサイト上の行動履歴などをスコアリングのルールに則って、数値化する機能です。
4.メールマーケティング
予め設定しておいたシナリオにもとづいて、メールを配信することができます。
5.アクセスログ取得
一般的なアクセス解析機能です。
スコアリングのためのデータの元にもなります。
6.ソーシャル機能
ソーシャルへの拡散などを行うことができる機能です。
多くの機能を搭載しているマーケティングオートメーションですが、まだ国内において普及しているとは言えない状態です。
マーケティング・オートメーションについて検索をしても、誤解しているサイトなどがありますので、そ「マーケティング・オートメーションについての誤解」を解いていきましょう。
何もしなくて良いわけではない。マーケティング・オートメーションへの誤解
カタカナで何だか便利そうなので、今すぐにでも導入を検討したくなってしまいますが、誤解しがちなことをいくつか取り上げてその誤解を解いていくことで、よりマーケティング・オートメーションへの理解を深めていきましょう。
【誤解その1】何でもかんでも機械が自動化してやってくれる
マーケティング・オートメーションを導入すれば、今までの営業で煩雑だった部分を全て解消してくれる魔法のツールではありません。
良いシナリオが描けているかどうかが成功の鍵です。
もちろん最初から良いシナリオが描けることは稀ですので、試行錯誤が必要となります。
シナリオ作りのためには、ペルソナ設計、カスタマージャーニー設計、スコアリング設計などの事前準備が必要となります。
【誤解その2】すぐに効果が出る
誤解その1でシナリオ作りが大事と説明していますが、試行錯誤を繰り返すため効果が出るまでにどうしても時間がかかってしまいます。
効果を実感するまでに半年〜1年掛かることだってありえます。
最初から金額の高いマーケティング・オートメーションにお金を投じてしまうと、宝の持ち腐れになってしまう可能性もあります。
最初は、身の丈にあったものから始めて効果を感じ、PDCAを少しずつ回してからグレードアップしていくのが良いかもしれません。
マーケティング・オートメーションツール料金比較
サービス名 | 初期費用 | 最低月額費用 |
---|---|---|
Hubspot | 0円 | 24,000円(200$) |
Marketo | 0円 | 143,000円 |
SATORI | 100,000円 | 100,000円 |
KAIROS3 | 10,000円 | 5,000円 |
Synergy!LEAD | 148,000円 | 50,000円 |
SHANON MARKETING PLATFORM | 100,000円 | 25,000円 |
HomeUp! | 50,000円 | 50,000円 |
海外と国内のマーケティング・オートメーションツールの料金を初期費用と最低月額費用でまとめてみました。
値段の違いは、コンサルティングのお金が含まれているところや、含まないために安いところなど、様々な理由があります。
自社に担当者を専任で付けられない場合などはコンサル込みのところが良いでしょうし、経験者を雇っている場合などは不要かもしれません。
自社に合ったものを選ぶようにしましょう。
マーケティング・オートメーションツールの導入は身の丈にあったものから
いかがでしたでしょうか。
マーケティング・オートメーションは効果が出るまでに時間が掛かる上に、PDCAを回していくことで効果を上げていくことができるものです。
初めて導入する場合は、自社が本当に運用できるのかをしっかりと検討したうえで身の丈にあったものを選ばなければいけません。
今回の記事が皆さんの会社のマーケティングを改善、向上に役立てば幸いです。