とうとう大手新聞にまで取り沙汰されたので何が違法かを解説する。
ただ、内容の性質上どうしても一般的ではない概念が必要になる。
そういう人は「整理して比較」の部分まで飛んでも差し支えはない。
1.通常時の玉の戻り
3.大当たり時(確変中も含む)の出玉の増加
この3つだ。
なぜなら、大当たり確率、確変突入率、平均連チャン回数などは店側が手を出せない予め決められている内容だからだ。(スロットは逆に大当たり確率が変更できる。ここで遠隔という人間はこれ以降を読んでも時間の無駄である。)
パチンコをやる人間なら気にするであろう「1000円でn回まわった」というのは、じつは1と2の要素によって決まっている。
例えば、250玉(1000円分)あたり50玉戻ってくる場合と、100玉戻ってくる場合では、最終的に打ち込める玉数が変わってくる。
当然多く戻ってくる方がお金の減りが少なくなるというわけだ。
例え玉が多く戻ってくる台を見つけたとしても、そもそも抽選しなければ大当たりはない。
300玉打ち込んで18回抽選した場合と、350玉打ち込んでも17回しか抽選しない場合では、前者の方が優秀と言えるのだ。
(前者は100玉中の抽選回数が6回。後者は100玉中の抽選回数が約5回)
それは、それだけ大当たりまでの投資金額が少なくなるからにほかならない。
例えば大当たり確率1/240の機種を遊んだ場合、前者は平均して約13000円(240÷18回×1000円)で大当たりするのに対し、後者は約14000円(240÷17回×1000円)が必要になってしまうからだ。
1000円あたりの抽選回数は、普段の玉の戻りと、始動口回数によって決まるわけだ。
そうしてやっとのおもいで獲得した大当たり。
もし、大当たりまでの平均投資金額換算よりも、大当たり出玉が上回ればシメたものだ。
その台を打ち続ければ、出玉は増え続けるということを意味しているからだ。
逆に大当たり出玉が平均投資金額換算を下回る場合、大当たりを重ねる度に追加投資が必要になることを意味している。
この場合の大当たり出玉とは、大当たり一回の獲得玉数ではなく、平均連チャンを終えた時の一連の出玉を指している。
(1回の大当たり出玉×スペック上の平均連チャン回数+確変中の出玉増減)
この計算にも、先ほどの1000円あたりの抽選回数が関わってくる。
前者であれば3250玉(13000円÷4)を超えればよいのに対し、後者であれば3500玉(14000÷4)を超える必要がでてくることがわかる。
この点においても、前者の方が優れていることが証明されるわけだ。
少し乱暴な説明ではあるが、これがいわゆるボーダー理論を考える上での基本的な計算方法でもある。
今回の報道を要約するとこう書いてる。
「テストの状態よりも、始動口が開けられ、一般入賞口が締められていた。」
つまりこれは、先ほどの前者、後者を比較した状況になっていたといえる。
それぞれ、前者は一般入賞口が締められ始動口が開けられた状態であり、後者は一般入賞口が開けられ始動口が閉められた状態だ。
今回問題とされているのは、検定時に後者で認定を受けたにも関わらず、販売時には前者の状況で利用されていたということになる。
しかも、それをホール側の責任と調査を開始したにも関わらず、なんとメーカーがホールに販売する段階で行われていたというのだから驚きだ。
あまり知られていないことだが、パチンコの玉の打ち出しには制限がある。
それが1分間に100玉までということだ。
つまり、どれだけ頑張ろうとも1分間に100玉以上の玉を打ち出すことはできない。
打ち出すことのできる玉の上限が決まっていれば、時間あたりに投資できる金額が決まるからだ。
では大当たりまでの時間はどうだろう。
前者と後者とを比較した場合、1回の大当たりまでに必要な時間は、それぞれ前者は40分(大当たり確率240÷100玉あたりの入賞回数6)であり、後者は48分(大当たり確率240÷100玉あたりの入賞回数5)になる。
つまり前者の方が短時間で大当たりする=ギャンブル性が高いということになってしまうのだ。
ここで記事に戻ると10分間に数十個の入賞が求められるとされている。
仮に50個だとすると1分間に5個だ。
1回の入賞辺り払い出しが10玉だとした場合、1分間に50玉の払い戻しが必要になる計算になる。
つまり、1000円を投入すれば少なくとも375玉(250玉+2.5×50)が打ち込める必要があるということになる。
通常であればここにさらに始動口入賞の払い出しもあるので、おおよそ400~450玉の打ち込みが可能になる計算だ。
仮に450玉とした場合、この状態で先ほどの前者と同じボーダーに設定すると、1分間あたりの始動口入賞回数は4回(前者の1000円あたりの抽選18回:450玉あたりの抽選回数)になる。
つまり、同じボーダーに設定した場合でも、大当たり1回あたりに必要な時間は60分まで拡大するのだ。
ここまでの内容を整理してみる。
どちらも共通して1000円あたりの抽選回数が18回だった場合
1分間辺りの抽選回数6回、大当たりまでの平均時間40分、1時間に負けられる最大金額2万円、1日の平均初当たり回数約10回、獲得可能な平均出玉32500玉
1分間辺りの抽選回数4回、大当たりまでの平均時間60分、1時間に負けられる最大金額約1万3千円、1日の平均初当たり回数7.5回、獲得可能な平均出玉24375玉
つまり、Aのほうが圧倒的にギャンブル性が高いということがわかるわけである。
今回問題視されているのは、あくまでギャンブル性が高いことにあるということをお忘れなく。
業界を擁護するつもりはないが、計算して比較したとおり勝敗という面において不利益があったわけではない。(負けやすくもあり勝ちやすくもある状態だった。)
しかし、昨今の業界を取り巻く問題に依存症問題がある以上、ギャンブル性が高い=刺激が高い状態を法を破ってまで保とうとしていたことは問題であり、それ故、早急の解決が求められているというわけだ。