女子55キロ級で優勝し、表彰式で笑顔の吉田沙保里=代々木第二体育館【拡大】
試練を乗り越えた13度目の日本一は格別な味だった。それでも、歓喜は一瞬だ。連勝街道を突き進む吉田の視線はすでに来夏のリオ五輪へ向いている。
「天国で父(栄勝さん、享年61)も見守ってくれていると思う。必ず五輪4連覇して、いい報告をしたい」
今大会では55キロ級を選んだ。「1階級上の圧力や勢いを感じたい」からだ。見せ場は決勝。両脚タックルから相手を担ぎ上げ、バックドロップのような投げ技「水車落とし」を披露。観衆がどよめく中、背後に回り、5分15秒でテクニカルフォール勝ちした。個人戦の連勝記録を「203」に伸ばした。
今月10日、ぜんそくと診断された。8月から、息があがると呼吸が苦しくなった。最初は「練習不足」と考えていた。しかし、12月に入ると、夜は咳き込み、眠れなくなった。薬を飲み、朝晩に吸入をして、症状は落ち着いている。左肩の痛みも抱えながら圧倒的な強さをみせた。
大好きな先輩からパワーをもらった。