菅官房長官:金融政策は今後も「対応策できる」-日銀異次元緩和
2015/12/24 07:14 JST
(ブルームバーグ):菅義偉官房長官は、日本銀行は今後も経済情勢に応じて「対応策ができるようになっている」との認識を示し、国債買い入れ額の膨張で限界説も出ている現在の金融緩和の持続性について「悲観的にはまったく考えてない」と語った。
23日、ブルームバーグのインタビューで、アベノミクスで掲げた「大胆な金融政策」を今後も推進していくことができるか、との質問に答えた。菅氏は、異次元緩和の補完措置を決めた先週の日銀金融政策決定会合で「米国の利上げを受けて柔軟に対応していく、緊急的な対応ということもうたわれている」と述べた上で、「そこは十分視野に入れながら、対応策はできるようになっていると思っている」と語った。
日銀の異次元緩和をめぐっては、巨額の国債買い入れをどこまで続けられるかを懸念する限界説が市場に出ている。17日に公表された資金循環統計によると、日銀が保有する国債・財融債と国庫短期証券は9月末に315兆円に達し、発行残高の30.3%を占めた。異次元緩和が始まる直前の2013年3月末時点では13.2%だった。18日には来年の国債購入額が今年より10兆円多い約120兆円になるとの見通しを明らかにした。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは18日までに、銀行・証券などの国債保有の削減余地を考えると、異次元緩和を「続けるのは、もう相当厳しい」と指摘した。来年は償還の増加で日銀の購入額が自動的に増える上、政府の発行額は減る見通しなため、国債買い入れオペは「早ければ来年後半に札割れする可能性がある」との見方も示した。
日銀の黒田東彦総裁は18日、金融政策決定会合後の記者会見で、下振れリスクが顕現化して追加緩和をしなければならない時は「当然思い切ったことをやる必要がある」と述べている。
日銀法改正菅氏は、日本銀行法の改正については否定的な見解を示した。日銀法が日銀の理念と定める「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」を引用したうえで、「『国民経済の健全な発展』の中に、雇用の安定など、実体経済に関する事柄も含まれている」と発言。その上で、日銀法を改正する「現実的な必要性はないと思っている」と話した。
本来、中央銀行の使命は「物価の安定」とされているが、米連邦準備制度理事会(FRB)は「物価の安定」に加えて「雇用の最大化」を2つの使命(デュアル・マンデート)と掲げている。自民党内でも、山本幸三衆院議員が日銀法に「雇用の安定」を明記すべきと訴えるなど、一時期は法改正を求める声もあがっていた。
設備投資収益が上がっているのに投資が進まない背景について、経営者はデフレマインドからなかなか抜け切れていない、また政策が変わるのではないかと思っている人がたくさんいた、と分析。14年12月の衆院選以降、「今度は投資しますという人が結構出てきた」と語る。そういう人は政策が継続すると判断したため設備投資を考え始めてくれたと分析し、「昨年、選挙をやって本当に良かった」と振り返った。
今後については、設備投資に取り組む企業にインセンティブを与える政策を進めたい、と語った。
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更新日時: 2015/12/24 07:14 JST