ブリュッセル=吉田美智子
2015年12月24日09時39分
11月のパリ同時多発テロ後、首謀者ら複数の容疑者の出身国ベルギーで、イスラム教徒への嫌がらせや礼拝所モスクへの攻撃などが急増している。厳しい警戒態勢が敷かれ、警官らによる行きすぎた職務質問や取り調べも目立つ。移民系の若者らが社会への憎悪や疎外感を強める中、専門家は「イスラム過激派が望む環境だ」と警鐘を鳴らす。
11月下旬、ブリュッセルの中央モスクの郵便受けから、白い粉が入った封筒がみつかった。人体に有害な物質の可能性もあるとして、警察は一帯を封鎖。専門部隊が封筒を回収し、10人以上が病院に運ばれるなどして除染を受けた。
粉の成分は小麦粉と判明したが、モスクは警備員を増員。説教師モハメド・ガライエ・ンディアイさんは「こんなことは初めて。誰の犯行か見当がつかないだけに怖い」と話す。
ベルギーでは1月の仏風刺週刊紙「シャルリー・エブド」などを狙ったパリの連続テロ直後に、イスラム過激派のグループによる警察署などを狙った大規模テロ計画が発覚。それ以降、イスラム教徒への嫌がらせが急増している。
国の「機会の平等のための連邦センター」には毎月、イスラム憎悪とみられる40~50件の情報が寄せられる。パトリック・シャルリエ共同センター長によると、モスクの前に豚の頭が置かれた▽路上でイスラム教徒の女性のスカーフがはぎ取られた▽ネット上に「イスラム教徒は皆殺し」という書き込みがあった――などと深刻化している。
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朝日新聞国際報道部
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