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GCP愛を語る

公開日: : 投稿者: BigQuery, Cloud Storage, GAE, GCE, GCP

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RGCP(GCP好き以外お断り)

技術的な話ばかりの中のAdventCalendarですが、本記事は特段技術的に凄い事や参考になるようなことは一切ありませんのでご了承ください。私のGCP愛・GCPへの愛情の歴史をぶちまけるだけの内容ですので、GCP好きでも無い方には全く吐き気を催す内容になるっているかも知れませんのでご注意ください。

 

GCPとの出会い

私のGCPとの出会いはやはりPython版のGAEが登場した2008年に遡ります。私はインフラ好きというか、そこそこ詳しいとは思うのですが好きでなった訳では無く正直仕事として必要だったから詳しくなっただけでして。正直何故こんな面倒な事をしなきゃイカンのかと思って仕事して来ました。

特に、某O社のエンタープライズデータベースの費用の高さと、いやそれだけならまだしも、運用の大変さには長年辟易してました。一例を挙げると例えばセキュリティパッチなんかが出ようものなら、まず、当てる要否・影響分析を行うことから始まり、アプリケーション開発ベンダさんのスケジュール・費用調整をしつつテスト環境や擬似本番環境に適用する準備・スケジュール調整を行い、更には本番に適用すると言うところも同じくスケジュール調整やら夜間作業調整やらを色々して。結果ほぼ8割方問題無いことなのではあるのですが、誰も責任取れないことでもあることから結果都合2ヶ月作業になるというのが一般的な面倒なセキュリティパッチ運用でした。

その中でPythonのみではありますが、ミドルウェア迄サポートされた環境が提供され、しかも異常に安価という所に惹かれて興味を持ち始めました。ただ、当時Pyhtonなんかは全く分からず、勉強する時間もなかなか取れない所もあり見送りしてまして、Javaが出れば、と思い続け、出てきた時には飛びつきましたね、はい。2009年4月に、当ブログでも「Google App Engine Java:Eclipseでデモ構築」と取り上げてました。これでもう自分の仕事はなくなれば良いな、と。

 

業務システムこそGAEで、と走って来た6年間

主に以下の5つの点において業務システムこそGAEで構築すべきと考えてます。

・利用してない時間帯のコストが不要

 通常業務システム系はバッチを除くと営業時間中のみ動作すれば良いことが多いです。もちろん24時間365日営業だったり、連続稼働の工場なんかは別ですが、大半は営業時間中のみで良い。夜間は止まってて良いので、そこに課金が発生しないというのは非常に大きいです。当社で展開している繋吉と言うサービスでもGoogleAppsへのログインするタイミングでしか動作しないので非常にコスト効率が良いと感じます。もちろん通常のIaaSでも停止・起動を行えば良いのですが、そこが完全自動でコントロールされるので手間も無いです。

・可用性対策不要

 逆に、業務システムは日中帯等利用している時間帯には止まってしまうと業務遂行不可能になるケースが多いため、数分の停止でも大問題になるケースが多いです。ですので、性能的には全く不要でも冗長化するためにロードバランサをおいて、、、となると簡単にインフラ構築だけで数百万後半と言うこともザラでした。が、GAEを利用することによりその部分の可用性対策はゼロです。2005年頃まではキャパシティプランニングも重要でしたが、その頃以降はマシンパワーが非常に向上したため、業務システムは性能面よりもむしろ可用性対策にかかる費用が大きいことが多くなって来ていたためこの部分は非常に大きな点と思います。もちろんバックアップに関しても自動で多拠点書き込みにより守られているため、損失を考慮する必要さえ無い、と言う点は言うに及ばずと言うことになります。

・災害復旧対策

 これは前項とも意味合い的にはかぶるのですが非常に大きな点なので敢えて切り出しました。災害対策に関してもテープバックアップして遠隔地保管等、面倒なことが多くありましたが、この点もGAEだと全く考慮不要になります。追加で非常に大きな予算を投じて行うようなことが既に折込済みの金額になっているということです。

・パッチ運用不要

 自社で開発したソース部分のみを保守すれば良く、ミドルウェア等のセキュリティ対策は不要です。コレは前述の通り非常に大きなコスト・時間的なメリットがあります。

・セキュアである

 これも前項と関連してきますが、通常のLAMP環境等と比べて明らかにセキュアな環境を特段の知識不要で実現出来ます。GAEなりの最低限の書き方で記載したシステム・サービスは、GAE上での動作をGoogleが担保してくれます。逆にGoogleとしてもおかしな動作をするものは動作させられないため、様々なレイヤで勝手に制御をしてくれます。インフラエンジニア不要でセキュアな環境構築が出来ると言う点において、これほど先進的なものは無いです。

 

長くなりました。。。

というメリットを考えて、当時流行りだったスケーラビリティに追従するのでは無く、上記観点からGAEで業務システム開発が将来の主流になるだろうとの信念を持ってこの6年間やって来ました。

 

不遇の時期

しかし、結果としては上記のメリットなどの伝え方がまずかったのか、先進過ぎて誰も付いて来ないと言う状況でした。弊社からの提案においては常にGAEで提案を進めて来ましたが、他の会社さんなどには全くと言っていいほど広まらず、2010年頃にあったGAEの値上げにより一気に潮が引くようにGAE開発の熱は冷めてしまったように思います。その後は結局理解しやすい・移行しやすいIaaS(EC2)に潮流が流れてしまい、そちらの盛り上がりとは対照的に長らくGAEは落ち込んだままでした。それでもいつかはPaaS(GAE)の良さを分かってくれると考えて居たのですが、なかなか伸び悩んだまま、どんどんAWSに機能が追加され、PaaS・SaaSの部品を組み合わせて行く方向に拡張されて行くことに危機感を感じてたのを覚えてます。つぎはぎでもニーズに沿ったものを組み合わせることでGAEに近いことが出来るようになってしまうと、その後移行するインセンティブは働きにくくなるので、厳しい戦いを強いられるだろうなぁ、と。。

 

待望のGCPとしての展開開始

やっと2013年になりGoogleもPaaS(GAE)は早すぎたと理解したのか、IaaSが出てくることになりました。Google Cloud Platform(GCP)と言う名前を付けて展開開始するとの報に歓喜したのは事実です。が、同時にGAEの一旦の敗北なのかなというのも感じ、若干の寂しさも感じたものです。

とは言え、これでAWSに一気に流れてしまうのを止められるかも知れないと言うことで、是非一緒にGCPやって行きましょうとGoogleと盛り上がって行きました。2013年12月に正式版がリリースされ、2014年早々に書籍を取り敢えず書いて欲しいと依頼を受け、早速書いたのがほぼ世界初のGCE解説本である、拙著「Google Compute Engine入門」です。今となっては歴史的価値のある書籍と言っても過言では無いでしょう。是非GCPマニアの皆様は物理書籍として抑えておいて頂ければと思います。(改訂したいのですが大人の事情で在庫があると出来ないので。。。)

2015年6月には当社が日本では初となるGCPの販売代理店としてのサービス、「クラウドエース」を展開開始しました。

 

盛り上がりを見せるGCP

昨年2014年1年間はやはりGAEやGoogleAppsの印象が大き過ぎ、IaaSもありますと言うのを知っている人さえ少ないと言う時期でした。昨年後半からGCPUGの活動を開始したこともあり、今年2015年は異常な急上昇を見せている状況と言えます。2014年12月から半年で当社のクラウドエースのHPのアクセス数は10倍以上になりました。(その後はほぼ頭打ちに近いですが)

先月のクラウドExpoにも出展したのですが、数千枚のパンフレットが配られ(当初想定の3倍以上)、特別セミナーは立ち見で溢れ返り、その後のクラウドエースへの問い合わせは前月比数倍。となり、関心の高さが伺える状況です。

 

GCPの6個の凄い所

さて、やっとこさ、凄い所・愛情を注ぎたい所を書いていきます。

AWSとか他のサービスはそれ程詳しくないので、もし間違い等ありましたら教えてください。

 

・グローバルロードバランサ/ネットワーク

 Googleは自社で全て海底ケーブルから敷設し、世界中のネットワークを繋いでます。これはもともとYoutubeや広告配信のためのものだったと思いますが、これをGCPは利用することが出来ます。世界で最も稼ぐ広告配信のインフラ・ネットワークをそのまま使えるのです。特にグローバルロードバランサはひとつのグローバルIPで他地域を跨ぐ冗長化、負荷分散構成が取れる謎技術が簡単に実現出来ます。これは他のクラウドベンダにも出来ないのでは無いでしょうか。

 

・価格性能比

 後発であることもあり、価格性能比は断然高いと思います。うちの技術メンバによる技術サイトapps-gcpでも1ヶ月毎程度に計測してますが、AWSに比べて5倍位は価格性能比が出てる状況です。

 

・アカウント管理

 アカウント管理が簡単過ぎます。特にGoogleAppsのアカウントなんかを使っている場合ですと、その認証を流用することで管理出来るので、退職者に対しての対応なんかはアカウント消えたら終了なので非常にセキュアだと言えると思います。また、GoogleGroupでの権限設定にも対応しているので、そこでGroup管理しておけば、複数プロジェクトにまたがった権限設定も一括で簡単に設定・変更出来ます。

 

・ブラウザからアクセス出来るシェル

 これ、他にも簡単にアクセス出来る方法があるのかも知れませんが、管理コンソールでインスタンスを選んでSSHをクリックするだけでChromeを使ってるとそのままユーザ登録も何も無く、Sudoでroot権限になれるアカウントでログイン出来てしまいます。意外とレスポンスも悪く無いので、それだけでほぼ全ての管理作業が完了してしまいます。最近はCloud Shellとかも出てきたのでそれらを使うことでTeratermとかPuttyとかの設定や証明書の配布なんてことも必要ありません。これは超絶便利だと思います。前述のアカウント管理との組み合わせで非常に楽でセキュアな運用が出来ると思います。

 

・BigQueryがヤバイ

 これも各所で言われだしておりますが、DWHとしては決定版だと思います。これ以上のものはもう量子コンピュータを待たないと出来ないでしょう。なんせ、Googleが持っている余剰リソースをぶん回して強引に解決しちゃうと言う方法なので、これは他ではどうしようも無い。余剰リソースなのでかなり安価に使えると言うことで、使わない手は無いと思います。やはりGoogleが自分たちで必要と思ったものを外部に公開してくれていると言う考え方からして、BigDataと言うキーワードに対する技術的先進性は他クラウドと比べて圧倒的に優れていると思います。ニーズベースで既存の技術の焼き回しでの技術拡張では無く、自社での技術革新チャレンジで上手く行ったものだけを外部にも公開するというGoogleのスタンスが技術的ブレークスルーが必要なBigデータ対応に関しては大きな差が今後出てくる分野では無いかと期待してます。

 

・サポートが良い

 これは意外と皆さん思って無いかも知れませんが。検索順位についての問い合わせ何かには非常に冷たい印象があるのかも知れません。が、GCP(やGoogleAppsもですがエンタープライズ部門)に関してはそれはありません。ゴールドサポートならば、そこまで回答してくれるの?レベルの回答をしてくれます。基本的に回答してくるスタッフの方々の技術レベルは非常に高いです。FAQだけで対応するような感じでは無く、深くOSとかアーキテクチャを理解した上で回答してくれることが分かるものですし、今のところ最低レベルの深刻度で報告しても初回回答に1営業日以上待たされたことは経験無いです。他のサポート知りませんが、私的には非常に満足してます。

 

・コミュニティー(GCPUG)の雰囲気が良い

 手前味噌と言う感じになるかも知れませんが、雰囲気良くしようと言うことを第一にやってるつもりです。とにかく一緒に立ち上げたメンバも面白い人ばかりなので、GCPUGは非常に良い雰囲気だと思います。Slackでの情報交換はもちろん、リアルのイベントも全国で立ち上がり初めてます。MLやSlack等で不明点等を投稿すると必ず回答してくれると思います。スタック・オーバーフローの問い合わせも皆でモニタリングしてますので、気軽に相談してみてください。また、2015年2月にはまた東京でも大規模なGCPUGを予定しますので、是非参加してくださいませ。

 

他にも挙げると切りが無いので、主だったものとしてこのくらいにしておきます。

後、定性的と言うか具体的じゃ無いかも知れないのですが。

データセンタまで全て自作し、google.comを運用している最高レベルのコストパフォーマンスを追求したインフラが使えると言う点。これはやはり地球上最高では無いかと思うのです。数々のインターネット上の標準やら規格を作り上げて来たGoogleが提供しているものなので最高で無い訳が無いのです。

基本的にニーズは追ってません、でも実はGoogleの内部のニーズは満たすよう作られているので、今痒い所(ニーズ)には手が届かないかも知れないけど、GCP使うとそこは痒い所じゃなかった!とかってこともたくさんあるのではと思います。使って分かる凄さってのがあるだろうな、と。

後は、GCPの良さを分かって使ってくれる人とかってのは個人的な感想かも知れませんが、やっぱり先進的な人が多くて優秀だと思います。なのでそういう人たちと一緒に仕事出来るってことはそれだけで幸せやなと思うのです。関わる人皆優秀だとしょうもないことに惑わされたり紛らわされることが少なくてストレスフリー。娘のあたりはAWS界隈とかクラウド全般の人も結構そうだと思いますけど。

 

今あらためてGCPに期待すること

今、もうクラウドの中での位置づけとしてそれなりの場所には来たのかなと思ってます。後、劣っている所としては。

1.実績

2.日本リージョン

の2点だけかなと思います。大きくは。ML系のオプションは今後一気にTnesorFlowで解決されてくるでしょうし。

1は今後皆さんで解決して行くことでしかどうしようも無いかも知れませんが、2については何とかして欲しいなぁと思います。期待してます!

後は今後も継続的な値下げ(ムーア)とか、細かいところでは少々ありますが概ね問題無いです。

 

最後になりますが、皆さん是非使ってみてコミュニティにも参加してみてください!(これをここまで読んでくださってる方は使ってる人がほとんどかも知れませんが。。)2が解消されて、1が出てくれば、クラウドNo1を獲りに行けると思います。是非皆さんで育てて行きましょう!

 

この記事を書いた人

ayatoshi
ayatoshi
徳島県出身、吉積情報株式会社代表取締役
愛光高校、東京大学卒業後、アクセンチュアにて5年間システム開発を経験。
CP300のアジア初取得者。
Google基盤上でのシステム開発の普及を目標として日々活動中。

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