ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの天文学者スチュアート・グレイが、1957年のスプートニクの軌道投入以降、現在までのあいだに宇宙にばらまかれた人工物のようすを1分間の動画にまとめ、公開しました。 人類初の人工衛星スプートニクは、ソビエト連邦(現在のロシア)が打ち上げた直径58.5cmのボール状で、パルス状の電波を発するだけのものでした。それでもこの打ち上げ成功は米国をはじめ世界に大きな衝撃を与え、以降の米ソによる宇宙開発競争のきっかけとなりました。
スプートニクは打ち上げから92日後には大気圏に再突入して焼滅したものの、打ち上げ時のロケットの一部はそのまま宇宙にとどまりました。これ以降、現在までに打ち上げられた人工衛星やロケットなどの使用済み品のなかにはそのまま放置されてスペースデブリとなったものが数多く存在します。
デブリの数は、ユーリ・ガガーリンによる初の有人宇宙飛行までには200個前後に増加しており、月面探査競争後の1980年までに5000個に到達。さらにその後深宇宙探査のために打ち上げられた多くのロケットエンジンもそのまま宇宙を漂っています。
また2000年代には中国の弾道ミサイルが実験中に爆発したり、人工衛星どうしの衝突が発生したせいで数千個のデブリが地球周辺に撒き散らされました。
現在、地球の周囲を回っているリンゴ大以上のデブリは約2万個にまで達しています。ただそれらはすべて地上から軌道を管理しており、ISS など宇宙飛行士がいるところに接近する場合は事前に回避が可能です。
ただ、場合によっては飛行士の退避が遅れたり、最悪は宇宙船や宇宙飛行士にデブリが衝突、貫通してしまうこともないとは言い切れません。またもしデブリが増え続けてしまうと、そのデブリを避けで宇宙に出ることすら難しくなってしまう可能性も出てきそうです。
一方、こうしたスペースデブリを地道に取り除こうとする研究もないわけではありません。たとえばスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)などは数年前よりスペースデブリを回収する人工衛星の開発研究をすすめているほか、2015年9月には米国防総省高騰研究事業曲(DARPA)が人工衛星を修理して再利用する「Phoenix計画」を発表しています。また日本のJAXAもデブリを大気圏に再突入させ焼却する研究を進めています。