*

高気密高断熱住宅の10個の注意点

今回は、高気密高断熱の家について

高気密高断熱を売りにしている建築会社さん、多いですよね。

『うちは高気密高断熱です』

なんて営業文句もいたる所で聞きます。

でちょっと気になるポイントとして、常日頃感じている事を書いてみようと思います。

高気密高断熱の10個の注意点

今回は、特にどの断熱材が良いとか、どの工法が良いというのは、あえて言及を避け(色々と言われそうなので…)、高気密高断熱の注意点をお伝えしようと思います。

1.高気密高断熱に明確な定義はない!

高気密高断熱っていっても明確な定義はありません。

業界として【次世代省エネ基準】をクリアしていれば、そのように言える風潮もありますが、変な話、言ったもの勝ち的な感覚です。

当然、高気密高断熱をうたっていない建築会社さんでも、普通に次世代省エネ基準でいう高気密高断熱なら実現出来てる所も多いんです。

私自身の取材経験で言えば、もっとアピールすれば良いのに!と思う会社さんも多いです。

今更ですが、この次世代省エネ基準は、H11.3に改正された基準です。

今から10年以上前の基準

次世代省エネ基準グラフ

Q値:断熱性の高さを表しています。

C値:気密性の高さを表しています。*Q値C値共に数値が低いほど性能が良いというものです。

私が住宅営業マンとして入社したのが、H15.4ですからそれよりも4年前、私が入社した当時から、今までの10年間で、

  • ガス併用住宅からオール電化住宅の普及
  • 太陽発電システム70万円/KWから40~50万円/KW(もっと安い所もありますが)
  • スマートハウス、反射断熱材、新しい工法など様々なエネルギーに関する新しい技術が出てきた。

この事から判るとおり、この次世代省エネ基準に関しては、いまやクリアしてても当たり前!ぐらいのレベルにあると思います。

で、このレベルであれば多くの建築会社さんがクリアしてるという事をまずは知っておいて頂く必要があります。

2.数値×施工品質=高気密高断熱の家×経年変化=本当の高気密高断熱の家

断熱性能は、

断熱材に使う素材、厚み、構造体などから数値で事前に計算出来るものになります。

つまり、

実際の家の建築現場で、誰がどのように張っても数値は変わらない!という事になってしまいます。

隙間が出来ていようが、穴が開いてようが変わらないという事。

気密性は、

建築現場で実際に測るのですが、7日間メルマガでお伝えしていますが、測るタイミングで数値が変わります。

家の大きさや間取り、付ける仕様によっても変わります。細かい所で言えば、コンセントの数などでも変わってきます。

その為、どのタイミングではかるのか。またどういった家なのかを見る必要がありますね。

この事から気密性に関しては、大手メーカーでもうたっていない所もあります。(*大手ハスメーカーさんの場合、公表したくないという場合もあるので、判断をしておく必要がありそうですね…)

また、

断熱性も気密性も、実は、経年変形の考えが抜けているんです。

新築当時は、暖かいけど、10年後には寒くなってる!では意味がないですよね。

しっかりと施工してくれるか。

と、

経年変化はどうか?

の観点は、考えておきたい所。

高気密高断熱

施工品質や経年変化だけを考えるのであれば、ウレタンやアイシネンなどの発砲系の断熱材や、セルロースなどの専用の施工部隊で施工する断熱材が良いとも考えられますよね。

因みに選ぶポイントは色々とある為、そのほかの観点(健康性や発火性、価格など)も考える必要があります。

3.断熱材シェアに学ぶ?

色々な断熱材のメーカーのサイトを見ると、中には断熱材のシェアが載っている事がありますね。

ここも注意が必要。

まずはそのシェアを測った年がいつかという事。

ここ3~5年は、比較的に断熱材の素材が日本でも新たに、広く採用されるようになってきている為、シェアを語れるまで断熱市場が落ち着いていないという事です。

また、建売住宅、ハウスメーカーさんは、基本的に断熱材は、グラスウールです。

これらは、今後も変わらないように感じます。*しがらみや価格を考えれば

その事から考えれば、グラスウールのシェアは高いはずです。

結論、シェアは、とりあえず気にしない方が良いと思います。

4.グラスウールが普及している訳

グラスウールが普及している理由は三つ

  • 価格の安さ
  • 施工のしやすさ
  • 申請のしやすさ

です。

グラスウール概要

最後の申請のしやすさは、採用を考える時の建築会社の一つの指標になります。

例えば、

  • 長期優良住宅の申請
  • ローン審査の優遇金利の申請
  • 火災保険の割引の為の申請

など、多くはグラスウールが基準となってその様式を採用している所が多いという事です。

5.最低でもQ値=2.0以下、C値=1.5以下

ポイント1の次世代省エネ基準は、Ⅳ地域でQ値=2.7、C値=5ですね。

C値=5ってかなり隙間ありますからあまり参考になりません。

15年前から考えて、

また今の家の一般的なレベル観から言えば、

高気密高断熱をうたうなら、最低でもQ値=2.0以下、C値=1.5以下はベースラインとして守りたいのでは?と思います。

*かなり軽め+きりが良い数値で何となく言っています。

6.高気密高断熱住宅にするなら、将来、増改築がないようにする。

今回この話を何故するのかと言うと、営業マンさんの中に、将来の増築がしやすいという事で、ある特定の断熱材をオススメしている所があった為です。

増築は、そもそも別の問題になりますし、隙間や熱の伝わり方で新旧の違いが出てきてしまいやすく(結露の原因になりやすい)、断熱性能の劣化は、確実におこると言われています。

つまり、高気密高断熱と増築は、間逆の考え方になってくる為、出来るだけ増築の必要がない家の計画が必要になってくるのです。

7.第一種換気システムが理想なのでは?

第一種換気システム?は簡単に説明すれば下の図の通りの説明です。

換気システムの説明

で第一種換気システムの最大の特徴は、一般的な換気システムに比べ、家にあく穴が最も少なくなる事です。

つまり家の気密性が高まるという事ですね。

現状色々な工法において色々な換気方法が採用されており、わかりにくくなっていますが、ベースを捉えておいてから判断するようにしましょう。

8.遮熱材について

皆様は、遮熱材と言うものはご存知でしょうか。

下の絵のように、家全体を熱を跳ね返す素材で覆ったり、屋根に覆って太陽光の熱を跳ね返すという素材を使う家です。

遮熱材施工イメージ

実は、このような新しい断熱の考えも色々と出てきます。

こちらは、数値というよりも効果という観点からお伝えする事になってしまっているのが現状ですが、このような新しい考え方も、考慮していきたい所だと思います。

9.高気密高断熱と自然換気の組み合わせ

その他にもWB工法などを代表として、自然換気(=パッシブなどと呼ばれている)の考え方も最近では、注目を浴びてきています。

遮熱と併せて、最新の家の断熱性はチェックしておきたい所ですね。

10.Q値C値の計算方法を解説

Q値、C値計算はわかりやすい説明のページのリンク(といっても計算自体が判りにくいですが…)を張っておきますので参考にしてみて下さい。

Q値計算C値計算

まとめ

最後に少しまとめてみようと思いますが、結局どうすれば良いのか?という結論になってしまうように思います。

そうなんです。

例えば、経年劣化の少ない断熱材を選んだとしても、価格や数値が低ければ意味がないですし、価格、数値がクリア出来ていたとしても経年変化が心配だったりします。

また、大手ハウスメーカーさんの言っている高気密・高断熱の数値も『あまりたいした事がないんだ』という事も判ってくると思います。

*一条工務店さんのICUBUやスウェーデンハウスさん、セキスイツーユーホームのグランツーユーの数値は良いと思います。

*大手さんの中でもQ値、C値が謡っていない所もありますし…

施工品質は?経年変化は?有害性は?

外断熱?内断熱?

と考えるとそれこそわからない。

つまり、高気密高断熱の判断は、非常に難しいという事になります。

その為、安易にこの項目で家を決めるという判断はしにくいと言う事です。

もちろん家の断熱気密性は、とても重要です。

が、あくまで、判断材料の一つとしてお考え頂きたいと思い、少しこの高気密高断熱についてまとめてみました。

それよりも最低限の基準値をクリアできているかどうか。

しっかり施工をしてくれるかという事を考えて家づくりを進めていただいたほうが良いのかな~とも思ったりします。

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2013/12/12 | 構造・性能

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