韓国憲法裁判所が23日、植民地時代の強制連行被害者の遺族が「対日請求権を制限した請求権協定第2条第1項は違憲」と訴え出ていた憲法訴願事件を「違憲審判の対象ではない」と却下したことについて、韓国外交部(省に相当)当局者は「特に言及することはない」と述べた。しかし、外交部内部や周辺には明らかに安堵(あんど)の空気が漂っているように見えた。外交消息筋は「違憲決定が出ていたとしたら、先月3年半ぶりの首脳会談を通じて、やっと見えてきた関係改善の明かりが消えてしまう可能性もある状況だった」と語った。尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官も同日午前、憲法裁の判断を前に韓国放送記者クラブの討論会で「賢明な判断が出ることを期待する」と述べ、間接的に懸念を示していた。
外務省の川村泰久外務報道官は「財産・請求権の問題は、日韓請求権・経済協力協定により、完全かつ最終的に解決済みというのが我が国の一貫した立場だ。関係前進のために双方が努力していく必要があると考える」と述べた。日本側では憲法裁の判断が強制連行被害者の訴訟に影響を与えると見て注視してきたが、朝日新聞は「日本企業が法的責任を負う可能性がさらに高まる状況にはならなかった」と分析した。