ネギのような…
先日、耳鼻科に行って来た。
事の発端は2週間ぐらい前に遡る。どうも頭痛がして仕方なかった。眼の奥がズンズンし、体全体がボーっとする。おかしいと思って熱を計ってみると37度くらいある。
なんだよたいしたことねーじゃねーかと思われるかもしれないが、自分は平熱が35.6度くらいの低体温野郎なので、37度とか出ると結構フラッと来る。
こりゃあ風邪をひいたかなと思って、よく行く診療所に行って来た。風邪薬と頭痛に効く薬を貰ってきて一週間飲んだ。だが、症状は全くおさまらなかった。微妙な熱と頭痛がずっと続いていた。
鼻水も、風邪をひいた時のような粘っこい緑色のものだった。いわゆるネギっ鼻という奴だ。だらだら垂れてくる訳ではないが、常に鼻がなんか詰まっているような感覚だった。一言でいうと不快である。
娘が「キャッキャッ」と嬉しそうな声を上げて笑い、手に持ったおもちゃをコタツなどにぶつけて遊ぶのだが、その時の衝突音が頭に響いて痛いくらいになってきた。
鼻詰まりを解消しようと鼻をすする。口の中に流れ込んでくる粘っこい鼻水。よくよく考えてみるとなんか臭う。
そういえば、去年だったかウチの母が言っていた。
「鼻水が凄い嫌な臭いがして病院で見てもらったら蓄膿症だった」
うーん。
ひょっとしたらこれかな。
とりあえず、耳鼻科に行ってみるか…
こいつ曲がってやがる…
実は、昨年わけあって体を検査しまくった時に、別の耳鼻科にも行っていた。その時に、既に自分は「鼻中隔湾曲症」であることはわかっていた。
鼻中隔湾曲症とは、鼻を左右に隔てている仕切り「鼻中隔」がどちらかに曲がっている病気だ。とはいえ、実は7割以上の人が曲がっているので、曲がっていること自体はそれほど問題ではない。もう呼吸が出来ないほど曲がっているのであれば問題だが、自分の場合は鼻息検査(正式名は知らない)で大丈夫だったと判明したので、とくに何もしていなかった。
行きつけの耳鼻科には、殆ど年に1回しかいかない。それは花粉症の時期だ。だいたい2月の終わり頃に馳せ参じて、いつもの点鼻薬をもらってくる。オキシトシンじゃないよ。
花粉症の時期は、それはもう混みに混みまくっている。みんな考えることはだいたい同じなのだ。だが、その日は全然混んでいなかった。オフシーズンはこんなものなのか…とか思ってたら早速名前を呼ばれた。
診察室…というか、カーテンで仕切られているだけで部屋ではないんだが、とにかくそのカーテンの前の椅子に座って待つ。前の受診者の診察は丸聞こえである。
「あのね、どう? あ、そう。タバコは? タバコはやめた? あ、やめてない。うーん。私の薬を貰うよりね、タバコやめたほうがよっぽどその耳の痛みには聞くんだよねわはは」
相変わらずだ。
ここの先生はぶっちゃけてて面白い。
腕は確かだ。だから人気がある。しかも、応対がゆるくて話していて面白い。先生の軽妙なセリフを楽しんでいるうちに、次の人の番になった。
「どう? え、頭痛がする? うーん。そりゃ困ったな。今回違う薬出すけど、これ、私にあまりお金が入ってこない奴なのよ。わはは。でもね、治らないと困るからこの薬出すね。私は得しないんだけどね。治すほうが大事だから。わはは」
そんなこんなで自分の番が回ってきた。
蓄膿症でした。
まず、症状を聞かれる。
2週間位頭痛がひかず、熱もあり、眼の奥が痛い。
「薬は? 薬は何を飲んでるの? あ、お薬手帳持ってきたんだ。えらいね。これ殆どの人持ってこないからね。あなた若いのに大したもんだね。わたしも助かっちゃうよ。診察代が安くなったりはしないけどね。わはは」
とりあえず、蓄膿症の疑いが強いということで、鼻にカメラを入れることになった。カメラにはなにか白いものが写っていた。膿だ。
「あー、蓄膿症だねぇ」
やっぱりそうか。風邪にしてはなんかおかしいと思ってたんだ。
「まあね、普通は風邪だと思うよね。まず耳鼻科にはこないから、最初にはね。内科とかいくよね。わはは。耳鼻科はセブンイレブンみたいなもんでね、どこ行っても同じなのよ。俺はここのセブンにしか行かない!って決めてる人いないもんね。そんなもんですよ。わはは」
そんなわけで、抗生剤と鼻水を止める薬、たんを出やすくする薬を貰ってきた。
「最近ね、だんだん考えるんですよ。40年この仕事やってきたけど、代わりはいくらでもいるしね。セブンイレブン、近所に無くなっても違うところ行くでしょ? それとおんなじで、わたしもね、もうそろそろ先のこと考えないととかおもっちゃうんだわ。わはは」
そんな事ないですよ。
自分はあなたが好きでこの耳鼻科に来ているんだ。だから、無理のない範囲で続けてほしい。
また花粉の舞う頃に来ます。
ここは特別なセブンイレブンだから。