トップページ社会ニュース一覧津波被害の町ににぎわいを 宮城・女川町に新商店街
ニュース詳細

津波被害の町ににぎわいを 宮城・女川町に新商店街
12月23日 17時25分

津波被害の町ににぎわいを 宮城・女川町に新商店街
k10010350761_201512231926_201512231929.mp4
東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町に23日、新しい商店街がオープンしました。女川町は被災地の中でも最も人口減少が進んでいて、商店街を中心ににぎわいを取り戻せるかが課題となっています。
オープンしたのは、東日本大震災の津波で壊滅的な被害を受けた宮城県女川町中心部の駅前商店街です。
23日は記念の式典が開かれ、須田善明町長が「震災の悲しみと絶望の中から、みんなで知恵を出し合い完成しました。自由に楽しめるにぎわいの拠点にしていきたい」と
あいさつしました。
このあと、子どもたちが「まちびらき」を宣言するとともに、津波で駅前から流されがれきの中から見つかった「希望の鐘」を鳴らして門出を祝いました。
新しい商店街は、海を臨む景観に配慮しながら津波対策を進めようと、防潮堤を整備する代わりに7メートルほどかさ上げした場所に造られ、被災した青果店や衣料品店のほか、震災後に営業を始めた飲食店など27の店が入ります。
震災前、町内には6つの商店街がありましたが、町は集客力を高めようと、商店街を23日にオープンした1か所に集め、今後周辺に公園などを整備して観光客を呼び込む計画です。
訪れた36歳の女性は「震災前とは全く違う商店街になっていて驚きました。もっと復興が進んですばらしい街になってほしいです」と話していました。
女川町の人口は先月末時点で、震災前より30%以上少ないおよそ6900人と、被災地の中でも最も急激に人口減少が進んでいて、商店街を中心ににぎわいを取り戻せるかが課題となっています。
式典のあと、女川町の須田善明町長は「住民の高台移転など住まいの再建はこれからなので、商店街の完成はあくまでもまちづくりのスタートだ。人口が減少するなか、商店街と行政が連携して外からたくさんの人が訪れ、楽しめる仕掛けづくりを進めていきたい」と話していました。

茶販売店の夫婦も店再開

女川町で45年以上前から茶の販売店を営んできた、阿部喜代子さん(75)は、80歳の夫とともに、4年9か月ぶりに本格的な店を再開しました。
女川駅前商店街に新たに設けられた阿部さんの店では、全国から仕入れたお茶のほか、急須などがきれいに並べられました。
阿部さん夫婦は、震災発生のとき、沿岸部の店にいて高台に車で逃げて無事でしたが、46年前から続いてきた店舗は、津波で跡形もなく壊れ、お茶の在庫や売上金などは、すべて流されました。
阿部さんは、町内の仮設商店街で仮の店舗を続けてきましたが、再建の見通しが立たないなか、店をやめることも考えたといいます。しかし、長年つきあいのあるお客さんのために頑張ろうと、4年9か月ぶりに本格的な店を再開しました。
23日は、地元の友人や震災直後にボランティアとして訪れ、店の片付けを手伝ってくれた夫婦などが開店のお祝いに駆けつけ、喜代子さんは、笑顔でお茶をふるまいながら震災後の苦労や感謝の気持ちを話していました。阿部喜代子さんは、「震災後の仮の店舗では、お客さんが以前の半分に減ってしまった。店を続けるかどうか迷ったが、夫が『続けたい』というのでついてきました。女川のみんなが頑張っているので、それに負けないように頑張っていきたい」と話していました。

Uターンした男性「ふるさとの力に」

新しい商店街に出店した人の中には「被災したふるさとの力になりたい」と、震災のあとに12年ぶりにUターンした男性もいます。
ビール専門のバーを開いた木村優佑さん(32)は、高校まで女川町で過ごしたあと、12年間東京でIT関連の仕事をしていました。
しかし、被災した町で人口が流出し、観光客が減っていることに危機感を持ち、おととし生まれ育った女川に戻り「ふるさとためににぎわいを取り戻したい」と、仮設の店でビール専門のバーを始めました。
去年、待望の男の子も誕生し、妻とともに子育てをしながら暮らし、23日の新たな店に続いて将来的にはオリジナルの地ビールを作って「女川ブランド」を全国に発信したいと考えています。
木村さんは、「震災当時は東京にいて何もできなかったが、オープンした店とともに、これから女川をもっと楽しい町にしていきたい」と話していました。

憩いの場 提供する青果店

新たな商店街に青果店を構えた相原義勝さん(67)は、地元の人たちの「憩いの場」にこだわりました。相原さんは、女川町で43年にわたって青果店を営んできましたが、震災の津波で店が全壊し、仮設商店街を経て23日、本格的な店の再開にこぎつけました。
相原さんは地元の人たちの「憩いの場」にこだわり、津波で全壊した店にもあった「いろり」を店の真ん中に設けました。
いろりは、長さ1.2メートル、幅1メートルほどのテーブルの中央にあります。訪れた客にお茶を飲みながら話をしてもらおうと設けられ、「おちゃっこスペース」と呼ばれています。23日は相原さんが、「おちゃっこスペース」に客とともに腰を下ろし、話を弾ませていました。
相原義勝さんは、「友だちやお客さんがくつろぐ場所なので、この『おちゃっこ』スペースは、絶対に無くしたくなかった。町は元に戻りつつあるが、これからは商店街の店主たちが頑張って、女川を盛り上げていきたい」と話していました。

関連ニュース

k10010350761000.html

関連ニュース[自動検索]

このページの先頭へ